2008/10/11 シリーズこころ 今時うつ病事情 [Q&A]患者4タイプ 治療法別々 YOMIURI ONLINEより転載

野村総一郎・日本うつ病学会理事長 防衛医大教授。1974年、慶応大医学部卒。著書に「うつ病の真実」など。
最近のうつ病について、日本うつ病学会理事長の野村総一郎さんに聞いた。
――うつ病が多様化してきた、と言われますが、どうしてでしょうか。
一つの要因は、診断基準の変化です。近年、世界的に主流になった米国精神医学会の診断基準は、主な症状の数で病気を定義しています。とりあえず原因は問題にしないので、一定の症状があれば、簡単に「うつ病」と診断されます。これにより、以前は、別の病気とされていたものも含まれるようになりました。
もう一つは、うつ病が話題になることが増えるにつれ、「気分の落ち込み=病気」という安直な解釈が広がり、間違った使い方をされている面もあると思います。以前より受け入れられやすくなり、安易な診断が増えたという指摘もあります。うつ病とは、どんな病気か、改めて整理する時期に来ているかもしれません。
――現在、うつ病と診断されるものにはどのようなタイプがありますか。
私は、主に4タイプあると考えています。
〈1〉良いことがあっても関係なく重苦しい気分が続き、自分を責める「メランコリー型うつ病」〈2〉そう状態とうつ状態を行き来する「双極性障害」(そううつ病)〈3〉軽い憂うつが2年以上続く「気分変調症」〈4〉過眠過食を伴い、良いことがあると元気になることもある「非定型うつ病」です。
――患者像も変わってきたと言われます。
従来は、まじめできちょうめん、自分を責めてしまう人がなりやすいと言われてきましたが、これは、典型的なメランコリー型うつ病を指しています。内向的な印象がありますが、双極性障害には社交的な人も多くみられます。最近増えた非定型うつ病は、わがままに映ることもあります。
――治療法は?
タイプ別に異なります。典型的なメランコリー型うつ病は、一般的にSSRIなどの抗うつ薬が使われます。しかし、双極性障害は、抗うつ薬を飲むと、そう状態を引き起こし悪化する場合もあるので、気分安定薬が基本です。
性格などが影響する気分変調症は、基本的に薬では治りにくく、考え方や生活環境の改善に取り組む必要があります。非定型うつ病では、休養した方がよいとは限りません。
――診断基準の問題は?
病気の定義を世界共通にした意義は大きいのですが、治療法が違うのに同じ病名で良いのか、という問題はあります。症状でうつ病と見立てた後、どのようなタイプか、他の病気に当たらないか、鑑別する必要があるのですが、単に病名をつけて終わりにすると、治療を間違う恐れがあります。単純に「うつ病治療=抗うつ薬」ではないことを、医師も肝に銘じる必要があります。
――現在のうつ病をどうとらえたらよいでしょう。
気分の落ち込みや意欲の減退などが一定期間続く「いろいろな病気の集まり」と受け止めた方が、理解しやすいかもしれません。
(高橋圭史)
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2008/10/10 シリーズこころ 今時うつ病事情 問診数分 すぐ診断書 YOMIURI ONLINEより転載

診察で、じっくりと話を聞く竹内潤一さん。初診には1時間近くかける
「どうしました?」という医師に、「最近、気分が落ち込んで、何もやる気がおきません」と30歳代前半の会社員は答えた。
「食欲はどうですか」 「ありません」
「よく眠れていますか」 「いいえ」
「疲れてますか?」
「はい」
診察はこんな調子だったようで、わずか数分で終了。「うつ病ですね。休養が必要だと思います」と診断書が出たという。
「ほんとうは症状はありませんが、インターネットで見た通りにうつ病の症状を伝えたら、簡単に診断書が出ました。おかげでよく休めていますよ」
