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2008/5/13 アレルギーと自殺傾向との関連の可能性が研究で明らかに m3.comより転載

アレルギーと自殺傾向との関連の可能性が研究で明らかに


提供:Medscape

疾患合併の調査データから、喘息および皮膚炎との関連に類似すると思われる相関が認められる
Kathryn Foxhall


【5月6日】(ワシントン DC)地域住民を対象にした精神衛生に関する大規模研究の解析において、アレルギーと自殺傾向との関連が示唆された。
研究者らはNational Comorbidity Survey Replication(NCS-R)のデータを用いて、アレルギーと自殺念慮歴、およびアレルギーと自殺企図歴の間に、有意な関連があることを示した。この関連はうつ病について調整した後も有意性を失わなかった。
「これは喘息および皮膚炎と、自殺念慮および自殺企図との間に有意な関連があることを示した以前の研究結果に類似する」と、共著者であるジョージア医科大学(オーガスタ)のStephen Welch, MDをはじめとする研究者らは述べている。
その報告は米国精神医学会第161回年次総会(ワシントン DC)で発表された。

アレルギーと自殺念慮の病歴
 
米国立精神衛生研究所が資金を提供した本研究は、英語を話す18歳以上の米国内の世帯居住者9882名からなる全国代表標本であるNCS-Rの2001年から2004年までのデータを使用した。
コア診断評価からなる第1部の調査は全回答者を対象として実施され、第2部は第1部の疾患に関する生涯基準を満たした患者と、他の回答者の確率標本を対象として実施された。
年齢、性別、人種、およびうつ病の病歴を含む交絡因子について調整した後、ロジスティック回帰モデルを用いて調整オッズ比と95%信頼区間を計算した。
結果はアレルギーと自殺念慮の病歴の間に有意な正の相関があることを示し、調整オッズ比は1.37(95% CI、1.13 - 1.65)であったと著者らは述べている。うつ病について調整した後のオッズ比は1.27(95% CI、1.04 - 1.54)であった。
自殺企図の病歴との相関はさらに強く、調整オッズ比は1.40(1.07 - 1.84)であり、うつ病について調整した後は1.32(1.003 - 1.74)に低下した。
研究者らは関連についていくつかの種類の仮説を立てたとWelch博士はMedscape Psychiatryに語った。「これは単なる生活の質の問題なのか?性格に関係するものなのか?それとも背後に生化学的基盤が存在するのか?」と博士は述べた。
論文によると、以前の研究で単に性格特性によって一部の人々はうつ病およびアレルギーの両方を報告する可能性が高くなるのかどうか検討したところ、相関は認められなかった。免疫グロブリンE(IgE)レベルの上昇との関連の可能性を検討した研究でも、同様に相関は見出されなかったと、著者らは述べている。
「最も有望な研究は体内のサイトカイン活性の上昇に関するもののように思われる」とWelch博士は述べた。その研究ではうつ病との関係の可能性を調べている。他の研究では自殺者の脳内のサイトカインレベルの上昇が認められている。

今後の研究
 
Welch博士は学会で報告したアレルギーと自殺傾向の関連について現在、次のように述べている:「それは強い相関ではないため、臨床的意義がそう大きいわけではないだろう。例えば自殺傾向のみられる患者を救急治療室で診察する際にアレルギーのスクリーニングを行う必要があるのか、などとは考えなくて良いと思われる。」。
「うつ病の病歴や過去の自殺企図の病歴のように、有意水準のはるかに高い、より重要なリスクファクターが存在する」と博士は説明した。
しかし、もし研究において、状況に影響を及ぼす可能性のある変数の数を制限するために、例えば性別、年齢、人種および既往歴が同じ群のような均質集団を調査することが可能であれば、「何が起きているのかについてもっと多くの洞察を得ることができ、どうすればこれを効果的に治療できるかについて取り組む手始めになるだろうと期待される」。
今後の研究で検討すべき問題には、喘息を含む他の疾患についてデータを調整した場合に、関連が有意性を失わないかどうかが含まれると、Welch博士は述べた。
さらに、症状の重症度を追跡調査する経時的研究によって更なる支持が得られる可能性があると博士は述べた。「もしアレルギー症状が増大するにつれて自殺念慮の強さや自殺企図の回数が増大するなら、アレルギーが自殺傾向を引き起こすという証拠になるだろう」と、Welch博士は付け加えた。
ある研究では樹木の花粉の飛散ピークがある種の自殺企図と相関することが実際に認められていることに博士は言及した。もし自殺企図が喘息およびアレルギー症状の治療に伴って減少するなら、「今回の知見をさらに支持するものになるだろう」と博士は付け加えた。
博士のグループの今後の研究では喘息および他のいくつかの第I軸の障害について調整した上でデータを検討することになるだろうと、博士は述べた。

本研究は米国立精神衛生研究所による支援を受けた。

American Psychiatric Association 161st Annual Meeting: Abstract NR2-030. Presented May 5, 2008.

Medscape Medical News 2008. (C) 2008 Medscape

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2008/5/13 出産後2年以内の乳癌は予後不良に関連 m3.comより転載

出産後2年以内の乳癌は予後不良に関連 


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最終の妊娠から2年(または出産後2潤オ4年)以内に乳癌を発症した女性では予後不良である割合が高いことが研究で示される
Laurie Barclay


【5月7日】最終の妊娠から2年(または出産後2潤オ4年)以内に乳癌を発症した女性では予後不良である割合が高いという研究結果が『Obstetrics & Gynecology』に報告されている。
「最近の研究から、乳癌診断直前の出産には、癌細胞または前癌細胞に対する増殖促進作用があるとみられ、診断時の進行度が高く、生存率が低いことが示唆されているとダルハウジー大学(カナダノバスコシア州ハリファックス)のLinda Dodds, PhDらは記述している。「州規模の周産期データベースと州の癌登録を利用して、われわれは出産から診断までの期間が診断時の癌の進行度と乳癌診断後の生存に及ぼす影響を評価することができた」
カナダノバスコシア州の周産期データベースから1980年潤オ2001年の間に同州で出産した女性が特定された。Nova Scotia Cancer Registryと関連付けることによって、年齢50歳未満の女性における原発性乳癌の診断が確認された。相対リスクおよびCox比例ハザード比を用いて、出産からの期間および他の妊娠要因と、乳癌の診断、診断時の癌の進行度、診断後の生存期間との関連が検討された。
研究対象期間中に出産した女性123,323例のうち、716例が浸潤性乳癌と診断された。最後の出産から5年以内に乳癌と診断された女性では、最後の出産から5年以上後に乳癌と診断された女性と比べてより進行している割合が高く、癌のステージについての調整後でも生存期間が短かった(2年未満、調整ハザード比[HR], 2.1; 95% 信頼区間 [CI], 1.2 - 3.9; 2 – 4年, HR, 1.6; 95% CI, 0.9 - 2.8)。
「出産から診断までの期間が2年未満の女性では、出産から診断までの期間が5年以上の女性と比べて、13例につき1例の割合で、死亡例が多い」と本研究の著者らは記述している。「2年未満(および2潤オ4年)という出産から乳癌診断までの期間では、用量反応的に予後が悪化する。臨床医は、出産から5年以内の女性を診察する際にこの知見に留意すべきである」
本研究の制限は、授乳が診断の妨げとなったり、診断が遅れたりした可能性があること、癌の進行度やグレードが制限された結果である可能性がある。
本研究は、Canadian Institutes of Health Researchの支援を受けた。著者のうち2名は、ダルハウジー大学およびCanadian Institutes of Health Researchとの各種金銭的関係を公表している。他の著者の情報公開によれば、関連する金銭的関係はないという。
Obstet Gynecol. 2008;111:1167-1173.

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2008/5/13 健常被験者の動脈硬化に骨密度低下が関連 m3.comより転載

健常被験者の動脈硬化に骨密度低下が関連 


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骨密度低下のみられる被験者では、加齢とともに脈波増大係数が増大する。
Jacquelyn K. Beals


【ワシントンDC 5月2日】健常被験者の骨密度(BMD)低下と動脈の弾性低下に相関がみられることを示した新規の研究の結果が、ワシントンDCで開催された米老年医学会(AGS)年次学術集会で発表された。この研究では、低BMDの被験者では末梢血中の内皮前駆細胞(EPC)が少ないことも明らかにされた。この知見は、BMDが血管機能の指標となり得ることを示すものである。
この研究には平均年齢48歳の健常被験者61例(男性34例、女性27例)を組み入れ、全被験者の大腿骨頚部のBMD(f-BMD)と大腿骨大転子のBMD(t-BMD)を評価した。さらに、末梢血を採取して、CD34陽性細胞とCD34陽性VEGF陽性細胞の細胞数を計数した。
筆頭著者であるジョン・ホプキンズ大学医学部(メリーランド州ボルティモア)のFrank E. Corrigan III氏が、エモリー大学医学部循環器科(ジョージア州アトランタ)で実施した今回の研究についてMedscape Internal Medicineに語っている。
「CD34陽性細胞は前駆細胞であり、その集団には種々の割合でEPCが含まれている。CD34陽性VEGF陽性細胞はEPCと考えられるため、CD34陽性VEGF陽性細胞を計数すれば、実際にEPCを計数したことになる」。
EPCは循環血液によって集められ、内皮を修復すると考えられている。アテローム性動脈硬化が始まると内皮が傷害され、内皮が傷害されると動脈硬化が亢進する可能性がある。血液が動脈の分岐部に当たると血液の「波」が反射するが、この反射波の大きさが、弾性または剛性の指標である脈波増大計数(arterial augmentation index; AIx)となる。高AIxは動脈硬化を示す。
統計解析により、f-BMDがCD34陽性細胞数と正相関し(r=0.321、P=0.022)、t-BMDがAIx(r=-0.311、P=0.020)と逆相関することが明らかとなった。これらの結果から、骨密度が高いと前駆細胞数が多く、動脈の弾性が高いことが示唆される。Corrigan氏は次のようにコメントしている。「[研究発表で]私が提示した図表のひとつはフラミンガム・リスクスコアを示したものであるが、EPCの多い人ではフラミンガム・リスクが低かった。これはいわば、『今起きていること』を示す一種の症例提示(clinical vignette)である」。
また、低BMD(t-スコア<1)の被験者の前駆細胞数が正常BMDの被験者よりも有意に少なく(CD34陽性細胞数2.1±0.9 vs 2.7±1.0個/μL[P=0.040])、低BMDの被験者と正常BMDの被験者のCD34陽性細胞集団に占めるCD34陽性VEGF陽性細胞の割合が各々41.7%±26.1% vs 55.8%±22.4%(P=0.042)であることもデータから明らかにされた。
このデータから、低BMDの被験者ではEPC低値と高度動脈硬化とが関連していることが示唆される。低BMDの被験者では、加齢とともにAIxの増大も認められた。この関連性は正常BMDの被験者では認められなかった。
「この2つが加齢とともに共変することを私は危惧している」と、この学術集会の進行役を務めたGeorge E. Taffet, MDはMedscape Internal Medicineに語っている。「というのも、骨密度は加齢とともに低下し、動脈硬化は加齢とともに亢進するため、一般的な原因がない場合でも、高齢者ではこの2つが共存するからである」。Taffet博士はベイラー医科大学内科(テキサス州ヒューストン)の老年セクションおよび心血管科学セクションの准教授である。
しかし、Taffet博士は次のように付け加えている。「私が考えている可能性のひとつは、サイトカインが骨粗鬆症を引き起こすと同時に、アテローム性動脈硬化症も亢進させるということである。したがって、この2つが関連性を示しても驚くにはあたらないと考えられる」。
さらに多くの研究を実施する必要性があることをCorrigan氏は認めている。「同じことが骨内で起こっていることを示す意味で、骨芽細胞と破骨細胞の分化のほか、動脈内カルシウムの調整が実際に行われていることを、動物研究で示す必要があると思われる。このことは一部の研究では示されているが、あまり多くのことは分かっていない。このほか、この研究の被験者はわずか61例であった。現在、さらに多くの被験者を募集中であるため、多数の被験者が集まったあかつきにはもっと明確な回答ができることを望んでいる」。

Corrigan氏もTaffet博士も、関連する金銭的関係がないことを公表している。

American Geriatrics Society 2008 Annual Meeting: Abstract P12. Presented May 1, 2008

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2008/5/8 潜在性甲状腺機能低下症は女性の冠動脈性心疾患死を増加させる m3.comより転載

潜在性甲状腺機能低下症は女性の冠動脈性心疾患死を増加させる


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潜在性甲状腺機能低下症の女性は甲状腺機能が正常な女性より冠動脈性心疾患による死のリスクが高いことが新規研究で示された
Lisa Nainggolan


【5月1日】潜在性甲状腺機能低下症の女性は甲状腺機能が正常な女性より冠動脈性心疾患(CHD)による死亡のリスクが高いことが新規研究で示されている [1]。しかし、こうした関連性は男性では認められなかったとノルウェー科学技術大学(Norwegian University of Science and Technology)(トロンヘイム)のBjorn O 遵ァsvold博士らは『Archives of Internal Medicine』2008年4月28日号に掲載された論文で述べている。
「我々の研究で男性において知見が得られなかったのは単に偶然によるものか、あるいは本当に男女に生物学的差異があるのかはわからない。この研究からは何とも言えない」と遵ァsvold博士はheartwireに話している。なぜなら、この試験には25,000例以上の人が参加していたものの、一般集団を対象としたコホート研究では冠動脈死はわずか400例ほどであったためであると遵ァsvold博士は述べている。「このような解析では、症例数は統計的検出力にとって不可欠である」
また、遵ァsvold博士は次のように述べている。「この研究からはCHD予防のために軽微な甲状腺機能低下症を [チロキシンで] 治療することは推奨されないと思う。我々にはそのことは言えない」遵ァsvold博士はさらに研究が必要であろうと述べ、彼の研究チームはCHD死ではなく心筋梗塞(MI)の発生率を主要評価項目として、潜在性甲状腺機能低下症に関する別の研究を計画していると話している。

