2008/8/19 がんのリスク・マネジメント:(10)食事関連要因とがん:国際的評価の現状 毎日jpより転載
がんのリスク・マネジメント:(10)食事関連要因とがん:国際的評価の現状
2008年8月19日 毎日らいふ
がんが遺伝子の病気であることはよく知られていますが、それを「がんは遺伝する」と読み違えている人がまだ大勢います。そうではなく、ほとんどのがんは、細胞の遺伝子が傷ついて修復されずに悪性化することで起こる病気であり、その原因の多くは生活習慣によるものだと考えられます。
生活習慣のうち、喫煙習慣と並ぶ二大要因が食習慣です。そうは言っても、食事そのものが悪いというわけではありません。ただ1人1人の飲食の繰り返しによる微細な影響の積み重ねがいくつもあり、それを合計するとかなり大きくなることが予想されるのです。
米国ハーバード大学のがん予防センターは、主にヒトを対象とした疫学研究論文(=エビデンス)を総括して、米国人のがん死亡において食事要因が寄与する割合、すなわち、成人期の食習慣や肥満、そして運動不足の改善により、がんの35%が予防可能であると推計しています。日本人では食事内容や体形などの背景が異なりますが、がんの発生に食習慣が深くかかわっていることには違いがないと思われます。
食習慣とがんの関連は把握が難しく、あやふやな情報が先走りしがちです。世界的な機関のいくつかでは、専門家とエビデンスを中心とした科学的根拠を集めて1つ1つの関連を討議し、それぞれ4段階で評価するなどの方法で結果をまとめ、がん予防のための指針を示しています。
これまでに、世界保健機関(WHO)と食糧農業機関(FAO)の合同報告書(2003年)と、世界がん研究基金(WCRF)と米国がん研究協会(AICR)の合同報告書(2007年改訂、図)があり、その2つが、世界的に現状でもっとも信頼のおけるものとなっています。
WCRF/AICRの改訂報告書では新しいエビデンスを含めより細かな評価が行われ、次のような指針が示されています。(1)肥満度について:正常な体重の範囲でできるだけやせる、(2)身体活動について:日常生活の中で活動的になる、(3)体重を増やす飲食物について:高カロリー食品や甘い飲み物を制限する、(4)植物性の食事について:植物からできた食品を中心にとる、(5)動物性の食事について:赤身肉(牛、豚、羊などの肉)を制限し、加工肉(ソーセージ、サラミ、ベーコン、ハムなど)を避ける、(6)アルコール飲料について:飲酒を制限する、(7)保存・加工・調理について:塩を制限し、カビのはえた穀物や豆類を避ける、(8)サプリメントについて:食事だけで必要な栄養が取れるようにする。
また、特定の人に向けて、次の2項目の指針を示しています。(1)授乳期の女性に:母は授乳し、子には母乳を飲ませる、(2)がんになった人に:がん予防のための食生活のアドバイスに従う。
もっとも、そこに用いられているエビデンスのほとんどが、欧米先進国で行われた研究の結果です。日本を含むアジア地域のエビデンスは手薄でしたが、1990年前後よりコホート研究を含む数万〜十数万人規模の研究が複数実施され、近年、それらの成果として日本人におけるエビデンスが数多く報告されるようになりました。
次回から、飲食関連の習慣、肥満、身体活動度とがんとの関係について、日本人のエビデンスを中心とする科学的根拠の現状などを紹介します。
◇津金 昌一郎(つがね・しょういちろう)
国立がんセンターがん予防・検診研究センターの予防研究部長。1981年慶應義塾大学医学部卒業、85年同大学大学院修了(医学博士)、03年から現職。主な研究分野はがんの疫学研究で、人集団を対象に、様々な要因と病気の関係を検証しながら予防法を探っている。「多目的コホート研究」という大規模長期追跡調査や、国内の研究を要約・評価して確かな予防法を提示する「生活習慣改善によるがん予防法の開発に関する研究」などの研究班を率いる。「がんになる人ならない人」(講談社ブルーバックス)などの著書がある。
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ドクター ご紹介 - http://kanja.ds-pharma.jp/health/yotsu/doctor/078/index.htmlから転載







腰痛の発生頻度や原因について教えてください。
上半身の重さは体重の約70%といわれています。その重さを支えているのが腰椎です。腰椎には椎体という骨の部分と椎間板という骨と骨の間に入っている部分があります。椎体は機械的な負荷により変形が進行し、また骨粗鬆症の進行とともに脆くなっていきます。椎間板も年齢とともに変性していきます。驚くことにこの変性は10歳の子供たちのすでに9%に起こっていると報告されています。治療を要する腰痛の発生頻度の調査では20歳代以上の年齢層ではほぼ同じくらい(40〜65%)で発生していることが報告されています。このような背景から近年、腰痛はもっとも有訴率が高い疾患になっています。大半の腰痛は数日間で治りますが、臀部痛や下肢痛を伴う腰痛は専門的な治療が必要になる場合も多いので注意しましょう。