ある産業カウンセラーは、休職中の会社員との4回目の面談中、そう打ち明けられた。「今の仕事が向いていないので、嫌で休みたかったんです」という。いつも話題は職場への不満ばかりで、元気そうだ。処方された抗うつ薬は「飲んでいませんよ」と話す。
うつ病など精神疾患を理由に休職する人が増えていると言われる。例えば、人事院の2006年度の調査によると、国家公務員の場合、1か月以上の長期病休者6105人のうち、うつ病など「精神及び行動の障害」を理由にしたケースが、5年前の1・7倍に増え、63%を占めた。
ストレス社会に心を病む人が増えたこと自体に加え、精神科にかかることへの抵抗感が薄れたことも、患者の増加につながっていると言われる。病気を偽るというのは極端な例かもしれないが、うつ病という病名が一般的になったことで、「つらい気分=うつ病」と単純に理解されている面もあるという。
さきほどのカウンセラーは「問診で診断するわけですから、偽るつもりで話をされたら、見抜くのは難しいかもしれませんが、せめて、もう少し、じっくり診察する必要があるのではないか」と指摘する。
甲府市の心療内科たけうちクリニック院長、竹内潤一さんは、初診では必ず1時間近くかけるようにしている。症状だけではなく、仕事や生活全般について質問し、患者の人物をできるだけ理解するよう努める。
「症状はもちろん重要ですが、どんな要素が症状に関係しているか、つかむ必要があります。うつ病といっても、人によって薬も違いますから、安易な診断は不適切な治療につながりかねません」と警鐘を鳴らしている。
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2008/10/8 シリーズこころ 今時うつ病事情 鑑別難しい双極性障害 YOMIURI ONLINEより転載
(2008年10月1日 読売新聞)
気分の落ち込み、疲労感、不眠などを感じ、7年前、「うつ病」と診断された福岡県の主婦Bさん(56)。抗うつ薬を飲むと気分が持ち直すので、服薬を続けていたが、昨年3月、気分の重苦しさと疲労感が強まり、精神科病院に入院。抗うつ薬を倍近くに増量された。
約3か月の入院ですっかり、元気になった。しかも以前より、活動的になった。家庭菜園に夢中になり、元は空き地だったところまで耕し、面積を倍の150平方メートルまで広げた。夏の暑い盛りも日に6、7時間。トマト、ナス、キュウリ……。食べきれないほどの野菜を作った。
その反動で、昨年9月ごろから、徐々に「しんどいなあ」と思うようになり、また気分がふさぎ始めた。
増量していた抗うつ薬でも回復せず、不眠になるなど悪化。今年3月、九州大病院(福岡市)に入院した。
そこで、精神科神経科教授の神庭重信さんに「単純なうつ病でなく、気分の浮き沈みのある『双極性障害』(そううつ病)とみられるので、薬を替えましょう」と言われた。夏場の畑仕事への没頭などは、気分が異常に高揚する「そう状態」の表れとみられた。
神庭さんによると、双極性障害の場合、抗うつ薬だけを飲むと、そう状態を誘発し、その反動で、さらに気分が落ち込むことがある。治りにくいと判断し抗うつ薬を増量すると、さらに悪循環になる恐れもある。だから、治療は、気分の波をなだらかにする気分安定薬が基本になる。
Bさんも薬を気分安定薬を中心に替えた。その後、不眠などの症状はほとんどなくなり、今は週2日、1日2時間程度、家庭菜園に出る。
「正直言って、以前抗うつ薬を増やした直後の方が元気でしたが、あそこまで持ち上げると反動が出るので、今は無理のない範囲で畑仕事を楽しむようにしています」とBさんは話す。
双極性障害とうつ病とは薬も異なる別の病気と考えられているが、「実は、鑑別は難しい」と神庭さんは話す。双極性障害でも、うつの期間の方が圧倒的に長い傾向があり、患者の多くはうつ状態で受診するので、症状からは、「うつ病」と診断されやすい。多くの人が、最適な治療を受けていない可能性があると言われている。
