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京都市下京区/富士鍼灸整骨院(ふじしんきゅうせいこついん)

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2008/11/12 大野病院事件は終わっていない 福島県立医科大・佐藤氏 m3.comより転載

大野病院事件は終わっていない 福島県立医科大・佐藤氏
 
 

記事:Japan Medicine
提供:じほう

【2008年11月12日】

 「現場からの医療改革推進協議会」の第3回シンポジウムが8、9の両日、東京大医科学研究所で開かれた。福島県立医科大産婦人科教授の佐藤章氏は8日、医師が不当に刑事訴追されるケースが繰り返されることのない法的な環境整備を求めるとともに、医師の自浄作用によって死因究明が行われる体制を整備する必要性を強調した。
 「県立大野病院事件は終わっていない。また同じことが起きる」
  佐藤氏は、医師法違反などに問われたものの警察が控訴を断念、無罪が確定して現場復帰を果たした加藤克彦医師の教官で、初公判から結審まで欠かさず傍聴した。
  福島地裁が判決で、過失なき診療行為をもってしても避けられなかった結果といわざるを得ない、との見解を示した点に佐藤氏は、「医師の裁量まで踏み込むのは難しいという判断だったのだと思う」と分析した。
  その上で佐藤氏は、「医学的根拠のない医療事故に限って業務上過失致死を適用することにしてほしい」と刑法220条の規定を変える必要性を訴えた。医師法第21条の異状死の届け出についても、「医療現場の外で発生した死亡に限るべきだと思う」との考えを強調した。
  検察当局の方針により、県立病院事件以降、医療事故で医師の刑事責任を追及する姿勢は沈静化傾向にあるとされるが、「半年過ぎれば(幹部が交代して)同じ理由で刑事訴追が起きる可能性は十分にある」と話す。
  厚生労働省の 医療安全調査委員会設置法案(仮称)大綱案の届け出の範囲については、「重大な過失というが、どの程度が重大なのか不明確」などとして反対姿勢を示した。一方で、「医師が自浄作用を働かせる仕組みの必要性を痛感した」と医療者が主体的に診療関連死の原因究明を行うシステムを構築する必要性を訴えた。
  大野病院事件の教訓については、癒着胎盤を事前に診断する方法の開発などを「専門家としてわれわれがなすべき仕事」(佐藤氏)と位置付けた。さらに「医療には限界があるという現実と、医療者もご遺族に寄り添いたいという気持ちを行動で示すべき」という思いから、代表を務める「周産期医療の崩壊をくい止める会」で、募金を始めたことも報告した。
  産科の無過失補償制度は、対象を脳性麻痺で死亡した新生児に限り、死亡した妊婦を含んでいない。「救済の網がかかるまで何年かかるか分からない。だったら自分たちでやってみようと思った」のが理由という。
  募金の趣旨は、周産期医療の崩壊をくい止める会のホームページ(http://plaza.umin.ac.jp/~perinate/cgi-bin/wiki/wiki.cgi)で閲覧できる。10月末時点での募金総額は320万円を超えた。振込口座番号など詳細は、周産期医療の崩壊をくい止める会 事務局(E-mail=perinate-admin@umin.net)へ。
 
Copyright (C) 2008 株式会社じほう

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2008/10/14 無罪の産科医が勤務再開 民間病院で常勤に m3.comより転載

無罪の産科医が勤務再開 民間病院で常勤に
 
 

記事:共同通信社
提供:共同通信社

【2008年10月14日】

 福島県立大野病院で2004年、帝王切開で出産した女性=当時(29)=が死亡したことをめぐり、業務上過失致死罪などに問われ、無罪が確定した産婦人科医加藤克彦(かとう・かつひこ)さん(41)が14日、民間の会津中央病院(同県会津若松市)で勤務を再開した。
 同病院によると、加藤さんは産婦人科の常勤医として、外来診察や手術などを担当する。武市和之(たけいち・かずゆき)病院長は「特別扱いはしない。地域のために、一人でも多くの元気な赤ちゃんを取り上げてほしい」としている。
 加藤さんは県職員として県立大野病院に勤務していたが、06年に逮捕、起訴された後、休職扱いになっていた。無罪が確定した今年9月、県が復職の辞令を出したが、民間病院で働くことを決めた。
 加藤さんは弁護団を通じて「地域医療のため頑張っていく」とコメントしており、主任弁護人を務めた平岩敬一(ひらいわ・けいいち)弁護士は「無事、医師として仕事ができるようになってよかった」と話している。

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2008/10/3 帝王切開死 大野病院医師復職 YOMIURI ONLINEより転載

帝王切開死 大野病院医師復職
 
 
2008年9月5日  読売新聞)
 
 福島県立大野病院で2004年、帝王切開手術を受けた女性(当時29歳)が死亡した医療事故で、業務上過失致死罪に問われた加藤克彦医師(40)を無罪とした福島地裁判決が4日、確定した。これに伴い、休職中だった加藤医師は4日、復職した。県は、加藤医師から希望などを聞き、具体的な勤務先を決める。
 

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2008/10/3 帝王切開死「無罪」医師の減給取り消し YOMIURI ONLINEより転載

帝王切開死「無罪」医師の減給取り消し

 
 

2008年10月2日  読売新聞)
 
 福島県立大野病院で2004年に帝王切開手術を受けた女性(当時29歳)が死亡した医療事故で、県病院局は1日、業務上過失致死罪などに問われ、無罪判決が確定した産婦人科医加藤克彦さん(41)の減給処分(1か月、10分の1)を取り消した。
 病院長への戒告処分も取り消した。
 同局は05年6月、専門家による事故調査委員会の報告書を基に、加藤さんを処分した。しかし、8月の無罪判決を受けて再検討し、判決の方が精密で客観性が高いとして、処分を取り消すことにした。

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2008/9/17 無罪産科医が勤務再開へ 10月中旬から民間病院に 他 m3.comより転載

無罪産科医が勤務再開へ 10月中旬から民間病院に
 
 

記事:共同通信社
提供:共同通信社

【2008年9月17日】

 福島県立大野病院で2004年、帝王切開で出産した女性=当時(29)=が死亡した事故で、業務上過失致死罪などに問われ、無罪が確定した産婦人科医加藤克彦(かとう・かつひこ)さん(41)について、平岩敬一(ひらいわ・けいいち)弁護団長は16日、民間の会津中央病院(福島県会津若松市)で10月中旬から勤務を再開することを明らかにした。県職員は辞職する。
 加藤さんは県職員として県立大野病院に勤務していたが、06年に起訴され、休職になっていた。無罪が確定した今月、県病院局が辞令を出し、復職した。
 加藤さんは弁護団を通じ「地域医療のため頑張っていく」とのコメントを出した。





加藤医師、産科医復帰 来月中旬から会津中央病院で 福島・大野病院医療事故
 
 

記事:毎日新聞社
提供:毎日新聞社

【2008年9月17日】

大野病院医療事故:加藤医師、産科医復帰 来月中旬から会津中央病院で /福島

 大熊町の県立大野病院で04年、帝王切開手術中の女性(当時29歳)が死亡した医療事故で、業務上過失致死などの罪に問われ、無罪が確定した加藤克彦医師(41)の弁護団は16日、加藤医師が会津若松市鶴賀町の「会津中央病院」(930床、武市和之院長)に産婦人科医として復帰すると発表した。県職員を辞職し、10月中旬から勤務するという。
 関係者によると、加藤医師は県内での復帰を希望し、子宮筋腫治療の勉強のため、最先端の機器を備えている同病院で復帰することになった。産婦人科の常勤医が現在、3人いることも決め手になった。
 加藤医師は弁護団を通じて「微力ですが、産婦人科医として地域医療のために頑張っていく」とのコメントを発表した。【松本惇】

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2008/9/4 産科医の無罪確定 帝王切開死の大野病院事件 他 m3.comより転載

産科医の無罪確定 帝王切開死の大野病院事件
 
 

記事:共同通信社
提供:共同通信社

【2008年9月4日】

 福島県大熊町の県立大野病院で2004年、帝王切開で出産した女性=当時(29)=が死亡した事故で、業務上過失致死などの罪に問われた産婦人科医加藤克彦(かとう・かつひこ)医師(40)に無罪を言い渡した福島地裁判決が3日、控訴期限を迎え、4日午前零時で無罪が確定。
 福島地検は地裁の判断を覆すのは困難として控訴断念を決めていた。
 県病院局は4日、休職中の加藤医師に復職の辞令を出す。勤務先などは本人の意向を含めて決めるとしており、減給とした処分について見直しも検討する。遺族から賠償の要望があれば交渉に応じるとしている。
 加藤医師は、大量出血を予見できたのに子宮に癒着した胎盤を無理にはがして失血死させたとして逮捕、起訴された。福島地裁は8月20日、死亡を警察に届けなかったとされた医師法違反罪も含めて無罪(求刑禁固1年、罰金10万円)を言い渡した。





医師の無罪確定 福島県、事故調報告書を見直しへ 大野病院医療事故
 
 

