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京都市下京区/富士鍼灸整骨院(ふじしんきゅうせいこついん)

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2008/6/25 どん底からはい上がる 「同じ悲しみ」分かち合い 緊急連載企画「命つなぐために-自殺大国ニッポンのいま」5回続きの(5) m3.comより転載

どん底からはい上がる 「同じ悲しみ」分かち合い 緊急連載企画「命つなぐために-自殺大国ニッポンのいま」5回続きの(5)



記事:共同通信社
提供:共同通信社

【2008年6月25日】
 5月17日、JR仙台駅近くのホールに千葉や岐阜、大阪など各地の自殺者遺族が集まった。約30都道府県、200人以上が参加する「全国自死遺族連絡会」の初集会。「何十年と続く悲しみにどう向き合うか」「地域で孤立する仲間を救いたい」。これまで表舞台に立つことが少なかった遺族たちの「生の声」が会場に響いた。
 「遺族だからこそ、気持ちを分かり合える」。福島市の女性の言葉に拍手がわく。連絡会の世話人、田中幸子(たなか・さちこ)さん(59)=仙台市青葉区=も壇上で小さくうなずいた。

 ▽後を追いたい

 3年前の11月、幸子さんは警察官だった長男健一(けんいち)さん=当時(34)=を自殺で亡くした。異動直後の激務に体調を崩し休職中の出来事。休職が決まった後も、健一さんが自主的に仕事に出ていたと後で知った。
 「ゆっくり休み、落ち着いてきていると思っていた」。息子の苦しみを理解し切れていなかった後悔。「後を追いたい」との気持ちを懸命に抑えた。
 すがる思いで遺族支援の会合に参加したが、当事者でないスタッフを交えて悩みを語り合う進め方になじめなかった。
 「いすに座っていつもしくしく泣いている『典型的な遺族』を演じてしまった」。会合の後、遺族だけで開かれた「お茶会」の方がしっくりきた。冗談を言っていたかと思うと、突然床に突っ伏して泣きだす人。同じ痛みを持つ人同士なら素直に振る舞えると知った。

 ▽行動する遺族

 遺族が運営する自助グループ「藍(あい)の会」を発足させたのは2006年。他県からも参加者や電話相談が相次いだ。「当事者が思いをはき出せる場がいかに少ないか」。そんな驚きが、各地の遺族や自助グループが連携し、支え合う全国連絡会の結成につながった。
 昨年6月に政府が決定した「自殺総合対策大綱」には、遺族支援も柱の一つとして明記された。だが、具体的な方策はまだ途上だ。精神的ケアや相続などの法律相談、生活支援の充実など課題は山積している。
 「国はなぜ、遺族支援の仕組みづくりに当事者の声を生かさないのか」。連絡会の初集会では、こんな不満の声も上がった。行政の支援策検討の場で遺族が直接意見を述べる機会は、ほとんどないのが実情という。
 「遺族だからこそできる遺族支援がある」。その思いを行政や専門家にも伝えたい。まだ声は小さい。それでも最近、各地の自治体から問い合わせが来るようになった。
 「『行動する遺族』が認められつつあるのかな」。幸子さんは明るい表情でそう話した。

※ 自殺者遺族の支援  

自殺者遺族の支援 国の自殺総合対策大綱は、自殺した人の遺族への対応を「後追い自殺を防ぐことも期待できる」として重視。自助グループの運営支援や、相談窓口を記したパンフレットの配布などに積極的に取り組むとしている。

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2008/6/25 コーヒーでつながる人の輪 「最悪」返上目指す 緊急連載企画「命つなぐために-自殺大国ニッポンのいま」5回続きの(4) m3.comより転載

コーヒーでつながる人の輪 「最悪」返上目指す 緊急連載企画「命つなぐために-自殺大国ニッポンのいま」5回続きの(4)



記事:共同通信社
提供:共同通信社

【2008年6月25日】
 店員がカウンター越しに声を掛け、世間話に花が咲く。「コーヒーもう1杯どう?」。何杯飲んでも100円だ。
 世界遺産の白神山地のふもと、秋田県藤里町に火曜日の午後だけ開店するコーヒーサロン「よってたもれ」がある。秋田弁で「寄ってください」という意味。2003年5月の開店以降、不定期の移動式サロンも含め4000人以上が訪れた。