「そう状態は本人も自覚しない場合が多い。急におしゃべりになったり、活動的になったり、イライラしたりすることも、軽いそう状態の症状である場合がある」と神庭さんは話す。
そう(軽そう)状態の症状
(以下のうち、〈1〉を含む、四つ以上の症状が1週 間以上続くとそう状態、やや軽くても4日以上なら軽そう状態)
〈1〉異常に気分が高揚し、興奮したり、いらいらしたりする
〈2〉自分が偉くなったように感じる
〈3〉睡眠時間が減っても元気
〈4〉おしゃべりになる
〈5〉いろいろな考えが次々と浮かぶ
〈6〉注意が散漫になる
〈7〉目標に向かって異常にがんばる
〈8〉後先考えず快楽的な行動をする
(米国精神医学会の診断基準DSM―4より要約)
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2008/10/8 シリーズこころ 今時うつ病事情 眠気の原因 実は別の病気 YOMIURI ONLINEより転載

睡眠時無呼吸症候群の治療装置のマスクを手にするAさん。「これを付けて寝るようになり、以前のような日中の強い眠気はなくなった」
東京都の会社員Aさん(52)は3年ほど前、気分の落ち込み、眠気などの症状が強まり、3週間仕事を休んだ。診療所で「うつ病」と診断された。
うつ病では、不眠が症状として表れることが多い。夜眠れないから、昼に眠たい。それにしても、Aさんの場合は、眠気が強かった。出勤途中、駅のホームのベンチで寝込み、遅刻したり、欠勤したりすることもあった。
「つらくて会社に行きたくないという気分と、眠くて行けないという要素がない交ぜになっていた」とAさんは振り返る。
仕事への復帰に当たり、人事担当者からの紹介で関連会社の産業医、堀川直人さん(富士電機システムズ健康管理センター所長)を受診した。依然として、気分は沈みがちで、意欲が持てない。相変わらず、よく眠れず日中も眠気が強いし、疲れを感じていた。
やはりうつ病と診断され、職場に事情を話し、残業がない部署に異動した。薬も替わり、気分の落ち込みはあまり感じなくなった。しかし、数か月たっても、夜間に目覚める症状や、日中の強い眠気から職場で居眠りすることは続いていた。
堀川さんは当初、眠気は薬の副作用か薬の効果が不十分なためと思った。しかし、薬を調整しても続くことから、「眠気自体は、うつ病とは関係ないかもしれない」と考えるようになった。
当時、Aさんは身長1メートル65で体重80キロの肥満体形。聞けば「自分のイビキで目を覚ますことがある」という。呼吸器内科で検査したところ、一晩に数十回、10秒以上呼吸が止まる無呼吸状態に陥っていた。「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」。のどの気道が狭くなり、呼吸が頻繁に止まるため、不眠の原因になる。
それから毎晩、睡眠時無呼吸症候群の治療として、気道がふさがらないよう鼻に空気を送るマスクをつけて寝るようにした。すると、夜、ぐっすり眠れるようになり、日中の強い眠気はなくなった。
堀川さんは「睡眠障害や集中力の低下、疲労感などは、うつ病でも起こるが、睡眠時無呼吸症候群でも同様の症状が出る」と指摘する。Aさんの場合は、二つの病気を持っていた。
うつ病の個々の症状は、いわば日常的なもので、ほかの病気と共通するものも多い。複数の病気が重なっている場合もあることを理解しておきたい。
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2008/10/8 シリーズこころ 今時うつ病事情 「職場以外は活動的」増加 YOMIURI ONLINEより転載
(2008年9月29日 読売新聞)
企業と契約し社員相談に当たる産業カウンセラー、高関薫さん(61)は「近年、うつ病と診断されて面談する社員の印象が変わってきた」と話す。