甲状腺刺激ホルモン(TSH)値の高い女性では死亡が40-60%増加
 
顕性甲状腺機能低下症を有する人はCHDのリスクが高いことが以前より知られていると遵ァsvold博士は説明している。明らかでないのは、潜在性甲状腺機能低下症(TSH値が高いものの無症状であるのが特徴)とCHDとの関係の有無であると遵ァsvold博士は述べている。一部の横断的研究および前向き研究ではこの問題が取り扱われているが、結果に一貫性は認められていないと遵ァsvold博士は話している。
遵ァsvold博士らの研究では、Norwegian Nord-Tr遵kndelag Health Study(HUNT)の被験者を対象に、TSH値と致死的CHDとの関連性が前向きに検討された。被験者はベースライン時点(1995-1997年)で甲状腺疾患、心血管疾患、糖尿病のいずれも確認されていない者であり、その内訳は女性17,311例および男性8,002例であった。また、ノルウェー人は一般に十分にヨウ素を摂取していると考えられていると遵ァsvold博士らは記している。
中央値8.3年の追跡調査期間に、女性228例、男性182例がCHDにより死亡した。このうち女性192例、男性164例はTSH値が正常な臨床基準範囲(0.50-3.5mIU/L)以内であった。
TSHが中程度上昇(1.14-2.52mIU/L)ないし高程度上昇(2.5-3.5 mIU/L)の女性は、TSH値が正常範囲低値(0.50-1.4 mIU/L)の女性と比較して、CHD死に関するハザード比が1.41および1.69であった。こうした傾向は女性では統計学的に有意であった(p=0.005)が、男性では有意ではなかった。
同研究者らは、TSHがCHD死亡率に影響を及ぼす機序はわからないと述べている。血圧および血清脂質について補正すると効果に多少の低減が認められたことから、TSH値の効果には、少なくとも部分的に、これらの因子が介在している可能性があることが示唆される。

さらに研究が必要
 
「これらの結果から、比較的低いものの臨床的に正常な甲状腺機能は致死的CHDのリスクを上昇させる可能性があることが示されている」と同研究者らは述べている。そして、彼らが知る限り、サイロキシン補充がCHDを予防し得るかどうかを検討した臨床試験はないと付け加えている。
遵ァsvold博士は次のように結論している。「甲状腺機能はCHDにとって重要であり、比較的正常な範囲内の差でも違いを生じる可能性があると考えられる。これは確かに、チロキシン治療が有効かどうかを検討するためにさらに研究を行うことを後押しするものであるが、我々の研究結果はそのことを裏付けているわけではない」

この研究はノルウェー科学技術大学(Norwegian University of Science and Technology)、Central Norway Regional Health Authorityの援助を受けている。この研究の著者のうち2名は資金提供を受けている。他の著者らは関連する金銭的関係がないことを開示している。

出典
・遵ァsvold BO, Bjoro T, Nilsen TIL, et al. Thyrotropin levels and risk of fatal coronary heart disease. The HUNT study. Arch Intern Med. 2008;168:855-860.

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2008/5/7 乳幼児の喘鳴の診断法についてのまとめ m3,comより転載

乳幼児の喘鳴の診断法についてのまとめ 


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臨床上の疑いに基づいて的を絞った診察と診断的検査を開始することが、乳幼児の喘鳴の原因特定に有用であるとの総説。
Laurie Barclay
Medscape Medical News


【4月25日】乳幼児の喘鳴の原因を特定するには、臨床的疑いに基づいて的を絞った診察と診断検査が有用であるという総説が『American Family Physician』4月15日号に発表された。
「乳幼児の喘鳴はプライマリケアの診療でよく見られる問題のひとつである」とノースイースタン・オハイオ大学医学薬学部、Forum Health家庭医学センター(ヤングスタウン)のLisa Noble Weiss, MD, MEdが記している。「乳幼児の40%が3歳までに喘鳴の発症エピソードを持ち、6歳までに1回でも喘鳴を発症する乳幼児はほぼ半数に及ぶ。再発性の喘鳴を繰り返すのは喘息の場合がもっとも多いが、その他の原因についても鑑別診断で考慮する必要がある。」
小児の喘鳴に多い原因は、喘息や気道過敏症の他に、アレルギー、感染症、胃食道逆流症(GERD)、閉塞性睡眠時無呼吸などがある。具体的な感染症としては、細気管支炎、気管支炎、肺炎、上気道感染症などがある。
それよりは少ないが気管支肺異形成、異物吸引、嚢胞性線維症も喘鳴の原因になる。その他に稀な原因として、閉塞性細気管支炎、先天性の血管奇形や気管気管支奇形、うっ血性心不全、嚢胞性線維症、免疫不全疾患、縦隔腫瘤、原発性線毛機能不全症、腫瘍・悪性新生物、声帯機能不全などがある。
病歴上での手がかりには家族歴、発症年齢、喘鳴のパターン、季節性の増悪、突然の発症などがあり、これらは診断に役立つ。摂食、咳、気道疾患、体位変化に伴って喘鳴が起きることも手がかりになる。
病歴に基づいて疑われる臨床診断について、的を絞った診察と診断的検査を開始すべきであり、診察所見や検査結果も有用な情報になるはずである。喘鳴が繰り返し起きるか予期せぬ喘鳴の発症エピソードが1回あり、気管支拡張薬に反応しない小児には胸部レントゲンが適応となる。病歴や身体所見に基づき喘息が疑われる場合には、診断的肺機能検査を行うべきである。
臨床実践への各推奨(エビデンスの強さはすべてC)は以下の通りである。
・5歳未満の小児における再発性喘鳴の原因としては喘息の可能性がもっとも高い。
・年少小児における喘鳴の原因としてもっとも多いのは、喘息、アレルギー、GERD、感染症、閉塞性睡眠時無呼吸である。
・気管支拡張薬に対する反応性が、喘息とその他の喘鳴の原因との鑑別に役立つ。
・喘鳴が繰り返し起きる、または気管支拡張薬に反応しない喘鳴の発症エピソードが予期せず1回ある場合には、胸部レントゲンを実施すべきである。
喘鳴とともに見られる兆候と症状が、診断を推定する重要な手がかりになる。摂食、咳、嘔吐に伴う喘鳴はGERDを示唆するため、24時間pHモニタリングやバリウム検査による評価を行う。
体位の変化に伴って現われる喘鳴は、気管軟化症または大血管異常である場合があり、血管造影、気管支鏡、胸部レントゲン、コンピュータ断層撮影(CT)、磁気共鳴断層撮影(MRI)、心エコーなどの診断的検査を、場合によってはそれらを組み合わせて実施する必要がある。
聴診でのクラックルや発熱がある場合は肺炎の診断が考えられ、胸部レントゲンで確定できる。
喘鳴と咳が発作的に発症するパターン、気管支拡張薬治療への反応がよいことが喘息の目印になる。アトピー性誘発物質はアレルギー検査で判り、肺機能検査が診断に有用である。アルブテロールの治療的試用で喘息が確認できる場合もある。
頸部を屈曲すると喘鳴が増悪し、過伸展させると消失する場合は、血管輪の診断が予測される。この診断は血管造影、バリウム検査、気管支鏡、胸部レントゲン、CT、MRIを用いて行う。
心雑音や心肥大または、呼吸困難に伴わないチアノーゼがある場合は、心疾患が疑われる。こうした臨床所見の他に、血管造影、胸部レントゲン、心エコーなどの診断的検査を単独または組み合わせて実施するのが適している。
複数回の気道疾患の履歴があり、成長が遅れ気味の小児の喘鳴は、嚢胞性線維症や免疫不全疾患が原因である場合がある。そうした場合には、線毛機能検査、免疫グロブリン値、汗クロール試験が適している。
喘鳴に季節性変化のパターンがあり、特に鼻孔拡大(nasal flaring)または肋間陥没が見られる場合には、細気管支炎(呼吸器合胞体ウイルス[RSV]によるものがもっとも多い)、クループ、アレルギーが原因として考えられる。胸部レントゲンが有用である。
喘鳴に流涎が伴う場合は、喉頭蓋炎の診断が考えられる。これは頸部レントゲンで確認できる。突然発症する喘鳴と息の詰まりは異物吸引を示しており、直ちに気管支鏡を実施すべきである。
「病歴や身体所見で喘息が疑われる場合は、臨床ガイドラインは肺機能検査を推奨している」とWeiss博士は記している。「8歳以上の小児では肺活量測定がもっとも正確であり、気道の閉塞と過敏性の検出が可能である。米国喘息教育予防プログラムの現行のガイドラインでは、5歳以上の小児に肺活量測定を推奨している。」
肺活量測定は3歳以上の小児でも用いることができるが、年少小児では標準値が確立されていない。
「メタコリン(Provocholine、Roche Laboratories社製)、冷気、運動による気管支負荷試験の結果の異常は、喘息を特異的に診断する強いエビデンスになるが、こうした検査は診断がはっきりしない症例でないかぎり一般的に不必要である」とWeiss博士は結論で述べている。「4歳以上の小児における治療有効性の判定には、診察室でのピークフロー検査が有用である。ピークフローはやり方次第で変化するが、気管支拡張薬の使用前後の努力呼出肺気量を比較し、患者の治療反応性の推移を見るには有用である。」

Weiss博士の開示情報によれば、関連する金銭的利害関係はない。
Am Fam Physician. 2008;77:1109-1114.

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2008/5/2 1つの主観的質問で昼間の眠気過剰をスクリーニング m3.comより転載

1つの主観的質問で昼間の眠気過剰をスクリーニング 


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ある1つの主観的質問が昼間の眠気過剰のスクリーニングに有用であり、睡眠医学を専門としない医師でも簡単に診療へ導入できることが示された。
Laurie Barclay


【4月24日】ある1つの主観的質問が日中の過剰な眠気をスクリーニングするのに有用であり、睡眠医学を専門としない医師でも簡単に診療へ導入できる、との研究結果が『Journal of Clinical Sleep Medicine』4月15日号に報告された。

「主観的質問を1つするだけで、日中の眠気過剰の有効なスクリーニング方法になる」とイリノイ大学医学部(ペオリア)のSarah Nath Zallek, MDらは書く。「普段の昼間に感じる眠気を評価して下さい(0点=なし、10点=最高)、という1項目の質問で、Epworth Sleepiness Scale(ESS)と同様に主観的眠気を評価できるどうか検討した」。

博士らは睡眠中央データベースから抜き出した被験者サンプルで、1項目の主観的質問と睡眠潜時反復検査(MSLT)で評価した客観的眠気の関係についても評価した。
2ヵ月間で303名の参加者が1項目質問、MSLT、ESSによる調査を受けた。受信者動作特性(ROC)曲線の作成にはGraphPad Prism(GraphPad Software社、カリフォルニア州サンディエゴ)を使用し、分割表はFisherの直接確率検定で作成した。
主観的眠気スコアのカットオフ点すべてにおいて、ESSと主観的眠気スコアとに有意な関連が認められた。しかしESSとMSLTではESSスコアが11、12、18点のときのみ有意な関連がみられた。主観的眠気スコアとMSLTの関連に関しては、睡眠時無呼吸がない被験者の場合、主観的眠気スコアが2、5、6、8点のときのみ有意となり、睡眠時無呼吸の被験者の場合は主観的眠気スコアが9点のときのみ有意となった。
さらに、主観的眠気スコアは「主観的に眠くない」人(ESS< 11;ROC曲線下面積 0.71;P < 0.0001)と「主観的に眠い」人(ESS ≥ 11)を区別することができた。
「SS [主観的眠気スコア] もESSもMSLTの代わりにはならない。MSLTは客観的眠気を測定するもので,適切なスクリーニング方法ではない」と著者らは書く。「SSスコアが2点未満ならESSスコアは正常、9点以上ならESSスコアは異常と確実に予測できる。ESSは睡眠を専門としない診療科では普通使わないので、睡眠障害のある患者のスクリーニングにはSSが役立つだろう」。
健康な被験者より眠気がありそうな被験者を対象としたこと、睡眠愁訴がない集団のデータが欠落していたこと、交絡の可能性があることがこの研究の限界とされた。

この研究に対して企業の後援はなかった。著者らは開示情報で金銭的利害関係はないと報告した。
J Clin Sleep Med. 2008;4:143-148.

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2008/5/2 癌生存者は運動量が少なく、肥満度が高い m3.comより転載

癌生存者は運動量が少なく、肥満度が高い 


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癌生存者は運動量が少なく肥満度が高いため、運動・食事指導が必要であることを示すカナダの研究結果
Zosia Chustecka


【4月25日】癌と診断されてもその人の生活行動様式は大きく変化しないようである。癌生存者には運動増進と健康体重維持を目的に、地域集団に基づく生活習慣の介入を行う必要があるという。
この見解は、カナダで実施された研究の結論である。この研究では、癌生存者の運動量が少なく、肥満度は高いことが示され、一般住民の結果とほとんど変わらないことが明らかになった。本研究は『Cancer』オンライン初版4月21日号と冊子版6月1日号に掲載される。
アルバータ大学(アルバータ州エドモントン、カナダ)に所属する「運動・癌」担当のカナダ・リサーチ・チェア(Canada Research Chair in Physical Activity and Cancer)である筆頭著者のKerry Courneya, PhDは、運動と食事の両面で癌患者の指導を行うべきであるとMedscape Oncologyに述べている。
「我々は実際に、大多数の癌専門医が運動や体重管理の指導を癌患者に行っていないことを示すいくつかの研究結果を得ている。我々はこういった患者指導を強く推奨する」とCourneya博士はコメントしている。「指導内容の構成については、一般的な効果(運動は体によいといった内容)よりも、患者にとって具体的な効果を重視するのがよいだろう。また、癌専門医が自分の患者を紹介できるような運動指導者がいれば、申し分ないであろう」。
 
重要なリスク因子として徐々に認識されつつある

肥満と運動不足は、癌生存者における転帰不良の重要なリスク因子として徐々に認識されつつある、と著者らは記している。本研究は、癌生存者と癌でない対照被験者の間でこの2つのリスク因子を比較した、最初のカナダ地域集団に基づくデータを提供している。このデータは2005 Canadian Community Health Surveyにより得られたもので、成人114,355例を対象にコンピュータを利用したインタビューが行われた。自己報告データであることが本研究の大きな限界のひとつである、と著者らは指摘している。
運動量が多い癌生存者は22%未満であり、18%以上が肥満(体格指数[BMI]:30 kg/m2以上)、別の34%が過体重(BMI:25-30 kg/m2)であった。これらの割合は、2つの最近の地域集団に基づく研究において、米国の癌生存者に関して報告された結果とほぼ同じである、と著者らはコメントしている。
 
