2008/12/30 過敏性腸症候群の管理法がまとめられた m3.comより転載
過敏性腸症候群の管理法がまとめられた
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 | 提供:Medscape
| 米国消化器病学会の過敏性腸症候群作業班が、この疾患の疫学、診断手法、治療をまとめたモノグラフを作成した Laurie Barclay
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【12月22日】
米国消化器病学会の過敏性腸症候群(IBS)作業班が、IBSの疫学、診断手法、現行および新たに登場しつつある治療法をまとめたモノグラフを作成した。このエビデンスに基づいた総説は、2002年版のIBSモノグラフに新データを加えた改訂版にあたり、『American Journal of Gastroenterology』2009年1月1日号に掲載されている。 「……IBSは腸機能の変化を伴う腹部の不快感を特徴とするが、構造的・生化学的な異常は存在しない」とモンテフィオーレ医療センター(ニューヨーク市ブロンクス)のLawrence J. Brandt, MD, MACGら米国消化器病学会IBS作業班が書いている。「IBSの病態は多因子性であり、近年、標的療法の開発の可能性が出てきたことから、関心が高まっている。IBSは消化器専門医とプライマリケア医が管理する疾患としてもっとも多いものの一つであるので、今回のモノグラフは、疫学、診断手法、治療について医師を再教育する目的で作成した。」 作業班の著者陣の記述では、IBSは腹痛と便の性状の変化が3カ月以上にわたって伴うよくある病態としている。系統的な文献再調査によってIBSのさまざまな検査法の診断率と既存の治療法の有効性を評価し、それに基づいて、作業班は次のような推奨を作成した。
・緊急性のない若年患者では、IBSは臨床的に診断可能であり、臨床検査といったそれ以上の検査は必要でない。しかし一部の患者、特に下痢症状が優位なIBSと下痢と便秘の交代性のIBSの患者ではセリアックスプルーの血清学検査が有用な場合がある。
・50歳以上の高齢患者および緊急性を要する患者では、大腸内視鏡といった追加の検査をすることが推奨される。
・エビデンスの質は高くないが、IBS患者にはサイリウム食物繊維、一部の抗けいれん薬、ペパーミントオイルが有効であることが臨床試験で示されている。サイリウムはIBSの症候全体を軽くし、ペパーミントオイルは腹痛を短期間軽くする。
・現在までの臨床試験で得られたエビデンスで、一部のプロバイオティクスがIBS症候全体の解消に有効であることが示されているが、さらなる研究が必要である。乳酸菌のみではIBS症候の軽減に有効ではないが、プロバイオティクスの組み合わせによって症候が軽減するというエビデンスが限定的にある。
・ロペラミドなどの止瀉薬は、便通回数は減らせるが、腹痛やIBS症候全体は変化しないことが示されている。
・下痢がある患者では、アロセトロンといった5-ヒドロキシトリプタミン3拮抗薬が有効であることが、質の高いエビデンスで示されている。しかし、虚血性大腸炎のリスクがあるので、患者の選択は慎重に行う必要がある。下痢症状が優位なIBS患者では、アロセトロンがプラセボよりもIBS症候の軽減に有効であるが、アロセトロン使用に伴う虚血性大腸炎が、1000人年あたりおよそ1例の割合で発生する
・便秘がある患者では、テガセロドといった5-ヒドロキシトリプタミン4拮抗薬が軽度に有効であることが、質の高いエビデンスで示されている。しかしこの種の薬剤は、それに起因する心血管系事象リスクの可能性があるので、有用性が限られている。便秘症状が優位なIBSである女性患者と、下痢と便秘の交代性のIBSの患者では、テガセロドがIBS症候全体の軽減に有効だが、1%ないし2%の患者で下痢が増悪し、0.11%の患者で深刻な心血管合併症が現われる。
・いずれのIBS亜型の患者でも、三環系抗うつ薬と選択的セロトニン再取り込み阻害薬が腹痛および症候全体の軽減に有効であることが示されている。これらの薬剤の臨床試験は一般的に質が高いが、登録患者の全体数から見ると今後のエビデンスによっては有効性評価の信頼性が変わってくる可能性があるために、これらの薬剤の有用性を支持するエビデンスの質は中等度に分類されている。IBS患者におけるこれらの薬剤の安全性と忍容性のデータは限られたものしかない。
・特に下痢症状が優位なIBSでは、非吸収性の抗生物質が有効であることが、中等度の質のエビデンスで示されている。
・便秘症状が優位なIBSでは、ルビプロストンといった選択的塩素チャネルC-2活性化薬が有効であることが、中等度の質のエビデンスで示されている。便秘が主徴のIBSである女性患者では、ルビプロストンがプラセボよりも有効であることが示されている。
・IBS患者には心理療法が有益である場合がある。しかしそのエビデンスの質は高くない。認知療法、力動的心理療法、催眠療法でIBS症候全体が緩和されるが、リラクゼーション療法には有効性がないとされている。
「IBSの病因に関する知見が拡大したことで、いろいろな種類の新規の治療薬が見つかってきている」と作業班は記している。「大まかに言えば、IBSに向けて開発される薬剤は主に末梢作用を有するものであり、一部の薬剤は末梢作用と中枢作用の両方を持つ。末梢作用が主な薬剤の例としては、塩素分泌に作用する薬物、カルシウムチャネル遮断薬、オピオイド受容体リガンド、モチリン受容体リガンドなどがある。末梢性と中枢性の両方の作用がある薬剤としては新規のセロトニン作動薬、コルチコトロピン放出ホルモン拮抗薬、自律神経モジュレーターなどがある。」