記事:毎日新聞社
提供:毎日新聞社

【2008年9月4日】

大野病院医療事故:医師の無罪確定 県、事故調報告書を見直しへ /福島

 大熊町の県立大野病院で04年、帝王切開手術中の女性(当時29歳)が死亡した医療事故で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた加藤克彦医師(40)に対する福島地裁の無罪判決について、福島地検は3日の控訴期限までに手続きせず、4日午前0時で無罪が確定。県は判決を精査し、加藤医師の過失を認めた05年の事故調査委員会の報告書を慎重に見直していく。
 加藤医師は06年4月から休職扱いとなったが、県病院局によると、無罪確定で4日から復職扱いとなる。県は事件後、常勤医が1人しかいない「1人医長」を避けるため、産婦人科医を特定の病院に集約しており、大野病院では産婦人科を再開しない予定。同局は復職先について「加藤医師の意向を聴いた上で対応を決める」としている。今後、加藤医師本人や当時の手術スタッフ、専門家らからヒアリングし、05年の報告書の見直しを進めていく。
 検察側が8月29日に控訴断念の方針を明らかにした際、加藤医師は「心中ほっとしております。(逮捕からの)2年6カ月はとても長かったです。これからも地域医療に精いっぱい取り組んでまいります。改めて患者さんのご冥福をお祈り申し上げます」とのコメントを発表。医療現場に復帰する意向を示していた。【松本惇】

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2008/9/1 公正な事故調査はぜひ必要 医療の刑事裁判には限界 核心評論「大野病院事件控訴断念」 (7) m3.comより転載

公正な事故調査はぜひ必要 医療の刑事裁判には限界 核心評論「大野病院事件控訴断念」 (7)
 
 

記事:共同通信社
提供:共同通信社

【2008年9月1日】

 出産の帝王切開中に大量出血で女性を死亡させたとして産科医が業務上過失致死罪などに問われた福島県立大野病院事件で検察側は控訴を断念、福島地裁が8月20日に言い渡した無罪判決が確定することになった。
 記録の改ざんや隠ぺいがなかった通常の診療行為で医師が逮捕された初のケース。医療界が挙げて猛反発、最後は捜査当局の"撤収"で幕を下ろす異例な展開だった。
 そもそも警察の逮捕は行き過ぎで、そのボタンの掛け違いに検察側が引きずられた。控訴審で無罪を覆すのは難しい。控訴断念は妥当だろう。
 必要なのは、事件から教訓をくみ取ることだ。
 第1に医療の刑事裁判には限界がある。過失の有無をめぐって個人の責任を問う刑事裁判に医療事故の真相解明で過度な期待はできない。今回も、癒着した胎盤のはく離が大量出血による女性の死亡につながったが、その手術だけが審理され、大野病院で手術した是非や救命の可能性、産科医療の態勢まで踏み込んでいない。
 第2に、今回の判決は「標準的な医療措置」ならば医師の注意義務違反に当たらないと、業務上過失致死罪を医療事故に適用する基準を示した。これで医療行為が刑事責任から解放されたとみるのは間違いである。標準を逸脱して重大な過失があれば、刑事責任が追及される可能性は残る。
 今回の無罪判決で、医療事故の捜査にブレーキがかかりそうだが、実際には、医療現場で隠されているミスはある。医療の厚い壁に阻まれて、医療事故の真相が闇に包まれたまま、不満を抱く遺族は少なくない。医療事故での適正な捜査まで停止するような事態は避けなければならない。
 医療事故の真相を解明するのに、限界のある裁判という手段しかないのは不幸な現実である。公正な医療事故調査の仕組みの構築が欠かせない。医療機関の自主的な情報公開と事故調査の必要性も一層高まっている。医療界が自浄作用を発揮すべきなのは当然だ。その責任は重い。
 中立的な医療事故調査委員会の設立については、厚生労働省や民主党、一部の医学会の案が出そろっている。このうち、調査結果が刑事捜査や行政処分に使われる可能性のある厚労省の案には、医師の反対が根強い。医療界や司法の意見を聞きながら、十分に議論して構築を目指すべきだ。
 患者や家族には真相解明を求める権利がある。大野病院事件で死亡した女性の遺族は無罪判決後の会見で「今後の医療界に不安を感じる」と述べて配布した文書で「事故の原因を追究して反省すべき点は反省し、再発防止に生かすべきだ」と訴えた。医療界は無罪確定に慢心せず、この提言を受け止め、患者と連携する道を探るときだろう。
 大野病院事件の無罪を、崩れかけた産科医療の修復や医療安全の一つの出発点としたい。

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2008/9/1 関係者談話 (6) m3.comより転載

関係者談話 (6)
 
 


記事:共同通信社
提供:共同通信社

【2008年9月1日】

▽判断覆すことは困難

 福島地検の村上満男(むらかみ・みつお)次席検事の話 控訴しても裁判所の判断を覆すことは困難と判断した。逮捕、拘置したことは当時の判断として正当だったと思う。今回の裁判所の判断を受け、今後はより慎重かつ妥当に捜査したい。遺族に対しては、あらためて「お悔やみを申し上げます」と言うしかない。

▽逮捕に間違いはない

 佐々木賢(ささき・まさる)・福島県警刑事総務課長の話 県警としては法と証拠に基づいて必要な捜査を行ったもので、(医師の)逮捕に間違いはない。医療行為をめぐる事件については今後も本判決を踏まえ、慎重かつ適切に捜査をしたい。地検の判断はコメントを差し控える。

▽ほっとしている

 加藤克彦(かとう・かつひこ)医師の話 心中ほっとしております。(逮捕からの)2年6カ月はとても長く、支えてくださった皆さまに大変感謝しております。これからも地域医療に私なりに精いっぱい取り組んでまいります。あらためまして患者さんのご冥福をお祈り申し上げます。

▽当然の結論
 
 加藤医師の弁護団の話 検察官の主張について全く立証されていない本件では控訴断念が当然の結論。無罪確定により、産科を中心とする医療現場全般に与えた悪影響の収束を期待する。

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2008/9/1 法相「訴追は謙抑的に」 控訴断念で見解表明異例 (5) m3.comより転載

法相「訴追は謙抑的に」 控訴断念で見解表明異例 (5)
 
 

記事:共同通信社
提供:共同通信社

【2008年9月1日】

 福島地検が福島県立大野病院事件の産科医への無罪判決に対する控訴断念を表明した29日午後、保岡興治法相が記者会見し、事件に関するコメントは控えると前置きした上で「医療事故の刑事訴追は設置が検討されている医療安全調査委員会といった第三者委員会の専門的判断を尊重し、謙抑的に対応すべきだ」との見解を示した。
 法相が個別の事件に関連し、間接的ながらも意見を述べるのは異例。
 会見で保岡氏は「医療が萎縮(いしゅく)してはいけない。第三者委員会の1日も早い設置が望まれる。法相として必要な協力をしていきたい」と強調。
 その上で「政府与党が第三者委員会の構想を準備し、今国会での法案成立を期しているところ。刑事司法の謙抑的な対応は事実上始まると思う」と語った。

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2008/9/1 刑事介入めぐり見直し論も 安全調査委、被害者は危惧 (4) m3.comより転載

刑事介入めぐり見直し論も 安全調査委、被害者は危惧 (4)
 
 

記事:共同通信社
提供:共同通信社

【2008年9月1日】

 福島地検が29日、控訴断念を発表し、無罪判決が確定することになった大野病院事件。国は事件をきっかけに、医療事故の原因究明に当たる第三者組織「医療安全調査委員会」(仮称)創設に乗り出したが、悪質事例の警察への通知など刑事介入の余地を残した点について、見直し論が強まる可能性が出ている。
 厚生労働省は秋の臨時国会に安全調査委の設置法案を提出する構えだが、警察への通知をめぐって医療界の一部が強く反発。日本救急医学会の堤晴彦(つつみ・はるひこ)理事は「厚労省の素案では、医師が刑事訴追される基準があいまいで不安を感じる。控訴断念が、安全調査委の在り方を見直すきっかけになることを期待する」と話す。
 安全調査委創設は、大野病院事件で福島県警が産科医を逮捕したことに危機感を募らせた医療界の強い声が背景にある。厚労省の幹部は「(無罪確定で)警察・検察が医療事故への介入を控えるようになれば、『安全調査委は必要ない』という声すら出てくるのではないか」と浮かない顔で話す。
 こうした動きを医療事故被害者らは危惧(きぐ)。都立広尾病院の薬剤誤投与事件で妻を亡くした「医療の良心を守る市民の会」の永井裕之(ながい・ひろゆき)代表は「安全調査委の論議が後退すれば、医療への国民の信頼は失われる。医療の透明性を高めるために、まずは安全調査委を設立した上で足りない面を見直せばいい」と訴えている。

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2008/9/1 「起訴は間違っていない」 検察、語気強める場面も (3) m3.comより転載

「起訴は間違っていない」 検察、語気強める場面も (3)
 
 

記事:共同通信社
提供:共同通信社

【2008年9月1日】

 福島県立大野病院事件で控訴を断念した福島地検の村上満男(むらかみ・みつお)次席検事は29日、表情を変えずにコメントを読み上げた。時折目をつむり言葉を選びながら説明した。
 「福島地裁判決は望ましいものではなかったか」と報道陣が確認すると「もちろんそうだ」と気色ばむ場面も。「起訴自体は法律と証拠に基づいており、間違っていない」と言い切った。
 「癒着胎盤の症例が少ないことも断念の理由か」との質問には「理由ではない。新たな証拠が出せないから断念したのではない」と語気を強めた。
 「今回の判決を受け、より慎重かつ妥当に捜査したい」とも。遺族に対しては「お悔やみ申し上げます、と言うしかない」と言葉少なに語った。
 事件で死亡した女性=当時(29)=の父渡辺好男(わたなべ・よしお)さんは取材に応じ、地検の控訴断念について淡々とした様子で「コメントはない」と話した。
 一方で「知りえなかったことが捜査や公判で分かった。自分たちで追及しても限界があった。医療界は(真相究明に)前向きに見えなかったから」と捜査当局にあらためて謝意を示した。
 その上で「有罪、無罪に関係なく、医療界は原因究明を進めてほしい。娘の死を再発防止に生かして」と力を込めた。