さまざまな癌生存者群の相違点

カナダの癌生存者における運動量と肥満に関する割合は、3つの特定の患者集団を除き、一般住民とほぼ同じであった。
前立腺癌の生存者は運動量が多い傾向にあり、肥満は少なかった。実際のところ、前立腺癌の生存者は一般住民よりも運動量が有意に多かった、と著者らは指摘している。2003年のカナダの研究では、アンドロゲン枯渇療法を受けた前立腺癌の生存者において筋力トレーニング(レジスタンス・トレーニング)による筋力、倦怠感、生活の質(QOL)の有意な改善が認められているが(J Clin Oncol. 2003;21:1653-1659)、今回の行動傾向はこの結果の影響を受けたのではないかと著者らは推測している。
皮膚癌(黒色腫と非黒色腫皮膚癌)の生存者、特に男性は、運動量が多い傾向にあった。この結果は選択バイアスによるものである可能性を著者らは指摘している。最近の研究では、運動量の多い人は原発性皮膚癌の発現リスクが高いことが示されており、おそらく屋外活動でたくさんの日光に当たることが原因であると考えられている。したがって、皮膚癌の生存者は、癌診断前の(豊富な)運動量を維持したにすぎない可能性がある。
肥満の乳癌生存者は、癌の既往歴のない肥満女性よりも、運動が少ない傾向にあった。「肥満の乳癌生存者にとって運動は特に重要であると考えられることから、この知見は懸念材料である」と著者らはコメントしている。
さまざまな癌生存者群すべてのなかで、結腸直腸癌の患者が報告した運動量が最も少なかった。「最近の2つの研究において、本患者群は運動量が多いほど癌のコントロールが良好であることが示唆されており、今回の知見は特に懸念される」と著者らはコメントしている。

Courneya博士はCanada Research Chairs Program、カナダ国立癌研究所(National Cancer Institute of Canada, NCIC)の研究班補助金(Research Team Grant)による支援を受け、カナダ癌協会(Canadian Cancer Society, CCS)およびNCIC/CCS Sociobehavioral Cancer Research Networkから資金提供を受けた。
Cancer. Published online April 21, 2008.

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2008/5/1 抗精神病薬によって高齢者の肺炎リスクが上昇する可能性 m3.comより転載

抗精神病薬によって高齢者の肺炎リスクが上昇する可能性 


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ネスティッドケースコントロール分析で、抗精神病薬を服用する高齢患者では肺炎のリスクが高く、特に非定型抗精神病薬服用時に顕著であることが示される
Laurie Barclay


【4月23日】
抗精神病薬を服用する高齢患者では肺炎のリスクが高く、特に非定型抗精神病薬服用している場合に顕著であるというネスティッドケースコントロール分析の結果が『Journal of the American Geriatrics Society』4月号に報告されている。
「抗精神病薬は頻繁に処方されるにもかかわらず、特に高齢者においてしばしば重篤な有害事象を引き起こす」とユトレヒト大学医療センター(オランダ)のWilma Knol, MDらは記述している。「最近の研究で、非定型および定型抗精神病薬を使用する高齢者では死亡のリスクが高いことが示された。・・・2005年4月に、米国食品医薬品局(FDA)は、各種非定型抗精神病薬に関する17件のプラセボ対照臨床試験についてのメタアナリシスの結果に基づいて、高齢認知症患者の行動障害の治療における非定型抗精神病薬の使用に対する警告を発表した。
本研究の目的は、地域の薬局からの情報と退院記録を照合するPHARMOデータベースのデータを利用して、抗精神病薬の使用と高齢者における肺炎のリスクとの関連を検討することであった。
少なくとも1回抗精神病薬の処方を受けた高齢者22,944例からなるこのコホートにおいて、543例の肺炎による入院があった。各肺炎患者は、発症日を一致させ、無作為に選択した対照4例と比較された。発現日前の抗精神病薬の使用は、使用中、最近使用、過去に使用、使用なし(発現日から1年以内に抗精神病薬の処方がないと定義)のいずれかに分類された。
多変量ロジスティック解析から、抗精神病薬の使用と肺炎発症との関連の強さを決定することができた。
抗精神病薬使用中の場合、肺炎のリスクはおよそ60%上昇した(調整オッズ比[OR], 1.6; 95%信頼区間 [CI], 1.3 - 2.1)。リスクは抗精神病薬療法開始後1週間以内が最も高かった。認知症と診断されている高齢者を除外後も、同様の関連が認められた。
非定型抗精神病薬を使用中の患者では、定型抗精神病薬の投与を受けた患者と比較して肺炎のリスクが高かった(調整OR, 3.1; 95% CI, 1.9 - 5.1 vs OR, 1.5; 95% CI, 1.2 - 1.9)。明らかな用量・反応関係は認められなかった。
「高齢者における抗精神病薬の使用は、肺炎のリスク上昇に関連がある」と本研究の著者らは記述している。「このリスクは治療開始直後に最も高く、非定型抗精神病薬でリスク上昇が最も高かった」
本研究の制限としては、観察デザインであったこと、抗精神病薬療法の開始時にすでに存在していた肺炎を除外できなかったこと、精神科の診断、認知症の存在または抗精神病薬療法の対象となる基礎疾患に関するデータがなかったこと、肺炎の過小評価のため、偽陰性と誤って分類された可能性があること、医療記録を閲覧できなかったこと、投与に関する分類に誤りがある可能性があげられる。
「今回の結果から、肺炎の潜在的原因として抗精神病薬を見過ごしてはならないことが示唆される。根底にあるメカニズムはまだ推測の域であるが、臨床医は患者の嚥下障害および鎮静について観察する必要があるかもしれない」と著者らは結論する。「現時点では、高齢者において抗精神病薬療法を開始する前にリスクとベネフィットについて慎重に比較検討することが望ましい」

本解析のデータはPHARMOから提供された。本研究の著者らの情報公開によれば、関連する金銭的関係はないという。
J Am Geriatr Soc. 2008;56:661-666.

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2008/5/1 尿酸はパーキンソン病の進行を緩徐化 m3.comより転載

尿酸はパーキンソン病の進行を緩徐化


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ヒトの体内において自然に発生する代謝物で、かつ主要な抗酸化物質である尿酸はパーキンソン病の進行を遅らせる可能性があるため、同疾患の有効な治療薬となり得ることが研究により示されている
Pauline Anderson


【4月25日】ヒトの体内において自然に発生する代謝物で、かつ主要な抗酸化物質である尿酸はパーキンソン病(PD)の進行を遅らせる可能性があるため、同疾患の有効な治療薬となり得ると研究者らは結論している。
『Archives of Neurology』4月14日オンライン第1版に発表された同研究では、血清中尿酸濃度が高値の早期PD患者は、ドーパミン作動薬を必要とする段階まで進行する速度が、同濃度が最低の人たちの約1/2であることが認められている。こうした関連性は(女性より)男性の方がはるかに強かった。
 
重要でない副産物と考えられていた尿酸
 
長年にわたり尿酸は尿中に排泄されるだけの重要でない代謝産物と考えられていた、と同研究の著者の1人であるハーバード大学公衆衛生学部栄養・疫学科(Departments of Nutrition and Epidemiology, Harvard School of Public Health)(マサチューセッツ州、ボストン)のAlberto Ascherio, MDは述べている。しかし、これらの研究結果は、男性において最高の血清尿酸値とPD発現のリスク低下とが関連するという早期研究の結果と重なって、こうした尿酸に対する見方を変更させた。現在、尿酸は「我々が健康を維持するのに重要な役割を果たしている」という考え方がますます受け入れられつつある、とAscherio博士は述べている。「この2研究が相まって、これ(最新結果)が成功をおさめたと思われる」
 
PRECEPT研究のデータ
 
Ascherio博士らは、Parkinson Research Examination of CEP-1347 Trial (PRECEPT) のデータを使用した。PRECEPTはPDの動物モデルにおいて神経保護作用があることが認められているキナーゼ阻害薬の経口CEP-1347に関する2年間の大規模二重盲検ランダム化試験であり、CEP-1347が早期PDの進行を緩徐化できるかどうかを明らかにするためにデザインされたものであった。
PRECEPT研究では、米国およびカナダ各地の65施設において、2002年4月から2004年4月の期間に、30歳以上であり、ドーパミン作動薬の使用を必要としないPD患者806名を組み入れた。その後は定期的に、ドーパミン作動薬を必要とする機能障害について被験者を評価した。
 
尿酸は男性という性、肥満指数(BMI)、利尿薬の使用と相関
 
本研究でPRECEPTを選択したのは、PRECEPTがベースライン時点での血清尿酸値を測定した最大規模の研究であったためであるとAscherio博士はMedscape Neurology & Neurosurgeryに話している。ベースライン値は804例(男性517例、女性287例)について得られた。これらのベースライン濃度には、男性という性、肥満指数(BMI)、サイアザイド系利尿薬の使用、痛風および高血圧の既往歴との正の相関関係が認められた。
追跡調査期間中に、493例(61%)はドーパミン作動薬を必要とする段階まで疾患が悪化した。このエンドポイント到達のハザード比(HR)は血清中尿酸濃度の上昇に伴って低下し、五分位数の最高階級に属する被験者は最低階級に属する被験者の1/2の速度でエンドポイントに達した(HR 0.51、95%信頼区間[CI] 0.37-0.72、P<0.001)。
こうした関連性は女性(HR 0.77、95%CI 0.39-1.50、傾向に関するP =0.33)より男性(HR 0.39、95%CI 0.26-0.60、傾向に関するP<0.001)の方がはるかに強かった。
 
女性における他の保護メカニズム
 
男性は(女性より)尿酸とPD進行の緩徐化との関連性がはるかに強いことの理由は明らかではない。女性はもともと尿酸値が低く、神経保護に関連するこの代謝物の濃度が高い人はごくわずかであるとAscherio博士は述べている。「被験者数が少ないため、このことを確たる見解として述べることはできない。同時に、一般に女性は男性ほどPD患者がおらず、女性では他の保護メカニズムがあることが示唆される。こうしたメカニズムとしてはホルモンなどの因子が考えられる」とAscherio博士は話している。
フルクトース、アルコールなどのいくつかの食事因子は血清尿酸値を上昇させる傾向がある。一方、乳製品およびビタミンCは尿酸値を低下させる傾向がある。複雑なことに、ビタミンCは非常に強力な抗酸化物質でもあるが、と Ascherio博士は述べている。「たとえビタミンCを多く摂取しても、尿酸は減少するがアスコルビン酸は増加することがあるため、依然として神経保護には有効な可能性がある」
こうした食事に関する関連性はまったく観察的なものであるとAscherio博士は強調している。「PDのリスクを低下させる目的でこのことを大衆に勧告するのは時期尚早である」とAscherio博士は述べている。しかし、高尿酸値には神経保護作用があると思われるものの、腎臓結石、痛風、心血管疾患のリスクが高くなる可能性もあることは注目に値する。
抗酸化物質である尿酸は、細胞の生存および再生に重要な脂質、蛋白質などの分子を酸素が傷害する化学的過程である酸化から他の分子を保護する。「尿酸は酸素を捕捉し、他の分子が損傷されるのを予防する。尿酸は一種の酸素干渉剤(スカベンジャー)である」とAscherio博士は述べている。しかし、尿酸に関わる正確な保護メカニズムはまだ十分に解明されていないとAscherio博士は付け加えている。
Ascherio博士をはじめとする数名の共同研究者らは尿酸の前駆物質であるイノシンの安全性と忍容性を検討する第2相臨床試験を実施するため、既にMichael J. Fox Foundationから560万ドルの助成金を受け取っている。Ascherio博士らの主な目的は、サプリメントとして市販されているイノシンが安全に血清尿酸値を上昇させ得るかどうかを明らかにすることである。この試験は早期PD患者90例を組み入れ、最長2年間にわたり継続される予定である。「我々は非常に楽しみにしている」とAscherio博士は述べている。

この研究は米国立衛生研究所(NIH)および米加齢研究連合(American Federation for Aging Research)のビーソン支援プログラム(Beeson Scholars Program)の援助を受けている。PRECEPT研究は、Cephalon社およびH. Lundbeck A/S社の援助を受けた。完全に利用可能なPRECEPTデータベースの解析は、パーキンソン研究グループ生物統計センター(Perkinson Study Group Biostatistics Center)(ニューヨーク州、ロチェスター)が独立して実施した。この研究の著者のうち3名は資金援助を受けている。他の著者らは関連する金銭的関係がないことを開示している。
出典
Arch Neurol. Published online April 14, 2008.