 ▽オアシス

 運営するのは自殺予防を考える民間団体「心といのちを考える会」。会長で住職の袴田俊英(はかまだ・しゅんえい)さん(49)は、店を「縁側のような場所」と表現する。農家の縁側でお茶を飲みながら世間話をしていた昔のように、誰でも集まれる場所を作ろうという発想から始まった。
 店を訪れる客の話をじっくり聞き、深刻な内容なら場所を移して相談に乗ることもある。つらい思いを抱えて涙を浮かべて来る客も、一緒にコーヒーを飲むことで癒やされるようだという。
 「機械化が進み、農作業が1人でできるようになったことで『人のつながり』が切れ、精神的な不安定さが生まれた」と袴田さん。「1人で悩まない状況を作ることが大切。誰かに『大変だ』と言える雰囲気をつくれば、自殺は少なくなるかもしれない」と期待する。
 店でくつろいでいた藤里町の村岡宏明(むらおか・ひろあき)さん(53)は「気軽に来られるオアシス。火曜になると『行かねばな』と思う。楽しみが増えた」とコーヒーを1口飲み、満足そうに目を細めた。

 ▽孤独より孤立

 秋田県が、地域社会でそれまで「タブー視」されがちだった自殺問題を正面から取り上げ、本格的な対策に乗り出したのは2001年度。
 地域の保健師や開業医が、自殺の背景にあるとされるうつ病の兆候を早期に発見し、専門医につなげるための研修などにいち早く力を入れてきた。体の不調は心の悩みが原因になっていることも多く、かかりつけの内科医などに「目利き」をしてもらうのが狙いだ。
 袴田さんらのような民間団体の活動もあり、07年の自殺者数は秋田県警のまとめで417人と前年より76人(約15%)減少。人口10万人当たりの自殺率は、発生地で集計する警察庁の統計では山梨県を下回ったが、自殺者の居住地でみる厚生労働省の人口動態統計では1995年から全国最悪が続いている。
 「独り暮らしより、大家族の中で暮らしている高齢者の方が『居場所がない』といった疎外感を感じやすい。孤独より孤立が問題」と秋田県の担当者。それでも手応えを感じているのか「『自殺率ワースト県』の返上はここ1、2年が勝負」と意気込んだ。

※秋田県の自殺者 

 秋田県の自殺者 秋田県警によると、県内の2007年の自殺者417人のうち男性は309人、女性は108人だった。年代別では60代が66人で約16%、70代以上が111人で約27%となっており、60歳以上が全体の40%以上を占めた。

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2008/6/25 「弟の死は労災」姉が究明 泣き寝入りせず声上げて 緊急連載企画「命つなぐために-自殺大国ニッポンのいま」5回続きの(3)  m3.comより転載

「弟の死は労災」姉が究明 泣き寝入りせず声上げて 緊急連載企画「命つなぐために-自殺大国ニッポンのいま」5回続きの(3)



記事:共同通信社
提供:共同通信社

【2008年6月25日】
 東京都内のマンション。諏訪裕美子(すわ・ゆみこ)さん(45)が事務所に使う部屋には、9年前に過労自殺した弟、達徳(たつのり)さん=当時(34)=の洋服や本などの遺品が並ぶ。裕美子さんは今年2月、「過労死の労災申請」(自由国民社刊)を出版した。「孤立しがちな遺族を励まし、救済の手助けになれば」との願いからだ。

 ▽もう疲れた

 機械メーカー勤務の達徳さんは1999年末、神奈川県内の自宅マンションから飛び降り自殺。裕美子さんによると、納期に追われ顧客対応にも苦労、1日11?18時間の長時間労働が続いていた。「僕は自転車をこいでいるようだ。疲れていてもこぎ続けなければならない。もう疲れた」と同僚に漏らしていた。
 裕美子さんは2000年1月、自殺は「仕事が原因」と労災申請。仕事の実態を明らかにするため、同僚や友人から証言を集めた。「会社の帰りや休日に会ったり、電話で話を聞いたが、1人では大変だった」。時間が足りず会社を辞めて奔走したが、情報は少なく思うようにいかなかった。
 証言や資料は労働基準監督署に出したが「労災認定にはどんなものが必要なのか分からずに悩んだ」。孤独な活動が2年過ぎたころ、人づてに「過労死を考える家族の会」などの存在を知った。「体験から得た情報集めのこつや、提出書類作成の仕方など実際に役立つ助言をもらえて救われた」と裕美子さん。申請から2年8カ月後、達徳さんの労災は認定された。

