鍼灸・整骨の治療だけでなく、身体バランス調整を通した健康的な美容までのトータルケアを

京都市下京区/富士鍼灸整骨院(ふじしんきゅうせいこついん)

2008/4/29 患者と向き合っているか 自問する看護部長 「医療漂流-萎縮の現場から」6回続きの(6) m3.comより転載

患者と向き合っているか 自問する看護部長 「医療漂流-萎縮の現場から」6回続きの(6)


記事:共同通信社
提供:共同通信社

【2008年4月28日】

 恐れていたミスが起きた。
 4年前。千葉県成田市の成田赤十字病院で、塩化カリウムを点滴パックに混ぜて患者に投与するよう指示された女性看護師が、誤って静脈に直接注射してしまった。患者は死亡。安全教育に取り組み始めた直後だった。
 同病院の石渡祥子(いしわたり・しょうこ)看護部長(51)が振り返る。
 看護師はミスを悔い、落ち込むばかり。「この事故の責任は個人ではなく病院にある」と同病院は組織的に対応に当たったが、遺族の怒りは激しかった。
 「直接会って謝りたいんです」
 事故から数日後、看護師が遺族との面会を願い出た。病院側は迷った末に許可。後日、思いがけない言葉が遺族から返ってきた。
 「将来ある若い人。配慮してあげて」
 看護師は罰金の略式命令を受けたが、遺族との訴訟にはならなかった。
勇気ある謝罪が、理解を得るための近道だった。
 医療ミスなどを理由にした民事訴訟は2006年に約910件。1990年代からほぼ倍増、医療を取り巻く環境は厳しさを増す。
 だが事故被害者側は、刑事訴追や民事訴訟を望んでいるわけではないと口をそろえる。「真実を隠すから不信感が生じ、裁判に持ち込まざるを得ない」とある遺族。
 一方で、事故は医療従事者も深く傷つける。多くの看護師が、事故をきっかけに現場を去っていった。
 「病棟で最終的に患者に接するのは看護師。医師や薬剤師の投薬ミスなどに看護師が気づき、未然に防ぐこともある。でも看護師自身のミスについてはこうしたチェック機能がなく、事故の当事者となってしまうリスクが高い」
 630人を束ね、30年近く最前線に立つ石渡看護部長が看護師の仕事の厳しさを明かす。
 4年前の事故以来、同病院では薬剤の保管方法や使用手続きを厳しくするなどの再発防止策を講じるとともに、臨床心理士がプレッシャーに悩む看護師らのケアに当たっている。
 700を超える病床の利用率は常時9割以上。何種類もの点滴投与が必要な患者も数多くいる。わずかに投与量が違うだけで血圧が一気に30近く上がってしまう薬剤もあり、常に気が抜けない。
 だけどトラブルや訴追を警戒し過ぎていては、医療は信頼を失うだけなのでは-。石渡看護部長はそう考え、いつも自分に問い掛ける。「患者と向き合っているか」

   ×  ×  × 

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2008/4/29 医師の嘆きは「自業自得」 先頭走者が厳しい指摘 「医療漂流-萎縮の現場から」6回続きの(5) m3.comより転載

医師の嘆きは「自業自得」 先頭走者が厳しい指摘 「医療漂流-萎縮の現場から」6回続きの(5)