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2008/4/25 抗生物質は急性副鼻腔炎の治療にやや有効 m3.comより転載

抗生物質は急性副鼻腔炎の治療にやや有効


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症状が8日間以上持続している単純性の急性副鼻腔炎を呈するプライマリケア患者に対しては、抗生物質による治療効果はそれなりにあるものの、未治療でも患者の80%では2週間以内に症状が改善することがコクランレビューにより示されている。
Laurie Barclay


【4月18日】急性上顎洞炎の治療には、抗生物質の有効性と副作用と耐性菌出現のリスクとの間のリスクとベネフィットのバランスを考えるべきである、との結論が、『Cochrane Database Systematic Review』4月16日号に掲載されたコクランレビューから示されている。同レビューでは57件の研究がレビュー対象となった。このレビューにより、症状が8日間以上持続している単純性の急性副鼻腔炎を呈するプライマリケア患者に対しては、抗生物質による治療効果は小さく、未治療でも患者の80%では2週間以内に症状が改善することが示された。
「副鼻腔炎は外来診療を受けている成人に診断されることが最も多い疾患のひとつであるが、副鼻腔炎における抗生剤の有用性については専門医の見解は分かれている」と、国立保健福祉研究開発センター/STAKES、フィンランド健康技術評価室/FinOHTA(Finnish Office for Health Technology Assessment/FinOHTA, National Research and Development Centre for Welfare & Health/STAKES)(フィンランド、タンペレ)のAnneli Ahovuo-Saloranta, DDSらは述べている。
「重度または持続性の中等度の症状を呈し、特定の細菌性副鼻腔炎の所見が認められる患者だけを狭域抗生物質で治療する方法から、急性の細菌性副鼻腔炎患者をすべて広域抗生物質で治療する方法まで、急性副鼻腔炎に対して推奨されている治療は多岐に渡る。抗生物質の目的は、症状を緩和して副鼻腔の正常な機能を回復させ、合併症と慢性副鼻腔炎の発症を予防することである」。
このレビューの目的は、急性副鼻腔炎の治療に対する抗生物質の有効性を評価し、有効性が認められた場合は、最も有効な抗生物質のクラスを特定することであった。レビュアーらは、成人の急性上顎洞炎に対する抗生物質とプラセボ、または別のクラスの抗生物質を比較する無作為化比較対照試験について、コクラン比較対照試験中央登録情報(CENTRAL[Cochrane Central Register of Controlled Trials]、『Cochrane Library』2007年第3号)、MEDLINE(1950年-2007年5月)、EMBASE(1974年-2007年6月)を検索した。
X線検査または細菌培養による確定診断の有無にかかわらず、急性副鼻腔炎が臨床診断された試験をレビュー対象とした。
2人以上のレビュー著者が独立して検索結果の選別とデータ抽出を行い、レビュー対象とした試験の質を確認した。実施された治療が奏効したか不奏効であったかを評価するため、介入群と対照群の差についてリスク比(RR)を計算した。プラセボ対照比較臨床試験のメタアナリシスについては、全クラスの抗生物質のデータを統合した。主要評価項目は、7-15日目と16-60日目の経過観察時における臨床的不奏効率であった。
レビュー対象とした57件の試験のうち、6件がプラセボ対照比較臨床試験、51件が別のクラスの抗生物質同士を比較した試験であった。5件の試験には計631例の被験者が組み入れられており、この5件からは臨床的不奏効(7-15日目の経過観察時に治癒または改善が認められないことと定義)の観点から抗生物質とプラセボの比較を行えるデータが得られた。
これらの試験では、抗生物質の方がプラセボよりも統計学的にわずかに有効性が高く、プールしたRRは0.66(95%信頼区間[CI]、0.44-0.98)であった。しかし、プラセボ群(80%)でも抗生物質群(90%)でも治癒率や改善率が高かったことから、臨床的にはこの結果の有意性は明確には示されなかった。
臨床的不奏効が、完治が認められないことと定義されていた試験は6件あった。これらの試験では、抗生物質の方がプラセボよりも有意に有効であり、7-15日目の経過観察時のプールしたRRは0.74(95% CI、0.65-0.84)であった。抗生物質製剤のうち、どれかが格段優れている訳ではなかった。
「症状が8日間以上持続している単純性の急性副鼻腔炎を呈するプライマリケア現場の患者に対しては、抗生物質による治療効果は小さいながらも認められた」と、このレビューの著者らは結論している。
「しかし、抗生物質未投与の患者の80%では、2週間以内に症状が改善する。臨床医は、個人レベルでも一般集団レベルでも、抗生物質による副作用の可能性と、わずかな治療効果とのバランスを考慮する必要がある」。
国立保健福祉研究開発センター/STAKES、フィンランド健康技術評価室/FinOHTA(Finnish Office for Health Technology Assessment/FinOHTA, National Research and Development Centre for Welfare & Health/STAKES)(フィンランド)が本レビューを支援した。著者らは関連する金銭的関係がないことを公表している。
Cochrane Database Syst Rev. Published online April 16, 2008.

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2008/4/24 小児虐待は後の人生におけるうつ病と炎症につながる m3.comより転載

小児虐待は後の人生におけるうつ病と炎症につながる


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小児期に虐待されることは後の人生におけるうつ病と炎症の同時発生の一因となることが新規研究で示唆
Pauline Anderson


【4月18日】小児期に虐待されることは後の人生におけるうつ病と炎症の同時発生の一因となることが新規研究で示唆されている。
母親の拒否、あるいは身体的虐待、性的虐待などの虐待歴のあるうつ病患者は炎症レベルが高くなる可能性が対照群の2倍であることがこの研究から明らかになっている。一方、虐待歴のないうつ病患者の炎症レベルは対照群と同程度であった。
したがって、小児期の虐待歴に関する情報は炎症レベルが高く心血管疾患リスクの高いうつ病成人を発見する助けになる可能性が考えられる、とキングズ・カレッジ精神医学研究所の社会・遺伝・発達精神医学センター(Social, Genetic, and Developmental Psychiatry Center)(英国、ロンドン)のAndrea Danese, MDを筆頭とする研究者らは結論している。
Danese博士らの研究結果は『Archives of General Psychiatry』4月号に発表されている。
 
母親の拒否に関する情報
この結果は、ダニディン(ニュージーランド)において1972年4月-1973年3月に生まれた1037名の小児集団を追跡調査したDunedin Multidisciplinary Health and Development Studyによるものである。被験者を3、5、7、9、11、13、15、18、21、および26歳の時点で評価するほか、最終は32歳の時点で評価した。最終評価時点では、2004- 2005年に生存していた1015名のうち972名が被験者集団に含まれていた。
出生後10年間(3-11歳)の虐待を評価するため、研究者らは、さまざまな生育段階における母親の拒否、厳しい躾け、主たる養育者の頻繁な交代、肉体的虐待および性的虐待に関する情報のほか、親の報告、行動観察、成人した被験者からのレトロスペクティブな報告を収集した。被験者の約9%はこれらの形態の虐待のうち2つ以上を経験していた。
研究者らは、臨床的面接を行い、精神疾患の診断・統計マニュアル第IV版(DSM-IV)の基準を用いて成人期(32歳)におけるうつ病を評価した。うつ病患者は心血管疾患を発現するリスクが高く、既に心疾患のある患者では転帰不良がみられる。この標本では、過去1年間のうつ病有病率は16%であった。32歳時点で抑うつ状態にあった被験者は、1(多少の障害)から5(重度障害)のスケールで平均障害の評点を3.57と自己報告している。
 
C反応性蛋白質による炎症レベルの測定
研究者らは、炎症を測定するため、フィブリノーゲン、白血球数、高感度C反応性蛋白質(hsCRP)の血中濃度を測定した。高感度CRPは心血管疾患のスクリーニング手段としてさまざまな専門家集団から提唱されているマーカーである。標本の約92%から血液検体が得られた(妊娠女性はこの分析から除外した)。
その結果、虐待歴のあるうつ病の被験者(2種類以上の虐待の徴候がある人)におけるhsCRP濃度は対照群より高いことが報告された(相対リスク[RR] 2.07; 95%信頼区間 1.23-3.47)。
研究者らは、虐待歴のあるうつ病の被験者はうつ病のみの被験者と比較して抑うつ症状パターン(抑うつ気分、関心低下、食欲・体重の変化、睡眠の変化など)が異なるかどうかを検討したところ、症状には有意差は認められなかったと述べている。このことは「抑うつ症状パターンのみから虐待歴を推察することは不可能である」ことを示唆している、と研究者らは記している。
現在うつ病と診断されていなくても、虐待歴のみでも臨床的に意味のある炎症レベルにリスクが上昇していると推測される、と研究者らは述べている。
研究者らは、再発性うつ病の既往、小児期または成人期における社会経済的状況の悪さ、健康状態不良、喫煙といった不健康な行動など、炎症の一因となる可能性のある因子について調整した結果、虐待歴のあるうつ病の被験者の炎症リスクが上昇する理由はこれらの因子のいずれでも説明されないことを認めている。
うつ病患者では炎症が心理的症状と身体的症状とのつながりに関与しているのではないかと長年にわたり疑われていた。この研究は、そのつながりと炎症の起源を解明する方向にさらに一歩踏み出している、と研究者らは記している。
「この結果から、虐待歴は成人におけるうつ病と炎症の同時発生の解釈に重要な役割を果たしていることが示唆される」と研究者らは記している。「小児虐待の経験に関する情報は炎症レベルの高いうつ病患者、つまり心血管疾患のリスクの高いうつ病患者を発見する助けになる可能性がある」
うつ病患者において虐待歴をルーチンに評価すれば、臨床医は、炎症リスクが高く健康不良な人を発見するのに必要な情報が得られる可能性がある、と研究者らは付け加える。「一方、虐待歴に伴う健康上のリスクが早期に発見できれば、合併疾患へのうつ病の悪影響を減少させるなど早急な対処につなげられるだろう」
小児期の虐待が炎症につながる可能性があるのはなぜだろうか?虐待歴のあるうつ病患者はストレス応答の停止に関与する脳の領域である海馬の容量が縮小しているためではないかと同研究者らは推測している。あるいは、グルココルチコイドに関連している可能性も考えられる。虐待歴のある成人ではこれらのホルモンの機能が低下しているが、これらのホルモンは抗炎症反応に関与しているため、ホルモンの機能低下は炎症レベルの上昇につながる可能性がある。
うつ病患者では小児虐待によって炎症レベル上昇が予測できるとみられるものの、炎症レベルが上昇している全てのうつ病患者に虐待歴があるわけではないと研究者らは指摘している。関与している他の因子を明らかにするため、今後の研究が必要である、と研究者らは述べている。
同研究者らは関連する金銭的関係がないことを開示している。
出典
Arch Gen Psychiatry. 2008;65:409-416.

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2008/4/24 呼吸器疾患の標準的治療に緩和ケアを統合する新ガイドライン m3.comより転載

呼吸器疾患の標準的治療に緩和ケアを統合する新ガイドライン


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呼吸器の慢性および進行期の疾患や重篤疾患の全病期における患者への標準的治療に緩和ケアをうまく組み込む方法が終末期治療作業班で考察された
Laurie Barclay


【4月17日】呼吸器の慢性および進行期の疾患や重篤疾患の全病期における患者への標準的治療に緩和ケアをうまく組み込む方法が終末期治療作業班で考察された。この新ガイドラインは米国胸部疾患学会(ATS)の正式な臨床方針声明の一部であり、2007年3月にATS役員会で承認を受け、今回、『American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine』4月15日号に発表された。
「世界保健機関(WHO)によれば、緩和ケアは疼痛およびその他の身体的、心理的、情緒的、精神的苦痛を早期発見、評価、治療することで苦悩を予防・軽減することを目的とするものである」と副班長のPaul N. Lanken, MDらATS終末期治療作業班が記している。「理想的には、治癒または健康の回復を目的とした治療を受ける患者は皆、それぞれの患者とその家族の要求や好みに合わせて内容と密度が調整された緩和ケアも受けるべきである。」
その要旨によれば、緩和ケアの目標とは、症状を管理して疼痛などの苦悩症状を予防、軽減し、患者およびその家族にその他の支援を提供して生活の質(QOL)を向上させることである。緩和ケアは、末期か末期でないかに関わらず、疾患の全病期の患者に便益があると思われるが、このサービスはもともと終末期医療として想定・実践されたものである。
肺疾患専門医は、慢性呼吸器疾患など重篤な疾患ゆえに緩和ケアで便益を受ける可能性が高い小児・成人およびその家族の治療にあたることが多いので、ATSは特別な終末期医療作業班の設置を承認した。この作業班は、治癒や健康回復を目的とした治療で主に構成される標準的な臨床治療に、緩和ケアをうまく組み込むためのガイドラインの作成を目的としている。
緩和ケアガイドラインの教育的・規範的目標を達成させるために、作業班は原則と価値観に基づいた手法を採用した。まず、緩和ケアに関するATSの基本的価値観と原則を明確にし、続いて、その原則と価値観を、慢性および進行期の肺疾患を初めとする重篤疾患の小児と成人双方への臨床実践に適用した。
作業班は、ATSの基本的価値観と原則の他にも、専門家の意見および作業班の委員や相談役の経験を考慮し、さらに、文献を集中的に検討して、見解と推奨を定めていった。
このガイドラインにおける重要な臨床的推奨は次のものがある。
  1. 緩和ケアは、疾患の全病期の患者が利用できるようにすべきであり、個々の患者およびその家族の要求や好みに合わせて調整されなければならない。(強い推奨)
  2. 慢性または進行期の呼吸器疾患の患者の治療にあたる医師は、推奨される緩和ケアの基本的技能の提供に関して訓練を受けて、その能力を有していなければならない。
  3. 医師は、その医師の技能レベルを超える緩和ケアの状況において助けが必要な場合には緩和ケアの専門家に相談しなければならない。

重症の呼吸器疾患で重篤状態にある成人への緩和ケア提供に関する実践内容の推奨としては次のものがある。
  1. 呼吸困難の管理は、貧血・胸水・うっ血性心不全・可逆的気道閉塞・低酸素血症・主気管支の圧迫・閉塞といった基礎疾患の治療、リラクゼーション療法・気晴らし・活動の改変・行動の改変・不安に対する呼吸法などによる心理社会的要因の治療、抑うつに対する認知療法や抗うつ薬治療で構成される。
  2. 中等度から重度の呼吸困難は、運動訓練・心理社会的支援・栄養療法・呼吸法の自己管理教育による管理といった肺機能リハビリテーション、酸素補助の使用、気道閉塞を和らげる薬物療法、パニックコントロールも用いて管理しなければならない。
  3. 重度の呼吸困難に対しては、扇風機による顔面冷却、抗不安薬、オピオイド、非侵襲的人工呼吸器が適用になる。
  4. オピオイドによる疼痛管理についても討論され、その他の身体的合併症についても討論された。いずれの患者でも、耐えられない有害作用を起こさずに呼吸困難や疼痛が解消できるオピオイドの用量と間隔が正しい用量と間隔になる。オピオイドの使用経験のある患者は、用量を増やすことになり、その患者に合わせる必要がある。用量は疼痛の解消を達成できるまで、または、有害作用が耐えられなくなるまで必要に応じて増量すべきであり、上限はない。

管理を成功させるためには、オピオイドの患者への有効性とオピオイドの慎重な増量が不可欠である。小児に対しては体重で補正した小児用の用量が対応する成人用量を超えるべきではない。これら用量に関する推奨は、薬物動態が異なる新生児には適用されない。
「その他にもこの声明は、苦痛と死に関する成人または小児としての心理的問題と、そうした問題への対処のやり方を考察している」とガイドラインの著者らは記している。「この声明は、患者およびその家族に緩和ケアを提供するための適切な集学的体系としてホスピスケアを位置づけている。また、米国のホスピスに登録するための現行の基準についても提示している。」
治療の目標が集中治療室での治癒・健康回復治療主体のものから緩和ケア主体もしくは完全に緩和ケアに切り替える場合の議論と決定に関する現行の推奨も見直しがされている。成人および小児への生命維持処置の継続や中心に関し、その項目の詳細もひとつひとつ見直されている。
緩和ケアを受けている患者、ICUの患者、進行期の呼吸器疾患の患者については、「緩和的鎮静」(以前は終末期鎮静と呼ばれていた)の臨床実践とそれに付随する倫理的・医学的に複雑な問題からなる二重の影響の原理が考察されている。
緩和ケアで不可欠なのは死別へのケアであり、これは患者の死亡の前から開始し、死後も継続しなければならない。一般人の介護者であれ職業的介護者であれ、「介護者へのケア」も強調されている。
「今回の声明は、患者と家族が包括的かつ自分に合った緩和ケアを受けるのに今ある障壁について記述している」とガイドラインの著者らは結論で述べている。「それゆえにATSは、 一般人および専門家への教育の強化の面で、緩和ケアを支える他の医療職の専門的組織と協働し、最良の実践と、そうした実践に情報を与えるエビデンスに基づいた手法の提供を目的とした緩和ケア研究を進めるための資金確保を進めることが求められる。」
著者のうち1名が、GlaxoSmithKline社と金銭的関係があることを開示している。その他の著者の開示情報に、関連する金銭的利害関係はない。
Am J Respir Crit Care Med. 2008;177:912-927.