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2008/9/1 捜査不備、異例の1審終結 (2) m3.comより転載

捜査不備、異例の1審終結 (2)
 
 

記事:共同通信社
提供:共同通信社

【2008年9月1日】

 【解説】福島県立大野病院事件で産婦人科医を無罪とした福島地裁判決に対し福島地検が29日、控訴を断念した。検察、弁護側が全面対決した大型事件が1審で終結するのは異例で、主張に沿う症例や鑑定人を確保できなかった検察側の見立ての甘さを露呈した。
 従来は医師の裁量とされた領域に踏み込んだ捜査の割に、緻密(ちみつ)さが欠けたとの批判は免れまい。逮捕、起訴で全国の産科医不足に拍車を掛け、医療の萎縮(いしゅく)を招いたとされる事件の影響は、すぐにはぬぐえないだろう。
 判決は「一部の医学書や鑑定だけで、根拠となる臨床症例を何ら示していない」と痛烈に検察側の立証不足を指摘した。これを覆すには新たな鑑定人確保などが必要で、控訴に高いハードルを課した論理構成だったともいえよう。
 しかし捜査当局の介入が真相究明の一助につながったことも事実だ。産科医が先輩や助産師から、ほかの病院での手術実施などを助言されたのに応じなかったことは捜査で発覚した。死亡女性の遺族は「知らされなかったことの一部が公判で分かった」と話した。
 閉鎖性が指摘される医療界は無罪確定にただ安堵(あんど)していいわけではない。国が医療事故を第三者の立場から原因究明する新組織の設置を目指しているが、患者や遺族の不信解消に向けて医療界も努力が一層求められる。

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2008/9/1 検察が控訴断念 産科医の無罪確定へ 帝王切開死の大野病院事件 (1) m3.comより転載

検察が控訴断念 産科医の無罪確定へ 帝王切開死の大野病院事件 (1)



記事:共同通信社
提供:共同通信社

【2008年9月1日】

 福島県大熊町の県立大野病院で2004年、帝王切開で出産した女性=当時(29)=が手術中に死亡した事件で、業務上過失致死などの罪に問われた産婦人科医加藤克彦(かとう・かつひこ)医師(40)を無罪とした福島地裁判決について、福島地検は29日、控訴断念を決めた。無罪が確定する。
 医療行為をめぐり医師が逮捕、起訴され、医療界の反発を招いた異例の事件は1審で終結する。地検は、主張の根拠となる臨床例の提示や新たな鑑定人確保などが困難と判断したとみられる。
 公判では、子宮に癒着した胎盤をはがし続けた判断の是非が最大の争点になり、20日の判決は「標準的な措置だった」と過失を否定した。
 検察側は「直ちに子宮を摘出すべきだった」としたが、判決は「根拠となる臨床症例を何ら示していない」と退け、立証が不十分と批判。「ほとんどの医師が従う程度の一般性がなければ刑罰を科す基準にならない」と指摘した。
 福島地検の村上満男(むらかみ・みつお)次席検事は「裁判所の要求する一般性の程度も考え方としてあり得る。判断を覆すのは困難と判断した」と説明。「控訴に際し原則、新たな証拠提出ができないことも影響した」とも述べた。
 加藤医師は04年12月、女性の帝王切開手術を執刀した際、大量出血を予見できたのに、子宮に癒着した胎盤を無理にはがして失血死させたとして逮捕、起訴された。判決は、死亡を警察に届けなかったとされた医師法違反罪も含めて無罪(求刑禁固1年、罰金10万円)を言い渡した。

▽大野病院事件

 大野病院事件 福島県大熊町の県立大野病院で2004年、帝王切開で出産した女性が死亡。子どもは助かった。県の調査委員会が医療ミスを認める報告書を公表、これが捜査の端緒となり、県警は06年、子宮に癒着した胎盤をはがす「はく離」を無理に継続し大量出血で死亡させたとして、業務上過失致死などの疑いで執刀した産婦人科医加藤克彦(かとう・かつひこ)医師を逮捕した。「医療が萎縮(いしゅく)する」と医療界は猛反発。全国的な産科医不足に拍車を掛けたとされ、第三者の立場で医療死亡事故を究明する国の新組織が検討されるきっかけにもなった。

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2008/8/29 「帝王切開」大野病院事件、福島地検が控訴を断念 YOMIURI ONLINEより転載

「帝王切開」大野病院事件、福島地検が控訴を断念
 
 
 
2008年8月29日20時50分  読売新聞)
 
 福島県立大野病院で2004年、帝王切開手術を受けた女性(当時29歳)が死亡した医療事故で、業務上過失致死罪などに問われた加藤克彦医師(40)に無罪を言い渡した福島地裁判決について、福島地検は29日、控訴を断念すると発表した。
 裁判では、子宮に癒着した胎盤をはがし続けた加藤医師の処置が医学的に妥当だったかが争点になったが、20日の判決は、検察側の立証について「根拠付ける臨床例を何ら示していない」と指摘していた。
 控訴断念の理由について、同地検の村上満男次席検事は「控訴しても裁判所の判断を覆すのは困難と判断した」と述べた。
 現在、休職中の加藤医師は、「ほっとしています。(逮捕後の)2年6か月はとても長かった。これからも地域医療に私なりに精いっぱい取り組んでまいります。改めて(亡くなった)患者さんのご冥福(めいふく)をお祈り申し上げます」と、弁護団を通してコメントを出した。
 一方、死亡した女性の父、渡辺好男さん(58)は、読売新聞の取材に対し、「娘が死ななければならなかった理由は十分明らかになっていないと思う。有罪、無罪に関係なく、それを知りたい」と語った。

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2008/8/28 帝王切開死 産科医無罪 検察、控訴断念の方向 他 @nifty.comおよびYOMIURI ONLINEより転載

帝王切開死 産科医無罪 検察、控訴断念の方向
 
 
 
2008年8月28日(木)16時11分配信 産経新聞
 
 福島県大熊町の県立大野病院で平成16年、帝王切開で出産した女性=当時(29)=が手術中に死亡した事件で、業務上過失致死などの罪に問われた産婦人科医の加藤克彦医師(40)を無罪とした福島地裁判決に対し、検察当局が控訴を断念する方向で検討に入ったことが28日、分かった。検察当局は、主張の前提となる臨床例の提示や、新たな鑑定人確保が困難な事情などを慎重に検討しているとみられる。
 同事件は通常の医療行為で医師が逮捕、起訴されたことに医療界が反発。全国的な産科医不足にも拍車を掛けたとされ、検察の対応が注目されている。
 20日の福島地裁判決で鈴木信行裁判長は、子宮に癒着した胎盤をはがす「剥(はく)離(り)」を加藤医師が続けた判断の是非について「標準的な措置だった」と過失を否定した。
 検察側は公判で「直ちに子宮を摘出すべきだった」と主張したが、判決は「根拠となる臨床症例を何ら示していない」と立証不備を指摘。大量出血の予見可能性など検察側の構図を一部は認定したものの、禁固1年、罰金10万円の求刑に対し無罪を言い渡した。
 
 
 
 
大野病院医師に無罪判決…検察側、控訴断念へ
 
 
2008年8月28日  読売新聞)
 
 福島県立大野病院で2004年、帝王切開手術を受けた女性(当時29歳)が死亡した医療事故で、業務上過失致死罪などに問われた加藤克彦医師(40)に無罪を言い渡した福島地裁判決について、検察当局が控訴を断念する方向で最終調整していることがわかった。
 加藤医師は、帝王切開手術のミスによる大量出血で女性を死亡させたうえ、死亡を警察に届けなかったとして、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われ、裁判では、子宮に癒着した胎盤をはがし続けた処置が医学的に妥当だったかどうかが争点になった。
 今月20日の判決は、「子宮摘出手術に移るべきだった」とする検察側の主張について、「根拠付ける臨床例を何ら示していない」と、医師法違反も含めて無罪とした。
 福島地検が上級庁と協議しているが、「標準的な医療措置」と認定した判決を覆すような臨床例を示すのは困難と判断しているとみられる。
 判決を巡っては、日本産科婦人科学会などが控訴断念を求める声明を出したほか、27日には超党派の「医療現場の危機打開と再建をめざす国会議員連盟」のメンバーらが保岡法相に控訴を断念するよう要請した。

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2008/8/28 「帝王切開死」無罪判決 安堵の医師、泣く遺族 @nifty.comより転載

「帝王切開死」無罪判決 安堵の医師、泣く遺族
 
 
 
2008年8月28日(木)0時0分配信 読売ウイークリー
 
掲載: 読売ウイークリー 2008年9月7日号

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無罪判決後、記者会見に臨む加藤医師。遺族に対して頭を下げるとともに、標準的な医療だったことを述べた(20日、福島市で)=池谷美帆 撮影 [拡大]
 
 福島県大熊町の県立大野病院で、帝王切開の手術中に患者の女性を死亡させ、医師が業務上過失致死などの罪に問われた「大野事件」で、この医師に無罪判決が下された。「医療現場の崩壊を招く」と反発した医療界はとりあえず安堵したが、事件の影響はそう簡単に払拭できそうもない。そして、遺族には一層の無念と悲しみをもたらした。
 