Am J Gastroenterol. 2009;104(suppl 1):S1-S34. | | | |
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2008/12/30 脳卒中後の心理症状で長期の生活の質が低下する m3.comより転載
脳卒中後の心理症状で長期の生活の質が低下する
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| 抑うつ、不安、疲労が動脈瘤性くも膜下出血生存患者の生活の質(QOL) 低下の強い予測因子であることが最新研究で示された Marlene Busko | |
【12月23日】
抑うつ、不安、疲労が動脈瘤性くも膜下出血(SAH)の生存患者のQOL低下の強い予測因子であることが最新研究で示された。 同じ著者らが別の研究で、脳卒中患者の配偶者の心理的健康について、コーピング手法がもっとも重要な予測因子であることを明らかにした。 J.M. Anne Visser-Meily, MD(ユトレヒト大学病院、オランダ、ユトレヒト)らによるこれらの知見は、『Stroke』12月18日号オンライン速報版に掲載されている。 「QOLを評価するには、身体的症状だけでなく心理的症状と性格特性を観察することが重要なポイントである」とDr. Visser-Meilyが声明で述べている。「こうした特性が、QOL改善に有用なリハビリテーション計画と介入目標の設定において重要である。」 回復後の心理的因子
SAH生存患者のQOL低下については、身体能力の低下との関連性はこれまでも言われていたが、心理や性格の要因にも関係があると研究グループは記している。 心理的要因がSAH後の健康関連生活の質に及ぼす影響を明らかにするために、研究グループはSAHから2年ないし4年間生存していて、地域に居住する患者141例を対象にした横断研究を行った。患者の平均年齢は51歳であり、66%が女性であった。 被験者に「脳卒中特異的生活の質(Stroke Specific Quality of Life)」尺度に基づいた質問表に答えさせ、健康関連生活の質を評価した。 尺度の総点の平均値は、QOL全体で比較的満足であることを示す4であったが、これは身体的健康でのスコアが高く、感情および社会的健康でのスコアが低いためであった。 患者のうち、67%の者が疲労を、32%の者が不安を、23%の者が抑うつを申告した。 「こうした症状を標的にした介入を行い、長期の健康関連生活の質の低下のリスクを持つ者を特定するためには、性格特性の評価が必要であると考えられる」と、Visser-Meily博士はMedscape Psychiatryに語った。 消極的コーピング様式の患者は特に、こうした変化に対処するやり方の教育とカウンセリングが有効だろう、と博士は付け加えた。 介助者のコーピング様式が健康状態を予測する
この研究グループの別の研究での報告によると、配偶者の脳卒中から3年間で、パートナーは心理社会的機能が低下する。また、健康状態の予測においてコーピングがもっとも重要な因子である。 患者の配偶者は時間経過とともに介護の負担が軽くなるが、同時に、自分の配偶者との仲睦まじさも薄れていき、人付き合いが少なくなり、当初の抑うつが軽くなった後に抑うつが強まっていく。 「配偶者の心理社会的機能の全体像の監視を、脳卒中後の最初の頃だけでなく、もっと長期にわたって行う必要がある」とVisser-Meily博士はMedscape Psychiatryに語った。 「脳卒中診療の通常の追跡活動の一環として、『主要な専門家』が介護者の社会的・感情的要求を評価する必要がある。リハビリテーション期には、配偶者を元気づけ、社会的ネットワークを広げてそれを維持していく能力を改善することに着目したプログラムに注意を払う必要がある」と博士は言い添えた。 配偶者が脳卒中になってから最初の1年間が過ぎた後での介護経験の変化を調べた研究はほとんどない。 研究グループは以前の研究で、「消極的コーピング様式」(解決策を探したり事前に対策を講じたりせず、何もせずに憂鬱なままでいる)が、QOLへの負の影響に関するもっとも重要な予測因子であることを明らかにした。 「否定的だったりストレスの多い生活事象に直面した人の心理社会的健康には、コーピング様式が関係することが知られている。」 配偶者の心理社会的機能の変化を評価し、転帰がコーピング様式にどのように関係しているかを調べるために、研究グループは脳卒中患者の配偶者211名を、患者の最初の入院リハビリテーションから3年後までにかけて追跡した。 患者と配偶者は比較的若く(患者の平均56歳、配偶者は平均54歳)、患者の機能障害は中等度であった。 「消極的コーピング様式を採ると、一般的には負の転帰を伴うが、積極的コーピング様式をとって社会支援を求めると、正の転帰を伴う」と研究グループは報告している。 「積極的コーピングは、直接的介入、異なる問題解決策の考察、問題に関するすべてのことを明らかにしようとする試み、計画の立案といった要素で構成することができる」とVisser-Meily博士は述べている。 介護の負担は、リハビリテーションセンター退院の2カ月後から脳卒中の1年後にかけて、そして脳卒中の1年後から3年後にかけて、有意に減少した。これはおそらく、介護者の役割に馴れてくるためであろうと研究グループは言っている。 抑うつ症状を持つ配偶者の割合は、リハビリテーション開始時には68%だったのが、リハビリテーションの2カ月後には53%に減少し、その後もその高さで維持された。
この研究の著者らの開示情報によれば、関連する金銭的利害関係はない。
Stroke. Published online December 18, 2008.