 ▽かつての自分

 その後起こした民事裁判は06年7月、会社側と和解。間もなくして知人から過労自殺の労災申請の相談を受けた。「こんな身近に同じ遺族が、と驚いた。教えてほしいことのリストを見た途端、何も知識がなく困っていたかつての自分が重なって」
 裕美子さんは、それまで心に温めていた遺族の労災申請の手助けとなる実用的な本の出版を決意、同じ思いを持つ共著者で社会保険労務士の色部祐(いろべ・ゆう)さんと動き始めた。
 「知りたいことを分かりやすく」と心掛け、自身の体験だけでなく、ほかの遺族がどんな要望を持っているのか聞き取り、本に反映させた。過労死、過労自殺の予防策も加え、遺族の教訓を生かした「危険信号」の見つけ方などを入れた。
 「周囲の偏見や会社の協力がなく労災申請をあきらめる遺族は少なくない。申請件数が増え社会の認識が高まれば、認定もされやすくなり、過労死、過労自殺のない社会実現にも役立つ。その一助になれば」。本に込めたもう一つの願いだ。

※ 過労自殺の認定

 過労自殺の認定 厚生労働省のまとめによると、2007年度の過労自殺(未遂を含む)の労災申請件数は164件で、03年度の122件に比べ34%増。認定件数は07年度が81件と03年度の40件から倍増。世代別認定件数では07年度は20-30代が44%を占めた。

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2008/6/25 日が昇るまで生きて 受話器握り、寄り添う 緊急連載企画「命つなぐために-自殺大国ニッポンのいま」5回続きの(2) m3.comより転載

日が昇るまで生きて 受話器握り、寄り添う 緊急連載企画「命つなぐために-自殺大国ニッポンのいま」5回続きの(2)



記事:共同通信社
提供:共同通信社

【2008年6月25日】
 蛍光灯の白い光の下、着信の赤ランプが瞬き続ける。夜の闇の向こうから、助けを求める声が押し寄せる。「日が昇るまで生きて」。相談者の苦しみを受け止めるのはボランティアの主婦や学生、会社員ら。「眠らない電話」で年間1万2000件超の相談を受ける民間団体、東京自殺防止センター(新宿区)を訪ねた。

 ▽消えたい

 午後8時、繁華街から離れたマンション2階の事務所。最初につながったうつ病の女性と話し始めて13分後、相談員の主婦(64)が聞いた。
 「死にたいと思うことはありますか」。本当の気持ちを吐き出してもらうための「死の問い」はどの相談員も必ず口にする。女性の答えは「消えてしまいたい」だった。
 「泣きたい時は泣いていいんですよ」と寄り添う相談員。40分ほど話して受話器を置くと、すぐ次の電話が入る。
 「疲れた。いろいろあって...」。また女性。ぽつり、ぽつりと話す。3人目は年配の男性。公園のベンチからだ。「首つりを考えているが周りに迷惑をかけたくない」
 午前零時。公衆電話の男性は、経験5年の男性相談員(31)に告げた。昼間も自殺しようとしたが踏ん切りがつかなかった。これからまたやるつもり。相談員は「死んでほしくない」と伝えたが、通話度数がなくなり切れた。「気掛かりです。またかけてきてほしい」
 東京自殺防止センターは1998年発足。ちょうど日本の自殺者数が3万人を超えた年だ。大阪で同様の取り組みをしていた西原由記子(にしはら・ゆきこ)さん(75)が開いた。所長の加藤勇三(かとう・ゆうぞう)さん(70)は「『生きたい』と『死にたい』の間で揺れる人の力を信じ、歩き出すのを待つのが大事」と話す。