記事:共同通信社
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【2008年4月28日】

 神奈川県大和市にある大和成和病院は、中規模ながら心臓血管外科の分野で高い専門性を持つ医療機関として知られる。
 院長の南淵明宏(なぶち・あきひろ)医師(50)が手掛ける心臓外科手術は年に200例近く。国内で突出した数を誇る"トップランナー"は「崩壊」「萎縮(いしゅく)」と医師らが嘆く現状について「自業自得」と突き放す。
 20代。一向にメスを握らせてもらえない環境に嫌気が差し、大学の医局を飛び出した。海外の医療現場でひたすら手術の腕を磨き、帰国後、症例の数を重ねた。
 「技術より研究や論文の実績を重視する医局が頂点に君臨し、事故が疑われるケースでは患者の死因究明どころか隠ぺいに走ってきた」と今の医療界を厳しく批判する。
 同病院で3月下旬、重い心臓病の60代女性の手術が行われ、記者も立ち会った。
 心電図モニターの機械音が鳴り響く。患者の心臓がいったん停止。人工心肺装置のチューブ内を、真っ赤な血が流れ出した。
 左心房から左心室に流れる血液の逆流を防ぐ僧帽弁の閉鎖不全。悪くなった僧帽弁を切り取り、人工弁に置き換える予定だった。
 心臓を切り開いた南淵医師の手が止まった。弁を切り取らずに削って整える「形成術」で済むかもしれない-。「できれば形成を」と望んだ家族の言葉が頭をよぎる。
 トライして駄目だったら当初通り、人工弁の置き換えに切り替えなくてはならず、時間の浪費となってしまう。
 数十秒後。メスを持つ手は、弁の形成へと動きだした。
 2時間あまりにわたる手術終盤、心臓を再び鼓動させた。血液の逆流があればオペはやり直しだ。緊張が走る。麻酔科医が告げた。
 「逆流はありません」
 見学した東京慈恵医大4年の阿見祐規(あみ・ゆうき)さん(22)は「判断が速く技術もすごい。患者をこの手で直接救うことができる心臓外科に魅力を感じる」と目を輝かせた。
 「失敗すれば地獄の果てまで(責任を)背負う覚悟でやっている。それがプロ」。南淵医師はそう言い切る。隠し事のない診療姿勢を理解してもらおうと、手術の様子を毎回ビデオ撮影、希望する患者に渡している。
 若い医師の間でも、勤務が過酷で訴訟リスクの高い産科や小児科を避ける傾向があるとされるが、南淵医師は懐疑的だ。
 「きつくても、あこがれ、目標となる存在がいれば後から続く人材は出てくる。そうならないのは、責任と誇りを持つ医師が少ないからだ」

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2008/4/29 自分も犯罪者に... "崩壊の聖地"でため息 「医療漂流-萎縮の現場から」6回続きの(4) m3.comより転載

自分も犯罪者に... "崩壊の聖地"でため息 「医療漂流-萎縮の現場から」6回続きの(4)


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【2008年4月28日】

 福島県立大野病院がある同県の太平洋沿岸部。
 「ここは医療崩壊の聖地」
 地元関係者が自嘲(じちょう)気味に言った。同病院の産科医の逮捕後、高リスクのお産の扱いを取りやめる医療機関が各地で相次いでいるからだ。
 この地域で妊娠合併症など難しい症例を一手に引き受けるのは「いわき市立総合磐城共立病院」。産婦人科の常勤医は研修医を含め4人で、年約800件のお産と約700件の手術をこなす。
 産婦人科部長の本多(ほんだ)つよし医師(48)は、以前勤務していた病院で4年前に担当した手術が忘れられない。
 初妊娠で双子が死産となってしまった40代女性。胎盤が子宮に癒着して残り、無理にはがせば大出血の恐れがあった。
 子宮ごと摘出すれば母体への危険は避けられるが、次の妊娠への期待を持つ女性は術前、「何とか(子宮を)残してほしい」と強く訴えていた。
 抗がん剤を使って胎盤を子宮の中で消滅させる方法を選択。しかし治療の途中で大量の出血が起き、急きょ手術による子宮摘出に切り替えた。一命を取り留めた女性は「無理を言って迷惑をおかけしました」と謝罪したという。
 その後、県立大野病院で、子宮に癒着した胎盤をはがす手術中に妊婦が大量出血して死亡。逮捕された加藤克彦(かとう・かつひこ)医師(40)は医局時代の後輩だ。
 「あの時、子宮摘出の決断が遅れていたら自分も...」と本多医師。"犯罪者"になっていた可能性にぞっとし「もう二度と同じことはしたくない」とため息を漏らす。
 厚生労働省の調査によると、全国の産科医療機関のうち24都府県の計77カ所が今年1月以降、お産の休止や取り扱い件数の制限を決めている。産科医不足が主な要因とされるが、医療関係者からは「大野病院事件の影響は大きい」との指摘が出ている。
 福島県でも、今年3月に県立南会津病院の産婦人科医が退職したのを機に、6カ所ある県立病院すべてがお産を取りやめる事態となっている。
 いわき市立総合磐城共立病院には今、「肥満」や「胎盤の位置が低い」など、以前なら近隣の病院で対応していた高リスクとまで言えない事例も、受け入れ要請が相次いでいる。
 数時間の睡眠で日に何件もの手術をすることもある本多医師は、大野病院事件の行方に大きな関心を寄せる。「事故の可能性は常にある。有罪判決が出たら、自分は職場を去るしかない」