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2008/12/26 悪性リンパ腫の新薬 再発治療 選択肢広がる YOMIURI ONLINEより転載
悪性リンパ腫の新薬
再発治療 選択肢広がる
年間9000人以上の命を奪う血液がんの一種、悪性リンパ腫は、比較的治りやすいものから治療が難しいものまで、20以上もの種類があるのが特徴だ。治療法もそれぞれ異なる。なかでも最も治りにくいとされる種類に対する新薬が、相次いで登場。効果に期待が集まっている。(坂上博)
悪性リンパ腫は、白血球の中のリンパ球の一部ががん化する病気だ。首やわきの下、足の付け根などのリンパ節にしこりができることが多い。胃や肺などにできることもある。高齢化とともに患者は増えている。
悪性リンパ腫は、ホジキンリンパ腫(患者の約5%)と、非ホジキンリンパ腫(同約95%)の二つに大きく分かれる。このうちホジキンリンパ腫は、比較的抗がん剤が効きやすい。
一方、非ホジキンリンパ腫は、進行のゆっくりした「低悪性度」から、月単位で進む「中悪性度」、週単位で急速に悪化する「高悪性度」と、病気の進み具合は様々だ。
ただし、「高悪性度」の悪性リンパ腫は、進行も速いが薬もよく効き、治りやすい。
実は、やっかいなのは「低悪性度」の悪性リンパ腫だ。進行は遅いのだが、薬があまり効かない。名古屋市の名古屋第二赤十字病院血液・腫瘍内科部長の小椋美知則さんは「再発を繰り返し、治療が手詰まりとなることも多い」と話す。
新薬の対象となるのは、「低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫」と、「マントル細胞リンパ腫」(低悪性度と中悪性度の中間)。両者で非ホジキンリンパ腫の約4割を占める、治りにくい悪性リンパ腫の代表だ。
新薬の一つは、昨年承認された飲み薬、フルダラ錠(一般名リン酸フルダラビン)。従来の抗がん剤のような、脱毛やしびれの副作用はないが、白血球減少などには気をつける必要がある。
もう一つは、今年に承認された注射薬のゼヴァリン(一般名イブリツモマブチウキセタン)。薬にイットリウム90という放射性物質を結合させ、放射線を発し、がん細胞を殺す。
80歳代のA子さんは6年前、低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫と診断され、抗がん剤治療を受けてきたが、今年3度目の再発を起こした。同病院で、ゼヴァリンの注射を受けたところ、1か月後には、検査でもがんが見つからなくなった。
ゼヴァリンの治療ができるのは、放射線の管理ができる約60施設に限られる。体内の放射線はすぐに外出しても問題ないレベルに下がる。
いずれも、従来の抗がん剤が効かなくなったり再発したりした患者が対象だ。
小椋さんは「これらの悪性リンパ腫は、新薬でも完全に治すことは困難だが、再発までの期間を延ばすことが期待でき、従来の薬が効かなくなった患者にとって新たな選択肢が増えた意義は大きい。副作用が比較的少ないため、高齢患者に使いやすいのも利点だ」と話している。
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2008/12/26 簡単な検査により外来で安全に管理できる胃出血患者を特定できる可能性 m3.comより転載
簡単な検査により外来で安全に管理できる胃出血患者を特定できる可能性
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| Glasgow-Blatchford bleeding scoreで、外来で安全に管理できる低リスク上部消化管出血患者を特定できるという研究の結果 Laurie Barclay | |
【12月18日】
簡単な臨床および検査所見で、外来で安全に管理できる低リスク上部消化管出血患者を特定できる可能性があるという研究の結果が、『Lancet』12月15日号オンライン版に掲載された。 「上部消化管出血は入院の原因となることが多い」と、Glasgow Royal Infirmary(英国)のA. J. Stanley氏および共同研究者らは記している。「この疾患の大部分のリスクスコアリングシステムは、内視鏡所見を利用しているが、Glasgow-Blatchford bleeding score(GBS)は、簡単な臨床および検査所見に基づくものであり、0点は、外来での管理に適していると考えられる低リスク患者を特定する。我々の目的は、GBSを評価し、低リスク患者の外来管理について、このスコアに基づくプロトコルの有効性を評価することにあった」。 英国の4つの病院で、上部消化管出血のため来院した一連の患者を入院時(内視鏡検査前)および内視鏡検査後にGBSおよびRockallスコアで評価した。受信者動作特性(ROC)曲線を用いて、臨床的介入の必要性や死亡に対するこれらのスコアの予測能を比較した。2つの病院で、GBSの低リスク患者入院減少能をプロスペクティブに(前向きに)評価した。 上部消化管出血のため来院した患者676例中、GBSスコア0点の患者は105例(16%)であった。介入の必要性や死亡の予測において、GBSは、full Rockallスコアよりも優れ、full Rockallスコアは、admission Rockallスコアよりも優れていた。ROC曲線下面積は、GBSスコア0.90(95%信頼区間[CI]、0.88-0.93)、full Rockallスコア0.81(95%CI、0.77-0.84)、admission Rockall スコア0.70(95%CI、0.65-0.75)であった。 臨床診療においてGBSを実施した結果、上部消化管出血患者123例(22%)が低リスクに分類され、そのうち84例(68%)が外来で管理され、有害事象は認められなかった。GBS実施後、上部消化管出血患者の入院率は、96%から71%に減少した(P<0.00001)。 「GBSは、上部消化管出血のため総合病院に来院する、外来で安全に管理できる多くの患者を特定する」と、研究の著者らは記している。「このスコアによって、この疾患で入院する患者が減少し、入院患者費をより適切に使用することが可能となる」。 この研究の問題点として、GBSとfull Rockallスコアの比較が内視鏡検査を受けた患者に限定された点、多くの患者が外来での計画的内視鏡検査のために来院しなかった点が挙げられる。 「GBSは、簡単な臨床および検査所見に基づくものである。したがって、罹患患者を救急外来または臨床判定部門で速やかに評価できる」と、研究の著者らは結論付けている。「有用な可能性があるさまざまな集団を対象に、外来管理に適した低リスク患者を特定する方法として、GBSをさらに評価するよう勧める」。
著者らは、資金に関する情報を明らかにしていない。
出典 The Lancet. Published online December 15, 2008. | | | |