 産科医療の崩壊を助長したとして、医師らの強い反発を招いた大野事件の判決が8月20日、福島地裁で言い渡された。猛暑の中、25枚の傍聴券を求めて788人が並んだ。そして、開廷直後の午前10時過ぎ、裁判所前で無罪を聞いた関係者は両手で丸をつくった。それを見て泣き崩れた女性は、遺族側だったのか。遺族と病院、捜査当局と医療界、大きな対立をもたらした「事件」が、一つの区切りを迎えた瞬間だ。
 事件と判決の概要はこうだ。福島県大熊町の県立大野病院で2004年12月、帝王切開の手術を受けた29歳の女性が、子宮に癒着した胎盤をはがされた際の大量出血により死亡した。
 1年2か月後、福島県警は、執刀した産婦人科医の加藤克彦医師(40)を逮捕、医療界に大きな衝撃が走った。癒着胎盤で大量出血の可能性があり危険を避ける義務があったのに、胎盤をはがしたことで女性を死亡させたとする業務上過失致死の罪と、異状死なのに警察への届け出を怠ったとする医師法違反の罪に問われたのだ。
 鈴木信行裁判長は、加藤医師が胎盤をはがし続ければ、大量出血により女性の生命に危機が及ぶことを「予見する可能性があった」と指摘したが、「最後まではがすのが標準的な医療措置」として、過失を否定した。さらに、医師法違反についても、死亡は癒着胎盤という疾病が原因で、過失のない診療でも「避けられなかった結果と言わざるを得ない」として退けた。結果的に弁護側の主張がほぼ受け入れられた形となった。
 医療界はこの刑事裁判が「産科医療の崩壊に拍車をかけた」と激しく反発していた。加藤医師は判決後の記者会見で大野事件が全国の産婦人科にもたらした影響を問われると、しばらく黙り、
 「これからまた働き始めて、いろんな人から話を聞いて、改めて感じることと思う。現時点ではコメントできないです」
 と言葉を選びながら話した。
 
記事画像
医師と産婦人科・産科医師の人数の推移 [拡大]
 
負のスパイラルが加速
 
 図のように医師の総数は一貫して増加にあるのに、産婦人科、または産科医の人数は1990年以降、2000人以上も減少している。厚生労働省によると、全国の妊産婦死亡数は2000年以降、年に50〜80人だ。遺族にとっては、生命の誕生の喜びから一転して、死という悲しみに突き落とされるため、産婦人科医が民事で訴えられる確率は全診療科平均の3倍を超えるというデータもある。こうした訴訟リスクを背負いたくないという医者が増えているというのだ。名古屋医療センター産婦人科医師の野村麻実さんは、こう語る。
 「(訴訟リスクの少ない)楽な医療しかやらない医者が多くなった。そのしわ寄せもあって、私たちは過酷な勤務状況にあり、切羽詰まった状況におかれる。(産科医不足で)私と研修医の2人だけで対応するということもありました」
 医療界は大野事件について、(1)医師不足で産婦人科医が過酷な勤務状態に陥り、医療ミスが生じやすい環境を生み出す (2)訴訟リスクを回避しようとして産婦人科医が更に減少する――という「負のスパイラル」を加速させたと見る。千葉県鴨川市の病院で産科部長を務める鈴木真氏は、
 「通常の医療行為で、ほかの刑事事件と同じように逮捕されたという事実が、過酷な勤務にある医師たちの頑張りを一気に崩壊させた。このようなことが通用すれば、産婦人科はどんどんやめる。それが医療現場が疲弊することにつながり、さらには患者にも不利益をもたらしかねない」
 と警告する。福島県では事件後、11病院でお産を受け付けなくなり、10月にも1病院が撤退を予定している。福島、郡山、いわき、喜多方の各市医師会調査ではお産を取り扱う病院、診療所が05年に計42か所あったのが、今年は29か所に激減している。また、神奈川県産科婦人科医会の調査では、大野事件を契機にお産を中止することを決めた施設が1か所、同様の事件で医師が逮捕される事態があれば中止すると答えた施設がなんと29か所もあった。
 
利益なき裁判結果
 
 そのような状況で、加藤医師はとりあえず無罪判決を勝ち取った。だが、これで医療崩壊に歯止めがかかるかといえば、そうでもないようだ。加藤医師の恩師の佐藤章・福島県立医科大教授は、
 「お産に携わる人が少なくなるなか、それに拍車をかけたという影響がなくなればいいですが、実際のところは(産婦人科の)医療現場が委縮するのが少し食い止められたぐらいではないでしょうか。ただ、『有罪になったら今後手術ができなくなる』というプレッシャーがなくなり、ほっとしました」
 と総括する。大野事件を受け、厚労省は、独立した第三者機関によって医療事故原因を究明する医療版「事故調査委員会」を設置する方針だ。前出の鈴木氏も、
 「無罪だけでは(大野事件で)失ったものは埋まらない。医療関係者、患者、司法、事故調のそれぞれが対話や説明のできるシステムが必要なのです」
 と述べる。
 遺族にとっては一層の深い悲しみと傷跡を残した。女性の父親の渡辺好男さんは判決後の記者会見で、「残念です。今後の医療に不安を感じざるを得ない」と悔しさをにじませた。渡辺さんは、「(裁判では)手術中の様子を時間の経過に従って聞くことができた。娘が『大丈夫』と話していたとか、娘の言葉が聞けました。本当に生きていたんだなあと思って」と裁判を振り返ったうえで、「(解明していない点は)病院が前向きな姿勢になってくれればいいが、現状ではこれ以上の解明は難しいと思う。一生、真実を求めていきたい」と述べた。裁判で娘がなぜ死に至ったのか、十分納得できる答えを得ることができなかったのだ。
 大野事件とは何だったのか。医療にも詳しい東大の樋口範雄教授(英米法)は、
 「このような事案を刑事裁判で争うこと自体が不適切と思います。刑事裁判は有罪か無罪かに焦点が集中され、弁護側は『問題がなかった』と言わざるを得なくなり、検察側としても有罪の立証に力を注ぐ。対立することしかない刑事裁判というシステムの中で、議論が法律論に集中することは、遺族の悲しみを和らげることにはならないのです。判決文を見る限り、裁判所が『この件を本当の意味で解決する場は刑事裁判ではない』と暗に訴えている印象を受けました」
 と見る。大野事件は、同様の事件で裁判所がどう判断するか一定の筋道をつけた点では意味のあるものだったかもしれない。しかし、それで失われたものを取り戻すのは容易ではない。 (本誌 瀬川大介)

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2008/8/22 福島地裁 大野病院事件1審で産科医に無罪判決 争点の胎盤剥離継続は標準的行為 m3.comより転載

福島地裁 大野病院事件1審で産科医に無罪判決 争点の胎盤剥離継続は標準的行為
 
 

記事:Japan Medicine
提供:じほう

【2008年8月22日】

 福島県立大野病院で帝王切開を受けた女性(当時29)を出血多量などにより死亡させたなどとして、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた執刀医の産婦人科医、加藤克彦被告(40)に対する判決公判が20日、福島地裁であった。鈴木信行裁判長は無罪(求刑=禁固1年、罰金10万円)を言い渡した。
 起訴状によると、被告の加藤医師は2004年12月17日、女性の出産に伴う帝王切開手術中に子宮から胎盤が自然に剥離しなかったため、用手剥離しようとしたが、その後子宮摘出手術に移行せず、手術用はさみ(クーパー)を使うなどして剥離を継続した。このことについて、大量出血による女性の生命の危険を未然に回避すべき注意義務を怠り女性を死亡させた上、異状死と認めたにもかかわらず警察に届け出なかったとして、福島地検は06年3月に両罪で加藤医師を起訴していた。
  弁護側は、剥離を継続した手術経過の医学的正当性や、被告に異状死の認識がなかったことなどから無罪を主張していた。
  判決では、公判で最大の争点となっていた胎盤剥離継続の是非について、子宮摘出手術などに移行できる可能性や、移行した場合に大量出血を回避できた可能性については検察側の主張を認めたものの、「癒着胎盤の剥離を開始した後に剥離を中止し、子宮摘出手術などに移行した具体的な臨床症例は検察側、被告人側のいずれからも提示されていない」と指摘。「刑罰を科す基準となり得る医学的準則は、当該科目の臨床医のほとんどがその基準に従った医療措置を講じているといえる程度の一般性あるいは通有性を具備したものでなければならない」として検察側の主張を退けた。
 
異状死の解釈にも言及

 医師法21条に定められた「異状死」の解釈についても言及した。判決では、「診療中の患者が、診療を受けている当該疾病によって死亡した場合は、そもそも『異状』の要件を欠くというべき」だと指摘。今回の事例については、「患者の死亡は、癒着胎盤という疾病を原因とし、過失なき診療行為をもっても避けられなかったといわざるを得ない」として、「異状死」に該当しないと判断した。
  医療行為の刑事罰を問う裁判の判決に対する関心は高く、開廷前には昨年1月の初公判時を2倍以上上回る788人が25席分の傍聴券を求めて列をなすなど、ごった返した。裁判長が判決文を読み上げる間、加藤医師は終始険しい表情で耳を傾けた。
  一方、傍聴席の最前列に座った被害者の遺族は、時折涙をこぼしながら裁判の行方を見守っていた。
 
病院団体が相次ぎコメントを発表

 県立大野病院事件に対して日本病院会の山本修三会長は、本紙の取材に応え、無罪判決に一定の評価をした。その上で、山本会長は、無罪判決でも患者が死亡した事実は消えるものではなく、医療界は今回の無罪判決をどう受けとめていくかが重い課題だとコメントした。
一方、全日本病院協会の西澤寛俊会長は「刑事捜査は死因究明にはなりえない。真相究明の組織が必要だ」と述べ、医療安全への対応策が重要とした。
  具体的には、死因究明・再発防止に対する組織、ADR組織、患者救済組織?の3方向からの組織づくりを提唱した。さらに、今回の無罪判決で医療崩壊がストップするものではないとも述べ、医療の再構築に向け検討を加速させていく考えを示した。

