鍼灸・整骨の治療だけでなく、身体バランス調整を通した健康的な美容までのトータルケアを

京都市下京区/富士鍼灸整骨院(ふじしんきゅうせいこついん)

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2006/9/29 高気圧酸素治療法 損傷組織の回復促す YOMIURI ONLINEより転載

高気圧酸素治療法
 
 
損傷組織の回復促す
 
2006年9月29日  読売新聞)
 
 夏の甲子園を制した早実・斎藤佑樹投手が、激闘の“疲労回復”に使ったとして話題になった健康器具の高気圧カプセル。高気圧酸素は、全く別の治療機器として、医療機関で病気の治療に利用されている。医療現場でどのように使われているのか。国内最大級の装置を備えた東京医科歯科大病院(東京・文京区)高気圧治療部を訪ねた。(田村良彦)

 
 空気には酸素が約20%含まれており、呼吸で肺に取り込まれた酸素は、血液中の赤血球色素(ヘモグロビン)と結びついて全身に運ばれる。
 ヘモグロビンは普通の状態でも、90%以上が酸素と結合している。このため、単に酸素吸入をしただけでは、結合が100%に近づくにしても、上乗せ効果は限られている。
 ところが、通常の1気圧より高い気圧のもとで酸素を吸うと、大気の圧力で血液の液体成分にも酸素が溶け込み、ヘモグロビンが運ぶ量を上回る酸素が血液中を運ばれる。これを利用して体内に多くの酸素を取り入れ、病気やけがで損なわれた組織の回復を促すのが、高気圧酸素治療だ。
 保険などで定められた基準は、「タンク」の通称がある密封可能な治療装置に患者が入り、酸素吸入をしながら、2気圧以上で1時間以上治療することが条件。同治療部教授の真野喜洋さんは「大気濃度の5倍にあたる100%純度の酸素を吸いながら、体に負担のない2〜2・8倍の大気圧をかけることで、血液中の酸素濃度が通常の十数倍に高まる」と解説する。
 この治療によって、けがをしたり血管が詰まったりして酸素不足に陥っている部位に、十分な酸素を送り届ける。一方、もともと十分な酸素がある正常部位では、防御反応によって血管が収縮し、むくみや腫れを抑える一石二鳥の効果もある。
 表に掲げたように、脳卒中などで脳が腫れる脳浮腫(ふしゅ)、心筋梗塞(こうそく)、突発性難聴など様々な病気に保険が適用されている。発症からできるだけ早く始めた方が良い。薬物治療や手術などと組み合わせ、治療効果を高める。毎日1時間、週5回が基本で、病気によっては何週か繰り返す。
 日本高気圧環境医学会の調べでは、この治療は全国500〜600の医療機関で行われているとみられる。同大病院に2001年に設置された特注の大型タンクは、内部が3室に分かれ、最大16人を一度に治療できる。
 保険はきかないが、最近注目されているのが、ねんざや骨折、肉離れや靱帯(じんたい)損傷といったスポーツによるけがの治療だ。けがをしたらできるだけ早く、1週間程度、高気圧酸素治療を行うことで、治療期間の短縮・早期復帰が図れるという。同大病院では、プロ野球やJリーグの一流選手の治療も行っている。
 治療には、気圧の変化による耳や副鼻腔(びくう)の痛みといった副作用のほか、高濃度の酸素によって肺や神経が侵される酸素中毒への注意が必要で、十分な経験を持った医師のいる施設で受けたい。
 一方、斎藤投手も使ったという市販の高気圧カプセルは、気圧が1・3気圧程度と低く、純酸素の吸入もないため、溶け込む酸素の量は格段に少ない。医療機器ではなく、治療効果をうたうことはできない「健康器具」だ。針きゅう院や整骨院、美容サロンなどで800台以上が使われているという。気分のリラックス効果はさておき、「医療機関の高気圧酸素治療とは全く別物」と真野さんは強調する。
 医療機関での保険での費用は、発症後1週間以内の救急治療が3割負担で1日1万5000円〜1万8000円、2週間目以降や慢性病は1日600円。保険外のスポーツ傷害の場合、同大病院では1日2万円で実施している。