 ▽10年前の宿題

 相談員を目指して研修中の高城洋子(たかぎ・ようこ)さん(54)=仮名=は10年前に弟を自殺で亡くした。死の数カ月前、東京から広島に帰省した際、本を読んでいた弟に声を掛けたのが最後のやりとりになった。「どう?」「ああ」。あの時、もっと話をしていたら?。
 弟にしてやれなかったことを誰かのために。10年間抱えてきた「宿題」だ。死のふちに立つ人の心の声をとことん聞き、生きていてと伝えたい。
 西原さんは、自殺者が後を絶たない現実に憤然とする。センターが命綱になってきた自負はある。だが、多くの人が希望を持てない社会。「国はもっと人々の『痛み』に目を向けてほしい」
 午前6時。電話が鳴りやむころ、窓の外には青い空が広がっていた。10時間で受けた相談は38件。つながらなかった電話もたくさんある。

※ 東京自殺防止センター 

 東京自殺防止センター 相談は毎日午後8時から翌午前6時まで、電話03(5286)9090。ほかに、自殺しようとしている人の求めに応じてスタッフが駆けつける「緊急訪問」や、事務所での面接相談なども実施している。

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2008/6/25 生きる価値はどこに 工場解雇の末、樹海へ 緊急連載企画「命つなぐために-自殺大国ニッポンのいま」5回続きの(1) m3.comより転載

生きる価値はどこに 工場解雇の末、樹海へ 緊急連載企画「命つなぐために-自殺大国ニッポンのいま」5回続きの(1)



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【2008年6月25日】
 凍傷で小指を失った右足が今もうずく。病気、解雇、借金...。あり地獄の底に落ちたかのような絶望から自殺を決意し、富士山のふもとに広がる冬の青木ケ原樹海をさまよい歩いた。生還後も仕事がなく、先の見えない日々が続く。「まだ、樹海の中にいるようなものかな」。愛知県出身の大沢忠雄(おおさわ・ただお)さん(45)=仮名=はそうつぶやいた。

 ▽震えながら

 心筋梗塞(こうそく)で倒れたのは3年前。命は取り留めたが不整脈のため軽勤務しかできなくなった。昨年6月に約12年間勤めた工場を解雇され、社宅も追い出された。車などで寝泊まりしながらハローワークに通ったが、病気と分かると相手にされない。生活が荒れ、消費者金融に手を出した。借金は150万円余りに膨らみ、追い詰められた。
 「おれなんか、生きている価値もないのかな」。11月、手元の30万円のうち20万円を、離れて暮らす70代の母に送り、生まれ故郷に寄ってから樹海に向かった。
 所持品はロープにカッターナイフ、焼酎のボトルと少しの食料。携帯電話は土中に埋めた。日が沈むと氷点下になる樹海で手首を切り、震えながら斜面に横たわった。
 「頭はからっぽ。『このまま静かに逝(い)きたい』とだけ考えていた」
 死に切れず2週間。樹海で倒れているところを地元の警察に保護された。「人間そんなに簡単には死ねないよ。とにかくここへ行きなさい」。署員から電車賃を渡され、「全国クレジット・サラ金被害者連絡協議会」(東京)に駆け込んだ。

 ▽死ぬ必要ない

 約5カ月入院し、現在は民間の保護施設で暮らす。生活保護は受けられるようになったが、借金を抱え、仕事がない現実は変わらない。「生きていてよかった、とはまだ言えない。体調は不安だけど無理してでも働いて、ここから脱出することが当面の目標です」
 全国クレジット・サラ金被害者連絡協議会で事務局次長を務める吉田豊樹(よしだ・とよき)さん(35)にも、自殺未遂の経験がある。
 ヤミ金融からの借金が一時約3000万円に上り、取り立てを苦に首をつったが、意識を失う前にベルトが切れた。テレビで協議会を知り相談。利息の過払い分を一部取り戻すことができた。
 「借金の解決は必ずできます!」。協議会は青木ケ原樹海に自殺防止を呼び掛ける看板を設置した。これまで33人が看板を見て相談の電話をかけてきた。いずれも自殺を思いとどまった。
 「借金で死ぬ必要はない」と吉田さん。「まずは身近な相談窓口が大切。ただ、借金の問題だけでなく、自立支援など包括的な施策が必要だ」と語気を強めた。

  ×  ×  ×  

 警察庁によると、昨年1年間に国内で自殺した人は約3万3000人。1998年以来10年連続で3万人を超えた。生きやすい社会とは何か。命をつなぐ手だてを模索する各地の動きを報告する。