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2008/12/26 ビタミンD欠乏症は初回帝王切開分娩のリスクの上昇と関連した m3.comより転載
ビタミンD欠乏症は初回帝王切開分娩のリスクの上昇と関連した
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 | 提供:Medscape
| 妊娠中のビタミンD欠乏症が初回帝王切開分娩の確率の上昇と関連することを示す研究 Laurie Barclay | |
【12月23日】
妊娠中のビタミンD欠乏症が初回帝王切開分娩の確率の上昇と関連するという研究結果が、『Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism』12月23日付けオンライン速報版で報告された。 「20世紀の初めごろ、女性が『くる病骨盤』のために出産時に死亡することは一般的であった」と、ボストン大学医学部(マサチューセッツ州)のAnne Merewood, MPH, IBCLCらは述べている。「くる病はホルモン『ビタミン』Dの発見によって実質的に姿を消したが、最近の報告では、ビタミンD欠乏症が先進工業国で広く認められることが示唆されている。筋力低下はビタミンD欠乏症の症状として確立されており、現在の米国における帝王切開による出生率は30.2%と高まるばかりである」。 本研究の目的は、母親の血清中25水酸化ビタミンD[25(OH)D]レベルと初回帝王切開分娩の発生率との関連を明らかにすることであった。 ボストンにある年間出生数が2500例という都市の大学付属病院において、治験責任医師らは、253組の母親と乳児のペアにおける出生時の母親および乳児の血清中25(OH)Dを測定したが、このうち43組(17%)が初回帝王切開分娩であった。母親の医療記録から人口統計学的データと医学的データを抽出した。 帝王切開分娩率は、25(OH)Dレベルが37.5nmol/L以上の女性では14%であり、血清中25(OH)Dレベルが37.5nmol/L未満の女性では28%であった(P=0.012)。人種、年齢、教育レベル、保険加入状況、およびアルコールの摂取について調整した多変量ロジスティック回帰分析によると、25(OH)Dレベルが37.5nmol/L未満の女性は25(OH)Dレベルが37.5nmol/L以上の女性と比較して、帝王切開分娩のリスクが4倍近く高かった(調整オッズ比[OR]、3.84;95%信頼区間[CI]、1.71 - 8.62)。 本研究の限界には、ビタミンD欠乏症が児頭骨盤不均衡または分娩(進行)停止のような特定の種類の帝王切開分娩に関連するのかどうかを明らかにするには症例数が少なすぎることが含まれる。 「ビタミンD欠乏症は初回帝王切開の確率の上昇と関連があった」と研究著者らは述べている。「血中濃度が37.5nmol/Lを超えるようにするための、妊娠中の適切なビタミンD補充によって、帝王切開率を下げることが可能かどうかを明らかにするため、ランダム化臨床試験が今すぐ必要である」。
米国保健福祉省;母子保健局;および米国農務省の協同州研究教育普及局が本研究を支援した。研究著者らは関連のある金銭的関係がないことを開示している。
J Clin Endocrinol Metab. Published online December 23, 2008. | | | |
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2008/12/26 レプチンの値が乾癬に関係する m3.comより転載
レプチンの値が乾癬に関係する
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 | 提供:Medscape
| 乾癬患者は、「肥満ホルモン」と呼ばれるレプチンの値が高いために、肥満やメタボリックシンドロームなどの心疾患リスク因子を起こすリスクが高くなる Jennifer Warner | |
【12月15日】
乾癬患者は、「肥満ホルモン」と呼ばれるレプチンの値が高いために、肥満やメタボリックシンドロームなどの心疾患リスク因子を起こすリスクが高くなると思われる。 このありふれた皮膚疾患の患者は、食物摂取、体重、脂肪貯蔵を制御するレプチンというホルモンの値が高いことが最新研究で示された。レプチンは、免疫と炎症の過程にも関与していると考えられている。レプチン値が亢進すると、今度は肥満や高血圧、糖尿病などの心疾患リスク因子を起こしやすくなる。 乾癬は免疫系に異常が起こる疾患であり、皮膚が紅斑し、銀白色の鱗屑が現われる。この皮膚疾患が肥満、心疾患、糖尿病、メタボリックシンドローム(心疾患と糖尿病のリスク増大に関係する一連の健康問題群)と関係あることが複数の研究で示されていたが、その関係の根底にあるメカニズムは不明であった。 そうした知見が別の研究で確認できたなら、減量が乾癬治療において重要な位置を占め、同時に心疾患リスクを減らせるようになると、研究者らは述べている。 レプチンが皮膚と心臓を関係づける
台湾の研究グループによる今回の研究で、2006年から2007年にかけて乾癬患者77例と、それに年齢・性別を合わせた皮膚疾患を持たない者81例を調べた。 その結果によると、乾癬患者は肥満または高血圧になる傾向が2倍以上大きかった。 レプチン値も、女性、肥満者、高血圧、メタボリックシンドローム、または乾癬の者で亢進する傾向が強かった。 肥満、女性であること、すでにメタボリックシンドロームを有していることで調整すると、乾癬がレプチン値亢進に関連することが判った。 研究グループによれば、今回の結果により、乾癬患者でレプチン値が亢進していることが、これまでに乾癬と関連付けられていた健康リスクに追加される少なくともひとつの新たな健康リスクであると考えられる。 「乾癬患者の高い血中レプチン値は、脂肪組織だけでなく、炎症にも由来していると考えられる」と研究者である台中退役軍人総合病院および国立中興大学(台湾)のYi-Ju Chen, MDらが『Archives of Dermatology』に書いている。 「減量することで、レプチン値が有意に低下し、インスリン耐性が向上して、メタボリックシンドロームと有害な心疾患を起こす傾向が減ると思われることが報告されている」と著者らは書いている。「乾癬の一般的治療においては、特に肥満患者では減量が重要な一部になると考えられる。」 今回の結果は、乾癬とレプチン値亢進とが関連していることを示しているが、乾癬に伴う炎症過程がレプチン産生の亢進を引き起こすかどうか、レプチンが乾癬の免疫細胞や皮膚細胞にどのような影響を与えるのかは、今後の研究で確認する必要があると、著者らは述べている。
出典: Chen, Y. Archives of Dermatology, December 2008; vol 144: pp 1571-1575.