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2008/4/22 小児期の睡眠不足は後の不安、抑うつ、攻撃性につながる m3.comより転載

小児期の睡眠不足は後の不安、抑うつ、攻撃性につながる


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最近の試験によれば、感情および行動の障害は小児期に睡眠が少なかった青少年で報告される可能性が高い
Marlene Busko


【4月16日】オランダ人集団を対象に小児の睡眠の問題と後の障害を検討した前向き縦断的研究によれば、小児期に他の小児より睡眠が少ないことが後の青少年期における感情および行動の障害の主な予測因子として浮上しているという。
これらの知見は特に注目に値することを、ロンドン大学(英国)のAlice M. Gregory, PhDを筆頭とする研究者らは報告している。
「まず、この研究は後に障害が発生するリスクのある人の発見に有効となる可能性がある。次に、この研究はある種の睡眠の問題(例えば、他人より睡眠が多い、悪夢を見る)は後の人生で評価される障害と相関しないこと[これは親を安心させると思われる]を示唆している。最後に、ここで報告された結果は、睡眠の問題に対処すれば長期的利益が得られる可能性があるという示唆と一致している」
この研究は小児の睡眠障害をテーマにした特集号である『Archives of Pediatrics & Adolescent Medicine』4月号に発表されたものである。
先行の諸研究では、睡眠の問題と後の障害との関連が報告されてきたが、ほとんどの研究は不眠と感情の障害に焦点が当たっていると同研究グループは記している。同研究者らは、特定の睡眠パターンが後の行動や感情の障害につながる可能性について理解を深めることは臨床医にとって有用であろうと考えた。
本研究では、親が認めた子供の睡眠と、青少年になってから子供が報告したその後の障害との関係を検討することにより、この問題を明らかにすることを目的とした。
本研究の被験者は、オランダの一地方の小児の代表的標本を対象として発達を検討する縦断的研究の被験者の一部であった。
試験に参加した合計2076名の親は、子供が4-16歳(平均年齢9.93歳)のときを第1回目として、小児行動チェックリスト(Child Behavior Checklist)(CBCL; 120項目の質問紙)に記入をした。小児はほとんど全例が白人、約半数が男子であり、社会経済的背景は広範囲にわたっていた。親は2年間隔で第5回目まで4回の追跡調査質問紙に記入をした。
睡眠はCBCLの6項目により評価した。6項目とは「大多数の小児より睡眠が少ない」「疲れきっている」「なかなか眠れない」「悪夢を見る」「大多数の小児より日中および(または)夜間に多く眠る」「睡眠中に話したり歩いたりする」である。
第6回目、被験者が18-32歳のとき、被験者1615例が青少年自己報告(Young Adult Self Report)(YASR)に記入した。これには不安・抑うつ的感情、注意障害、攻撃的行動という3項目の評価が含まれていた。
 
疲れている小児、問題の発生する青少年
年齢、性別、社会経済的状況、子供の感情と行動に関する親のスコアについて補正した後、他の小児より睡眠が少ない小児は不安・抑うつおよび攻撃的行動のスコアが高い傾向があった。
しかし、これらの関連因子の調整後、悪夢を見る、他の小児より睡眠が多い、睡眠中に話したり歩いたりする小児は、後の人生で障害が発生するリスクが(そうでない小児より)高くはなかった。
「こうした関連性の理由については、睡眠時間の短い者は日中十分に活動していない(例えば、学業不振、人間関係に問題を抱えている、事故を起こす)ことと、こうした活動レベルの低さが後の感情や行動の障害の発生と関連しているということがひとまず考えられる」と同研究グループは記している。
臨床医は小児の成長期に睡眠の問題について訊ねるべきであり、こうした問題の中には後の障害のリスク指標となるものがあるが、中には指標にならないものもあることを知っておく必要がある、と同研究者らは結論している。
 
「小児期の睡眠はもっと注目されるべき」
付随論説において、スタンフォード大学(カリフォルニア州、スタンフォード)のMichelle Cao, DOとChristian Guilleminault, MDは、Gregory博士らの研究は小児早期の睡眠の問題と後の行動に関する障害の発生との間には強力な関連があることを示唆していると記している。
これらの知見と『Archives of Pediatrics & Adolescent Medicine』本号の他の記事の知見を踏まえて考えると、「我々は、小児における睡眠障害を認識し、定義し、治療する、というより良い仕事をする必要がある」と論説執筆者は付け加えている。
「これらの研究から導き出せるメッセージは明らかである。すなわち、“睡眠と睡眠関連障害にもっと注目すべきである”ということである」
出典
Arch Pediatr Adolesc Med. 2008;162:330-335, 385-389

Medscape Medical News 2008. (C) 2008 Medscape

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2008/4/17 DPT三種混合ワクチン接種を遅らせると小児喘息の発生率が下がる可能性 m3.comより転載

DPT三種混合ワクチン接種を遅らせると小児喘息の発生率が下がる可能性


提供:Medscape

ジフテリア・百日咳・破傷風の初回ワクチン接種を推奨時期よりも2カ月以上遅らせると小児喘息が半減したことを示す研究結果
Laurie Barclay

【4月14日】ジフテリア・百日咳・破傷風(DPT)ワクチンの初回接種を推奨時期よりも2カ月以上遅らせると小児喘息が半減することを示すレトロスペクティブ(後向き)長期研究の結果が『Journal of Allergy & Clinical Immunology』3月号に報告された。

「小児期の早い段階でワクチンを接種すると、TH2型免疫反応の刺激や微生物からの圧力の低下により、TH1型およびTH2型免疫のバランスが変化し、喘息の発症が促進されると考えられてきた」とマニトバ大学(マニトバ州ウィニペグ、カナダ)のKara L. McDonald, MScらは記している。「観察研究では喘息との関連について矛盾する知見が得られているが、小児期のワクチン接種のタイムスケジュールの違いによってこの矛盾が説明できる可能性がある。本研究は、ジフテリア・百日咳・破傷風(DPT)ワクチンの接種時期が7歳時までの小児喘息の発症に影響するか否かを明らかにするために実施した」。
研究者らは、1995年にマニトバ州に生まれた小児コホートの出生時から7歳時までについて、完了したワクチン接種と保健記録のデータを分析した。多変量ロジスティック回帰分析を用い、7歳時の喘息の補正後オッズ比をDPTワクチン接種時期別に算出した。
4回以上のDPTワクチン接種を受けた小児11,531例において、喘息のリスクは、DPTワクチンの初回接種時期が2カ月以上遅れた小児で半減していた。3回すべての接種で遅れがみられた小児では、喘息を発症する確率は0.39(95%信頼区間[CI] 0.18-0.86)であった。
「小児期における全菌体DPTワクチンの初回接種時期の遅れと喘息発症との間には負の相関があり、1-3回目のすべての接種で遅延があった場合には相関が一層顕著であった」と本研究の著者らは記している。「この現象の機序を明らかにするには、今後の研究が必要である」。
本研究の限界としては、確認(ascertainment)バイアスがある可能性、ジフテリア・百日咳(無菌体)・破傷風(DaPT)ワクチンでは知見が確認されていないこと、ワクチン接種の遅れと喘息発症に対する保護効果との関連の説明として若年期の感染症の問題を否定できないことが挙げられる。
「ワクチン接種が有害であるとの認識はワクチン接種プログラムの効果に悪影響を及ぼす可能性があるため、ワクチン接種とアレルギー性疾患との関連を詳細に理解するために今後研究を行うことがきわめて重要である」と本研究の著者らは結論付けている。
本研究はカナダ保健研究機構(CIHR)の支援を受けた。著者らの一部は、Western Regional Training Center for Health Services Research、National Training Program in Allergy and Asthma、カナダ保健研究機構(CIHR)、Allergen社、および/またはNovartis社とさまざまな金銭的関係があることを公表している。

J Allergy Clin Immunol. 2008;121:626-631.
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2008/4/17 高齢者において持続性の不眠はうつ病治療の効果を鈍らせる可能性 m3.comより転載

高齢者において持続性の不眠はうつ病治療の効果を鈍らせる可能性 


提供:Medscape

最近の試験によれば、うつ病と持続性の不眠がある高齢患者では、不眠がみられない対照と比較して、治療抵抗性うつ病になりやすい
Marlene Busko

【4月9日】最近の試験によれば、うつ病と持続性の不眠がある高齢患者では、不眠がみられない対照と比較して、治療抵抗性うつ病になる確率が最高で3.5倍高かったという。
「うつ病は不眠等の症状を伴う重大な疾患であり、うつ病を治療すれば、他の厄介な症状がすべて消失すると考えがちであるが、一部の患者では不眠が消失しないということが本試験から明らかになり」、患者のうつ状態は持続すると筆頭著者であるロチェスター大学医療センター(ニューヨーク州ロチェスター)のWilfred R. Pigeon, PhDはWebMD Psychiatry に語った。

臨床的影響は、うつ病治療の場では、「睡眠と不眠について必ず問診すべきであり、不眠が存在する場合には、うつ病の治療と同時に不眠の治療を考慮すべきである」ということであるPigeon博士は語った。

本試験は『Sleep』4月1日号に掲載されている。

疾患の定義に用いる基準がどの程度厳格かにもよるが、地域社会に暮らす高齢者における不眠の有病率は10%潤オ17%、うつ病の有病率は5%潤オ9%であることが試験から明らかになったと研究者らは記述している。
研究者らは、急性のうつ状態の患者で、すでに持続性の不眠がある患者では、不眠なし、もしくは軽度または急性の不眠のある患者に比べてうつ状態が持続しやすいかどうかを検討することを目的とした。研究者らは、持続性の不眠はうつ病を永続化させる可能性があるという仮説を立てた。
研究チームは、Improving Mood-Promoting Access to Collaborative Treatment (IMPACT)プロジェクトのデータを解析した。この試験は、多施設共同無作為化試験で、うつ病の集中的ケアによって、通常のケアに比べて転帰が有意に改善したことが明らかになった。
本試験では、18のプライマリケア診療所においてうつ病の高齢者1801例が組み入れられた。患者は通常のケア(プライマリケア医による継続診療)または共同的ケアマネジメント介入プログラム(訓練を受けた専門家による密接なうつ病ケアの監視)にいずれかに無作為に割り付けられた。
被験者の平均年齢は71.2 ± 7.5歳で、6および12ヵ月経過後に診察を受けた。
患者は、ベースラインおよび3ヵ月時の問診票の回答に基づいて、不眠なし(n = 293)または持続性の不眠(n = 207)に分類された。
患者のうつ病の評価は、Structured Clinical Interview for the Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Revised Third Edition (SCID)(6ヵ月時)およびHopkins Symptoms Checklistの20項目のうつ病に関連する質問(6および12ヵ月時)に従って行われた。
持続性の不眠のある患者では、不眠のみられない患者に比べ、寛解に至らないうつ病を呈する割合が1.8潤オ3.5倍高かった。
持続性の不眠を伴う持続性のうつ病の所見は、うつ病の集中的ケアを受けた患者に比べ、通常のケアを受けた患者においてより強力であった。

認知行動療法が不眠に有望であることが示される

「本試験の知見は、持続性の不眠(本試験の定義に従う)が治療効果を鈍らせ、うつ病寛解の障壁となる可能性があり、このことは特に標準的プライマリケアによるうつ病治療を受ける高齢者において顕著であるという知見を築き始めている」と研究グループは総括している。
「現在、われわれは、薬物によるうつ病治療と同時に行う認知行動療法によって不眠は治療できることを示すデータを手にしている」とPigeon博士は指摘し、このことは、『Sleep』同号の関連論文において、スタンフォード大学(カリフォルニア州スタンフォード)のRachel Manber, PhDらによって証明されたと付言した。
Manber博士らは、大うつ病性障害と不眠の両方が認められる患者30例を対象とした有望なパイロット試験を実施し、12週間の抗うつ薬(escitalopram)による治療および不眠教育からなる対照療法と比べ、薬物療法に7回の症状に重点を置いた不眠に関する認知行動療法を追加する治療法によって、うつ病と不眠の両方の寛解率が上昇したことを報告している。
Pigeon博士らおよびManber博士らの試験は、企業の支援を受けなかった。Pigeon博士およびManber博士の情報公開によれば、関連する金銭的関係はないという。両試験の他の著者の資産公開は、各論文に記載されている。

Sleep. 2008;31:481-488, 489-495.
Medscape Medical News 2008. (C) 2008 Medscape

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2008/4/16 糖尿病患者においては、LDLコレステロール値と血圧をさらに積極的に低下させることによって、アテローム性動脈硬化の進展抑制、左室重量減少 m3.comより転載

