2008/9/17 がんのリスク・マネジメント:(12)害にならない程度の飲酒とは 毎日jpより転載
がんのリスク・マネジメント:(12)害にならない程度の飲酒とは
2008年9月16日 毎日らいふ
喫煙の場合には、がんだけでなく、健康全般について良い効果というものがことごとく否定されていますので、すっぱりとやめることをお勧めできます。これに対し、飲酒の場合は多少考慮の余地があります。
飲酒はある臓器のがんでは明らかな原因であり、喫煙との相互作用でがん全体のリスクが高くなります。まして日本人は、お酒を飲むと顔が赤くなる体質の人が多く、男性の喫煙率が高いため、欧米人よりも飲酒の影響を受けやすいのではないかと言われています。
この7月に、日本人の飲酒と大腸がんの関係について、複数の研究データを集積して改めて検討し、より信頼性の高い結果を公表しました。欧米では、最近になって飲酒と大腸がんとの関連は確実と見られるようになりましたが、日本人では欧米人以上に、飲酒量当たりのリスクの増え方が大きいことがわかり(図1)、これを受けて、日本国内のがん予防法の開発に関する研究班では、飲酒と大腸がんとの関連の評価を「ほぼ確実」から「確実」へと格上げしました。
しかしながら、飲酒にはメリットがあります。それは、前回少し触れたように、心筋梗塞に対する明らかな予防効果です。日本人には飲酒で顔が赤くなるタイプとならないタイプがありますが、コホート研究では、どちらのタイプでも飲酒による心筋梗塞予防効果が見られました。ただし、日本人には欧米人に比べて心筋梗塞が少ないので、それほど大きい効果は期待できません。
もともとお酒なんて飲まないし飲みたくもないという人には、がん予防にはそのほうが良いですよ、ときっぱりと言えます。しかしながら、飲みたい紳士淑女、つまり、飲酒の心筋梗塞予防効果を聞いてうれしくなる人たちには、いったい、どうバランスをとっていただけば良いのでしょうか。
このような場合、まず頼みになるのが、全死亡を指標とする研究の結果です。寿命前の死亡にはさまざまな病気から事故などの原因がありますが、それらをすべてまとめて、飲酒習慣との関連を見ます。コホート研究では、1週間当たりエタノール換算で150g程度(日本酒では約7合に該当し、1日平均では1合*)までは、男性の死亡リスクが高くはなりませんでしたが、それ以上は量が増えるほどリスクが高くなりました(図2)。この結果からは、飲んでも、1日当たり1合程度まで、ということになります。女性では、飲む人が少なく、かつ、亡くなった方もまだ多くはないために、統計学的な有意差は検出されませんでしたが、男性よりは少量で影響を受ける傾向が見られました。
*日本酒1合は、ビールなら大瓶1本、焼酎や泡盛なら1合の2/3、ウイスキーやブランデーならダブル1杯、ワインならボトル1/3程度に該当。
ところが、飲酒スタイルは人によって異なり、毎日晩酌する人ばかりではありません。機会があるときには沢山飲むけれども、普段は飲まないというスタイルもあります。そこで、1週間に飲む日数で分けて、飲酒量による死亡リスクを検討しました。すると、3日以上飲酒しない日があるグループでは、飲酒量に応じて死亡リスクが高くならないことがわかりました(図3)。つまり、1週間当たりの総摂取量が多くなってしまっても、休肝日を設けることにより、アルコールの悪影響が弱まる効果が期待できるのかもしれません。ただし、このことはコホート研究以外では検討されていませんので、他の研究による確認が必要です。
以上の根拠から、お酒を飲みたい人々のためにあえて提言するならば、週当たりの量は150g(日本酒なら7合)から300g(14合)が望ましいでしょう。そして、毎日飲みたければ1日に1合まで、それ以上飲みたければ、週に3日以上の休肝日を設けて調整するように心がけましょう。もちろん、たばこを吸わないこと、そして飲みたくない人は無理に飲む必要がないことが前提です。

◇津金 昌一郎(つがね・しょういちろう)
国立がんセンターがん予防・検診研究センターの予防研究部長。1981年慶應義塾大学医学部卒業、85年同大学大学院修了(医学博士)、03年から現職。主な研究分野はがんの疫学研究で、人集団を対象に、様々な要因と病気の関係を検証しながら予防法を探っている。「多目的コホート研究」という大規模長期追跡調査や、国内の研究を要約・評価して確かな予防法を提示する「生活習慣改善によるがん予防法の開発に関する研究」などの研究班を率いる。「がんになる人ならない人」(講談社ブルーバックス)などの著書がある。
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腰痛の発生頻度や原因について教えてください。
上半身の重さは体重の約70%といわれています。その重さを支えているのが腰椎です。腰椎には椎体という骨の部分と椎間板という骨と骨の間に入っている部分があります。椎体は機械的な負荷により変形が進行し、また骨粗鬆症の進行とともに脆くなっていきます。椎間板も年齢とともに変性していきます。驚くことにこの変性は10歳の子供たちのすでに9%に起こっていると報告されています。治療を要する腰痛の発生頻度の調査では20歳代以上の年齢層ではほぼ同じくらい(40〜65%)で発生していることが報告されています。このような背景から近年、腰痛はもっとも有訴率が高い疾患になっています。大半の腰痛は数日間で治りますが、臀部痛や下肢痛を伴う腰痛は専門的な治療が必要になる場合も多いので注意しましょう。





