2006/9/29 高気圧酸素治療法 損傷組織の回復促す YOMIURI ONLINEより転載
高気圧酸素治療法
損傷組織の回復促す
(2006年9月29日 読売新聞)
夏の甲子園を制した早実・斎藤佑樹投手が、激闘の“疲労回復”に使ったとして話題になった健康器具の高気圧カプセル。高気圧酸素は、全く別の治療機器として、医療機関で病気の治療に利用されている。医療現場でどのように使われているのか。国内最大級の装置を備えた東京医科歯科大病院(東京・文京区)高気圧治療部を訪ねた。(田村良彦)

空気には酸素が約20%含まれており、呼吸で肺に取り込まれた酸素は、血液中の赤血球色素(ヘモグロビン)と結びついて全身に運ばれる。
ヘモグロビンは普通の状態でも、90%以上が酸素と結合している。このため、単に酸素吸入をしただけでは、結合が100%に近づくにしても、上乗せ効果は限られている。
ところが、通常の1気圧より高い気圧のもとで酸素を吸うと、大気の圧力で血液の液体成分にも酸素が溶け込み、ヘモグロビンが運ぶ量を上回る酸素が血液中を運ばれる。これを利用して体内に多くの酸素を取り入れ、病気やけがで損なわれた組織の回復を促すのが、高気圧酸素治療だ。
保険などで定められた基準は、「タンク」の通称がある密封可能な治療装置に患者が入り、酸素吸入をしながら、2気圧以上で1時間以上治療することが条件。同治療部教授の真野喜洋さんは「大気濃度の5倍にあたる100%純度の酸素を吸いながら、体に負担のない2〜2・8倍の大気圧をかけることで、血液中の酸素濃度が通常の十数倍に高まる」と解説する。
この治療によって、けがをしたり血管が詰まったりして酸素不足に陥っている部位に、十分な酸素を送り届ける。一方、もともと十分な酸素がある正常部位では、防御反応によって血管が収縮し、むくみや腫れを抑える一石二鳥の効果もある。
表に掲げたように、脳卒中などで脳が腫れる脳浮腫(ふしゅ)、心筋梗塞(こうそく)、突発性難聴など様々な病気に保険が適用されている。発症からできるだけ早く始めた方が良い。薬物治療や手術などと組み合わせ、治療効果を高める。毎日1時間、週5回が基本で、病気によっては何週か繰り返す。
日本高気圧環境医学会の調べでは、この治療は全国500〜600の医療機関で行われているとみられる。同大病院に2001年に設置された特注の大型タンクは、内部が3室に分かれ、最大16人を一度に治療できる。
保険はきかないが、最近注目されているのが、ねんざや骨折、肉離れや靱帯(じんたい)損傷といったスポーツによるけがの治療だ。けがをしたらできるだけ早く、1週間程度、高気圧酸素治療を行うことで、治療期間の短縮・早期復帰が図れるという。同大病院では、プロ野球やJリーグの一流選手の治療も行っている。
治療には、気圧の変化による耳や副鼻腔(びくう)の痛みといった副作用のほか、高濃度の酸素によって肺や神経が侵される酸素中毒への注意が必要で、十分な経験を持った医師のいる施設で受けたい。
一方、斎藤投手も使ったという市販の高気圧カプセルは、気圧が1・3気圧程度と低く、純酸素の吸入もないため、溶け込む酸素の量は格段に少ない。医療機器ではなく、治療効果をうたうことはできない「健康器具」だ。針きゅう院や整骨院、美容サロンなどで800台以上が使われているという。気分のリラックス効果はさておき、「医療機関の高気圧酸素治療とは全く別物」と真野さんは強調する。
医療機関での保険での費用は、発症後1週間以内の救急治療が3割負担で1日1万5000円〜1万8000円、2週間目以降や慢性病は1日600円。保険外のスポーツ傷害の場合、同大病院では1日2万円で実施している。
| 高気圧酸素治療を行う主な大学病院 |
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北海道大(麻酔科)(電)011・716・1161 旭川医大(電)0166・65・2111 東京医科歯科大(高気圧治療部)(電)03・3813・6111 千葉大(手術部)(電)043・222・7171 日本医大(第一外科高圧酸素治療室)(電)03・3822・2131 信州大(救命救急センター)(電)0263・35・4600 琉球大(高気圧治療部)(電)098・895・3331 ※病院によっては、スポーツ外傷など保険外の治療はしていない。 |
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2006/9/15 慢性疲労症候群 ストレスで免疫に異常 YOMIURI ONLINEより転載
慢性疲労症候群
ストレスで免疫に異常
(2006年9月15日 読売新聞)
山口県光市のA子さん(42)は、1991年5月に風邪による高熱で2、3日寝込んだあと、微熱が治まらなくなった。全身の疲れと痛みが続き、寝たり起きたりを繰り返す毎日に。どの病院でも「異常なし」と言われ、途方に暮れた。しかし、雑誌の記事で「慢性疲労症候群(CFS)」という病気があることを知り、2001年8月に大阪の病院の専門外来を受診。発病から10年後、この病気と初めて診断された。現在は薬物治療で体の痛みが和らいでいる。(大阪科学部・木下聡)