うつ病と言えば、周囲の状況に関係なく沈んだ気分が続き、何事にも意欲が出ないのが主な症状。患者は、きまじめで手抜きができず、すぐに自分を責める……。
ところが、高関さんがここ数年面接する人の多くは、「もっと私はできるのに」と周囲を責めたり、趣味など仕事以外では活動的になったりする。20歳代後半〜40歳代前半が多い。
一昨年、うつ病と診断され、休職した30歳代のIT企業の男性社員もそんな人物だ。高関さんとの面談中、「職場がつらい。先週も何もやる気が起きなかった」と訴えつつも「来週は東南アジアに旅行に行く」と話した。
この男性は半年間病欠したが、今度は、その分忙しくなった同じ職場の同僚が相談に来た。疲れから、うつ病に陥る危険を感じたので休養を勧めたが、「今は休めない」と一段落するまで仕事を続けた。こちらの方が、うつ病に陥りがちな気質に見えた。
ここ半年、うつ病関係で面接した会社員30人のうち、きまじめな従来型は約10人。3分の2は、職場を離れると元気になるといったタイプで、「職場うつ」「未熟型」「逃避型」「現代型」などと呼ばれている。
産業医の経験が豊富な東大病院精神神経科の河村代志也 さんは「最近増えた若い患者は、職場などの環境に順応できずに苦痛を感じる『適応障害』や自己愛的な性格が元になって、うつ病と診断されている場合が多い」とみる。
こうしたケースでは、一般的な治療である抗うつ薬が処方されても、効果は薄い。「本人と職場」の問題なら、職場を離れれば症状は消え、元気になる。単に長期間休養しても、同じ環境に戻れば再発しやすい。
考え方にバランスを欠いた面がある場合は、カウンセリングなどを用いた治療を行う方法もあるが、時間がかかる。ストレスの少ない職場に変わるなどの調整が現実的な対処法になる。
近年、最も普及した診断基準(表)では、9項目中五つを満たせば、うつ病の診断がつく。河村さんは「精神科受診への抵抗感が薄れ、うつ病と診断される人が増えている。その中には、様々な患者がいるので、治療も一律に、抗うつ薬と休養とは限らない」と話す。
うつ病の症状
以下の五つ以上が2週間以上存在(〈1〉か〈2〉、いずれかは必須)
〈1〉ほとんど一日中、毎日の抑うつ気分
〈2〉ほとんど一日中、毎日、興味、喜びの減退
〈3〉食欲減退または増加
〈4〉不眠または睡眠過多
〈5〉あせりを感じる、会話や動きが遅くなる
〈6〉疲労感、気力の減退
〈7〉罪責感
〈8〉思考力、集中力の減退
〈9〉自殺を考える
〈1〉ほとんど一日中、毎日の抑うつ気分
〈2〉ほとんど一日中、毎日、興味、喜びの減退
〈3〉食欲減退または増加
〈4〉不眠または睡眠過多
〈5〉あせりを感じる、会話や動きが遅くなる
〈6〉疲労感、気力の減退
〈7〉罪責感
〈8〉思考力、集中力の減退
〈9〉自殺を考える
(米国精神医学会の診断基準DSM―4より)


ドクター ご紹介 - http://kanja.ds-pharma.jp/health/yotsu/doctor/078/index.htmlから転載







腰痛の発生頻度や原因について教えてください。
上半身の重さは体重の約70%といわれています。その重さを支えているのが腰椎です。腰椎には椎体という骨の部分と椎間板という骨と骨の間に入っている部分があります。椎体は機械的な負荷により変形が進行し、また骨粗鬆症の進行とともに脆くなっていきます。椎間板も年齢とともに変性していきます。驚くことにこの変性は10歳の子供たちのすでに9%に起こっていると報告されています。治療を要する腰痛の発生頻度の調査では20歳代以上の年齢層ではほぼ同じくらい(40〜65%)で発生していることが報告されています。このような背景から近年、腰痛はもっとも有訴率が高い疾患になっています。大半の腰痛は数日間で治りますが、臀部痛や下肢痛を伴う腰痛は専門的な治療が必要になる場合も多いので注意しましょう。