※経済生活問題での自殺 

 経済生活問題での自殺 警察庁の統計によると2007年に経済生活問題で自殺した人は7318人で、健康問題に次いで2番目に多い。うち「多重債務」は1973人で約90%が男性。「借金の取り立て苦」「自殺による保険金支給」が原因や動機とみられる人も計320人に上る。

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月別

わが街  京都  ドクター ご紹介 - http://kanja.ds-pharma.jp/health/yotsu/doctor/078/index.htmlから転載
ドクターからのメッセージ
患者さん一人ひとりに合った治療を目指して
近畿京都府京都市
ひろしまクリニック 院長
廣島 芳城 先生
ひろしまクリニックについてはこちら
 腰痛の発生頻度や原因について教えてください。
上半身の重さは体重の約70%といわれています。その重さを支えているのが腰椎です。腰椎には椎体という骨の部分と椎間板という骨と骨の間に入っている部分があります。椎体は機械的な負荷により変形が進行し、また骨粗鬆症の進行とともに脆くなっていきます。椎間板も年齢とともに変性していきます。驚くことにこの変性は10歳の子供たちのすでに9%に起こっていると報告されています。治療を要する腰痛の発生頻度の調査では20歳代以上の年齢層ではほぼ同じくらい(40〜65%)で発生していることが報告されています。このような背景から近年、腰痛はもっとも有訴率が高い疾患になっています。大半の腰痛は数日間で治りますが、臀部痛や下肢痛を伴う腰痛は専門的な治療が必要になる場合も多いので注意しましょう。
 高齢者の下肢痛を伴う腰痛の多くは腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)という病気です。また激しい腰痛の場合、脊椎圧迫骨折のほか、非常にまれですが背骨の感染症(化膿性椎間板炎など)があります。免疫力が低下している方、糖尿病、ステロイドを内服中の方が罹りやすいので、患者さんは診察の時に既往歴や飲んでいる薬剤についても必ず医師に伝えていただきたいと思います。
 腰部脊柱管狭窄症の手術について教えてください。
最近では内視鏡を使った手術も増えてきました。内視鏡手術は患部が明るく拡大されて安全に行えることに加えて小さな傷と手術中の筋肉の損傷が少ない(低侵襲)ため早期に社会復帰できるという利点があります。しかしすべての方に内視鏡手術がよいという訳ではありません。狭窄箇所が多数ある場合などは内視鏡手術では従来の手術と比べて時間が長くなることもあり、心臓や肺などの病気であまり体力がない方などにとっては、総合的に考えて低侵襲とはいえないからです。どのような手術方法がその患者さんにとっていいのか、医師がメリットだけでなくデメリットについても説明しますので納得したうえで選択していただきたいです。
 腰痛の患者さんを診察するにあたってどのようなことを感じていらっしゃいますか?
腰痛の治療には画一的なものはありません。患者さんの病態がまったく同じものがないことは勿論のこと、治療には患者さんの社会的背景や満足度などを考慮することが必要だからです。
 いままで急性腰痛と慢性腰痛の違いはその罹患期間の違いと考えられてきましたが、近年、functional MRIを用いた研究が進み、痛みを感じたとき脳のどの部分が活動しているかわかるようになってきました。様々な研究報告によれば、慢性腰痛は急性腰痛と単に病気の期間の違いではなく、患者さんの心理社会的要因がかかわっている可能性が示されています。事実そうであれば、たとえ外傷で起こった急性腰痛も心理的な要因で慢性期に移行していく可能性があります。そうするとお医者さんと患者さんの関係は大変重要になります。お医者さんが患者さんを励まし、勇気づけ、また、安心感を与えることによって、急性腰痛が慢性に移行することを防ぐことができるかもしれないからです。利害得失の説明や、個人的、社会的背景を考慮した治療方法の提示。そして、患者さんのQOLや満足度の重視。この三つをもって、患者さんの価値観を尊重し、個人個人に合う治療法を提示するというのが、今一番求められていることなのではないかと感じています。