がんや甲状腺疾患、更年期障害などの病気はないのに、日常生活が困難になるほど強い疲労感が半年以上続く場合を、慢性疲労症候群と呼ぶ。
疲労感だけでなく、微熱や頭痛、関節痛、思考力の低下、睡眠障害といった症状を伴い、寝たきりになることもある。単なる過労で疲れが取れない状態とは全く異なる。
ところが、原因となる病気や検査での異常が見当たらないだけに、なかなか病気とは認知されなかった。91年に厚生省(当時)研究班が設けられ、診断基準を作ったものの、医師の間に広く認識され、専門外来が増えてきたのは、ここ数年のことだ。患者数は明らかではないが、国内で1000人に2人程度に発症するという推定もある。
原因はよくわかっていない。風邪症状から始まった患者は多く、欧米では集団発生した例がかなりある(日本では91年に熊本市で報告)。このため、ヘルペス、インフルエンザなどのウイルスとの関連が指摘されている。ただ、感染症だけでは説明のつかない点が多く、最近はストレスの影響が注目されている。
ストレスを受けると、脳の視床下部などの反応で、様々なホルモンのバランスが崩れる。病原体から体を守る免疫系にも影響し、外敵と闘うNK(ナチュラルキラー)細胞の活動が低下する。すると、体内に潜んでいたウイルスが勢いづき、それを攻撃する免疫物質が作られるが、調節がうまくいかず、かえって神経系や内分泌系(ホルモン)にダメージを与える――。
悪循環の結果、体中から神経を通して脳に信号を伝える各種の神経伝達物質が減り、脳の細胞が変調をきたして異常な疲労感が生じる、とみられている。
患者の血液中では、神経伝達物質の合成に必要な「アセチルカルニチン」という物質が少なく、特に脳内の自律神経系をつかさどる部位で減っていることが最近わかった。体のだるさといった症状が現れる理由も説明できる。
大阪市立大病院が昨年5月に開設した慢性疲労外来で診療する倉恒(くらつね)弘彦さん(関西福祉科学大教授)は「過労や対人関係など身体的、精神的な要因だけでなく、化学物質や紫外線まで、生活環境のあらゆるストレスが発病の引き金になりうる」と話す。
確立した治療はないが、ストレスを和らげ、免疫機能を元へ戻すことが主眼になる。
大阪市立大では、生体防御機能を回復させる漢方薬「補(ほ)中(ちゅう)益(えっ)気(き)湯(とう)」とビタミンB12、ビタミンCの服用を勧める。うつ病などと重なっている場合もあるので、効果が乏しい時は抗うつ剤などを処方し、必要に応じてカウンセリングも行う。イラストに掲げたチェック表は、受診の目安に活用できる。
倉恒さんは「元の自分に100%戻れなくても、日常でできることが少しでも増えていけば社会復帰できる。あせらず、前向きな精神状態を保つことが大切」と強調する。
| 慢性疲労症候群の診療を行う主な医療機関 |
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賛育会病院(東京都墨田区)(電)03・3622・9191 高橋耳鼻いんこう科医院(東京都世田谷区)(電)03・3326・5660 総合川崎臨港病院(川崎市)(電)044・233・9336 国立病院機構さいがた病院(新潟県上越市)(電)025・534・3131 相沢病院(長野県松本市)(電)0263・33・8600 大阪市立大(大阪市)(電)06・6645・2121 日生病院(大阪市)(電)06・6543・3581 市立堺病院(大阪府堺市)(電)072・221・1700 熊本大(熊本市)(電)096・344・2111 |
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2006/9/8 頸動脈の超音波検査 全身の動脈硬化を推定 YOMIURI ONLINEより転載
頸動脈の超音波検査
全身の動脈硬化を推定
(2006年9月8日 読売新聞)
50歳代の男性Aさんは高血圧、糖尿病の持病があり、心臓の筋肉に栄養を送る冠動脈が狭くなる狭心症の発作を起こしたことがある。一昨年夏、慶応大病院(東京・信濃町)で首の動脈・頸動脈(けいどうみゃく)の超音波検査を受けたら、動脈硬化で50%も狭くなっていることが分かった。すぐに禁煙し、半年に1度の超音波検査を受けながら、降圧剤や血液を固まりにくくする抗血小板薬などを服用。今のところ、頸動脈も心臓も病状は進んでいない。(坂上博)