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2008/8/22 「一人の責任ではない」 加藤医師勤務した大学声明 m3.comより転載

「一人の責任ではない」 加藤医師勤務した大学声明
 
 

記事:共同通信社
提供:共同通信社

【2008年8月22日】

 福島県立大野病院事件で無罪判決を受けた加藤克彦(かとう・かつひこ)医師(40)が研修医や勤務医として通った福島県立医科大は21日「事件は医師一人の体制上の問題でもあり、執刀した医師一人の責任ではない」との菊地臣一(きくち・しんいち)理事長名のコメントを出した。
 コメントは、事件後医師の不足などが加速し、県民の利便性が低下したと指摘。医療環境の改善に努めるとしている。
 福島県の開業医らが加入する福島県保険医協会も「結果の重大性のみに基づき起訴することは、地域医療充実の要望にも逆行する」との声明を発表。医療事故の被害救済のため、第三者機関の設立などを求めた。

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2008/8/22 医療への捜査、適切に対応 大野病院事件で警察庁長官 m3.comより転載

医療への捜査、適切に対応 大野病院事件で警察庁長官
 
 

記事:共同通信社
提供:共同通信社

【2008年8月22日】

 大野病院事件の無罪判決について、警察庁の吉村博人(よしむら・ひろと)長官は21日の定例記者会見で「将来を見据えた場合、医療行為をめぐる捜査については、判決を踏まえて慎重かつ適切に対応していく必要がある」と述べた。
 また、吉村長官は一般論とした上で「警察として医療の場での事件、事故にどう対応するかは簡単にいかない部分がある。医師が医療過程でどのような具体的措置を講じるべきか人の生死を左右する決断をする際、警察の捜査が消極的な方向に影響を与えることはあってはならない」との考えを示した。
 国が創設を検討している「医療安全調査委員会」(仮称)については「患者やその家族が医療に対する信頼と安心を持てるような制度設計が必要。引き続き関係機関と緊密な連携を図っていきたい」と話した。

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2008/8/22 根強い開業医の危機意識 医療現場に温度差も 緊急連載企画「広がる波紋-大野病院事件判決」 m3.comより転載

根強い開業医の危機意識 医療現場に温度差も 緊急連載企画「広がる波紋-大野病院事件判決」
 
 

記事:共同通信社
提供:共同通信社

【2008年8月22日】

 「崩壊が決定的になるのをかろうじて踏みとどまらせたにすぎない」
 大野病院事件の無罪判決を医療団体がこぞって歓迎する中、静岡県焼津市にある「前田産科婦人科医院」(13床)を経営する前田津紀夫(まえだ・つぎお)医師(52)は、厳しい見方を示した。
 同医院には大学からの派遣医師も診察に入るが、年700件のお産は前田医師が一人で受け持つ。
 15年前の開業時、分娩(ぶんべん)を扱う地元の医療機関は12施設だったが、現在は5施設に激減した。2006年の加藤医師の逮捕後、お産をやめた施設も多く、前田医院での分娩数は増えるばかり。年間4000件のお産があるこの地域の周産期医療も、崩壊の危機に直面している。
 前田医師は言う。「無罪が出ても、あの逮捕劇を見た多くの産科医は、高リスク患者を避けるだろう。条件の悪い地方の病院に医師が戻るとは考えられず、産科の現状が急激に改善されるとは思えない」

 ▽自衛

 加藤医師が逮捕された06年以降、前田医師は年間約60件の帝王切開手術に、必ず別の医師を立ち会わせるようにした。地域でお産を続ける5人の開業医とも連携し、要請があれば互いの医院に出向くという\x87\x80自衛策\x87≠\xF0導入している。
 夜間の緊急手術で呼び出されることもたびたび。開業以来、泊まりがけの旅行や出張に出掛けたこともなく、簡単に休みも取れない。
 「それでも、自分を頼りにする患者や地域のことを思うと、このまま崩壊させてたまるかという意地がある。産科医療はゆっくり、ゆっくり修復していくしかない」

 ▽解放

 一方、高リスク患者を受け入れる大学病院では「無罪の意義は大きい」との声が出ている。
 「警察の捜査が問題だったことが明確になった。緊急時の措置について刑事責任を追及されるのではないか、という恐怖心から医師はようやく解放される」
 金沢大医学部産婦人科の京哲(きょう・さとる)講師は今回の司法判断をそう評価。大学病院は医療現場への人材供給にも大きな役割を果たすが、「今後は安心して医師を派遣できるような方向に向かってほしい」と期待する。
 無罪判決を受け、20日午後に福島市内で開かれた医療関係者によるシンポジウム。参加した女性医師は患者側にも注文を付けた。
 「事件によって住民と医師が手を結ぶ大切さが忘れられてしまった。住民の皆さんにも、産科医をいかに守っていくか考えてほしい」

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2008/8/22 県立大野病院事件で無罪判決?医療界の反応を探る 医療界は産科医無罪に「妥当な判決」と受け止め 日産婦は検察庁へ控訴しないよう強く要請 m3.comより転載

県立大野病院事件で無罪判決?医療界の反応を探る 医療界は産科医無罪に「妥当な判決」と受け止め 日産婦は検察庁へ控訴しないよう強く要請
 
 

記事:Japan Medicine
提供:じほう

【2008年8月22日】

 日本産科婦人科学会は20日、福島県立大野病院事件で福島地裁が言い渡した無罪判決について、患者遺族への哀悼の意を表明するとともに、昨今の萎縮医療の進行に歯止めが掛かることが期待されるとの声明を発表した。さらに、同声明では、今回の裁判による医療現場の混乱を1日も早く収束させるため検察庁が本件判決に控訴しないよう強く要請している。さらに、日本医師会も記者会見を行い、大野病院事件に対する無罪判決は妥当との見解を表明した。一方、全日本病院協会の西澤寛俊会長は、本紙に対して、「この無罪判決で医療崩壊は止まらない。それだけ産科医療は厳しい状況だ」と述べ、今回の無罪判決で医療崩壊がリセットできるような単純な構図ではないと指摘している。

吉村日産婦理事長 学会声明を発表妥当な判決と評価

 同学会は、同日正午から吉村泰典理事長(慶応大教授)、落合和徳副理事長(東京慈恵医大教授)、岡井崇常務理事(昭和大教授)が記者会見を行った。
  会見の冒頭、吉村理事長は、今回の無罪判決に対する学会としての声明文を読み上げた。その中で「癒着胎盤という重篤な産科疾患において、被告人が産婦人科専門医として行った医療水準は高く、医療過誤というべきものではない」とし、刑事事件としての訴追が妥当性を欠くものであったことをあらためて強調した。
  その上で、今回の判決が、重篤な疾患を扱う実地医療の困難さとそのリスクに理解を示した妥当な判決と評価している。

専門家による第3者機関への設置を強く希望

 一方、同会見で記者から「無罪判決を学会としてどう受け止めているか」との問いに岡井常務理事は、「検察側が、(癒着胎盤が)重篤な疾患で専門家の学術的議論が続いていることを十分に認識しないで刑事事件に持ち込んでしまった。執刀医に刑罰を課すことの重大さを理解していなかったのではないか」と、刑事事件として立件したことを厳しく批判した。
  さらに、岡井常務理事は、専門家による第3者機関があれば今回のような刑事訴追はなかっただろうと述べ、早急に医療安全調査委員会の設置を求めたいと述べた。
  特に、今回の大野病院事件の無罪判決結果による医療安全調査委員会設置の影響については「医療安全調査委員会の議論は、今回の無罪判決で影響を受けるものではない」との考えを強調する。
  ただ、遺族への説明不足に対する責任論については、「遺族の気持ちは察するに余りある。真実を十分に説明することは重要だ。今回の大野病院事件で説明が不十分であったかは確認していないが、それと担当医を刑事訴追で罰することは別次元の問題だ」との解釈を示した。
  さらに吉村理事長は、「周産期医療では、不幸にも死亡する症例がある。今回の癒着胎盤のような重篤な疾患へ対応するシステムづくりを進めていきたい」と述べ、現在、同学会として質の高い医療提供を目指して検討中と説明した。

西澤全日病会長 医療崩壊の歯止めにはならず医療安全へのコスト問題も検討が必要

 全日本病院協会の西澤寛俊会長は、「大野病院事件に関する無罪判決は当然だ」との判断を表明し、逮捕・起訴自体が間違っており、裁判に至ったことが極めて遺憾だと述べた。さらに、今回の1審での無罪判決を通じて同会長は、「刑事捜査は死因究明にはなり得ない。真相究明の組織が必要だ」と述べ、医療安全への対応策が重要とした。
  具体的な組織づくりについては、死因究明・再発防止に対する組織、ADR組織、患者救済組織?の3方向からの組織づくりが重要と指摘した。
  その観点から同会長は、十分な組織づくりをすることで、医療人が誇りを持って業務ができる環境づくりが必要とした。ただ、今回の無罪判決で医療崩壊がストップするものではないとの見方も示した。そして、今後、医師法21条など改正を進めるとともに、医療安全にはコストがかかることへの理解を得ていくことも必要と語った。また、今回の刑事訴追が、これまでの低医療費政策への問題提起になるのではないかと述べた。
  こうした観点から全日病では、国への医療安全対策への要望とともに、国民とも意見交換していく場も持っていきたいと述べた。

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2008/8/22 捜査見直し発言も 無罪判決に反響:大野病院医療事故 /福島 m3.comより転載

捜査見直し発言も 無罪判決に反響:大野病院医療事故 /福島
 
 