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ドクターからのメッセージ
放っておいて大丈夫?その痛み、そのしびれ
近畿京都市東山区
京都第一赤十字病院整形外科 副部長
大澤 透 先生
京都第一赤十字病院についてはこちら
 立つ、歩く・・・このような生活の基本というべき動作に支障を感じることはありませんか?
生活に影響をおよぼす腰痛疾患として、ぎっくり腰、ヘルニアなどをよく耳にしますが、とくに高齢の方に多い「腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)」という疾患もあります。あまり知られていませんが、加齢現象の1つとして腰骨(腰椎)が変性したために周辺の神経が圧迫され、立つ・歩くなどの負荷に伴って、いわゆる坐骨神経痛と言われるお尻から太腿の後ろ側にかけた痛みや、つっぱり感、しびれなどが起こるものです。長い距離が歩けなくなり、重症の場合は100mでも困難になりますが、しばらく前かがみで休むと再び歩けるようになるという「間欠跛行(かんけつはこう)」も特徴的な症状の一つです。
 年を重ねることで、腰椎の変性が起こる方もあれば起こらない方もあり、変性したからといって必ず症状があらわれるとも限りません。腰部脊柱管狭窄症が進行した場合、もっとも典型的にあらわれる症状は残尿感ひいては失禁などの膀胱直腸障害ですが、このように重症化する方もあれば、慢性的な症状に悩みながら一生付き合っていく方、あるいは急激な痛みのピークを過ぎた後に沈静化する方もあり、全ては人それぞれです。しかし、症状が進行し始めると一気に悪くなり始めるポイントがあり、やがては脱力感や麻痺などが起こります。
 症状のあらわれ方は千差万別ですが、50代以上で思い当たる症状のある方は、適切な治療を受けることで改善する可能性が十分あります。よほど重症化していない限り、治療は血流改善剤や鎮痛剤などの内服薬と、コルセットや運動、牽引などの理学的な施術を併用する保存療法が効を奏します。さらに急性期の痛みにはブロック麻酔を数回行い、それでも患者さんが満足を得られる結果にならなければ手術を検討するというように、治療は段階的に効果を確かめながら進みます。
 手術では、100%とまではいきませんが、痛みの症状を中心に6〜7割の改善は見られます。ただし、一度傷ついた神経の細胞は元に戻らないため、進行していればしているほど残る症状も多く、程度も大きくなります。しかし、手術そのものの危険は少なく、方法も確立されているため、高齢であることを理由に手術を避ける必要はありません。
 現在は、ただ寿命を長くすることよりも、すこやかに過ごせる寿命―「健康寿命」を延ばすことの大切さが言われています。腰部脊柱管狭窄症など腰痛を伴う病気は命にかかわるものではありませんが、その症状によって、立つ・歩くなど生活の基本的な動作をはじめ、仕事や趣味などの活動にも大きな影響がおよびます。好きなことが好きなようにできることは、生活に満足感を得るための大切な要素ですが、腰痛によって動作や活動に制限が生じると、生活の満足感が損なわれる可能性があります。しかしそのとき、症状に合わせて活動の幅をせばめてしまうか、今の生活に合わせられるように症状を改善するかはあなた次第です。従来は50〜60歳の方が多かった腰部脊柱管狭窄症の患者さんですが、最近は70代、80代の方も大勢おられます。とくに高齢の方でも元気な方、元気だからこそ「腰痛を治してもっと動きたい」と思う方が、病院を受診されています。また、日頃から活発に出歩いているからこそ、不調にも早く気付くことができるのでしょう。
 元気に動けるときはどんどん動き、立ったり歩いたりといった基本動作に支障があらわれたとき、あるいは1カ月以上原因の思い当たらない腰痛に悩んでいるときは、自己判断で放置しないでください。足腰の痛み・しびれを起こす病気には血管の病気も含まれます。それを鑑別するためにも、ぜひ整形外科を受診してください。