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2008/4/29 「魔女狩り」渦巻く批判 産科医逮捕に医療界震撼 「医療漂流-萎縮の現場から」6回続きの(3) m3.comより転載

「魔女狩り」渦巻く批判 産科医逮捕に医療界震撼 「医療漂流-萎縮の現場から」6回続きの(3)


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【2008年4月28日】

 検察官の重々しい声が法廷に響いた。
 「自らの安易な判断で、産婦人科医師としての注意義務に違反する過失を起こし、医師への社会的信頼を害した」
 3月21日の福島地裁。帝王切開手術を受けた女性=当時(29)=が大量出血により死亡し、執刀医が逮捕、起訴された「大野病院事件」の論告求刑公判が開かれた。
 禁固1年と罰金10万円の求刑。被告席の加藤克彦(かとう・かつひこ)医師(40)は手元の書類に目を落としたまま。こぶしを握り締めた遺族の視線が、その背中に注がれた。
 福島県立大野病院(同県大熊町)で悲劇が起きたのは2004年12月17日。論告によると、第2子の誕生を心待ちにしていた女性は、生まれたばかりの女児とほんの少しだけ対面。「ちっちゃい手だね」とひと言だけ語り掛け、帰らぬ人となった。当時3歳だった長男は「お母さん起きて。サンタさんが来ないよ」と泣き叫んだ。
 県警は06年2月、子宮に癒着した胎盤を手術用のはさみで無理にはがし失血死させたなどとして、業務上過失致死と医師法違反の疑いで加藤医師を逮捕した。
 事件は、日本の医療現場を震撼(しんかん)させた。
 日本医学会や日本産科婦人科学会、各県医師会などが相次いで捜査当局を批判する声明を発表。「魔女狩り裁判」「冤罪(えんざい)事件」...。医療界から激しい反発が起こった。
 「できるだけのことを精いっぱいやった」と加藤医師は無罪を主張。東京や神奈川など中央から集まった計12人もの大弁護団が付いた。医療問題に強い"精鋭部隊"が、公判のたびに記者会見を開き、正当性を主張。弁護側証人には臨床経験豊かな周産期医療の権威が続々と登場し「極めて難しい症例で処置に過失はなかった。起訴は無謀」と繰り返した。
 「今回のケースで有罪となれば、難しい症例を扱う医師はいなくなる。結果的に社会に大きなマイナスの影響を与える」。日本産科婦人科学会常務理事の岡井崇(おかい・たかし)昭和大教授は、そう指摘する。
 事件は政府も動かした。厚生労働省は医療事故調の議論を急加速。組織の具体案を考える検討会を発足させ、今年4月には事故調の活動を捜査に優先させる方針を明らかにした。「このままでは医療界を抑えられないと判断した」と同省幹部。
 「有罪なら医療は確実に崩壊に向かう」と医療関係者。「許さない」と厳罰を求める遺族。加藤医師への判決は夏にも言い渡される。

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2008/4/29 誤診の疑いで聴取19回 「事故調」の必要性を痛感 「医療漂流-萎縮の現場から」6回続きの(2) m3.comより転載

誤診の疑いで聴取19回 「事故調」の必要性を痛感 「医療漂流-萎縮の現場から」6回続きの(2)


