2008/9/2 がんのリスク・マネジメント:(11)飲酒はがんの原因なのか 毎日jpより転載
がんのリスク・マネジメント:(11)飲酒はがんの原因なのか
2008年9月2日 毎日JPより転載
たばこと並んで歴史が長く、大人の嗜好品として世界中に広がっている生活習慣といえばお酒です。お酒を飲まない人も飲む人もいます。飲む人の中でも少し嗜む程度の人から毎晩大酒を飲む人までいろいろですし、日本酒やビール、ワイン、焼酎など種類も多様です。
酒は百薬の長と言われ社交のテーブルに欠かせないものである半面、飲酒の程度や場面によってはアルコール中毒や飲酒運転を引き起こし、「酒さえなければ」とも思わせる反社会性を持ちます。
古今東西、酒について一家言を持つ人は絶えず、私も個人的には、食事を楽しむために、料理に合わせるお酒をおろそかにできない性分です。こってりした料理を食べているフランス人に心筋梗塞が少ないのは赤ワインのお陰などという、いわゆるフレンチ・パラドックスの解釈(1992年)を楽しい話題として歓迎しました。
しかしながら、ここではがんリスクとしての飲酒習慣に関する科学的根拠について、私情をはさまずに述べます。飲酒はがんの原因なのでしょうか。
大勢の人を飲酒習慣や量で分けて、がんの発生や死亡のリスクを比較する研究は、欧米を中心に数多く行われています。前回紹介した最近の国際的な評価では、アルコールが直接触れる消化管(口腔・咽頭・喉頭・食道)、アルコールを代謝する肝臓、そして女性ホルモンの影響が大きい乳房のがん、大腸がんのリスクが確実に高くなるとされています。
これらのがんについて、日本国内のがん予防法開発に関する研究班で、2008年7月現在、肝臓、食道、大腸については確実と判定しています。乳がんについてはデータ不十分としました。日本人女性でお酒をたくさん飲む人の割合が低いためにデータがとりにくいこともあり、十分な結果が得られていません。また、口腔・咽頭・喉頭がんについてはまだ評価が行われていませんが、全部位合計については確実としています。
コホート研究では、40〜59歳の男性を対象にがん全体で見た場合、12.5%はエタノールに換算して週300g(日本酒では約14合に該当し、1日平均では2合*)以上の飲酒が原因であると推定しました(図1)。また、飲酒によるがん全体のリスクを喫煙習慣別に解析すると、お酒そのものよりは、たばこを一緒に吸うことによる相乗効果でリスクが高くなっている可能性が示されました(図2)。
*日本酒1合は、ビールなら大瓶1本、焼酎や泡盛なら1合の3分の2、ウイスキーやブランデーならダブル1杯、ワインならボトル3分の1程度に該当。 ところで、飲酒は循環器系疾患ともかかわっています。世界保健機関(WHO)と食糧農業機関(FAO)の報告書では、飲酒によって脳卒中のリスクが確実に上がると判定される一方、少量から適量の飲酒によって心筋梗塞など冠動脈疾患のリスクが確実に下がるとも判定されています。フレンチ・パラドックスは赤ワインに限らず、どのお酒でもオーケーとされているわけです。実際に、われわれのコホート研究でも、飲酒量が増えると出血性の脳卒中のリスクは高くなるけれども、脳梗塞は高くはならず、心筋梗塞のリスクは低くなりました。
がんについては、心筋梗塞のように飲酒のメリットが示されるものは見当たりませんが、少しだけなら、飲んだとしても飲まない人とリスクが変わらないのではないかというゾーンがあります。その場合の適量や飲み方について、次回に論じます。
◇津金 昌一郎(つがね・しょういちろう)
国立がんセンターがん予防・検診研究センターの予防研究部長。1981年慶應義塾大学医学部卒業、85年同大学大学院修了(医学博士)、03年から現職。主な研究分野はがんの疫学研究で、人集団を対象に、様々な要因と病気の関係を検証しながら予防法を探っている。「多目的コホート研究」という大規模長期追跡調査や、国内の研究を要約・評価して確かな予防法を提示する「生活習慣改善によるがん予防法の開発に関する研究」などの研究班を率いる。「がんになる人ならない人」(講談社ブルーバックス)などの著書がある。
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ドクター ご紹介 - http://kanja.ds-pharma.jp/health/yotsu/doctor/078/index.htmlから転載







腰痛の発生頻度や原因について教えてください。
上半身の重さは体重の約70%といわれています。その重さを支えているのが腰椎です。腰椎には椎体という骨の部分と椎間板という骨と骨の間に入っている部分があります。椎体は機械的な負荷により変形が進行し、また骨粗鬆症の進行とともに脆くなっていきます。椎間板も年齢とともに変性していきます。驚くことにこの変性は10歳の子供たちのすでに9%に起こっていると報告されています。治療を要する腰痛の発生頻度の調査では20歳代以上の年齢層ではほぼ同じくらい(40〜65%)で発生していることが報告されています。このような背景から近年、腰痛はもっとも有訴率が高い疾患になっています。大半の腰痛は数日間で治りますが、臀部痛や下肢痛を伴う腰痛は専門的な治療が必要になる場合も多いので注意しましょう。