糖尿病患者においては、LDLコレステロール値と血圧をさらに積極的に低下させることによって、アテローム性動脈硬化の進展抑制、左室重量減少


提供:Medscape

糖尿病患者においては、低比重リポ蛋白コレステロール値および血圧を正常値未満に低下させることによって、アテローム性動脈硬化が退縮するもよう 無作為化試験の結果
Shelley Wood


-WebMDの専門ニュースサービスHeartwireより-
【4月10日】低比重リポ蛋白(LDL)コレステロール高値と高血圧を合併した糖尿病患者においては、LDLコレステロール値および血圧を正常値未満に低下させることによって、アテローム性動脈硬化が退縮するようであり、このような退縮は、LDLコレステロール値および収縮期血圧を標準的目標値に低下させた患者においてはみられないという「Stop Atherosclerosis in Native Diabetics(SANDS)」研究の結果が発表された[1]。

この結果は、『Journal of the American Medical Association』2008年4月9日号に掲載され、Medstar Research Institute(メリーランド州ハイアッツビル)のBarbara V Howard博士および共同研究者らは、代替エンドポイント(この場合は、頸動脈内膜中膜厚(IMT)の変化)の使用は、確固とした臨床イベントの代替にはならないが、この知見は、糖尿病患者においては、2方面からの積極的治療が特に有効な可能性があるということを裏付けていると指摘している。重要なことは、心血管イベントの既往のない患者において、これらの変化が認められたことである。
この研究は、2型糖尿病、高血圧、脂質異常症を合併したアメリカインディアン男性女性だけを対象として実施した。Howard博士によれば、LDLコレステロール値および血圧の目標値は、この集団に妥当であることが確認されており、頸動脈IMTおよび心エコー検査は、この集団における今後のイベントを予測することが証明されているので、この集団を選択した。「また、糖尿病のアメリカインディアンは、典型的2型糖尿病集団であることから、この集団を対象とした研究はきわめて重要であることが長年かけて判明した。これらの患者については、罹患期間がより長いので、より詳しい情報が得られている」と、同博士は述べた。「米国中に蔓延しているので、我々が学んだことは非常に貴重な情報である」。
 
低い方がよい
標準的目標値(LDLコレステロール100mg/dL以下、収縮期血圧(SBP)130mmHg以下)を達成するための薬物療法、または積極的目標値(LDLコレステロール70mg/dL以下、SBP115mmHg以下)を達成するための薬物療法に患者を無作為に割り付けた。
両群とも、12カ月にわたって、それぞれのLDLコレステロールおよびSBPの目標値を達成し、両群とも同様に心血管イベント発生率は低かったが、積極的目標値を達成した患者だけにアテローム性動脈硬化の退縮(IMT測定による)が認められた、とHoward博士らは報告している。同様に、積極的目標値を達成した患者では、左室(LV)重量のより大きな減少(心エコー検査で測定)が認められた。
 
治療目標値による変化
エンドポイント
積極的
標準的
p
アテローム性動脈硬化の変化
(mm)
–0.012
+0.038
< 0.001
左室重量(g/mm2.7)
–2.4
–1.2
0.03
重篤な有害事象(%)
38.5
26.7
0.005
重篤な有害事象(%)*
0.2
0.004
0.18
*重篤な有害事象は、降圧薬だけに関連し、高脂血症治療薬には関連していない。

Howard博士によれば、他の研究が示しているように、アテローム性動脈硬化の変化は、LDLコレステロールの低下に関連しているようであり、LV重量はSBP低下に応じて変化する。
「副次解析において、IMTの減少は、主としてLDLコレステロールの低下によることが判明した。それを証明するのは困難であるが、我々が設定したモデルから、LDLコレステロールの低下によって、アテローム性動脈硬化の退縮が促進されているようであった。血圧の変化は主として心肥大軽減に関与していた」。
この研究結果は、糖尿病患者のLDLコレステロールおよびSBPの目標値をさらに低下させることによって、より大きな効果が得られることを示唆しているが、臨床イベント発生数は標準的目標値を達成した患者でもごく少数に過ぎなかった、とHoward博士は強調している。「大部分の糖尿病患者は標準的目標値を達成しないが、この目標値を達成するだけでも非常に有効であるということを我々の研究は示唆しているが、頸動脈および心機能の改善によってイベント発生率が低下するということを確認するために、さらに多くの患者を対象として、さらに長期間検討する必要がある」と、同博士は述べた。「キーポイントは、費用便益比であろう。実際に、標準的目標値を達成することによってそのような低いイベント発生率を維持できれば、標準的目標値達成で十分であろう。言い換えれば、両方の主要リスク因子をコントロールできれば、さらに低い目標値を達成することは、労力と資金を費やすだけの価値があるのか。また、リスクを冒すだけの価値があるのか」。
SANDS研究において、薬物療法による有害事象の発生率は、積極的治療群の方が高かったが、重篤な有害事象の発生率には差は認められなかった。「一部の副作用は、時間とともにより大きな問題となるか否かをあらかじめ知ることができない」と、同博士はheartwireに語った。
本研究は、米国立心臓・肺・血液研究所(NHLBI)および米国立衛生研究所(NIH)の助成を受けた。First Horizon Pharmacy社(商品名Triglide)、Merck社(商品名Cozaar/Hyzaar)、Pfizer社(商品名Lipitor)は、薬剤を提供した。著者の中には、資金提供を受けているもの、Merck社、Shering-Plough社、Egg Nutrition Council社、General Mills社、Pfizer社、Bristol-Meyers Squibb社、AstraZeneca社、Kos社、Reliant社、Daiichi Sankyo社、Bayhill Therapeutics社、Boehringer Ingelheim社、NovoNordisk社、Takeda社、Veralight社、Amylin社、Eli Lilly社、GlaxoSmith Kline社、Lifescan社、sanofi aventis社、Tethys Bioscience社、Johnson & Johnson社、Abbott社、Merck Sharp & Dohme社、Novartis社との財政上の利害関係に関する情報を明らかにしているものもいる。残りの著者は、資金に関する情報を明らかにしていない。
1. Howard BV, Roman MJ, Devereux RB, et al. Effect of lower targets for blood pressure and LDL cholesterol on atherosclerosis in diabetes: The SANDS randomized trial. JAMA. 2008;299:1678-1689.
Heartwire(WebMDの専門ニュースサービス)の全文は、www.theheart.org(心血管領域の医療専門家向けウェブサイト)で閲覧できる。

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2008/4/15 カプセル内視鏡 負担少なく小腸の病気に有効。その仕組みは。 m3.comより転載

カプセル内視鏡 負担少なく小腸の病気に有効。その仕組みは。

記事:毎日新聞社
提供:毎日新聞社

【2008年4月15日】
医療ナビ:カプセル内視鏡 負担少なく小腸の病気に有効。その仕組みは。
 
カプセル内視鏡 負担少なく小腸の病気に有効。その仕組みは。
 ◇カメラ内蔵、5万枚連写
 ◇長さ2.6センチ、重さ3グラム--病巣発見に効果
 口からカプセルを飲み、腸の中を写真に撮る「カプセル内視鏡」。昨年10月からは健康保険も適用されている。
 
ミサイル技術を転用
 「小腸は以前、暗黒大陸と呼ばれていました」と大阪市立大病院の荒川哲男副院長(消化器内科)は話す。
 小腸の長さは6-7メートルに及ぶ。胃は口から入れる胃カメラ(胃内視鏡)で、大腸は肛門からの内視鏡で検査できる。しかし、小腸は口からもお尻からも遠く、内視鏡が奥まで届かなかった。
 そこに登場したのがカプセル内視鏡だ。長さ2・6センチ、重さ3グラム強のカプセルが、カメラを内蔵している。口から飲むと食べ物と同様に、自然に小腸の中を通過する。この間に、1秒間に2枚ずつ計約5万枚の写真を撮影し、体外の記録装置に送る。医師は写真を、動画としてコンピューター画面で見て、異常の有無を確かめる。
 この方式は、イスラエルのミサイル技術者が発案した。ミサイルにカメラを付けて飛行中に周囲を撮影し、送られてくる映像を見ながら目標に誘導する技術の応用だという。今は小腸の検査専用だが、大腸用の開発も進んでいる。
 
出血が解消
 大阪市の中島フヂ子さん(78)は4年以上も貧血に苦しみ、入退院を繰り返していた。顔から血の気が引き、体がだるくて買い物にも行けない。月に1度は、便に血が混じって黒くなる「タール便」が出て、病院で輸血を受けていた。
 だが、胃カメラなどの検査では異常なし。消化管のうち、検査できない小腸からの出血だと推定されたが、具体的に腸のどこから血が出ているか分からなかった。
 3日おきにタール便が出るほど病状が悪化した昨年5月、大阪市立大病院でカプセル内視鏡を飲んだ。小腸の入り口から少し入った場所に異常な血管の塊があり、ここから出血していたと分かった。
 そこで、これも最近開発された、小腸用の「ダブルバルーン内視鏡」で、出血場所を焼く治療を受けた。
 この内視鏡でも小腸内が見え、異常な部分を切り取るなどの治療もできる。ただ、使う際に軽い麻酔をかけるため入院が必要だ。
 中島さんは今、歩いて買い物に行ける。タール便はもう出ない。友人には「顔色が良くなった」と言われた。食欲も出て食事が楽しみだ。「しんどい感じがなくなった。感謝、感謝です」と喜ぶ。
 
患者は6000人
 中島さんのように、小腸からの出血に悩まされる患者は、全国で年間6000人程度と推定される。原因の多くは「血管異形成」と呼ばれる、直径5ミリほどの異常な血管の塊だ。
 不定期に出血しては自然に止まることを繰り返す。多いと1リットルも出血し、ショック症状にも陥る。血が出ている間は、カプセル内視鏡でなく血管造影などの検査でも出血場所が分かるが、止まってしまうと分からない。
 小腸出血の原因には他に、かいようや、まれだが、がんもあるという。
 カプセル内視鏡で検査を受ける患者は、前の晩から絶食が必要だ。検査の際は、画像の受信装置や電池など、重さ約1・3キロの機器を、ベルトで体に取り付ける。カプセルを飲んだら病院を離れてよく、汗をかくような運動をしなければ自由に行動できる。飲んで4時間たてば軽い食事ができる。食べ物がカプセルに追いつき、検査を妨げる心配がなくなるためだ。
 飲んでから8時間後に病院に戻り、機器を返す。カプセルは使い捨てで、ほとんどの場合は便に混じって排せつされる。
 検査を勧める患者として、荒川副院長は(1)明らかに消化管出血があるのに場所が分からない人(2)出血はないが、慢性的な貧血に悩んでいる人--を挙げる。便の色が変わらない程度の出血が、じわじわと続いて貧血になる場合があるという。
 
原因判明は7割
 負担の軽いカプセル内視鏡だが、課題もいくつかある。
 原因不明の消化管出血の患者のうち、カプセル内視鏡で原因が分かる人は7割程度。残り3割は診断がつかない。出血した部分が一時的に正常になっていたり、カメラが異常な部分を写さずに通過したりするためだ。
 また、100人に1人程度だが、カプセルが体内に残ることがある。このため便からの排せつが確認できない場合は、検査の1週間後にレントゲンを撮って体内を確認する。残っていればダブルバルーン内視鏡などを使って取り出すという。【高木昭午】

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2008/4/10 高齢者の収縮期血圧コントロールにはストレス管理とライフスタイル改善が有用 m3.comより転載

高齢者の収縮期血圧コントロールにはストレス管理とライフスタイル改善が有用 


提供:Medscape

収縮期高血圧の高齢患者がストレス管理トレーニングまたはライフスタイル改善に8週間取り組んだところ、収縮期血圧が 9mmHg以上低下した。
Laurie Barclay


【4月4日】収縮期高血圧の高齢患者がストレス管理トレーニングまたはライフスタイル改善に8週間取り組んだところ、収縮期血圧 (SBP) が9 mmHg以上低下したとの二重盲検ランダム化対照試験の結果が『Journal of Alternative and Complementary Medicine』3月号に報告された。しかし、両者を比較するとストレス管理を行った患者の方がうまく血圧をコントロールしながら降圧薬を中止できた。
「収縮期高血圧 (isolated systolic hypertension) は高齢者に多く、拡張期血圧 (DBP) を下げずに収縮期血圧 (SBP) を下げることが治療の課題となっている」とマサチューセッツ総合病院ベンソン・ヘンリー心身医療研究所(ボストン)のJeffery A. Dusek, PhDらは書く。「特にリラックス反応 [RR] を引き出すストレス管理トレーニングは本態性高血圧を低下させるが、収縮期高血圧治療での有効性は評価されていない」。
同試験では患者を8週間のストレス管理 (RRトレーニング群、61例) またはライフスタイル改善 (対照群、61例) に割り付け、その比較を行った。試験組み入れの基準は55歳以上、SBP 140-159 mmHg、DBP 90 mmHg未満、2剤以上の降圧薬使用。主要エンドポイントは8週間後のSBP変化であった。SBPが5 mmHg以上低下して140 mmHg未満になった患者はさらに8週間トレーニングを続けることができ、その間は医師の管理下で投薬を中止した。
SBP平均値の低下は、RR群で9.4±11.4 mmHg、対照群で8.8±13.0 mmHgであったが (いずれもP < 0.0001) 有意差はなかった (P = 0.75)。DBP平均値の低下量は、RR群で1.5±6.2 mmHg (P < 0.05)、対照群で2.4±6.9 mmHg (P < 0.01) で、同じく有意差はなかった (P = 0.48)。
RR群の44名、対照群の36名が医師管理下の投薬中止期に参加できた。投薬中止期を開始した時点における特徴の差を調節した後で、RR群の患者の方が降圧薬を中止することができた (オッズ比 4.3; 95%信頼区間 1.2-15.9; P = 0.03)。
「SBPの低下は両群とも同程度であったが、弛緩反応群では、血圧を十分コントロールしながら降圧薬を中止できた患者が有意に多かった」と試験の著者らは書く。「SBPが5 mmHg低下することによって死亡率は7%低下し、脳卒中のリスクは30%するので、この結果は臨床上意義あるものである」。
この試験の限界としては、両群のSBP低下量の差を検出する統計的検出力が不足していたこと、各群の被験者がベースラインで服用していた降圧薬数のバランスがとれていなかった。参加者は降圧薬を様々な組み合わせで服用していた。降圧剤の中止方法にむらがあったこと、RRトレーニングによるSBP低下効果と降圧薬削減効果の持続性を立証するには試験期間が十分な長さをとれなかった、ライフスタイルの改善をモニタリングしていなかった、症例数が少なかったためRRトレーニングに対する反応の予測因子を評価する検出力が不足していた、「無治療」対照群がなかった。さらに、治療によって被験者の降圧薬使用が減ったかどうかは主要アウトカムではなく、それを考察するデザインになっていなかった。
「収縮期高血圧に関する我々の研究結果を他の患者集団にまで広げることができれば、血管イベントを予防し、薬への依存を減らして医療費を節約できるという点で、利益は計り知れない」と著者らは結ぶ。
米国疾病予防管理センターと米国立衛生研究所が同研究の研究費を拠出した。