頸動脈は、のどの横の左右にある動脈で、頭部に血液を送っている。あごの下部分までは総頸動脈(成人男性で直径10ミリ弱ほど)と呼ばれ、この動脈は脳に血液を送る内(ない)頸動脈と、顔に血液を送る外(がい)頸動脈に分かれる。
内頸動脈への分岐部は、全身の動脈の中でも最も動脈硬化が進みやすい部位の一つとされる。これが詰まると、脳に血液が行かなくなり、脳梗塞(こうそく)を引き起こし、亡くなることがある。また、心臓や足の動脈硬化と密接な関係があるため、頸動脈の状態から全身の動脈硬化の進行具合を推定することができる。
そのため、手軽にできる頸動脈の超音波検査を、人間ドックなどの検診に取り入れる病院が急速に増えている。
頸動脈に検査具をあてると、モニターに血管の状態が映し出される。10分ほどの検査で、血管の膜の厚み、狭さく率、コレステロールがたまってできるおかゆ状の隆起・粥腫(じゅくしゅ)(プラーク)の状態を調べる。
〈1〉血管の壁 内側から内膜、中膜、外膜の3層から成る。動脈硬化の初期には、内膜と中膜が厚くなる。この二つの膜を合わせた厚さは、40〜50歳代の男性なら0・5〜0・6ミリほど。それより厚くなると脳梗塞の発生率が高くなる。
〈2〉狭さく率 動脈硬化を起こしている部分と、起こしていない部分の血管の内径の比率。症状がなくても60%以上狭さくしていると、2年間に5%の人が脳梗塞を起こす。
〈3〉プラーク 血管壁にできるプラークの有無もチェックする。プラーク内部で出血したり、表面がはがれたりすると血管が詰まる。超音波の画像が薄い場合、血管壁が破れやすい「不安定プラーク」と呼ばれ、早い段階で治療が必要となる。
治療対象は、内膜と中膜の合計が年齢基準より厚くなり、狭さくを起こすプラークが出来ていることなどが目安。コレステロール値を下げるスタチン製剤が厚みを減らすとされる。降圧薬、抗血小板薬などを併用して動脈硬化の治療をする。慶応大神経内科講師の星野晴彦さんは「運動、肉食中心の食生活の改善、禁煙といった生活習慣の見直しで、全身の動脈硬化を防ぐことも大切です」と話している。
さらに状態が進み、頸動脈の狭さく率が50%を超えた上、半身のまひやしびれ、軽い言語障害などの症状が一時的に現れる「一過性脳虚血発作」を起こしたり、不安定プラークがあったりする患者は、頸動脈そのものへの治療が検討される。
それには、頸動脈を切り開いてプラークがある血管内壁を削り取る「頸動脈内膜はく離術」と、足の付け根の動脈から血管を広げる金網状の筒・ステントを挿入して、頸動脈に置く血管内治療がある。
脳梗塞を防ぐ予防的な治療だが、治療によりプラークや血液の塊の一部が飛散して脳梗塞を起こすことがまれにある。無駄な治療は厳禁で、アメリカの指針では、経験と実力がある医師が行うべきとしている。
Aさんは狭さく率が50%だが、無症状なので薬による治療が選ばれた。定期的に頸動脈超音波検査を受けて経過を観察している。

ドクター ご紹介 - http://kanja.ds-pharma.jp/health/yotsu/doctor/078/index.htmlから転載







腰痛の発生頻度や原因について教えてください。
上半身の重さは体重の約70%といわれています。その重さを支えているのが腰椎です。腰椎には椎体という骨の部分と椎間板という骨と骨の間に入っている部分があります。椎体は機械的な負荷により変形が進行し、また骨粗鬆症の進行とともに脆くなっていきます。椎間板も年齢とともに変性していきます。驚くことにこの変性は10歳の子供たちのすでに9%に起こっていると報告されています。治療を要する腰痛の発生頻度の調査では20歳代以上の年齢層ではほぼ同じくらい(40〜65%)で発生していることが報告されています。このような背景から近年、腰痛はもっとも有訴率が高い疾患になっています。大半の腰痛は数日間で治りますが、臀部痛や下肢痛を伴う腰痛は専門的な治療が必要になる場合も多いので注意しましょう。