News release, American Medical Association | | | |
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2008/12/24 糖尿病の先在によって癌患者の死亡リスクが上昇する m3.comより転載
糖尿病の先在によって癌患者の死亡リスクが上昇する
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| 癌診断時に糖尿病が先在する癌患者では、非糖尿病患者に比べて全死亡リスクが高い Roxanne Nelson | |
【12月16日】
癌診断時に糖尿病が先在する癌患者では、非糖尿病患者に比べて死亡のリスクが高い。『Journal of the American Medical Association』12月17日号に報告されたメタアナリシスによれば、糖尿病は、あらゆる種類の癌において死亡ハザード比(HR)上昇(1.41)に関連があった。 同データの副次的解析では、糖尿病の先在は、子宮内膜癌(HR, 1.76)、乳癌(HR, 1.61)、結腸直腸癌(HR, 1.32)における長期全死亡率上昇と有意に関連することが明らかになった。また、糖尿病と、前立腺癌、胃癌、肝細胞癌、肺癌、膵癌のリスクの有意ではない上昇との関連も認められた。 現時点では、糖尿病が一部の癌における全死亡率と強力に関連する理由を推測することは難しい。「多くの考えられる理由があり、それぞれの癌について理由を特定することは難しい」と上級著者で、ジョンズ・ホプキンス・ブルームバーグ公衆衛生学部(メリーランド州ボルチモア)の一般内科部長であるFrederick L. Brancati, MD, MHSは述べた。「現在、解明に向けて、それぞれの癌について詳しく調べているところである」 Brancati博士は臨床医に対し、2つのことを推奨している。「たとえ糖尿病が存在しても、可能な範囲で最も適切かつ積極的な治療を確実に行うこと」とBrancati博士は述べた。「そして、糖尿病コントロールに配慮するため、必ずかかりつけ医が癌治療中および治療後に関与し続けるべきである」 リスク上昇の考えられる原因
研究者らは、癌患者における全死亡率上昇と糖尿病先在との関連についていくつかの原因を提案した。1つ目は、高インスリン血症と高血糖という生理学的環境が腫瘍細胞増殖を促進するというものであった。2つ目の原因は、糖尿病患者と非糖尿病患者との間で癌治療に差がある可能性があるというものであった。糖尿病患者では、虚血性心疾患、慢性腎疾患、神経症等の合併症がみられることが多く、これらが治療に関する臨床判断に影響を及ぼす可能性がある。 研究者らが推測した第3の理由は、糖尿病が先在する患者では、感染および手術中死亡のリスク上昇等、癌治療の効果が不十分である可能性がある。第4の理由は、糖尿病が先在する患者では、次善の癌スクリーニングがなされているため、より進行した癌が存在する可能性がある。しかし、診断時のステージは、解析において主要な説明因子ではないとみられたと研究者らは注記している。 第5の理由は、癌の診断と治療によって、患者と診療者の両者が適切な糖尿病管理(高血糖、脂質値、血圧の管理等)に集中できなくなる可能性があるというものである。これらの因子の適切なコントロールは、糖尿病の成人の有病率および死亡率を低下させることが証明されている。最後に、糖尿病に関連した通常よりも高い死亡リスクが癌および付随する癌療法と完全に無関係であることは確実であると著者らは注記している。 「われわれは癌治療中の糖尿病ケアの悪化を最も懸念したため、本試験を開始した」とBrancati博士はMedscape Oncologyに語った。「しかし、今回のシステマティック・レビュー後、他の原因も同じくらい疑わしいと思うようになった」 さらなる研究が必要
米国の糖尿病者数は2000万人(成人人口の約7%)と推定されている。以前の研究で、糖尿病患者において一部の悪性腫瘍(乳癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌、肝癌、膵癌等)が高頻度で発症することが明らかになっている。さらに、新たに癌と診断された患者における糖尿病の罹患率は高く、8%潤オ18%と推定されている。 しかし、癌患者における糖尿病の先在と長期全死亡との関連について、系統的評価はなされていない。Brancati博士らは、採用基準を満たす48件の論文を特定し、23件の試験をそのメタアナリシスの対象とした。累積生存率を報告した試験は質的に要約された。 様々な種類の癌に関する23試験の併合データから、糖尿病の先在は、非糖尿病患者に比べて高い全死亡リスクに関連があることが明らかになった。対象集団の由来、糖尿病と死亡率の確認、統計的補正を考慮した感度分析から、その推定は頑健であった。 糖尿病に関連した死亡リスク上昇に至る様々な経路の相対的重要性を検討するため、さらなる研究が必要である。
Brancati博士と共著者であるHsin-Chieh Yeh, PhDは、National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases (NIDDK) Diabetes Research and Training Centerの支援を受けている。Brancati博士はNIDDK Patient Oriented Research in Type 2 Diabetes grantsの支援も受けている。共著者であるBethany B. Barone, ScM, とRachel L. Derr, MDは、NIDDK Diabetes and Obesity Training Grantの支援を受けている。共著者であるKelly B. Stein, MDはHealth Services and Administration からNational Institutes of Health fellowshipの支援を受けている。これ以外の著者らの情報公開によれば、関連する金銭的関係はないという。