高気圧酸素治療を行う主な大学病院

北海道大(麻酔科)(電)011・716・1161
旭川医大(電)0166・65・2111
東京医科歯科大(高気圧治療部)(電)03・3813・6111
千葉大(手術部)(電)043・222・7171
日本医大(第一外科高圧酸素治療室)(電)03・3822・2131
信州大(救命救急センター)(電)0263・35・4600
琉球大(高気圧治療部)(電)098・895・3331
※病院によっては、スポーツ外傷など保険外の治療はしていない。
 

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2006/9/15 慢性疲労症候群 ストレスで免疫に異常 YOMIURI ONLINEより転載

慢性疲労症候群
 
 
ストレスで免疫に異常

2006年9月15日  読売新聞)

 山口県光市のA子さん(42)は、1991年5月に風邪による高熱で2、3日寝込んだあと、微熱が治まらなくなった。全身の疲れと痛みが続き、寝たり起きたりを繰り返す毎日に。どの病院でも「異常なし」と言われ、途方に暮れた。しかし、雑誌の記事で「慢性疲労症候群(CFS)」という病気があることを知り、2001年8月に大阪の病院の専門外来を受診。発病から10年後、この病気と初めて診断された。現在は薬物治療で体の痛みが和らいでいる。(大阪科学部・木下聡)
写真

 がんや甲状腺疾患、更年期障害などの病気はないのに、日常生活が困難になるほど強い疲労感が半年以上続く場合を、慢性疲労症候群と呼ぶ。
 疲労感だけでなく、微熱や頭痛、関節痛、思考力の低下、睡眠障害といった症状を伴い、寝たきりになることもある。単なる過労で疲れが取れない状態とは全く異なる。
 ところが、原因となる病気や検査での異常が見当たらないだけに、なかなか病気とは認知されなかった。91年に厚生省(当時)研究班が設けられ、診断基準を作ったものの、医師の間に広く認識され、専門外来が増えてきたのは、ここ数年のことだ。患者数は明らかではないが、国内で1000人に2人程度に発症するという推定もある。
 原因はよくわかっていない。風邪症状から始まった患者は多く、欧米では集団発生した例がかなりある(日本では91年に熊本市で報告)。このため、ヘルペス、インフルエンザなどのウイルスとの関連が指摘されている。ただ、感染症だけでは説明のつかない点が多く、最近はストレスの影響が注目されている。
 ストレスを受けると、脳の視床下部などの反応で、様々なホルモンのバランスが崩れる。病原体から体を守る免疫系にも影響し、外敵と闘うNK(ナチュラルキラー)細胞の活動が低下する。すると、体内に潜んでいたウイルスが勢いづき、それを攻撃する免疫物質が作られるが、調節がうまくいかず、かえって神経系や内分泌系(ホルモン)にダメージを与える――。
 悪循環の結果、体中から神経を通して脳に信号を伝える各種の神経伝達物質が減り、脳の細胞が変調をきたして異常な疲労感が生じる、とみられている。
 患者の血液中では、神経伝達物質の合成に必要な「アセチルカルニチン」という物質が少なく、特に脳内の自律神経系をつかさどる部位で減っていることが最近わかった。体のだるさといった症状が現れる理由も説明できる。
 大阪市立大病院が昨年5月に開設した慢性疲労外来で診療する倉恒(くらつね)弘彦さん(関西福祉科学大教授)は「過労や対人関係など身体的、精神的な要因だけでなく、化学物質や紫外線まで、生活環境のあらゆるストレスが発病の引き金になりうる」と話す。
 確立した治療はないが、ストレスを和らげ、免疫機能を元へ戻すことが主眼になる。
 大阪市立大では、生体防御機能を回復させる漢方薬「補(ほ)中(ちゅう)益(えっ)気(き)湯(とう)」とビタミンB12、ビタミンCの服用を勧める。うつ病などと重なっている場合もあるので、効果が乏しい時は抗うつ剤などを処方し、必要に応じてカウンセリングも行う。イラストに掲げたチェック表は、受診の目安に活用できる。
 倉恒さんは「元の自分に100%戻れなくても、日常でできることが少しでも増えていけば社会復帰できる。あせらず、前向きな精神状態を保つことが大切」と強調する。