記事:毎日新聞社
提供:毎日新聞社

【2008年8月22日】

大野病院医療事故:捜査見直し発言も 無罪判決に反響 /福島

 県立大野病院(大熊町)の医療事故を巡る公判で、福島地裁が20日に無罪判決を出したことを受け、21日も吉村博人・警察庁長官が今後の医療事故の捜査に慎重姿勢を打ち出すなど反響が広がった。
 福島地裁は判決で検察側の立証の甘さを指摘し、被告の加藤克彦医師(40)に無罪を言い渡した。吉村長官は21日の会見で、「判決を踏まえながら医療事故の捜査について慎重かつ適切に対応していく必要がある」と述べた。
 今回の事故では、手術での医療判断に刑事責任が問われ、医師の身柄が拘束されたことに医療界が強く反発した。捜査当局は「証拠がほとんどなく関係者の証言が頼りで、口裏合わせの可能性もあった」と逮捕の理由を語っていたが、元長崎地検次席検事の郷原信郎・桐蔭横浜大法科大学院教授(経済刑法)は「いつでも身柄を取れるというのは捜査機関の独善的な考え方。医師は患者を抱えており、明白な過失がないなら身柄を拘束すべきでない。今回のケースは捜査機関の介入自体に無理があったのではないか」と指摘した。
 医療界からは、日本産科婦人科学会が20日に「重篤な疾患を扱う実地医療の困難さに理解を示した妥当な判決。医療現場の混乱を一日も早く収束するよう、検察が控訴しないことを強く要請する」との声明を出した。全国保険医団体連合会も同日、「無罪判決に敬意を表する。医療事故の被害を速やかに救済するため、第三者機関の設立と無過失補償制度の創設を改めて要望する」とコメントを発表した。【松本惇】

………………………………………………………………………

 ■解説

 ◇「医療の責任追及」に影響

 地方の産科という医師不足が最も著しい現場で起きた大野病院事件は、「医療崩壊」の象徴として、医療界からかつてない注目を集めてきた。福島地裁は、争点になった胎盤はく離継続の判断に過失はなかったと結論付けたが、リスクを抱えた手術に取り組む多くの医師にとっては、逮捕、起訴自体が衝撃的だった。今回の無罪で警察・検察の捜査への批判も強まるとみられ、医療事故の真相解明と責任追及の在り方を巡る議論に大きな影響を与えそうだ。
 産科医が減り続けている原因は、勤務の過酷さに加え、訴訟リスクの高さにあると言われる。大野病院には加藤医師以外の産科医がおらず、しかも事件になったのは非常にまれな症例だ。医師側が「通常の医療行為で患者が死亡しても刑事責任を問われるなら、医療は成り立たない」と危機感を持ったのは当然とも言える。一方、患者としては、病院側の対応に納得がいかなければ、真相解明を司法に頼るしかない。「代替手段がない以上、医療事故に捜査当局の介入も必要だ」と被害者側は訴え、当局もそれに応えざるを得ない。
 医療行為の責任追及については、警察・検察内部にも「本来は専門家が判断すべきだ」との声がある。国は事件を契機に、医療の専門家を中心とした死因究明の第三者機関「医療安全調査委員会」の設置をめぐる議論を進めた。刑事訴追が医療の萎縮(いしゅく)や医師不足を招くのは、医師と患者双方にとって不幸だ。互いが納得できる制度の整備が急がれる。【清水健二、松本惇】

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2008/8/22 「医師逮捕までする必要あったのか」 「大野病院」判決の新聞論調 @nifty.comより転載

「医師逮捕までする必要あったのか」 「大野病院」判決の新聞論調
 
 
 
2008年8月21日(木)19時40分配信 J-CASTニュース
 
  「メディアが『医療崩壊』を招いた」との指摘が相次ぐなか、帝王切開手術中に妊婦を死亡せたとして担当医師が逮捕・起訴された「大野病院事件」については、様子が若干異なるようだ。無罪判決から一夜明けた各紙の社説を見ると、きわめて慎重で、「医師逮捕までする必要あったのか」とする論調も目立つ。ただ、同じ新聞内でもさまざまな見方が出るなど、問題の複雑さを浮き彫りにしている。
 
朝日、読売、産経は判決に肯定的
 
   判決から一夜明けた2008年8月21日の朝刊では、全国紙の全てが大野病院事件を社説で取り上げた。各紙とも、医療事故が起こった際の第三者機関「医療安全調査委員会」の設立など、今後の制度の整備を求める点では一致している。一方、判決自体の評価は、各紙によって微妙なずれがある模様だ。
   判決に肯定的なのが、朝日・読売だ。朝日新聞は、
「判決は医療界の常識に沿ったものであり、納得できる。検察にとっても、これ以上争う意味はあるまい。控訴をすべきではない」
と、直接的な表現で判決を評価。さらに、
「今回の件では、捜査するにしても、医師を逮捕、起訴したことに無理があったのではないか」
と、そもそも公判の維持自体が「無理筋」だったのではないかとの見方を示している。
   読売新聞も、
「そもそも、医師を逮捕までする必要があったのだろうか。疑問を禁じ得ない」
と、同様だ。産経新聞も
「大野病院事件はカルテの改竄や技量もないのに高度な医療を施した医療過誤事件とは違った。それでも警察の捜査は医師の裁量にまで踏み込んで過失責任の罪を問うた」
と、逮捕・起訴が強引だったことを遠まわしに批判。おおむね、社説では、これら3紙の足並みはそろっていると見てよさそうだ。
   日経新聞は、判決が妥当かどうかについての直接的な言及は避ける一方、
「医療事故は後を絶たない。そこで問題になるのは、患者や家族に十分な説明をし、同意を得たかという点だ。この事件でも家族は病院側の説明に強い不満を抱いている」
と、医療側の体質に言及。インフォームド・コンセントの重要性を改めて強調した。
 
毎日社説は警察の起訴姿勢を擁護
 
   前出の4紙と、立ち位置が異なっているように見えるのが、毎日新聞だ。他の複数の新聞が、事件をきっかけに「医師の産科離れが進み、医療側からは『医療が萎縮する』との反発の声が上がった」といった経緯を紹介している一方で、毎日新聞は
「こうした考え方が市民にすんなり受け入れられるだろうか」
と、疑問を投げかける。さらに、「警察権力は医療にいたずらに介入すべきではない」としながらも、
「県警が異例の強制捜査に踏み切ったのも、社会に渦巻く医療への不信を意識したればこそだろう」
と、警察の姿勢を全国紙の中では唯一擁護しているともとれる文面だ。
   もっとも、その毎日新聞も、判決直後の08年8月20日夕刊1面の「解説」では、
「刑事訴追が医療の萎縮や医師不足を招くのは、医師と患者双方にとって不幸だ。お互いに納得できる制度の整備が急がれる」
と、若干のスタンスの違いを見せている。それは他紙でも同様で、読売新聞も、1面の夕刊の「解説」では、
「『医療行為による事故で刑事責任を問うべきでない』とする<医師側の論理>にお墨付きを与えたわけではない」
とした上で、
「医療界は患者の声に耳を傾け、より安全、安心な医療の確立に向け、冷静な議論をする必要がある」
と、社説とは一転、やや医療側に厳しいと読める文章になっている。
   このように各紙の間で論調が違うのはもちろん、同じ新聞でも朝刊と夕刊で論じ方が変化しているあたり、この問題の複雑さをあらわしたものだと言えそうだ。

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2008/8/22 クローズアップ2008:産科医に無罪判決 安全な医療、どう構築 毎日jpより転載

クローズアップ2008:産科医に無罪判決 安全な医療、どう構築
 
 
 
2008年8月21日 毎日新聞 東京朝刊
 
 地域の産科を1人で担っていた医師が逮捕され、医療界に激震をもたらした福島県立大野病院の医療事故。20日の福島地裁の結論は無罪だったが、事件は医療行為に刑事捜査を持ち込むことの難しさや、一つの事件が「医療崩壊」を引き起こす医療現場のもろさを浮き彫りにした。事件を教訓に、患者に信頼される安全な医療をどう構築していくか。関係者に重い課題が突き付けられている。

 ◇「萎縮に歯止め」 現場は安堵

 「不当逮捕で無罪は当然。医療崩壊を招いたことを、捜査機関は反省すべきだ」。この日、加藤克彦被告(40)を支援する医師らが福島市内で開いたシンポジウムでは、厳しい捜査批判が相次いだ。
 批判が特に強かったのは事故から1年以上たっての逮捕だった。病院は「過誤ではない」と判断、解剖や胎盤の保存をしなかったが、県は事故から3カ月後の05年3月、医師の過失を認める報告書を公表し、県警の捜査につながった。
 捜査幹部は「既に証拠がほとんどなく関係者の証言が頼りで、口裏合わせの恐れもあった」と逮捕の妥当性を強調する。だが、これまで医師が逮捕されたのは01年の東京女子医大病院事件など悪質な事故隠ぺいの疑いがあった場合が多く、検察内部にも「なぜ身柄を拘束したのか」と疑問の声がある。警察庁によると、医療事故捜査の着手件数は年間100件近いが、起訴に至るのは数件だけ。検察当局も専門家の意見を踏まえ慎重に判断しているのが実態だ。
 一方、「真相を知りたい」という患者側の思いは当然、強い。死亡した女性の父親の渡辺好男さん(58)にとって、病院の説明や県の報告書は不十分だったが、刑事裁判の公判の中で、助産師が手術前に加藤医師に転院を助言していたことなどを初めて知ることができ、「スタッフの声が聞けてよかった」と話す。
 厚生労働省は、医療死亡事故の原因究明に当たる中立機関として、医師を中心とした「医療安全調査委員会」の設置を急いでいる。舛添要一厚労相は20日、今秋の臨時国会に関連法案を提出する考えを示した。医療問題弁護団代表の鈴木利広弁護士は「今回の事件は、病理や産科の専門家が捜査協力を拒むなど医療界にも問題があった。刑事手続きとは別の事故報告や調査制度があれば逮捕や起訴は回避できたはずだ」と訴える。
 調査委を巡っては大半の医師団体や学会が設置を求める一方で、警察への通報制度が盛り込まれ刑事責任追及の余地が残されることに一部医師らが反対しており、民主党も賛同していない。今回の無罪判決に現場からは「医療の萎縮(いしゅく)に一定の歯止めがかかる」と安堵(あんど)の声も漏れるが、厚労省の幹部は「医療界から『医療事故に捜査機関を介入させるな』との声が強まれば、調査委の議論も止まってしまう」と複雑な表情だ。【清水健二、松本惇】

