【3月31日】多施設共同第3相無作為化対照比較試験であるStandardization of Breast Radiotherapy(START)試験は、新しい分割照射スケジュールを手術後に検討することが可能であると報告している。この試験は2つに分かれており、START A試験は『Lancet Oncology』4月号でオンライン発表され、START B試験は『Lancet』3月29日号でオンライン発表された。両知見は、乳癌に対する少分割(hypofractionation)放射線療法について検討したこれまでで最大規模の研究である。 説得力のある結果が最初に発表されたのは、昨年6月の第43回米国臨床腫瘍学会(ASCO)であった。しかし当時Medscape Oncologyが報告したように、多くの臨床医は放射線療法のスケジュールを変更することには消極的であった。 「臨床医は標準照射スケジュールに最も慣れ親しんでいるため、1日線量が大きいことによる晩期合併症のリスクが懸念される」と、ペンシルバニア大学(フィラデルフィア)のLawrence Solin, MDは学会で述べた。 『Lancet』に掲載された付随する論説において、オランダ癌研究所(アムステルダム)のHarry Bartelink, MDとGustave Roussy研究所(ビルジュイフ、フランス)のRodrigo Arriagada, MDがこの懸念に同調した。 長期合併症の危険性は依然として不明 「我々は、少分割(hypofractionation)放射線療法は、放射線科への来院回数を減らしいくつかの癌センターの待機患者を減らすことになるため、患者にとって利便性が高いことを理解している」と、論説委員らは述べている。「それでもなお、START試験から最終結論が導かれるまで、より長期の追跡調査データを待たなければならない」。 論説委員らは5 - 6年間という追跡調査期間は「むしろ短い方だ」と考えており、この点が本研究の最大の限界であると述べている。 治験責任医師らも論文でこの点を問題にしている。「中央値で5年間という追跡調査期間は、心臓への負担など、正常組織に対する晩期の影響を評価するには短すぎる」と、著者らは述べている。「分割照射スケジュールの長期的影響を評価するために、試験に参加したすべての女性の追跡調査を継続中である」。 論説委員らは、分割照射の回数を増やすことで、1回の照射あたりの放射線線量を減らし、総線量を減らすことによって、正常組織の損傷を抑えられることを示した多数の研究があることを指摘している。 「確かに、頭頸部腫瘍においては、この少分割(hypofractionation)放射線療法は、毒性を増大させることなく腫瘍コントロールと生存期間の改善につながった」と、論説委員らは述べている。「したがって我々は、START試験の結果が対照的な作用を示したのはなぜだろうかと疑問に思っている。長期追跡調査によって、頭頸部癌の結果と一致するのか、それともSTART試験の結果は乳癌の生物学的特性が異なることに起因するのだろうか」。 ダンディー大学(スコットランド)のJohn Dewar, MDがSTART試験の知見をASCOで発表した。博士は学会中のMedscape Oncologyのインタビューで、医学界が少分割(hypofractionation)放射線療法を採用することに消極的であったことに同意した。 医学界は変更に消極的 「1回総線量を減らすことなく分割回数を増やすと合併症の発現頻度が高くなることが過去のデータから明らかになっており、そのため当然ながら人々は慎重になっている」と、Dewar博士は述べた。「我々はより少ない1回線量を使用して、合併症の発現頻度が同等であることを示した」。 さらに博士は、「他にもOntario試験のような試験があるが、それは我々の試験よりも小規模であり、私は、臨床医は当然ながら患者に不利益を与える危険を冒したくないため、より大規模の研究を待っているのだと思う」と述べた。 Dewar博士は、「これは、この方法が現在のところ潜在的に安全かつ有効であることを臨床医に再認識させると考えられる、もうひとつの確かなエビデンスである」と述べた。 早期乳癌に対する国際的な標準放射線療法スケジュールでは、総線量50Gyを1回2Gyずつ25回に分けて5週間にわたって照射する。