慢性疲労症候群の診療を行う主な医療機関

賛育会病院(東京都墨田区)(電)03・3622・9191
高橋耳鼻いんこう科医院(東京都世田谷区)(電)03・3326・5660
総合川崎臨港病院(川崎市)(電)044・233・9336
国立病院機構さいがた病院(新潟県上越市)(電)025・534・3131
相沢病院(長野県松本市)(電)0263・33・8600
大阪市立大(大阪市)(電)06・6645・2121
日生病院(大阪市)(電)06・6543・3581
市立堺病院(大阪府堺市)(電)072・221・1700
熊本大(熊本市)(電)096・344・2111
 

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2006/9/8 頸動脈の超音波検査 全身の動脈硬化を推定 YOMIURI ONLINEより転載

頸動脈の超音波検査
 
 
全身の動脈硬化を推定
 
2006年9月8日  読売新聞)
 
 50歳代の男性Aさんは高血圧、糖尿病の持病があり、心臓の筋肉に栄養を送る冠動脈が狭くなる狭心症の発作を起こしたことがある。一昨年夏、慶応大病院(東京・信濃町)で首の動脈・頸動脈(けいどうみゃく)の超音波検査を受けたら、動脈硬化で50%も狭くなっていることが分かった。すぐに禁煙し、半年に1度の超音波検査を受けながら、降圧剤や血液を固まりにくくする抗血小板薬などを服用。今のところ、頸動脈も心臓も病状は進んでいない。(坂上博)
写真

 頸動脈は、のどの横の左右にある動脈で、頭部に血液を送っている。あごの下部分までは総頸動脈(成人男性で直径10ミリ弱ほど)と呼ばれ、この動脈は脳に血液を送る内(ない)頸動脈と、顔に血液を送る外(がい)頸動脈に分かれる。
 内頸動脈への分岐部は、全身の動脈の中でも最も動脈硬化が進みやすい部位の一つとされる。これが詰まると、脳に血液が行かなくなり、脳梗塞(こうそく)を引き起こし、亡くなることがある。また、心臓や足の動脈硬化と密接な関係があるため、頸動脈の状態から全身の動脈硬化の進行具合を推定することができる。
 そのため、手軽にできる頸動脈の超音波検査を、人間ドックなどの検診に取り入れる病院が急速に増えている。
 頸動脈に検査具をあてると、モニターに血管の状態が映し出される。10分ほどの検査で、血管の膜の厚み、狭さく率、コレステロールがたまってできるおかゆ状の隆起・粥腫(じゅくしゅ)(プラーク)の状態を調べる。
 〈1〉血管の壁 内側から内膜、中膜、外膜の3層から成る。動脈硬化の初期には、内膜と中膜が厚くなる。この二つの膜を合わせた厚さは、40〜50歳代の男性なら0・5〜0・6ミリほど。それより厚くなると脳梗塞の発生率が高くなる。
 〈2〉狭さく率 動脈硬化を起こしている部分と、起こしていない部分の血管の内径の比率。症状がなくても60%以上狭さくしていると、2年間に5%の人が脳梗塞を起こす。
 〈3〉プラーク 血管壁にできるプラークの有無もチェックする。プラーク内部で出血したり、表面がはがれたりすると血管が詰まる。超音波の画像が薄い場合、血管壁が破れやすい「不安定プラーク」と呼ばれ、早い段階で治療が必要となる。
 治療対象は、内膜と中膜の合計が年齢基準より厚くなり、狭さくを起こすプラークが出来ていることなどが目安。コレステロール値を下げるスタチン製剤が厚みを減らすとされる。降圧薬、抗血小板薬などを併用して動脈硬化の治療をする。慶応大神経内科講師の星野晴彦さんは「運動、肉食中心の食生活の改善、禁煙といった生活習慣の見直しで、全身の動脈硬化を防ぐことも大切です」と話している。
 さらに状態が進み、頸動脈の狭さく率が50%を超えた上、半身のまひやしびれ、軽い言語障害などの症状が一時的に現れる「一過性脳虚血発作」を起こしたり、不安定プラークがあったりする患者は、頸動脈そのものへの治療が検討される。
 それには、頸動脈を切り開いてプラークがある血管内壁を削り取る「頸動脈内膜はく離術」と、足の付け根の動脈から血管を広げる金網状の筒・ステントを挿入して、頸動脈に置く血管内治療がある。
 脳梗塞を防ぐ予防的な治療だが、治療によりプラークや血液の塊の一部が飛散して脳梗塞を起こすことがまれにある。無駄な治療は厳禁で、アメリカの指針では、経験と実力がある医師が行うべきとしている。
 Aさんは狭さく率が50%だが、無症状なので薬による治療が選ばれた。定期的に頸動脈超音波検査を受けて経過を観察している。
 