 ◇高い訴訟リスク、過酷な労働…医師の産科離れ続く

 大野病院は加藤克彦医師の起訴直後、産婦人科を休診にした。町内には他に分娩(ぶんべん)施設はない。近くに住む妊娠5カ月の女性(22)は10キロ以上離れた診療所に車で通う。診療所は健診のみで、出産はさらに25キロ離れた公立病院でしなければならない。女性は「近くに産科がないのは怖い」と漏らす。
 福島県では06年度末に31カ所あった分娩施設が1年で21カ所に激減した。日本産婦人科医会によると、06年に出産を扱う施設は全国で2983あったが、08年は6・5%減の2788施設、医師数も146人減って7181人になった。
 民事訴訟リスクの高さと過酷な労働が、産科医減少と施設閉鎖をもたらしている。厚生労働省によると、産科医1000人あたりの医療訴訟件数(06年の終結分)は16・8件で診療科別で最も多い。過酷さを象徴するのは分娩を扱う常勤医が1人しかいない「1人医長」の存在だ。全国の病院の約15%を占め、加藤医師も1人医長だった。休みがなく訴訟も多い現実が医師の産科離れを起こし大野病院事件で加速した。木村正・大阪大教授(産婦人科)は「欧米では病院の集約化が進む。日本のように少人数で対応するのは世界の常識から外れている」と指摘する。
 また、若い産科医は他科に比べ、女性の割合が高く、20代では約7割を占める。しかし自分の出産などを機に仕事から離れることが多く、日本産科婦人科学会によると、産科医歴2〜16年目の分娩実施率は男性83%に対し女性66%。女性は11年目で46%に落ち込む。
 同学会は昨年9月、医療事故で医師の過失を免責しつつ真相究明を行う制度整備などを厚労相に要望した。学会の桑江千鶴子・都立府中病院部長は「医師が安心して働く環境を用意することが良質な医療を提供する」と訴える。【河内敏康、奥野敦史】

 ◇再発防止へ綿密な検証を−−加藤良夫・南山大法科大学院教授(医事法)の話

 医療事故で刑事責任が問われることに医療界に不安や反発の声があり、その中で冷静で率直な同僚間の評価(ピアレビュー)は期待しにくい。しかし、再発防止のための教訓はあるはずで、司法手続きが確定した後、しっかり検証作業をしてみるべきではないか。また、無罪判決が出たからといって産科医療の未来が明るくなったわけではない。国は産科医等が安全で質の高い医療を提供できる環境を早急に整備すべきだ。

 ◇第三者機関が専門的調査を−−岡井崇・昭和大教授、日本産科婦人科学会常務理事の話

 非常に悲しい事件で、遺族の思いは察するに余りある。しかし実地の医療の難しさを理解できない警察、検察がこの問題を調べたことは問題だった。亡くならずに済む方法はなかったのかという遺族の疑問は、専門家中心の第三者機関でなければ晴らすことはできない。ネット上では一部の医師が遺族の方を中傷する心ない発言をした。誤った行為であり、学会を含め多くの医師の見解ではない。

==============

 ◆刑事裁判になった主な医療事故◆

発生年月
医療機関
起訴事実
処分
判決
99年 1月
横浜市大病院
心臓と肺疾患の患者を取り違えて手術
6人在宅起訴
全員有罪
99年 2月
都立広尾病院
消毒液の誤点滴で患者を死なせ、事故を隠す
4人在宅起訴
3人有罪 1人無罪
99年 7月
杏林大病院
男児の割りばし死亡事故で適切な処置を怠る
1人在宅起訴
※無罪
00年10月
埼玉医大病院
抗がん剤を過剰投与し患者を死亡させる
3人在宅起訴
全員有罪
01年 3月
東京女子医大病院
心臓手術ミスで患者を死なせ、記録を改ざん
2人逮捕、起訴
1人有罪 ※1人無罪
02年11月
東京慈恵会医大青戸病院
経験のない手術方法を選択し患者を死なせる
3人逮捕、起訴
全員有罪
04年12月
福島県立大野病院
帝王切開のミスで妊婦死亡、警察に届け出ず
1人逮捕、起訴
1審無罪
 ※は控訴中

==============

 ■ことば

 ◇大野病院医療事故

 04年12月、帝王切開手術中に女性が死亡。県警が06年2月に執刀医の加藤克彦医師を業務上過失致死と医師法(異状死届け出義務)違反容疑で逮捕、福島地検が3月に起訴した。リスクの高い医療行為が刑事罰に問われたことで、全国の産科医減少に拍車がかかったと言われる。裁判では、加藤医師が行った癒着胎盤の剥離(はくり)の妥当性が最大の争点になった。
 

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2008/8/22 産科医無罪 医療安全調査委の実現を急げ(8月21日付・読売社説) YOMIURI ONLINEより転載

産科医無罪 医療安全調査委の実現を急げ(8月21日付・読売社説)
 
 
 
2008年8月21日01時51分  読売新聞)
 
 医療事故の原因究明や責任追及は、どのような形で行われるべきか。それにひとつの答えを出した判決とも言えよう。
 福島県立大野病院で帝王切開を受けた女性が死亡し、執刀した産婦人科医が逮捕・起訴された事件で、福島地裁は被告の医師を無罪とした。
 女性は、子宮に癒着した胎盤をはがす処置で大量出血し、亡くなった。検察と警察は、胎盤をはがさずに子宮ごと摘出するのが「医学的準則」だった、として業務上過失致死罪などに問うた。
 しかし判決は、「医学的準則」とは同じ場面に直面した医師のほとんどが選択するものでなければならず、今回のケースはその証明がない、とした。医学的見解が分かれる中で刑事責任を追及した捜査当局への批判が読み取れる。
 事件が医療界に与えた衝撃は極めて大きかった。医師が逮捕された後に、全国で多数の病院が出産の取り扱いを中止した。医学生は産科のみならず、外科など命にかかわる手術を行う分野を避けるようになった。
 そもそも、医師を逮捕までする必要があったのだろうか。疑問を禁じ得ない。
 まだ1審であり、医師の無罪が確定したわけではない。だが、医療事故に関して、警察がいきなり捜査に入る現状は危うい。
 刑事責任を問うべきほどの事案かどうかは、まず中立的な専門機関で判断した方がいい。厚生労働省が検討中の「医療安全調査委員会」の創設を急ぐべきだ。
 厚労省の構想では、医療安全調査委は中央と地方ブロックごとに設ける。メンバーは医師だけでなく、法律家や他分野の有識者も加え、中立性を図る。
 予期せぬ形で患者が死亡した場合などに、医療機関から調査委への届け出を義務づけ、遺族からの調査依頼も受け付ける。調査委は個人情報に配慮しつつ報告書を公表し、再発防止策を提言する。
 故意や重大な過失、カルテの改竄(かいざん)といった悪質な事例のみ、警察に「通知」する。警察は調査委の判断を尊重し、通知の有無を踏まえて対応する。
 調査委構想は法案化目前まで煮詰まってきた。ところが医療界の中に、警察に通知する仕組みがある限り反対するとの声が強く、足踏みしている。
 悪質な事例を通知するのは当然だろう。犯罪の可能性があるのに通知しないのならば、調査委ができたとしても、警察が直接捜査に乗り出す状況は変わるまい。

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2008/8/22 医療界挙げて被告の医師支援…帝王切開死判決 YOMIURI ONLINEより転載

医療界挙げて被告の医師支援…帝王切開死判決
 
 
 
2008年8月20日14時38分  読売新聞)
 
