-WebMDの専門ニュースサービスHeartwireより- 【4月10日】低比重リポ蛋白(LDL)コレステロール高値と高血圧を合併した糖尿病患者においては、LDLコレステロール値および血圧を正常値未満に低下させることによって、アテローム性動脈硬化が退縮するようであり、このような退縮は、LDLコレステロール値および収縮期血圧を標準的目標値に低下させた患者においてはみられないという「Stop Atherosclerosis in Native Diabetics(SANDS)」研究の結果が発表された[1]。
この結果は、『Journal of the American Medical Association』2008年4月9日号に掲載され、Medstar Research Institute(メリーランド州ハイアッツビル)のBarbara V Howard博士および共同研究者らは、代替エンドポイント(この場合は、頸動脈内膜中膜厚(IMT)の変化)の使用は、確固とした臨床イベントの代替にはならないが、この知見は、糖尿病患者においては、2方面からの積極的治療が特に有効な可能性があるということを裏付けていると指摘している。重要なことは、心血管イベントの既往のない患者において、これらの変化が認められたことである。 この研究は、2型糖尿病、高血圧、脂質異常症を合併したアメリカインディアン男性女性だけを対象として実施した。Howard博士によれば、LDLコレステロール値および血圧の目標値は、この集団に妥当であることが確認されており、頸動脈IMTおよび心エコー検査は、この集団における今後のイベントを予測することが証明されているので、この集団を選択した。「また、糖尿病のアメリカインディアンは、典型的2型糖尿病集団であることから、この集団を対象とした研究はきわめて重要であることが長年かけて判明した。これらの患者については、罹患期間がより長いので、より詳しい情報が得られている」と、同博士は述べた。「米国中に蔓延しているので、我々が学んだことは非常に貴重な情報である」。 低い方がよい 標準的目標値(LDLコレステロール100mg/dL以下、収縮期血圧(SBP)130mmHg以下)を達成するための薬物療法、または積極的目標値(LDLコレステロール70mg/dL以下、SBP115mmHg以下)を達成するための薬物療法に患者を無作為に割り付けた。 両群とも、12カ月にわたって、それぞれのLDLコレステロールおよびSBPの目標値を達成し、両群とも同様に心血管イベント発生率は低かったが、積極的目標値を達成した患者だけにアテローム性動脈硬化の退縮(IMT測定による)が認められた、とHoward博士らは報告している。同様に、積極的目標値を達成した患者では、左室(LV)重量のより大きな減少(心エコー検査で測定)が認められた。 治療目標値による変化 エンドポイント | 積極的 | 標準的 | p値 | アテローム性動脈硬化の変化 (mm) | –0.012 | +0.038 | < 0.001 | 左室重量(g/mm2.7) | –2.4 | –1.2 | 0.03 | 重篤な有害事象(%) | 38.5 | 26.7 | 0.005 | 重篤な有害事象(%)* | 0.2 | 0.004 | 0.18 |
*重篤な有害事象は、降圧薬だけに関連し、高脂血症治療薬には関連していない。
Howard博士によれば、他の研究が示しているように、アテローム性動脈硬化の変化は、LDLコレステロールの低下に関連しているようであり、LV重量はSBP低下に応じて変化する。 「副次解析において、IMTの減少は、主としてLDLコレステロールの低下によることが判明した。それを証明するのは困難であるが、我々が設定したモデルから、LDLコレステロールの低下によって、アテローム性動脈硬化の退縮が促進されているようであった。血圧の変化は主として心肥大軽減に関与していた」。 この研究結果は、糖尿病患者のLDLコレステロールおよびSBPの目標値をさらに低下させることによって、より大きな効果が得られることを示唆しているが、臨床イベント発生数は標準的目標値を達成した患者でもごく少数に過ぎなかった、とHoward博士は強調している。「大部分の糖尿病患者は標準的目標値を達成しないが、この目標値を達成するだけでも非常に有効であるということを我々の研究は示唆しているが、頸動脈および心機能の改善によってイベント発生率が低下するということを確認するために、さらに多くの患者を対象として、さらに長期間検討する必要がある」と、同博士は述べた。「キーポイントは、費用便益比であろう。実際に、標準的目標値を達成することによってそのような低いイベント発生率を維持できれば、標準的目標値達成で十分であろう。言い換えれば、両方の主要リスク因子をコントロールできれば、さらに低い目標値を達成することは、労力と資金を費やすだけの価値があるのか。また、リスクを冒すだけの価値があるのか」。 SANDS研究において、薬物療法による有害事象の発生率は、積極的治療群の方が高かったが、重篤な有害事象の発生率には差は認められなかった。「一部の副作用は、時間とともにより大きな問題となるか否かをあらかじめ知ることができない」と、同博士はheartwireに語った。 本研究は、米国立心臓・肺・血液研究所(NHLBI)および米国立衛生研究所(NIH)の助成を受けた。First Horizon Pharmacy社(商品名Triglide)、Merck社(商品名Cozaar/Hyzaar)、Pfizer社(商品名Lipitor)は、薬剤を提供した。著者の中には、資金提供を受けているもの、Merck社、Shering-Plough社、Egg Nutrition Council社、General Mills社、Pfizer社、Bristol-Meyers Squibb社、AstraZeneca社、Kos社、Reliant社、Daiichi Sankyo社、Bayhill Therapeutics社、Boehringer Ingelheim社、NovoNordisk社、Takeda社、Veralight社、Amylin社、Eli Lilly社、GlaxoSmith Kline社、Lifescan社、sanofi aventis社、Tethys Bioscience社、Johnson & Johnson社、Abbott社、Merck Sharp & Dohme社、Novartis社との財政上の利害関係に関する情報を明らかにしているものもいる。残りの著者は、資金に関する情報を明らかにしていない。 1. Howard BV, Roman MJ, Devereux RB, et al. Effect of lower targets for blood pressure and LDL cholesterol on atherosclerosis in diabetes: The SANDS randomized trial. JAMA. 2008;299:1678-1689. Heartwire(WebMDの専門ニュースサービス)の全文は、www.theheart.org(心血管領域の医療専門家向けウェブサイト)で閲覧できる。 |