JAMA. 2008;300:2754-2764. | | | |
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2008/12/22 SABCS 2008:乳癌リスクはホルモン療法の中止後、急激に減少する m3.comより転載
SABCS 2008:乳癌リスクはホルモン療法の中止後、急激に減少する
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 | 提供:Medscape
| エストロゲンとプロゲスチンの補充に伴う乳癌リスクの増大は、この療法を中止すれば顕著に減少することが、女性健康イニシアティブの最新分析で示された Nick Mulcahy Medscape Medical News | |
【12月16日】(テキサス州サンアントニオ)
子宮を保存している閉経女性におけるエストロゲン・プロゲスチンの併用療法に伴って増大した乳癌リスクは、療法を中止すると顕著に減少するという、画期的研究である女性健康イニシアティブ(WHI)臨床試験の最新分析の結果が、第31回サンアントニオ乳癌年次シンポジウムで発表された。 「リスクは速やかに消失する」と研究者であるハーバーUCLA医療センター内ロサンゼルス生物医学研究所(カリフォルニア州)のRoman Chlebowski, MD, PhDが語った。博士の説明によると、リスクは「およそ2年」で元の状態に戻る。 対象女性は中央値5.6年間の治療を受けると、プラセボ対照群に比べて乳癌のリスクが26%増大することが、以前に報告されている。 しかし、Cheblowski博士によれば、今回の新データにはWHIの観察コホートに基づくエストロゲン・プロゲスチン併用療法を「およそ10年間」続けた女性の情報も含んでいる。ホルモン使用者の乳癌リスクは非使用者の約2倍に増大し、これは臨床試験で報告された値に比べてはるかに大きなリスクであった。しかし今回のリスク増大も、臨床試験でのリスク同様に、女性がホルモンの使用を止めれば同じくらいの期間で「速やかに消失した」。 WHI臨床試験の最新分析と観察研究データを総合すると、エストロゲン・プロゲスチン併用療法が乳癌の発生率と検出率に及ぼす影響の「経時的推移」の様子が解る、とCheblowski博士は語った。 とはいえ、今回のリスクの増減に関する時間関連データは臨床医にとって、閉経女性へのエストロゲン・プロゲスチン併用療法の処方についてそれほど大きな指針になるわけではない、とChlebowski博士は述べている。「ホルモン補充療法については安全なインターバルを定めることができない。」 経時的推移の様子
WHIのデータがエストロゲン・プロゲスチン併用療法の利用に大きな影響を与えたとChlebowski博士は言う。WHI研究の最初の報告(JAMA. 2002;288:321-333)以降、米国では閉経時にホルモン療法を使用することが大幅に減った。その後、乳癌発生率が顕著に減少し、因果関係があることが想定された(N Engl J Med. 2007;356:1670-1674)。しかし、病因についてはまだ異論が多いと博士は述べている。 WHIのランダム化臨床試験では、8,506例の女性に抱合型ウマエストロゲン(0.625 mg)と酢酸メドロキシプロゲステロン(2.5 mg)を、8,102例の女性にプラセボを毎日投与した。 この試験の介入期において浸潤性乳癌を発現した女性の数は、処置群では199例だったが、プラセボ群では150例だった。すなわち、エストロゲン・プロゲスチン併用療法を受けた女性はリスクが26%増加した。 この臨床試験の今回の新分析では、エストロゲン・プロゲスチン併用療法が浸潤性乳癌リスクに与える影響は、介入期と介入後の期間全体(2002年に被験者宛てに治療に伴う健康リスクについて情報を手紙で告知した時点を開始点とする)を通じて線形ハザード比で表現される。「経時的傾向」が治療群とプラセボ群とで差があるかどうかを確認することを目的として、分析を行った。それには、傾向の傾きの同等性を検定した。 「これは単純で解りやすい分析ではない」とChlebowski博士はサンアントニオでの発表後の記者会見で語った。「人によってはそれが気に入る者もいるし、好まない者もいる。」 5年間の介入期の時の線形ハザード比は1.26であり、2年間の介入後の期間のハザード比は1.27であった。実際には、この2つの傾きは鏡像のようであり、介入期ではリスクは増大し、介入後の期間ではリスクは減少していた。 「この結果は、乳癌の発生率は(ホルモン補充療法を)止めれば減少するということを明らかに示している」とベイラー医科大学(テキサス州ヒューストン)のC. Kent Osborne, MDが述べている。 「今回の知見は、米国である年齢層で最近見られる乳癌発生率の低下は主に、エストロゲンとプロゲスチンの併用が減ったことによるものだという説を支持している」とChlebowski博士は付け加えた。 マンモグラフィ受診率を再検討
WHIでの乳癌発生率の差の考えられる説明として、治療群とプラセボ群の間でマンモグラフィ受診率に差がある可能性が言われている、とChlebowski博士は言う。しかし、今回の最新分析でマンモグラフィの受診率を分析したところ、ほとんど同じであることが判った。 例えば、介入期の最後の2年間での治療群のマンモグラフィ受診率は83%であり、プラセボ群の82%にほぼ同じであった。介入後の2年間では、治療群が78%、プラセボ群が78%というマンモグラフィ受診率であった。 観察的コホート研究のデータは適切か?