 帝王切開手術で女性(当時29歳)を失血死させたなどとして、業務上過失致死罪などに問われた加藤克彦医師(40)に20日、無罪を言い渡した福島地裁判決──今回の公判では、産科の臨床医の権威が弁護側証人として出廷するなど、医療界挙げて被告を支援する形になった。
 背景には、1999年に東京都内の病院で起きた点滴ミス隠し事件などを契機に広がった医療不信の中で、難症例を扱った医師が逮捕され、深刻な医師不足を招いている現状への危機感がある。
 医療不信の広がりは、横浜市大病院で2人の患者を取り違えて手術した事件と、都立広尾病院で誤って主婦に消毒液を点滴して死亡させ、ミスを隠そうとした事件が99年に相次いで起きたことが契機になった。
 以後、遺族の処罰感情などを背景に捜査機関が医師個人の責任を問うケースが急増。2002年には東京慈恵医科大付属青戸病院で、経験のない医師3人が難度の高い腹腔(ふくくう)鏡下手術を行って患者を死亡させる事件も起きた。警察庁によると、警察から検察への送致件数は、99年の10件から00年は24件に増え、06年には98件になった。
 捜査とは別に、厚生労働省は05年9月、病理解剖学などの医療関係者と法律家で構成される医療版「事故調査委員会」を4都府県でスタートさせた。
 こうした状況の中、06年2月に加藤克彦医師が逮捕された。その直後から日本産科婦人科学会など100近い団体が抗議声明を出したのは、「わが国の刑事裁判史上かつてない」(弁護側)状況だった。
 事件で問われたのは、女性の胎盤に対する処置。女性は胎盤が通常より低い位置にある「前置胎盤」で、産道につながる子宮口を完全に覆っていた。さらに「癒着胎盤」を起こし、胎盤を無理にはがすと大量出血する恐れがあった。癒着胎盤の処置を巡り、公判では「子宮摘出に移るべきだった」とする検察側と、「最後まではがすのが標準的な医療」とする弁護側が激しい応酬を繰り広げた。
 弁護側は、周産期医療の権威とされる池ノ上(つよむ)・宮崎大医学部長と岡村州博(くにひろ)・東北大教授を証人に呼んだ。2人は「被告の処置に間違いはない」と述べた。
 これに対し、検察側の立証は押され気味となった。検察側証人の田中憲一・新潟大教授は「はがすのが難しくなった時点で、直ちに子宮摘出に移るべき」と証言したものの、どの時点で子宮摘出を決断するかについては、「そこは医師の判断」と断言を避けた。

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2008/8/22 医療への捜査、慎重に…「帝王切開死」無罪で警察庁長官 YOMIURI ONLINEより転載

医療への捜査、慎重に…「帝王切開死」無罪で警察庁長官
 
 
 
2008年8月21日20時28分  読売新聞)
 
 福島県立大野病院で2004年に起きた医療事故で業務上過失致死罪などに問われた産婦人科医に無罪判決が出たことについて、警察庁の吉村博人長官は21日の記者会見で、「医療行為への捜査については判決を踏まえ、慎重かつ適切に対応していく必要がある」と述べた。
 警察庁長官が、確定前の判決に踏み込んで言及するのは異例。
 吉村長官は「警察として医療の場での事件、事故への対処は簡単ではない部分がある」とし、「警察の捜査活動が(医師に)消極的な影響を与えてはならない」との考えを示した。民事訴訟や行政処分との兼ね合いについても言及し、「刑事だけが突出してはおかしくなる。総合的に判断する必要がある」と述べた。
 厚生労働省が設置を検討する「医療安全調査委員会(仮称)」については「患者や遺族が信頼、安心感を保てる制度が必要」とし、関係省庁と連携を強化していく意向を強調した。
 

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2008/8/22 「帝王切開死」福島地裁判決の要旨 YOMIURI ONLINEより転載

「帝王切開死」福島地裁判決の要旨
 
 
 
2008年8月21日  読売新聞)
 
 福島県の県立大野病院事件で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた産婦人科医・加藤克彦被告(40)に対する20日の福島地裁判決(無罪)の要旨は次の通り。

 【死因及び因果関係】

 患者の死因が出血性ショックによる失血死であり、総出血量のうちの大半が胎盤はく離面からの出血であることからすれば、胎盤はく離行為と患者の死亡との間に因果関係が認められる。

 【予見可能性】

 被告は、患者が帝王切開手術既往の前置胎盤であることを踏まえ、癒着胎盤の可能性を排除せずに手術に臨んでいた。癒着の可能性は低く、5%に近い数値であるとの認識を持っていたことが認められる。
 被告は、(子宮に手を入れて胎盤をはがす)用手はく離中に胎盤と子宮の間に指が入らず困難な状態に直面した時点で、確定的とまではいえないものの、胎盤が子宮に癒着しているとの認識を持ったと認めることができる。
 癒着胎盤を無理にはがすことが、大量出血、ショックを引き起こし、母体死亡の原因となり得ることは、被告が所持していたものも含めた医学書に記載されている。
 癒着胎盤と認識した時点で、胎盤はく離を継続すれば、大量出血し、患者の生命に危機が及ぶ恐れがあったことを予見する可能性はあったと解するのが相当である。

 【結果回避義務】

 被告が胎盤が子宮に癒着していることを認識した時点で、患者は意識もあり、子宮摘出同意の再確認も容易な状況にあった。
 したがって、検察官が主張する通り、直ちに胎盤はく離を中止して、子宮摘出手術などに移行することは可能であったと認められる。
 胎盤はく離を中止して子宮摘出手術に移行した場合に予想される出血量は、胎盤をはがすことを継続した本件と比較すれば、相当に少ないであろうから、結果を回避する可能性があったと解するのが相当である。
 医師の鑑定や証言から、「用手はく離を開始した後は、出血をしていても胎盤はく離を完了させ、子宮の収縮を期待するとともに止血操作を行い、それでもコントロールできない大量出血をする場合には子宮を摘出する」ということが、臨床上の標準的な医療措置と解するのが相当である。
 検察官は、胎盤はく離を継続する危険性の大きさや、患者死亡のがい然性の高さや、子宮摘出手術に移行することが容易であったことを挙げて、胎盤はく離を中止する義務があったと主張している。
 しかし、医療行為が、患者の生命や身体に対する危険性があることは自明である。そもそも医療行為の結果を正確に予測することは困難である。
 医療行為を中止する義務があるとするためには、検察官は、中止しない場合の危険性を具体的に明らかにした上で、より適切な方法がほかにあることを立証しなければならない。
 本件でいえば、出血が止まらない場合に予想される出血量、他の止血行為の有無や有効性などを具体的に明らかにした上で、患者死亡のがい然性の高さを立証しなければならない。
 検察官は、主張を根拠付ける臨床症例は何ら提示していないし、胎盤はく離を中止しなかった場合の具体的な危険性が証明されているとはいえない。
 本件では、癒着胎盤に関する標準的な医療措置が機能していたと認められる。
 被告に具体的な危険性の高さなどを根拠に、胎盤はく離を中止すべき義務があったと認めることもできない。胎盤はく離の継続が注意義務に反することにならない。

 【医師法違反】

 医師法21条にいう異状とは、法医学的にみて、普通と異なる状態で死亡していることを意味する。診察中の患者が診療を受けている疾病によって死亡した場合は、異状の条件を欠く。
 患者の死亡は、癒着胎盤という疾病を原因とする過失なき診療行為をもってしても避けられなかった結果といわざるを得ない。異状がある場合に該当せず、医師法違反の罪は成立しない。

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2008/8/21 「帝王切開死」医師に無罪 福島地裁判決 胎盤の大量出血、回避義務認めず YOMIURI ONLINEより転載

「帝王切開死」医師に無罪
 
 
 
福島地裁判決 胎盤の大量出血、回避義務認めず
 
2008年8月20日  読売新聞)
 
 福島県大熊町の県立大野病院で2004年、帝王切開手術を受けた女性(当時29歳)が死亡した事件で、業務上過失致死と医師法(異状死の届け出義務)違反の罪に問われた産婦人科医、加藤克彦被告(40)の判決が20日、福島地裁であった。
 鈴木信行裁判長は、「標準的な医療措置で、過失は認められない」として無罪(求刑・禁固1年、罰金10万円)を言い渡した。医療界からは、医師の逮捕に対して反発の声が上がり、元々勤務が過酷とされる産科医離れが進むなど波紋を広げたとして注目された。
 判決によると、加藤被告は04年12月17日に女性の帝王切開手術を執刀。子宮に癒着した胎盤をはがした際に大量出血が起き、女性は失血死した。子どもは無事だった。
 鈴木裁判長は、胎盤をはがしたことと死亡との因果関係を認め、「手でこれ以上胎盤をはがせないと判断した時点で、はく離を続ければ大量出血の恐れがあると予見できた」と、検察側の主張を認めた。
 だが、はく離を途中でやめて子宮摘出手術に移り、大量出血を回避すべきだったとする検察側の主張については、「最後まではがすのが標準的な医療措置」として、結果を回避する注意義務はなかったと判断。さらに、「女性は(難症例の)癒着胎盤という疾病で、過失のない診療行為でも死亡という結果は避けられなかった」として、医師法違反についても「異状死ではなく、届け出義務はない」とした。
 検察側は「胎盤の癒着は広範囲で相当深く、はがし続ければ大量出血し、生命に危険が及ぶ」と指摘。弁護側は「胎盤をはがしている最中の出血量は最大555ミリ・リットルで、大量出血の予見可能性はなかった。はがし始めたら最後まで行うのが臨床の実践。標準的な医療行為だった」と主張した。
 産科医は、04年ごろから減少が顕著となり、加藤被告の逮捕・起訴後は、医師の産科離れにさらに拍車がかかったとされる。日本産科婦人科学会は「故意や悪意のない医療行為に個人の刑事責任を問うのは疑問」とする見解を表明。国は「医療安全調査委員会(仮称)」の設置を検討している。
 癒着胎盤 胎盤の一部または全部が子宮の内壁と強く癒着し、出産後に子宮が収縮しても自然にはがれない疾患。加藤被告の弁護団によると、発症頻度は出産1万件に2、3例という。大野病院で死亡した女性のように帝王切開の経験があり、さらに胎盤が子宮口をふさいでいる場合、発症リスクが高まるとされる。

[解説]逮捕の衝撃 産科医離れ
 
 無罪判決を受け、日本産科婦人科学会が歓迎する声明を出すなど、医療界は安堵(あんど)している。
 執刀医逮捕は、医療界に衝撃を与えた。読売新聞が2007年秋に行った調査では、06年4月以降に出産の取り扱いを休止した病院は全国で少なくとも127か所に上り、1