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月別

わが街  京都  ドクター ご紹介 - http://kanja.ds-pharma.jp/health/yotsu/doctor/078/index.htmlから転載
ドクターからのメッセージ
患者さん一人ひとりに合った治療を目指して
近畿京都府京都市
ひろしまクリニック 院長
廣島 芳城 先生
ひろしまクリニックについてはこちら
 腰痛の発生頻度や原因について教えてください。
上半身の重さは体重の約70%といわれています。その重さを支えているのが腰椎です。腰椎には椎体という骨の部分と椎間板という骨と骨の間に入っている部分があります。椎体は機械的な負荷により変形が進行し、また骨粗鬆症の進行とともに脆くなっていきます。椎間板も年齢とともに変性していきます。驚くことにこの変性は10歳の子供たちのすでに9%に起こっていると報告されています。治療を要する腰痛の発生頻度の調査では20歳代以上の年齢層ではほぼ同じくらい(40〜65%)で発生していることが報告されています。このような背景から近年、腰痛はもっとも有訴率が高い疾患になっています。大半の腰痛は数日間で治りますが、臀部痛や下肢痛を伴う腰痛は専門的な治療が必要になる場合も多いので注意しましょう。
 高齢者の下肢痛を伴う腰痛の多くは腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)という病気です。また激しい腰痛の場合、脊椎圧迫骨折のほか、非常にまれですが背骨の感染症(化膿性椎間板炎など)があります。免疫力が低下している方、糖尿病、ステロイドを内服中の方が罹りやすいので、患者さんは診察の時に既往歴や飲んでいる薬剤についても必ず医師に伝えていただきたいと思います。
 腰部脊柱管狭窄症の手術について教えてください。
最近では内視鏡を使った手術も増えてきました。内視鏡手術は患部が明るく拡大されて安全に行えることに加えて小さな傷と手術中の筋肉の損傷が少ない(低侵襲)ため早期に社会復帰できるという利点があります。しかしすべての方に内視鏡手術がよいという訳ではありません。狭窄箇所が多数ある場合などは内視鏡手術では従来の手術と比べて時間が長くなることもあり、心臓や肺などの病気であまり体力がない方などにとっては、総合的に考えて低侵襲とはいえないからです。どのような手術方法がその患者さんにとっていいのか、医師がメリットだけでなくデメリットについても説明しますので納得したうえで選択していただきたいです。
 腰痛の患者さんを診察するにあたってどのようなことを感じていらっしゃいますか?
腰痛の治療には画一的なものはありません。患者さんの病態がまったく同じものがないことは勿論のこと、治療には患者さんの社会的背景や満足度などを考慮することが必要だからです。
 いままで急性腰痛と慢性腰痛の違いはその罹患期間の違いと考えられてきましたが、近年、functional MRIを用いた研究が進み、痛みを感じたとき脳のどの部分が活動しているかわかるようになってきました。様々な研究報告によれば、慢性腰痛は急性腰痛と単に病気の期間の違いではなく、患者さんの心理社会的要因がかかわっている可能性が示されています。事実そうであれば、たとえ外傷で起こった急性腰痛も心理的な要因で慢性期に移行していく可能性があります。そうするとお医者さんと患者さんの関係は大変重要になります。お医者さんが患者さんを励まし、勇気づけ、また、安心感を与えることによって、急性腰痛が慢性に移行することを防ぐことができるかもしれないからです。利害得失の説明や、個人的、社会的背景を考慮した治療方法の提示。そして、患者さんのQOLや満足度の重視。この三つをもって、患者さんの価値観を尊重し、個人個人に合う治療法を提示するというのが、今一番求められていることなのではないかと感じています。