J Altern Complement Med. 2008;14:129-138.
Medscape Medical News 2008. (C) 2008 Medscape

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2008/4/10 大豆の摂取が腎症を合併する2型糖尿病患者に有効である可能性 m3.comより転載

大豆の摂取が腎症を合併する2型糖尿病患者に有効である可能性


提供:Medscape

長期無作為化試験で、腎症を合併する2型糖尿病患者において、大豆蛋白の摂取が心血管系リスクファクターおよび腎臓関連バイオマーカーに有益な効果を及ぼした
Laurie Barclay


【4月3日】腎症を合併する2型糖尿病患者において、大豆蛋白の摂取が心血管系リスクファクターおよび腎臓関連バイオマーカーに有益な効果を及ぼすという長期無作為化試験の結果が『Diabetes Care』4月号に掲載されている。
「大豆の摂取が心血管系リスクに及ぼす影響を検討した短期試験はいくつかあるが、長期の大豆蛋白摂取が腎症を合併する2型糖尿病患者に及ぼす影響についてはほとんどエビデンスがない」とイスファン大学医学部(イラン、イスファン)のLeila Azadbakht, PhDらは記述している。「長期の大豆摂取が心血管系リスクに及ぼす影響を検討するため、腎症を合併する2型糖尿病患者においてC反応性蛋白(CRP)と腎機能の指標を評価した」
本試験に組み入れられた腎症を合併する2型糖尿病患者41例のうち、男性は18例、女性は23例であった。大豆蛋白群(n = 20)は体重1kgあたり蛋白質0.8 g(動物性蛋白35%、加工大豆蛋白35%、植物性蛋白30%)を含む食事に割り付けられ、対照群(n = 21)は動物性蛋白質70%および植物性蛋白質30%を含む同様の食事に割り当てられた。試験期間は4年間であった。
大豆蛋白群では、心血管系リスクファクターに対する効果の点で、対照群よりも優れていた。平均変化(大豆蛋白群 vs 対照群)は以下の通りであった。
空腹時血糖値: -18 ± 3 vs 11 ± 2 mg/dL (p=0.03)
総コレステロール値: -23 ± 5 vs 10 ± 3 mg/dL (p =0.01)
低比重リポ蛋白(LDL)コレステロール値: -20 ± 5 vs 6 ± 2 mg/dL (p=0.01)
血清トリグリセリド値: -24 ± 6 vs -5 ± 2 mg/dL (p=0.01)
また、大豆蛋白群では、対照群と比較して血清CRP値の低下が大きく(1.31 ± 0.6 vs 0.33 ± 0.1 mg/L; p=0.02)、尿中蛋白(-0.15 ± 0.03 vs 0.02 ± 0.01 g/day; p=0.001)および尿中クレアチニン値(-1.5 ± 0.9 vs 0.6 ± 0.3 mg/dL; p=0.01)の有意な低下が認められた。
本試験の制限としては、他の炎症マーカーではなくCRPのみが評価されたおこと、大豆蛋白の1つの用量範囲および処方のみが評価されたこと、エストロゲン受容体ジェノタイプ別の大豆蛋白の効果に関するデータがないこと、尿中尿素窒素および尿中クレアチニンが24時間排泄量ではなく、濃度として測定されたことがあげられる。
「腎症を合併する2型糖尿病患者において、長期の大豆蛋白摂取は、心血管系リスクファクターおよび腎臓関連バイオマーカーに有意な影響を及ぼした」と本試験の著者らは記述している。「糖尿病性腎症は進行性疾患であるため、われわれは4年後に患者の病状は悪化すると予想していた。しかし、医学的管理と食事制限のため、一部の項目については病状が改善した」
本稿の公表費用の一部はページ課金方式で支払われたため、本稿はこの事実を示すために「広告」と表示する必要がある。

Diabetes Care. 2008;31:648-654.
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2008/4/7 試験結果は乳癌の少分割放射線療法を支持 m3.comより転載

試験結果は乳癌の少分割放射線療法を支持 


提供:Medscape

多施設共同第3相無作為対照比較試験であるSTART試験は、新しい分割照射スケジュールを手術後に検討することが可能と報告
Allison Gandey

【3月31日】多施設共同第3相無作為化対照比較試験であるStandardization of Breast Radiotherapy(START)試験は、新しい分割照射スケジュールを手術後に検討することが可能であると報告している。この試験は2つに分かれており、START A試験は『Lancet Oncology』4月号でオンライン発表され、START B試験は『Lancet』3月29日号でオンライン発表された。両知見は、乳癌に対する少分割(hypofractionation)放射線療法について検討したこれまでで最大規模の研究である。
説得力のある結果が最初に発表されたのは、昨年6月の第43回米国臨床腫瘍学会(ASCO)であった。しかし当時Medscape Oncologyが報告したように、多くの臨床医は放射線療法のスケジュールを変更することには消極的であった。
「臨床医は標準照射スケジュールに最も慣れ親しんでいるため、1日線量が大きいことによる晩期合併症のリスクが懸念される」と、ペンシルバニア大学(フィラデルフィア)のLawrence Solin, MDは学会で述べた。
『Lancet』に掲載された付随する論説において、オランダ癌研究所(アムステルダム)のHarry Bartelink, MDとGustave Roussy研究所(ビルジュイフ、フランス)のRodrigo Arriagada, MDがこの懸念に同調した。
 
長期合併症の危険性は依然として不明
「我々は、少分割(hypofractionation)放射線療法は、放射線科への来院回数を減らしいくつかの癌センターの待機患者を減らすことになるため、患者にとって利便性が高いことを理解している」と、論説委員らは述べている。「それでもなお、START試験から最終結論が導かれるまで、より長期の追跡調査データを待たなければならない」。
論説委員らは5 - 6年間という追跡調査期間は「むしろ短い方だ」と考えており、この点が本研究の最大の限界であると述べている。
治験責任医師らも論文でこの点を問題にしている。「中央値で5年間という追跡調査期間は、心臓への負担など、正常組織に対する晩期の影響を評価するには短すぎる」と、著者らは述べている。「分割照射スケジュールの長期的影響を評価するために、試験に参加したすべての女性の追跡調査を継続中である」。
論説委員らは、分割照射の回数を増やすことで、1回の照射あたりの放射線線量を減らし、総線量を減らすことによって、正常組織の損傷を抑えられることを示した多数の研究があることを指摘している。
「確かに、頭頸部腫瘍においては、この少分割(hypofractionation)放射線療法は、毒性を増大させることなく腫瘍コントロールと生存期間の改善につながった」と、論説委員らは述べている。「したがって我々は、START試験の結果が対照的な作用を示したのはなぜだろうかと疑問に思っている。長期追跡調査によって、頭頸部癌の結果と一致するのか、それともSTART試験の結果は乳癌の生物学的特性が異なることに起因するのだろうか」。
ダンディー大学(スコットランド)のJohn Dewar, MDがSTART試験の知見をASCOで発表した。博士は学会中のMedscape Oncologyのインタビューで、医学界が少分割(hypofractionation)放射線療法を採用することに消極的であったことに同意した。
 
医学界は変更に消極的
「1回総線量を減らすことなく分割回数を増やすと合併症の発現頻度が高くなることが過去のデータから明らかになっており、そのため当然ながら人々は慎重になっている」と、Dewar博士は述べた。「我々はより少ない1回線量を使用して、合併症の発現頻度が同等であることを示した」。
さらに博士は、「他にもOntario試験のような試験があるが、それは我々の試験よりも小規模であり、私は、臨床医は当然ながら患者に不利益を与える危険を冒したくないため、より大規模の研究を待っているのだと思う」と述べた。
Dewar博士は、「これは、この方法が現在のところ潜在的に安全かつ有効であることを臨床医に再認識させると考えられる、もうひとつの確かなエビデンスである」と述べた。
早期乳癌に対する国際的な標準放射線療法スケジュールでは、総線量50Gyを1回2Gyずつ25回に分けて5週間にわたって照射する。しかし英国の癌専門医は、より多くの1回線量の、より少ない回数の分割照射によって総線量を減らす方法は、少なくともこの標準スケジュールと同等に安全かつ有効であると、長い間考えてきた。
 
START Aでは、より少ない1回線量の、より少ない回数での分割照射について評価
過去10年間にわたってこの問題を検討した、この最新の研究には、英国癌研究所、英国医療研究委員会、および英国保健省が共同で資金を提供した。王立マーズデン病院(サットン)のJohn Yarnold博士が中心になったこの試験には35の癌センターが参加した。
START A試験では浸潤性乳癌を完全に摘除した2236例の女性について検討した。50Gyを25分割で5週間照射する群、または41.6Gyもしくは39Gyを13分割で隔日に5週間照射する群のいずれかに患者を無作為に割付けた。患者を中央値で5.1年間追跡調査した。
 
START Aにおける腫瘍再発率
放射線線量(Gy)腫瘍再発率(%)
503.6
41.63.5
395.2

治験責任医師らは、41.6Gy照射後の晩期副作用および局所腫瘍再発率のいずれも、50Gy照射後と比較して有意差がなかったことを見出した。実際に、新しい線量による局所腫瘍再発率の絶対差は、1.3% 潤オ2.6%の範囲であった。
著者らは、13分割照射法が少分割(hypofractionation)放射線療法の限界を表している可能性は低いと示唆している。その他の試験では現在、合計治療期間の短縮を長期目標として、5.7Gyおよび6.0Gyを5分割で週1回照射する方法について検討中である。
これは単に患者にとって利便性が高いだけでなく、放射線療法中の急速な腫瘍増殖の潜在的な影響を最小限に抑えるためであると、研究者らは述べている。
START Bではより多くの1回線量による、より少ない回数での分割照射について評価
START B試験では、1回あたりの線量を増やして少ない回数で照射し、より短期間により少ない総線量を照射する方法の利点を評価している(3週間 対 5週間)。
START Bでは2215例の女性に、50Gyを25分割で5週間かけて照射するか、または40Gyを15分割で3週間かけて照射した。患者を中央値で6年間追跡調査した。
 
START Bにおける腫瘍再発率
放射線線量(Gy)腫瘍再発率(%)
503.3
402.2

著者らは、この結果は40Gy群における?1.7%から+0.9%までの絶対差に相当すると指摘している。このことは、40Gy照射後を50Gy照射後と比較した腫瘍再発率の絶対差が、1.7%-1%の範囲であることを意味する。
著者らは、画像評価でも患者による自己評価でも、低線量放射線療法による晩期副作用の発生率は、より低いことが示唆されると報告している。
両試験を総合すると、少分割(hypofractionation)放射線療法が安全かつ有効な乳癌の放射線療法であるという多くのエビデンスが得られる。しかしSolin博士は6月の発表後の質疑応答の際に、「放射線療法の合併症は、治療の数年後または何十年後でも発生する可能性があるため、臨床医は治療法を選択する際には慎重になるべきである」と警告した。
「大部分の患者にとって治療期間は大きな問題ではなく、放射線療法を受ける回数も一般的には問題点ではない」と、博士は述べた。「しかしこの全乳房加速放射線照射の試験のようなうまく設計された無作為試験は、選択された患者に対する標準分割照射法に代わる照射法を生み出すであろう」。
論説委員のBartelink博士とArriagada博士はさらに、「我々はSTARTの治験責任医師らに祝辞を述べたいが、同じく彼らは免疫組織化学検査の可能性および試験に参加した患者から採取した組織ブロックからmRNAを抽出し、マイクロアレイ解析に用いる可能性を示唆していることも提言したい」と述べた。
これらの開発によって、放射線療法を受ける患者の中から、特別な分割照射法によって利益を得られる患者を選択することが将来可能になるかもしれないと、論説委員らは示唆している。
研究者らは関連のある金銭的関係がないことを公表している。
 

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2008/4/7 ACCOMPLISH:高血圧患者における臨床イベントの低減にはACE阻害薬+カルシウム拮抗薬が最適 m3.comより転載

ACCOMPLISH:高血圧患者における臨床イベントの低減にはACE阻害薬+カルシウム拮抗薬が最適 


提供:Medscape

1錠で2つの効果を示す治療(single-tablet, dual-mechanism therapy)を高リスクの高血圧患者に実施すると、合併症と死亡のリスクが有意に20%低下することが、高血圧に関する試験のデータから示されている
Michael O'Riordan
-WebMDの専門ニュースサービスHeartwireより-

【シカゴ 4月1日】Avoiding Cardiovascular Events in Combination Therapy in Patients Living with Systolic Hypertension(ACCOMPLISH:「収縮期高血圧を呈する患者に対する併用療法による心血管系事象の回避」)試験の新規データが、米心臓病学会(ACC)2008年科学会議で発表された[1]。1錠で2つの効果を示す治療(single-tablet dual-mechanism therapy)を高リスクの高血圧患者に実施すると、従来の治療法と比較して合併症と死亡のリスクが有意に20%低下することが示された。
合併症と死亡に関する大規模試験であるACCOMPLISH試験は、重大な致命的心血管系事象と非致命的心血管系事象に対する2種類の降圧薬併用療法の効果を比較するものであった。しかし、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬のベナゼプリル+カルシウム拮抗薬のアムロジピンによる降圧薬併用療法のほうが、ACE阻害薬+利尿薬による治療よりも有効性が高かったことから、同試験は早期に中止された。
最新の臨床試験学会の会期中にこの試験の結果を発表した治験統括医師のKenneth Jamerson博士(ミシガン大学、アナーバー)は、高リスク患者の血圧コントロールと心血管系事象予防の最善策の定義について現行のガイドラインの問題点を検討するためにデザインされた試験の結果を発表できたことに「実に感動した」と述べた。
「カルシウム拮抗薬とACE阻害薬を併用すれば、申し分のない血圧コントロールが得られる」とJamerson博士は述べている。同博士は、ACE阻害薬と利尿薬の併用でも同程度のコントロールが認められると言い添えたが、ほぼ同じ血圧でも、カルシウム拮抗薬とACE阻害薬を併用した場合は、心血管系の合併症と死亡が20%低減した。
結果報告を行った記者会見の中で、Jamerson博士は報道陣に対し、この試験結果から「パラダイムシフト」が起こりつつあり、データは完璧で明確なメッセージを伴っていると語った。ACCOMPLISH試験の結果は、特に1剤から開始し利尿薬とACE阻害薬を併用するという観点から、ガイドラインの問題点を検討するものである、と同博士は述べている。

