2008/9/18 末梢(まっしょう)神経の再生治療 血流回復で痛み消える YOMIURI ONLINEより転載

指導を受ける松尾光代さん。初出場の全国障害者スポーツ大会でメダルを狙う(大分市のプールで)
水しぶきを上げて、大分県杵築 市の会社員松尾光代さん(37)はプールに飛び込み、腕だけのクロールでぐんぐんとスピードに乗った。初出場となる10月の全国障害者スポーツ大会大分大会まで、あとわずかだ。
スポーツ万能だった松尾さんの6年間に及ぶ「真っ暗闇」は2000年7月に始まった。ビーチバレーをした夜、右ひざにカミソリで切られるような痛みが出た。砂に足を取られてひねったのか。
右ひざが伸びなくなり、整形外科を受診。半月板が摩擦でケバケバにささくれ立っている「半月板損傷」が痛みの原因と診断され、手術で半月板を削った。
2か月後には、この手術でひざの皿と周囲の軟らかい組織が癒着したとの理由で、はがす手術を受けた。
だが、痛みは「のこぎりを引かれるような感覚」に変わり、松葉づえがないと歩けなくなった。触っただけで痛みを生むひざの末梢神経を5センチ切る手術、脊髄 に電極を埋め込む治療、リハビリ……。
治療を繰り返しても良くならず、動かなくなり、ひざなどの骨がボロボロになってしまった。「次の治療でダメなら脚を切り落とそう」とまで思い詰めた時、主治医から神経治療で実績がある稲田病院(奈良市)を紹介された。院長の稲田有史 さんは、治療などで末梢神経が複合的に損傷したことによる「難治性疼痛 障害」と診断した。
06年8月の手術では、痛みの原因を見極めるために、ひざ上で筋肉を覆う膜を切り開き、ひざの感覚をつかさどる神経をむき出しにした。すると過去の手術で硬くなった部分に圧迫されていた神経内の0・2ミリの栄養血管に血が巡った。
「治療で切断した神経への血流を抑える防御反応として体が筋肉などを緊張させて神経を圧迫し、痛みを発していたのでは」と稲田さん。血流の回復で傷んだ神経に十分な栄養が届く。
翌朝には痛みが消えた。ひざに装具が着けられるため、短い距離ならつえなしで歩けるようになった。
松尾さんには、神経再生治療として、このシリーズで紹介したチューブは使っていない。しかし、稲田さんは「必要ならチューブを使うという選択肢がなければ、手術の対象にならなかった」と言う。
松尾さんは昨年から本格的に水泳を始め、今年、県予選で大会記録を出した。「ひざは曲がらないままだが毎日が楽しい。今が私の伸び盛り」。苦しかった日々をバネに、金メダルを狙う。(山崎光祥)
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2008/9/17 末梢(まっしょう)神経の再生治療 親知らず抜歯 舌神経切断 YOMIURI ONLINEより転載

お茶を飲みながら家族と話す裕子さん。ケーキも楽しめるようになってきた(新潟県内で)
右下の親知らずが痛み、裕子さん(33)は2004年11月、新潟市の歯科医院で抜いてもらった。まさか、それが苦しみの始まりになるとは夢にも思わずに……。
歯茎や舌が右側だけ麻酔をしたように触覚も味覚もない状態が続いた。年明けごろからは、時折、ピリッとした痛みが現れ、強さと頻度が増していった。
歯科医院を回っても、対処法は見つからず、05年3月、新潟大医歯学総合病院(新潟市)の歯科麻酔科を訪れた。准教授の瀬尾憲司さんが、細いはけや先のとがったもので舌を刺激してみると、右側は、感覚が全くなく、味を感じる舌の表面の「味蕾 」も失われていた。
歯茎の内側に麻酔を注射した瞬間、「ビリッときた」という話も引っかかった。麻酔は通常、歯茎の外側に刺すが、効かなければ内側に刺す。その際、まれに近くにある直径約4ミリの舌神経を誤って針で傷つけてしまうことがある。
「麻酔で右側の舌神経を傷つけ、歯を抜くうちに切断してしまったのではないか。通常の治療では歯が立たない」と直感した。瀬尾さんは、研究者仲間から神経再生に取り組む稲田病院(奈良市)を勧められ、裕子さんを紹介し、05年7月に転院した。