9万人以上の被験者がいるWHI観察研究では、エストロゲン・プロゲスチン併用療法の使用者の乳癌発生率が非使用者の2倍高かった。このことは「より長い期間の曝露を反映している可能性が高い」とCheblowski博士は言う。エストロゲン・プロゲスチン併用療法使用者ではリスクが年々速やかに減少した。博士によれば、エストロゲン・プロゲスチン併用療法使用者と非使用者とのマンモグラフィ受診率の差は、このリスク減少期間においても変わらなかった。興味深いのは、WHIのオーガナイザーが被験者に、エストロゲン・プロゲスチン併用療法に健康リスクが伴うことを通知する連絡をとり始める以前から、このリスク減少期間は始まっていた。Chlebowski博士が言うには、このリスク減少期間は、WHIの公表に先立つ「心臓とエストロゲン/プロゲスチン補充試験(HERS)」に由来する別の健康リスク情報によって始まったようである。 WHIで用いられたエストロゲン・プロゲスチン併用療法薬であるPremproを製造したWyeth社は、サンアントニオでのChlebowski博士の講演後に声明を出し、今回の観察研究のデータは、療法の平均使用期間が10年であったことから、閉経時ホルモン療法を現在用いている者には適切ではないと述べている。声明によると、「リスクが2倍になると聞いているが、今回論文発表されていない観察研究データは詳細をまだ知ることができず、専門家による検証も受けておらず、多くの重要な変数について有効な対照がとられていない可能性がある。また、著者らも認めているように、今回の観察研究はWHIのランダム化臨床試験における平均追跡期間5.6年間よりもかなり長い期間にわたって(ホルモン療法の)使用者を調べたものであり、今日(ホルモン療法を)用いている女性のほとんどに対して適切性がほとんどないと思われる。」 研究者らの開示情報によれば、関連する金銭的利害関係はない。
31st Annual San Antonio Breast Cancer Symposium (SABCS): Abstract 64. Presented December 12, 2008. | | | |
| | | Medscape Medical News 2008. (C) 2008 Medscape |
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2008/12/22 鼻閉は睡眠障害との関連性を示すが、アレルギー性鼻炎は睡眠障害との関連性を示さない m3.comより転載
鼻閉は睡眠障害との関連性を示すが、アレルギー性鼻炎は睡眠障害との関連性を示さない
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 | 提供:Medscape
| 鼻閉は、アレルギー性鼻炎への罹患の有無を問わずいびきおよび日中の過度の眠気との関連性を示すが、鼻閉を伴わないアレルギー性鼻炎は、いびきおよび日中の過度の眠気との関連性を示さないことが、あるプロスペクティブ試験において示された。 Laurie Barclay | |
【12月15日】
『Archives of Otolaryngology–Head & Neck Surgery』12月号に報告されたあるプロスペクティブ試験の結果によれば、鼻閉は、アレルギー性鼻炎(AR)への罹患の有無を問わずいびきおよび日中の過度の眠気(EDS)との関連性を示すが、鼻閉を伴わないARは睡眠呼吸障害(SDB)またはEDSとの関連性を示さない。 「AR患者がしばしば日中に眠気を経験することはよく知られている。しかし、この現象への鼻閉の関与は十分に理解されていない」と産業医科大学(北九州市)医学部耳鼻咽喉科のNobuaki Hiraki, MDらは記している。「鼻閉の重症度が日中の眠気と正の相関性を示すことも報告されているが、その機序およびARとの関係は未だ明らかになっていない」 この研究の目的は、ARに罹患する就労者と罹患していない就労者を対象として、鼻閉、いびきおよびEDSとの関連性を評価することであった。 日本の生産企業に日中勤務する1878例に質問票への記入を要請したところ、1459例から回答があった。この1459例を、鼻閉のあるAR罹患者(鼻閉-AR)群、鼻閉のあるAR非罹患者(鼻閉)群および鼻閉のないAR罹患者(AR)群の3群に分類し、鼻閉のないAR非罹患者を対照群とした。 主要エンドポイントは、AR(European Community Respiratory Health Survey質問票により評価)および日中の眠気(Epworth Sleepiness Scaleにより評価)とした。 鼻閉-AR群および鼻閉群では、対照群と比較して、いびきのある参加者の割合が高く、Epworth Sleepiness Scaleスコアが高かったほか、EDSのある参加者の割合が高かった。これらの評価項目に関して、AR群と対照群の間および鼻閉-AR群と鼻閉群の間に有意差は認められなかった。 鼻閉-AR群および鼻閉群では、対照群と比較して、いびきおよびEDSのある参加者の割合が高かったが、AR群と対照群の間に差は認められなかった。 「鼻閉はARへの罹患の有無を問わず、いびきおよびEDSとの関連性を示す」と著者らは記している。「鼻閉を伴わないアレルギー性鼻炎は睡眠呼吸障害およびEDSとの関連性を示さない」 この研究の限界は、いびきに関する情報を参加者自身が記入したこと、研究対象が一般集団ベースでなく職業ベースの母集団であったこと、また、いびきの潜在的危険因子をすべて検討しなかったことになる。 「鼻閉自体は生命を脅かすような状態ではないが、鼻副鼻腔疾患患者では、迅速かつ適切な鼻科治療により睡眠の質が改善され、ひいては日常活動および社会活動も改善される」と著者らは結論づけている。「このことは今後の研究でさらに検討する必要がある」
著者らは、この研究に関連する経済的利害関係をもたないことを開示している。
Arch Otolaryngol Head Neck Surg. 2008;134:1254-1257. | | | |
| | | Medscape Medical News 2008. (C) 2008 Medscape |
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2008/12/19 乳児に接種、髄膜炎予防 ヒブワクチン YOMIURI ONLINEより転載
乳児に接種、髄膜炎予防
ヒブワクチン
乳幼児の細菌性髄膜炎を引き起こす「インフルエンザ菌b型(Hib=ヒブ)」の予防ワクチンが19日、発売された。ヒブによる髄膜炎の患者数は年間約600人とそれほど多くないが、患者の25%に発達の遅れや聴覚障害などの後遺症を残し、5%が死亡する深刻な病気だ。この病気を防ぐワクチンはすでに100か国以上で使われているが、ようやく日本でも利用できるようになった。(科学部 米山粛彦)
