2008/10/17 日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2009」最終案取りまとめへ 日本人のエビデンス反映した実践的GL メタボ、CKD症例への積極的な降圧求める m3.comより転載
日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2009」最終案取りまとめへ 日本人のエビデンス反映した実践的GL メタボ、CKD症例への積極的な降圧求める |
 | 記事:Japan Medicine 提供:じほう
【2008年10月17日】
日本高血圧学会・JSH2009作成委員会は11日、札幌市で開かれた第31回日本高血圧学会総会で「高血圧治療ガイドライン2009(JSH2009)」の第2案を公表した。総会終了後には、第4回JSH2009作成委員会が開かれ、学会総会での意見やパブリックコメントを集約した形で最終案の取りまとめに入った。JSH2009案は、メタボリックシンドロームや慢性腎臓病(CKD)を新たに心血管イベントの危険因子に取り上げ、これらの疾患を合併した心血管イベントの“ハイリスク”症例に対する厳格な降圧の重要性を強調した。降圧目標などに大きな変化はない。ガイドライン(GL)の改訂は5年ぶり。最終案は来年1月5日、学会誌に掲載後、16日に発刊される。 学会総会で報告されたJSH2009(第2案)は、<1>リスク層別化と高血圧管理計画を一致<2>130/85mmHg未満を軸とした厳格な降圧目標を設定<3>高齢者は140/90mmHg未満を最終目標とする<4>24時間にわたる血圧管理、家庭血圧を重要視<5>第1選択薬はCa拮抗薬、ARB、ACE阻害薬、利尿薬、β遮断薬の5剤<6>臓器障害や他疾患を合併する高血圧(脳血管障害、心疾患、CKD、メタボリックシンドローム)の重要性を強調-が大きな特徴となっている。 昨年8月から改訂作業に着手し、プライマリケア医が用いることを想定し、“プラクティカル”でありながら、国内外の最新エビデンスを盛り込み、“アカデミック”なGLを目指した。 高齢者血圧の最終目標140/90mmHg未満目指して積極的な降圧を推奨
診断基準については従来から大きな変更はなく、診察室血圧値140/90mmHg以上、家庭血圧値では135/85mmHg以上。自由行動下血圧値は、従来の135/80mmHg以上から130/80mmHg以上に改めた。 降圧目標は、若年・中年者で130/85mmHg未満、糖尿病やCKD、心筋梗塞合併例では130/80mmHg未満、脳血管障害患者では140/90mmHg未満とし、厳格な降圧を求めた。 議論となっていた高齢者の降圧目標は、最終目標140/90mmHg未満とした。 日本人の高齢者を対象に行われた大規模臨床試験「JATOS」や「CASE-J」のサブ解析、80歳以上の高血圧患者を対象にした「HYVET」試験の結果などにより、収縮期血圧140/90mmHg未満に下げることの意義が裏付けられたと判断。従来指摘されていた血圧が下がるほど心血管イベントが増加する“J型現象”も見られなかったことから、時間をかけた“緩徐な降圧”を行うとともに、高齢者でも積極的な降圧を促すこととなった。 リスクに応じた治療方針の確立求める
治療に際しては、血圧値だけでなく、心血管イベントの危険因子に留意して治療方針を決定する。JSH2009案の脳心血管リスク分類では、血圧値と危険因子の数を掛け合わせ、「付加リスクなし」「低リスク」「中等リスク」「高リスク」の4段階で示した。 血圧値は、「正常高値(130-139/85-89mmHg)」を新たに加えた4カテゴリ-。血圧以外のリスク要因は、危険因子の数により3層に分類した。 血圧値だけでは、治療の対象とならない正常高値であっても、リスク第二層(糖尿病以外の1-2個の危険因子、メタボがある)であれば「中等リスク」、リスク第三層(糖尿病、CKD、臓器障害/心血管病、3個以上の危険因子のいずれかがある)であれば「高リスク」に位置付けた。そのため、糖尿病やCKD、心筋梗塞合併例では130/80mmHg以上の症例が治療対象となる。 第1選択薬はβ遮断薬含めた5剤
治療方針は、I度高血圧(140-150/90-99mmHg)で、ほかに危険因子のない“低リスク”症例では、一定期間(3カ月以内)の生活習慣の改善を求めた。 リスク因子をもつ正常高値症例や、リスク因子のないII度高血圧(160-179/100-109mmHg)である“中等リスク”症例では、生活習慣の改善を1カ月以内行うとした。いずれの場合も降圧目標に至らないケースでは降圧薬療法を行うことを推奨する。 一方、III度高血圧(≧180/≧110mmHg)など“高リスク”症例には直ちに(数日以内)降圧薬治療を開始するとした。 降圧薬の選択について、脳・心血管疾患の発症予防効果は「降圧薬の種類によらず、降圧度の大きさに比例する」と明記し、降圧の重要性を強調した。 第1選択薬は、Ca拮抗薬、ARB、ACE阻害薬、利尿薬、β遮断薬の5剤。α遮断薬は、効果を十分に示したエビデンスがないことなどから、第1選択薬から外れた。 また、β遮断薬は合併症のない高齢者や糖脂質代謝異常合併例には第1選択薬としないことも明記された。 単剤療法では降圧目標を達成できる頻度が高くないことから、併用療法を視野に入れることも重要になる。 JSH2009案では、これまでに行われた「LIFE」や「VALUE」などの大規模臨床試験から「RA系阻害薬(ARBあるいはACE阻害薬)+Ca拮抗薬」「RA系阻害薬+利尿薬」「Ca拮抗薬+利尿薬」「Ca拮抗薬+β遮断薬」を推奨した。 優位性を示すエビデンスがなく、インスリン抵抗性を増すことが指摘されていた「β遮断薬+利尿薬」は推奨から外れた。 そのほか、併用療法の処方を単純化した「合剤」については、服薬アドヒーランスの改善などに有用とし、位置付けを明確にした。
Copyright (C) 2007 株式会社じほう |
|
Comment(0) | Trackback(0)|最新医療ガイドライン|
trackback: http://www.fujishinkyu-seikotsuin.com/blog/archive_1450.htm
コメント