ドクターからのメッセージ
腰痛のさまざまな対処法をアドバイスします
近畿京都府京都市
京都市立病院 整形外科
田中 真砂史(たなか まさし) 先生
自己診断で治療を始める前に、腰痛の原因を正確に診断することが大切です
最近は鍼治療の研究も進んできたので、まず接骨院や鍼灸治療に行かれる腰痛の患者さんも少なくないようです。患者さんにとっては痛みが取れればよいわけですから、比較的入りやすい窓口に行かれる気持ちはよく分かります。
しかし、これらの治療を長く受けていた後、整形外科に回ってきた患者さんのなかには、がんの転移が腰痛の原因だったケースもあります。腰痛は骨や関節など運動器の障害だけでなく、がんや感染症、内臓疾患や心理面から起こるものなど、さまざまな原因によって起こることを知っておいてください。
私は、西洋医学(整形外科)と東洋医学(鍼治療など)のどちらの窓口から慢性の腰痛の治療に入っても構わないと思っていますが、腰痛の原因を検査しておく必要があります。そこで、一度は整形外科で正確な診断をしておけば、安心して腰痛の治療を続けられるのではないでしょうか。
腰部脊柱管狭窄症の治療法には、さまざまな選択肢があります
腰痛の原因疾患のなかでも、腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)は60〜70歳代によくみられる疾患です。腰部脊柱管狭窄症は、下肢のしびれ感や痛み、間欠性跛行(かんけつせいはこう)(しびれや痛みが出てきて休み休みでないと歩き続けられなくなる状態)が特徴です。いずれも、生活を送るうえでの大きな障害となります。間欠性跛行は閉塞性動脈硬化症(へいそくせいどうみゃくこうかしょう)のような足の血管の動脈硬化でも同じように起こるため、このような患者さんに下肢の動脈硬化の状態を測定することもあります。また、下肢痛は糖尿病による末梢神経障害でも起こります。そこで、見た目は腰部脊柱管狭窄症のような症状であっても、他の原因で起こった症状かどうかを詳しく診断する必要があります。
腰部脊柱管狭窄症を含めて慢性腰痛の約5割は薬物治療で改善し、3〜4割はブロック注射で痛みが取れています。整形外科を受診すると「すぐに手術」と心配される患者さんもいるようですが、保存的な治療から開始し、患者さんと相談して手術の必要な人には手術をお勧めします。
腰部脊柱管狭窄症の治療は、まずは血流を改善するプロスタグランジンE1(PGE1)製剤や筋弛緩薬の内服から始めます。とくに、PGE1製剤は間欠性跛行の改善が期待でき、服用し始めてから2〜3週間で「長く歩けるようになった」など、患者さん自身で効果を実感することができます。胃潰瘍などの副作用を予防するため、消炎鎮痛剤は痛みが強いときだけ服用してもらうようにしています。これらの薬物治療を1か月ほど試し、症状が改善していればこのまま続けるか、内服量を減らしていき、内服を中止する方向へもって行きます。
薬物治療で改善がみられない患者さんには薬物治療に加えて理学療法(牽引や温熱療法など)、神経ブロック(仙骨硬膜外ブロックや神経根ブロック)、あるいはトリガーポイント注射などを行います。
治療法の選択肢は、腰痛の原因によってさまざまです。医師と相談して適切な治療に取り組んでください。


腰痛 ― 予防体操 ―
(10)予防体操まとめ 8ポーズ1日2回理想
2007年9月7日 読売新聞)

 今回は最終回。腰痛予防に効果的と思われる動きを、一連の流れに組み込んだ体操を紹介する。これまで紹介した動きも入っている。時間に余裕のあるときなどに試してほしい。それぞれの動きを各10回行う。
 〈1〉床に寝て、ひざを軽く曲げ、背中で床を押すように、おなかに力を入れる。
 〈2〉続いて、同じ姿勢から腰を浮かせる。頭や肩、足の裏を床につけておくのがポイント。
 〈3〉同じ姿勢で、片ひざを胸に引きつけ、お尻などの筋肉を伸ばす。左右交互に。
 〈4〉両ひざを抱え、ひざに頭を近づけるように体を丸め、背中の筋肉を伸ばす。
 〈5〉もう一度寝ころび、片足ずつ、ひざを伸ばしたまま、できるだけ高く上げる。つま先を上げるようにして、アキレスけんも含め、足の後ろ側全体を伸ばす。
 〈6〉両ひざを曲げて寝ころび、へそをのぞき込むように、両肩を持ち上げる。腹筋に力を入れるのが狙い。
 〈7〉四つんばいになって、足を片方ずつ上げ、まっすぐ伸ばす。お尻の筋肉を鍛えるのが狙い。腰を反らしたり、ひねったりしないよう注意する。
 〈8〉イスに座って、足を開き、上体を前にかがめ、背中の筋肉を伸ばす。
 この一連の体操を、1日2回できれば理想的だ。(埼玉医大整形外科准教授・白土修さん監修)