明快なデータ、完全な勝利、明確なメッセージ
ステージ1の高血圧の治療に関する現在の推奨方法は、大部分の患者にはチアジド系利尿薬を使用し、ACE阻害薬、アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)、β遮断薬、およびカルシウム拮抗薬の追加も検討することが盛り込まれている。血圧が≧ 160/≧ 100 mm Hgのステージ2の高血圧患者には、2剤併用療法、通常は利尿薬とACE阻害薬の併用が推奨されている。
ACCOMPLISH試験は、重大な致命的心血管系事象と非致命的心血管系事象に対する2種類の降圧薬併用療法の効果を比較するものであった。収縮期血圧が≧ 160 mm Hgか降圧療法中で、心血管疾患、腎疾患、または標的臓器障害の確証がある55歳以上の男女計11,400人を試験に組み入れた。試験に組み入れた患者は肥満であり、60%に糖尿病が認められ、ほぼ全員に高血圧の治療歴があった。
70%を超える患者が2剤以上の高血圧治療薬を投与されていたが、以前に米高血圧学会2007年科学会議でheartwireが報告したように、ベースライン時点の血圧がJoint National Committee on Prevention, Detection, Evaluation, and Treatment of High Blood Pressure(高血圧の予防・発見・診断・治療に関する米合同委員会)の現行の推奨値である<140/90 mm Hgにコントロールされていた患者はわずか37.5%であった。試験プロトコルの一環として、全患者が薬物療法を中止し、休薬期間を設けずにベナゼプリル+ヒドロクロロチアジドかアムロジピン+ベナゼプリルの併用療法に無作為に割り付けられた。
36カ月後、血圧に有意な改善が認められ、両治療群とも75%を上回る患者で血圧が<140/90 mm Hgとなった。試験責任医師らは、ベナゼプリル+利尿薬で治療した患者と比較して、ベナゼプリル+アムロジピンの併用療法により心血管系の合併症と死亡(心血管死、致命的/非致命的心筋梗塞[MI]、致命的/非致命的脳卒中、不安定狭心症による入院、冠動脈再建と定義)が20%低減したと報告している。

ACCOMPLISH:主要評価項目*と副次的評価項目
評価項目ハザード比(95% CI)
*心血管系の合併症/死亡0.80 (0.71 - 0.90)
心血管系の合併症/死亡(冠動脈再建を除外)0.79 (0.68 - 0.92)

報道陣との談話の中で、Jamerson博士はこの試験の患者の平均年齢が68歳で、最高齢が98歳であったことを報告した。高齢患者や虚弱患者では低血圧が問題となることがあり、転倒や骨折を招くこともあるが、ACCOMPLISH試験では低血圧はみられなかった。
ACCOMPLISH試験の執行委員会の一員であるMichael Weber博士(SUNY Downstate医療センター、ニューヨーク州ブルックリン)は、Jamerson博士に同意を示し、この試験結果によってガイドラインが変更されるだろうとheartwireに語った。
「現時点では、高血圧に対する併用療法を計画する場合、通常は2剤のうち1剤を利尿薬にすることが推奨されている」とWeber博士は述べている。「しかし、この推奨が変更されることは間違いない。アムロジピンのようなカルシウム拮抗薬が理想的な併用剤であると述べている点については変更は行われないと思われるが、利尿薬の推奨は取り下げられ、カルシウム拮抗薬の追加は常に治療の一部となるだろう」。
Salim Yusuf博士(マクマスター大学、オンタリオ州ハミルトン)はこの試験について「良くできている」と述べているが、すべての結果が発表されるまで大絶賛することは控えている。しかし、発表されたデータに基づき、ACCOMPLISH試験によって現行のガイドラインの問題点が洗い出されることに同博士は同意を示した。

1. Jamerson KA, on behalf of the ACCOMPLISH investigators. Avoiding cardiovascular events in combination therapy in patients living with systolic hypertension. American College of Cardiology Scientific Sessions; March 31, 2008; Chicago, Illinois.
Heartwire(WebMDの専門ニュースサービス)の全文は、www.theheart.org(心血管領域の医療専門家向けウェブサイト)で閲覧できる。

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2008/4/7 AHAがバイスタンダーによる胸骨圧迫のみのCPRを推進 m3.comより転載

AHAがバイスタンダーによる胸骨圧迫のみのCPRを推進


提供:Medscape

米国心臓協会の心肺蘇生諮問委員会の声明によると、突然昏倒した成人には胸骨圧迫のみを開始するように、今後一般大衆に奨励する
Steve Stiles
-webMDの専門ニュースサービスHeartwireより-

【3月31日】テレビで見る心肺蘇生(CPR)の場面では「マウス・トゥ・マウス」補助呼吸がその象徴として人々に浸透しているが、米国心臓協会(AHA)の最新の「科学諮問委員会」声明によれば、その手法は必ずしも心停止後の転帰を改善せず、バイスタンダーによるCPRが広まらない主な理由になっていると考えられる。[1] AHAはCPR分野の指導的専門家として一般的に認知されており、第三者が遭遇する症例の多くは心室細動や心筋梗塞(MI)であるため、心肺蘇生のためには胸骨圧迫で充分であるという知識を広めようとしている。訓練を受けていない者にとっては、症例とは突然昏倒する成人を意味する。
AHA声明の作成委員会委員長であるDr Michael Sayre (オハイオ州立大学、コロンバス)は「一般の方々には、どんなCPRであってもしないよりはまし、というメッセージを受け取って欲しい」とheartwireに語った。「特に訓練を受けていない一般の人が、突然昏倒する成人を目撃した時には、胸骨圧迫を開始してくれることを我々は望んでいる。訓練を受けたことがある人に対しては、状況を理解しているのであれば訓練通りに実施して欲しい、というメッセージになる。」
AHA科学諮問委員会による「バイスタンダーによる反応の実行の要請」と銘打たれた一般大衆に向けられたこの声明は、「用手のみ」のCPRと「圧迫のみ」のCPRという表現を相互に読み替え可能なものとして用いている。この声明は、『Circulation』2008年3月31日号オンライン版で発表され、同誌の4月29日号に掲載される予定である。この文書の目的は、同委員会が2005年に出した前回の公式CPRガイドライン[2]を「修正し明確にする」ことにある。次回のガイドラインは2010年が予定されている。
この最新文書で加えられた変更は、圧迫だけのCPRと従来のCPRとの転帰には差がない可能性が高く、目撃者のいる心停止の症例の大部分において2種のCPRによる状況は、容認できる範囲で同じであることを認めている点である。
「必ずしも、どちらか一方がより優れているとは考えていない。現在把握しているエビデンスによれば、突然昏倒した成人という患者グループでは、これら2種の手法は同等であるように思える」とSayre博士は述べている。
博士によると、2005年の文書では圧迫のみのCPRは予備的なものとして扱われていた。「以前のメッセージは、有り体に言えば、『全手順を思い出せない場合は、胸骨圧迫だけでもよいでしょう』というものだった。」

AHAの新しいメッセージ
突然の昏倒が目撃された成人の症例では、救急車の要請と、救助者がいる場合には胸骨圧迫のみのCPRが推奨される。
* CPR訓練を受けていないバイスタンダー
* 『CPR訓練を受けたことがあるが、人工呼吸を伴う質の高い胸骨圧迫(適切な速さと深さの圧迫で、中断が最小限)といった従来のCPRを実施する能力に自信がない』バイスタンダー
CPRの訓練を受けており、『中断を最小限とした胸骨圧迫と人工呼吸を実施する自分の能力に自信がある』救助者では、胸骨圧迫のみのCPRか、30回の胸骨圧迫に2回の人工呼吸という従来のCPRのいずれかが推奨される。
手技のいかんに関わらず、CPRは自動体外式除細動器の準備が整うか、救急医療隊員が到着するまで継続しなければならない。
2005年ガイドライン以前、および発表以降に得られたエビデンスによれば、「病院外心停止の成人患者で、バイスタンダーにより用手(胸骨圧迫)のみのCPRと従来のCPRを受けた者の生存確率は同じである。」AHAは、今回のバイスタンダー介入に関する新ガイドラインは「目撃者のいない心停止、小児の心停止、非心原性と想定される心停止には適用されない」ことを強調している。
「今回の『行動要請』の声明はきわめて重要な前進であり、この変更が2010年のAHAガイドラインの改訂を待たずに行われたことをうれしく思う」とDr Gordon A Ewy (アリゾナ大学医学部、ツーソン)はheartwireに語った。「この動きが推し進められたことは実に喜ばしい」と博士は言い、博士の病院では「1993年から非公式に継続的な胸骨圧迫のみのCPRを推奨していた」と言い添えた。
Ewy博士は以前から時には論文で、時にはheartwire誌上で、胸骨圧迫のみのCPRを一般大衆や仲間たちに熱心に説いていた。博士が患者や動物モデルで実施した結果によれば、転帰は実際に胸骨圧迫のみの手技のほうが優れていた。
医師、看護師などの医療従事者やあらゆる種類の救急隊員といった専門家は、呼吸停止した被害者に遭遇する確率が高いので、従来のCPRの修得を継続する必要があるが、一般人では別であるとEwy博士は述べている。人工呼吸が有益と考えられる被害者は目撃者がいる心停止被害者のほんの一部を占めるに過ぎず、標準のCPRを修得した一般人の圧倒的大多数はそうした被害者に心肺蘇生を実施する機会をまったく持たないし、「胸骨圧迫のみ(のCPR)は教えるのがきわめて容易であり、一般人も実行しやすい。」
今回のAHA新文書は、「心停止のすべての被害者は、高品質の胸骨圧迫の実施で便益を受ける」が、「小児、溺水・外傷・気道閉塞・急性呼吸器疾患・無呼吸(薬物過剰摂取によるなど)」といった一部の心停止症例には「その他の介入が」必要であるという立場をとっている。したがってAHAは一般人に対して、標準CPR講座で幅広い技術の訓練を受けるよう奨励を続けている。
Sayre、Ewy両博士とも、胸骨圧迫のみのCPRが適切である場合を一般人はおおむね判断できると確信している。Sayre 博士によれば、突然昏倒した成人については、AHAは上記のように推奨することで対処している。「成人の突然の昏倒は、原因が心臓にある可能性が高く、おそらくは心室細動で起きたことを示している……我々がこのメッセージを調査グループで検証したところ、調査グループの人たちはその違いが判るようだった。」
「目の前で突然昏倒して反応がなくなる、呼吸が異常な人は心停止であることは一般人に容易に教えることができる」とEwy博士は言う。「異常な」呼吸とは無呼吸か、「喘ぎ?いびき音?苦悶を伴う呼吸」の意味であることを一般人全員に教える必要がある。
「一般人にはその違いが判らないとしよう。それでも、胸骨圧迫のみ(のCPR)は実施が容易だという単純な事実で、より多くの人を救えるし、一般人もはるかに実施しやすい。」
この問題についてSayre博士は次のように述べている。「我々がこれまでに明らかにした(バイスタンダーが開始するCPRへの)障壁のひとつが、CPRが複雑すぎるというものだ。『全手順をいったいどうやって憶えろというのだ?もし自分に誤りがあれば、相手は悪化するのではないか?』これは、我々が一般人に望むことではない。我々は行動を起こして欲しいのだ。内容が簡単になったことで、今日得られている以上の大きな改善があることを期待したい。」
AHAの声明では、専門の救急隊員でさえ従来のCPRを開始するには、胸骨圧迫のみの心肺蘇生よりも時間がかかり、「CPRでマウス・トゥ・マウスの接触の可能性を排除することは、審美的な向上とバイスタンダーに起こりうる感染の懸念への対処になると思われる」ことを認めている。
注目されるのは今回のAHA新文書が出たのが、もうひとつの「科学的声明」の直後であり、これは同じ名前で出されていながら意見が食い違うということだ。その声明は、特に「バイスタンダーが開始するCPRの障壁の解消」を扱ったものだった。[3] heartwireが2カ月前に報告したように、この声明文書は従来のCPRの一般人教育を拡大することを強く求めていた。しかし胸骨圧迫のみのCPRの話題については『今後の方向』と題した段落の中のたった1文で、「積極的な科学研究の余地がまだある」アイデアのひとつの例として触れたのみだった。
この前回の文書と今回の文書は、ともにAHAの公式声明なのだが、「まったく対照的だ。私には理解しがたい」とEwy博士は言った。そして、前回のheartwireの報告を引用して、前回の声明は「単に一般人に混乱を与え、AHAの信頼を傷つけるだけのものだ」と語った。

1. Sayre MR, Berg RA, Cave DM, et al. Hands-only (compression-only) cardiopulmonary resuscitation: A call to action for bystander response to adults who experience out-of-hospital cardiac arrest. A science advisory for the public from the Emergency Cardiovascular Care Committee, American Heart Association. Circulation 2008; DOI: 10.1161/CIRCULATIONAHA.107.189380. Available at: http://circ.ahajournals.org.
2. ECC Committee, Subcommittees and Task Forces of the American Heart Association. 2005 American Heart Association guidelines for cardiopulmonary resuscitation and emergency cardiovascular care. Circulation 2005; 112 (suppl):IV1-IV203. 16314375
3. Abella BS, Aufderheide TP, Eigel B, et al. Reducing barriers for implementation of bystander-initiated cardiopulmonary resuscitation. A scientific s