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ドクターからのメッセージ
放っておいて大丈夫?その痛み、そのしびれ
近畿京都市東山区
京都第一赤十字病院整形外科 副部長
大澤 透 先生
京都第一赤十字病院についてはこちら
 立つ、歩く・・・このような生活の基本というべき動作に支障を感じることはありませんか?
生活に影響をおよぼす腰痛疾患として、ぎっくり腰、ヘルニアなどをよく耳にしますが、とくに高齢の方に多い「腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)」という疾患もあります。あまり知られていませんが、加齢現象の1つとして腰骨(腰椎)が変性したために周辺の神経が圧迫され、立つ・歩くなどの負荷に伴って、いわゆる坐骨神経痛と言われるお尻から太腿の後ろ側にかけた痛みや、つっぱり感、しびれなどが起こるものです。長い距離が歩けなくなり、重症の場合は100mでも困難になりますが、しばらく前かがみで休むと再び歩けるようになるという「間欠跛行(かんけつはこう)」も特徴的な症状の一つです。
 年を重ねることで、腰椎の変性が起こる方もあれば起こらない方もあり、変性したからといって必ず症状があらわれるとも限りません。腰部脊柱管狭窄症が進行した場合、もっとも典型的にあらわれる症状は残尿感ひいては失禁などの膀胱直腸障害ですが、このように重症化する方もあれば、慢性的な症状に悩みながら一生付き合っていく方、あるいは急激な痛みのピークを過ぎた後に沈静化する方もあり、全ては人それぞれです。しかし、症状が進行し始めると一気に悪くなり始めるポイントがあり、やがては脱力感や麻痺などが起こります。
 症状のあらわれ方は千差万別ですが、50代以上で思い当たる症状のある方は、適切な治療を受けることで改善する可能性が十分あります。よほど重症化していない限り、治療は血流改善剤や鎮痛剤などの内服薬と、コルセットや運動、牽引などの理学的な施術を併用する保存療法が効を奏します。さらに急性期の痛みにはブロック麻酔を数回行い、それでも患者さんが満足を得られる結果にならなければ手術を検討するというように、治療は段階的に効果を確かめながら進みます。
 手術では、100%とまではいきませんが、痛みの症状を中心に6〜7割の改善は見られます。ただし、一度傷ついた神経の細胞は元に戻らないため、進行していればしているほど残る症状も多く、程度も大きくなります。しかし、手術そのものの危険は少なく、方法も確立されているため、高齢であることを理由に手術を避ける必要はありません。
 現在は、ただ寿命を長くすることよりも、すこやかに過ごせる寿命―「健康寿命」を延ばすことの大切さが言われています。腰部脊柱管狭窄症など腰痛を伴う病気は命にかかわるものではありませんが、その症状によって、立つ・歩くなど生活の基本的な動作をはじめ、仕事や趣味などの活動にも大きな影響がおよびます。好きなことが好きなようにできることは、生活に満足感を得るための大切な要素ですが、腰痛によって動作や活動に制限が生じると、生活の満足感が損なわれる可能性があります。しかしそのとき、症状に合わせて活動の幅をせばめてしまうか、今の生活に合わせられるように症状を改善するかはあなた次第です。従来は50〜60歳の方が多かった腰部脊柱管狭窄症の患者さんですが、最近は70代、80代の方も大勢おられます。とくに高齢の方でも元気な方、元気だからこそ「腰痛を治してもっと動きたい」と思う方が、病院を受診されています。また、日頃から活発に出歩いているからこそ、不調にも早く気付くことができるのでしょう。
 元気に動けるときはどんどん動き、立ったり歩いたりといった基本動作に支障があらわれたとき、あるいは1カ月以上原因の思い当たらない腰痛に悩んでいるときは、自己判断で放置しないでください。足腰の痛み・しびれを起こす病気には血管の病気も含まれます。それを鑑別するためにも、ぜひ整形外科を受診してください。