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【2008年4月28日】

 「先生は肺水腫を見逃したのではないか」
 関東の小都市にある警察署の取調室。事情聴取は、約半年間に19回にも及んだ。逮捕されるかも...。都内の大病院に勤務する男性医師(53)は「診断に誤りはない」と恐怖に耐えながら訴えた経験を明かした。
 専門は循環器。2002年秋、アルバイト先の民間病院で休日診療をしていた。全身のだるさと微熱を訴える70代の男性患者が来院した。エックス線写真で右胸に影を確認し、肺炎と診断。入院させ点滴などの治療をしたが、夜間の当直医と交代した約3時間後、患者は死亡した。予期できない急変だった。
 4年余りが過ぎた昨年2月に突然、業務上過失致死事件の捜査対象として警察に呼び出された。
 「臨床経験のない法医学者の鑑定をよりどころに、僕が肺水腫を見逃したために患者は死亡した、という構図を描き、物事を都合よく当てはめようとしていると感じた」と医師。
 昨年秋に書類送検されたが、検察は「嫌疑不十分」として不起訴にした。潔白を訴えるために依頼した弁護士費用などは約500万円に上った。
 事故から約1年後、訪ねて来た遺族と約2時間にわたり話し合った。「すべてをガラス張りにして僕の考えを話したが、納得は得られなかった」。今も病院と遺族との話し合いが続く。
 医療事故被害に遭った遺族が、捜査や裁判を通じ、真実を知りたいと期待するケースは少なくない。医師は「警察の捜査は個人の刑事責任追及が目的で、真の死因究明は不可能」と指摘する。
 医療事故の再発防止を重視して厚生労働省は、公平な第三者の立場で死因を究明する新組織「医療安全調査委員会」の創設を急ぐ。事故が疑われる死亡例について、臨床医ら専門家が調べて真相を解明する組織で「医療事故調」とも呼ばれる。
 厚労省の案は医療従事者の刑事責任免除まで認めないことなどから、医療界には反対が根強い。
 しかし医師は「僕のようなケースをなくすには、専門組織をつくるしかない」と断言する。医療事故被害者の集会にも積極的に足を運び、事故調の必要性を訴える日々だ。別の医師から「なぜ国の後押しをするのか。厚労省からカネでももらっているのか」と激しくののしられたこともあるが、信念は変わらない。
 「容疑者とされた自分にはよく分かる。このままでは医師と患者双方が不幸。一歩でも二歩でも前に進むことが医療の萎縮(いしゅく)解消と信頼回復につながるんです」

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2008/4/29 事故恐れ手術室封印 院長、再開できぬと6年余 連載企画「医療漂流-萎縮の現場から」6回続きの(1) m3.comより転載

事故恐れ手術室封印 院長、再開できぬと6年余 連載企画「医療漂流-萎縮の現場から」6回続きの(1)


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【2008年4月28日】

 "封印された手術室"は2階の片隅にあった。ひんやりとした独特の空間。天井に据え付けられた大きな照明。しかしその下に、患者が横たわる手術台はない。棚の手術用器具はカバーで覆われたまま...。
 首都圏のベッドタウン千葉県四街道市。「四街道さくら病院」は、99床と小規模ながら外科、内科、整形外科などを掲げ、人工透析にも力を入れる。だが2001年末以降、手術はしなくなった。
 「今の医療を取り巻く状況が変わらない限り、再開できない」と林克英(はやし・かつひで)院長(50)。医師歴24年のベテラン消化器外科医だ。
 手術中止は当初、経営的な考えからだった。常勤医は林院長を含め3人。麻酔科医はおらず、手術のたびに外部から派遣してもらう必要がある。手術要員の看護師を確保する余裕もない。
 さらに「万が一の事態」が林院長の脳裏をよぎる。
 予期せぬ患者の死?。医療ミスを疑い、患者側が医師や医療機関に損害賠償を求める訴訟や、警察が医師らを立件するケースはここ10年ほどで急増している。遺族から訴えられたり警察の捜査を受けたりすれば、小さな病院の経営はたちまち立ち行かなくなる。
 「医療は不確実なもので『絶対安全』はなく、一歩間違えば誰でも刑事訴追される恐れがある」
 手術が必要な患者は受け入れず、近隣の総合病院などを紹介。術後管理だけを四街道さくら病院が引き受ける。
 「手術台は別室に保管し、器具も滅菌すればすぐに使える状態にある」と林院長。外科医としての意地-。それが手術室を残している理由だ。

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 東京都内に住む30代後半の外科医の男性は最近、勤務先の2次救急病院に退職届を出した。
 「死亡した患者の遺族から、根拠のない医療ミスを疑われたことがある。人の生死にかかわるリスクの高い仕事なのに割に合わない。やってられない」
 医師が信頼されない時代になったと実感する。激務を覚悟で外科を志した学生時代。今は180度違う心境に変わったという。
 昼夜連続の長時間労働や強制的なサービス残業。医療訴訟や医師が刑事訴追される事件の増加で、完全になえた。「辞表を出したら楽になった」。4月から救急とも当直とも無縁の、小さな診療所に勤め始めた。

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 医療関係者の間で今、事故のリスクを懸念し、診療に消極的になる風潮が広がっているとされる。"萎縮(いしゅく)"の現場で苦闘する医師らを追った。

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