院長の稲田有史 さんが手術で口内を開くと、舌神経が切れて、端は団子状になって歯茎の骨にくっついていた。硬くなった部分を切り取ると、切れた神経の両端の間が4センチも離れてしまった。このため、末梢神経の再生を促すチューブを移植した。
1週間後には痛みが消え、1か月後には薬剤師の職に復帰。痛みで集中力が途切れることがなくなり、仕事に打ち込めるようになった。舌先や舌の縁の感覚も少し戻ってきた。
「感覚があった舌の左側が発達したようで、最近は親知らずを抜く前より味にうるさくなった。料理も食事も楽しい」と裕子さんは笑顔を見せる。
新潟大でも裕子さんの治療を機に、末梢神経の再生治療を行う態勢を整えた。歯科治療のトラブルから、唇を触っただけで激痛が走る患者や、口のがんの手術で傷ついた神経の再生にも取り組んでいる。
瀬尾さんは「神経が切れてしまうと、苦しい痛みに対して、良い治療法がないことが多い。この方法は、そんな患者を救えるのでは」と話している。
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2008/9/15 末梢(まっしょう)神経の再生治療 取り戻せた 自然な笑顔 YOMIURI ONLINEより転載

仕事先で談笑する文賢基さん。表情に不自然さは全くない(大阪市内で)
脇見をした次の瞬間、目前に路肩に駐車した車が迫った。2003年6月の真夜中に奈良県橿原市で起きた交通事故。仕事帰りの文賢基 さん(28)は、衝突の弾みで運転席の窓に頭の右側を強打した。ほお骨の辺りから耳までパックリと一文字に開いた傷口をバックミラーで見たところで、記憶が途切れた。
傷口は縫い合わせた。だが、額とまゆ、目尻が右側だけ下がったまま、指で触っても感覚がない。まゆなどの動きと、感覚を担う末梢の顔面神経2本が断裂していた。
つなぎ合わせるには長さが足りず、届かない。足首などから神経を取って移植してつなぐ方法もあるが、良い結果を出すのは難しい。代わりに足の感覚を失うジレンマもある。
一時は、Jリーグを目指した文さんにとって、社会人チームで思い切りサッカーボールをけれなくなるのは耐えられなかった。
「顔はしかたがないか」。覚悟を決めたころ、転院先の奈良県立医大耳鼻咽喉科で教授の細井裕司さんから、神経を再生する研究段階の治療を提案された。この治療法は、京都大再生医科学研究所准教授の中村達雄さんが02年に開発したものだ。
体内で分解・吸収される外科手術用の糸を、組みひもの技術で直径0・5〜13ミリのチューブに編み上げ、中と外側にコラーゲンを塗る。脳や脊髄 の中枢神経と異なり末梢神経は再生力が強く、チューブの両端に神経の断端を入れておくと、中を1日1ミリのペースで伸びていってつながり、運動と感覚の信号が通うようになるという。
中村さんは「細胞と細胞の間には元々コラーゲンがあり、これを塗ったシャーレで末梢神経の細胞を培養すると伸びやすい」と解説する。その性質を治療に応用したものだ。
文さんには、直径1、2ミリ、長さ約3センチのチューブ2本を移植。1か月後には、鏡の前で上目遣いになるとまゆが少し動いたように感じられ、5か月後には、額にほぼ左右対称のしわが入るようになった。今では自然な表情が作れる。「違和感なく、家族や友人と笑い合える」と喜ぶ。
再生を促すチューブは、まだ、薬事法に基づく承認申請に向けた臨床試験(治験)を計画している段階で、実施施設も限られている。しかし、すでに150件を超える治療実績がある。末梢神経の再生治療を紹介する。
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/


ドクター ご紹介 - http://kanja.ds-pharma.jp/health/yotsu/doctor/078/index.htmlから転載







腰痛の発生頻度や原因について教えてください。
上半身の重さは体重の約70%といわれています。その重さを支えているのが腰椎です。腰椎には椎体という骨の部分と椎間板という骨と骨の間に入っている部分があります。椎体は機械的な負荷により変形が進行し、また骨粗鬆症の進行とともに脆くなっていきます。椎間板も年齢とともに変性していきます。驚くことにこの変性は10歳の子供たちのすでに9%に起こっていると報告されています。治療を要する腰痛の発生頻度の調査では20歳代以上の年齢層ではほぼ同じくらい(40〜65%)で発生していることが報告されています。このような背景から近年、腰痛はもっとも有訴率が高い疾患になっています。大半の腰痛は数日間で治りますが、臀部痛や下肢痛を伴う腰痛は専門的な治療が必要になる場合も多いので注意しましょう。