ドクターからのメッセージ
腰痛のさまざまな対処法をアドバイスします
近畿京都府京都市
京都市立病院 整形外科
田中 真砂史(たなか まさし) 先生
自己診断で治療を始める前に、腰痛の原因を正確に診断することが大切です
最近は鍼治療の研究も進んできたので、まず接骨院や鍼灸治療に行かれる腰痛の患者さんも少なくないようです。患者さんにとっては痛みが取れればよいわけですから、比較的入りやすい窓口に行かれる気持ちはよく分かります。
しかし、これらの治療を長く受けていた後、整形外科に回ってきた患者さんのなかには、がんの転移が腰痛の原因だったケースもあります。腰痛は骨や関節など運動器の障害だけでなく、がんや感染症、内臓疾患や心理面から起こるものなど、さまざまな原因によって起こることを知っておいてください。
私は、西洋医学(整形外科)と東洋医学(鍼治療など)のどちらの窓口から慢性の腰痛の治療に入っても構わないと思っていますが、腰痛の原因を検査しておく必要があります。そこで、一度は整形外科で正確な診断をしておけば、安心して腰痛の治療を続けられるのではないでしょうか。
腰部脊柱管狭窄症の治療法には、さまざまな選択肢があります
腰痛の原因疾患のなかでも、腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)は60〜70歳代によくみられる疾患です。腰部脊柱管狭窄症は、下肢のしびれ感や痛み、間欠性跛行(かんけつせいはこう)(しびれや痛みが出てきて休み休みでないと歩き続けられなくなる状態)が特徴です。いずれも、生活を送るうえでの大きな障害となります。間欠性跛行は閉塞性動脈硬化症(へいそくせいどうみゃくこうかしょう)のような足の血管の動脈硬化でも同じように起こるため、このような患者さんに下肢の動脈硬化の状態を測定することもあります。また、下肢痛は糖尿病による末梢神経障害でも起こります。そこで、見た目は腰部脊柱管狭窄症のような症状であっても、他の原因で起こった症状かどうかを詳しく診断する必要があります。
腰部脊柱管狭窄症を含めて慢性腰痛の約5割は薬物治療で改善し、3〜4割はブロック注射で痛みが取れています。整形外科を受診すると「すぐに手術」と心配される患者さんもいるようですが、保存的な治療から開始し、患者さんと相談して手術の必要な人には手術をお勧めします。
腰部脊柱管狭窄症の治療は、まずは血流を改善するプロスタグランジンE1(PGE1)製剤や筋弛緩薬の内服から始めます。とくに、PGE1製剤は間欠性跛行の改善が期待でき、服用し始めてから2〜3週間で「長く歩けるようになった」など、患者さん自身で効果を実感することができます。胃潰瘍などの副作用を予防するため、消炎鎮痛剤は痛みが強いときだけ服用してもらうようにしています。これらの薬物治療を1か月ほど試し、症状が改善していればこのまま続けるか、内服量を減らしていき、内服を中止する方向へもって行きます。
薬物治療で改善がみられない患者さんには薬物治療に加えて理学療法(牽引や温熱療法など)、神経ブロック(仙骨硬膜外ブロックや神経根ブロック)、あるいはトリガーポイント注射などを行います。
治療法の選択肢は、腰痛の原因によってさまざまです。医師と相談して適切な治療に取り組んでください。


腰痛 ― 予防体操 ―
(10)予防体操まとめ 8ポーズ1日2回理想
2007年9月7日 読売新聞)

 今回は最終回。腰痛予防に効果的と思われる動きを、一連の流れに組み込んだ体操を紹介する。これまで紹介した動きも入っている。時間に余裕のあるときなどに試してほしい。それぞれの動きを各10回行う。
 〈1〉床に寝て、ひざを軽く曲げ、背中で床を押すように、おなかに力を入れる。
 〈2〉続いて、同じ姿勢から腰を浮かせる。頭や肩、足の裏を床につけておくのがポイント。
 〈3〉同じ姿勢で、片ひざを胸に引きつけ、お尻などの筋肉を伸ばす。左右交互に。
 〈4〉両ひざを抱え、ひざに頭を近づけるように体を丸め、背中の筋肉を伸ばす。
 〈5〉もう一度寝ころび、片足ずつ、ひざを伸ばしたまま、できるだけ高く上げる。つま先を上げるようにして、アキレスけんも含め、足の後ろ側全体を伸ばす。
 〈6〉両ひざを曲げて寝ころび、へそをのぞき込むように、両肩を持ち上げる。腹筋に力を入れるのが狙い。
 〈7〉四つんばいになって、足を片方ずつ上げ、まっすぐ伸ばす。お尻の筋肉を鍛えるのが狙い。腰を反らしたり、ひねったりしないよう注意する。
 〈8〉イスに座って、足を開き、上体を前にかがめ、背中の筋肉を伸ばす。
 この一連の体操を、1日2回できれば理想的だ。(埼玉医大整形外科准教授・白土修さん監修)