しかし英国の癌専門医は、より多くの1回線量の、より少ない回数の分割照射によって総線量を減らす方法は、少なくともこの標準スケジュールと同等に安全かつ有効であると、長い間考えてきた。 START Aでは、より少ない1回線量の、より少ない回数での分割照射について評価 過去10年間にわたってこの問題を検討した、この最新の研究には、英国癌研究所、英国医療研究委員会、および英国保健省が共同で資金を提供した。王立マーズデン病院(サットン)のJohn Yarnold博士が中心になったこの試験には35の癌センターが参加した。 START A試験では浸潤性乳癌を完全に摘除した2236例の女性について検討した。50Gyを25分割で5週間照射する群、または41.6Gyもしくは39Gyを13分割で隔日に5週間照射する群のいずれかに患者を無作為に割付けた。患者を中央値で5.1年間追跡調査した。 START Aにおける腫瘍再発率 | 放射線線量(Gy) | 腫瘍再発率(%) | | 50 | 3.6 | | 41.6 | 3.5 | | 39 | 5.2 |
治験責任医師らは、41.6Gy照射後の晩期副作用および局所腫瘍再発率のいずれも、50Gy照射後と比較して有意差がなかったことを見出した。実際に、新しい線量による局所腫瘍再発率の絶対差は、1.3% 潤オ2.6%の範囲であった。 著者らは、13分割照射法が少分割(hypofractionation)放射線療法の限界を表している可能性は低いと示唆している。その他の試験では現在、合計治療期間の短縮を長期目標として、5.7Gyおよび6.0Gyを5分割で週1回照射する方法について検討中である。 これは単に患者にとって利便性が高いだけでなく、放射線療法中の急速な腫瘍増殖の潜在的な影響を最小限に抑えるためであると、研究者らは述べている。 START Bではより多くの1回線量による、より少ない回数での分割照射について評価 START B試験では、1回あたりの線量を増やして少ない回数で照射し、より短期間により少ない総線量を照射する方法の利点を評価している(3週間 対 5週間)。 START Bでは2215例の女性に、50Gyを25分割で5週間かけて照射するか、または40Gyを15分割で3週間かけて照射した。患者を中央値で6年間追跡調査した。 START Bにおける腫瘍再発率 | 放射線線量(Gy) | 腫瘍再発率(%) | | 50 | 3.3 | | 40 | 2.2 |
著者らは、この結果は40Gy群における?1.7%から+0.9%までの絶対差に相当すると指摘している。このことは、40Gy照射後を50Gy照射後と比較した腫瘍再発率の絶対差が、1.7%-1%の範囲であることを意味する。 著者らは、画像評価でも患者による自己評価でも、低線量放射線療法による晩期副作用の発生率は、より低いことが示唆されると報告している。 両試験を総合すると、少分割(hypofractionation)放射線療法が安全かつ有効な乳癌の放射線療法であるという多くのエビデンスが得られる。しかしSolin博士は6月の発表後の質疑応答の際に、「放射線療法の合併症は、治療の数年後または何十年後でも発生する可能性があるため、臨床医は治療法を選択する際には慎重になるべきである」と警告した。 「大部分の患者にとって治療期間は大きな問題ではなく、放射線療法を受ける回数も一般的には問題点ではない」と、博士は述べた。「しかしこの全乳房加速放射線照射の試験のようなうまく設計された無作為試験は、選択された患者に対する標準分割照射法に代わる照射法を生み出すであろう」。 論説委員のBartelink博士とArriagada博士はさらに、「我々はSTARTの治験責任医師らに祝辞を述べたいが、同じく彼らは免疫組織化学検査の可能性および試験に参加した患者から採取した組織ブロックからmRNAを抽出し、マイクロアレイ解析に用いる可能性を示唆していることも提言したい」と述べた。 これらの開発によって、放射線療法を受ける患者の中から、特別な分割照射法によって利益を得られる患者を選択することが将来可能になるかもしれないと、論説委員らは示唆している。 研究者らは関連のある金銭的関係がないことを公表している。 |