千葉県の団体職員高畑紀一さん(37)の長男(7)は、3歳の時に髄膜炎を発症した。発熱と吐き気を訴えたが、かかりつけ医は胃腸炎と診断した。自宅で療養していたが、症状は悪化して3日目の朝に長男の意識はなくなった。高畑さんは搬送先の病院医師から、「ヒブによる髄膜炎。亡くなることも覚悟してください」と、通告された。
幸いにも長男は2週間後に体調が回復。後遺症も残らなかったが、高畑さんは「受けられる予防接種はすべて受けていたのに、深刻な感染症にかかるとは驚いた」と振り返る。
ヒブは20〜100人に1人の割合で鼻やのどにいる菌。髄膜炎や、呼吸困難の原因であるのどの炎症(喉頭蓋炎)などを引き起こす。抵抗力の弱い0歳児がかかりやすく、保育園で他の園児からのせきや接触で感染するケースも多い。冬に流行するインフルエンザの原因ウイルスとは異なる。
国立病院機構三重病院名誉院長(小児科)の神谷齊さんは、「感染し発症すると、症状の進行が速く手遅れになりがち。このため、ワクチンによる予防が大切」と強調する。
ヒブは、免疫を担う白血球の攻撃を受けにくい構造をしている。しかし、ワクチンの接種を受けると、体内に抗体ができて、侵入してきたヒブと結合、それが目印になって、白血球が攻撃しやすくなるという。
製造販売元のサノフィパスツール第一三共ワクチン(東京)によると、接種は生後2か月から7か月未満までに始めるのが標準だ。4〜8週間隔で3回接種を受け、さらに1年後にもう1回の計4回の接種を受ける。
神谷さんは「定期接種のジフテリア、百日せき、破傷風の三種混合ワクチンと同時に受ければ、通院の負担を減らせる。ヒブワクチンは5歳未満まで受けられるので、小児科のかかりつけ医に相談を」と話す。
2007年の米疾病対策センター(CDC)の報告によると、5〜30%の人で接種した部分が12〜24時間後に腫れたり赤くなったりすることもあったが、発熱など全身の副作用はまれだという。個人輸入して300人以上に接種した、ふたばクリニック院長(東京都)の広瀬久人さんは「500円玉くらいの赤い腫れができる子供もいるが、数日で消える」と語る。
任意接種のため、3万円前後かかる4回の接種費用は、全額患者負担だ。費用の助成を表明した自治体もあるが、ヒブワクチンの導入を訴えてきた団体代表の田中美紀さん(36)は「若い父母には負担が重い。行政が費用を負担する定期接種にすべきだ」と訴える。
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2008/12/19 血圧の急上昇が高齢者の精神機能を鈍らせる可能性がある m3.comより転載
血圧の急上昇が高齢者の精神機能を鈍らせる可能性がある
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 | 提供:WebMD
| 高齢者の血圧が上昇すると精神機能が低下する Daniel J. DeNoon WebMD Medical News | |
| | 【12月15日】
高齢者の明晰な思考の能力は血圧上昇に伴い低下すると、小規模研究が示唆している。 高血圧と精神機能の関連を示唆したのは、60歳から87歳までの36例の男女を対象にしたノースカロライナ州立大学(ローリー)のJason C. Allaire, PhDらによる研究である。 この研究は関連を示唆しているが、原因および結果は明らかではない。以前の研究では、血圧の高い高齢者は正常血圧者よりも精神機能が劣ることが認められている。しかし精神機能検査の課題に挑むストレスが血圧を上昇させ、その関連に寄与している可能性がある。 今回の研究では、Allaire博士らは高齢の被験者に60日間連続して毎日朝と晩に血圧測定と精神機能検査を行うよう指示した。 研究者らは熟練による改善について調整した後、個々の被験者の血圧が上昇したときに検査の成績が低下したことを見出した。 血圧との関連が認められた課題の種類は帰納的推理であった。それは特定の事例に基づいて一般化を行うことを可能にする種類の推論である。研究で用いた検査では、被験者に一連の文字列の中のパターンを同定させ、その文字列における次の文字を予測させた。 血圧の影響が認められたのは、被験者の収縮期血圧(最大血圧)が130以上の場合のみであった。120 - 139の測定値は境界域高血圧とみなされる。高血圧症、すなわち真の高血圧と診断されるのは収縮期血圧が140以上(または拡張期血圧が90)以上の場合のみである。 今回の知見は、一部の高齢者は血圧の急上昇を引き起こすストレスの多い状況では明晰な思考が困難になる可能性があることを示すと、Allaire博士は示唆している。
本研究は『Journal of Gerontology: Psychological Sciences』の最新号に掲載されている。
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2008/12/17 ACS、深部静脈血栓症が特発性肺線維症と関連 m3.comより転載
ACS、深部静脈血栓症が特発性肺線維症と関連
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 | 提供:Medscpae
| 特発性肺線維症の患者は、急性冠症候群と深部静脈血栓症のリスクが増大し、これらの患者の血管疾患の評価が必要であることが研究で示された Steve Stiles | |
【12月10日】
特発性肺線維症(IPF)の患者は一般人口に比べて、急性冠症候群(ACS)を起こす確率が2倍から3倍高く、深部静脈血栓症(DVT)を発症するリスクも大きいことが、IPF症例のケースコントロール分析と縦断追跡の両方でこの関係を調べた研究で報告された[1]。いずれの血管疾患とも、IPFが診断される前よりも後のほうが顕著に増大する。 これらのデータは、肺疾患が血管疾患の原因であるとも、その逆であるとも示したものではなく、IPFの病因について詳しく示したものでもない、と筆頭研究者であるDr Richard B Hubbard(ノッティンガム大学、英国)が述べている。しかしIPFには、ACSおよびDVTのリスクを増大させると考えられる血栓症傾向との間になんらかの関係があることをうかがわせると博士はheartwireに語った。 博士によれば、これらのデータが示しているのは、IPFの診断がついた患者は心血管疾患の可能性を定期的に調べる必要があるということだ。 「興味深いことに、これは糖尿病にそっくりだ。糖尿病では、たとえその他のリスク因子について割り引いたとしても、患者は血管疾患のリスクが顕著に高い。患者に診断をつけたなら、一次予防の方針を考える必要がある。それと同じことが、IPFの患者にも言えると思う。」 Hubbard博士らによれば、今回の知見は「IPF患者に対する抗凝固療法がこの破壊的な疾患の転帰に有益な影響があるかどうかを判定する臨床試験の可能性について、さらなる支持を与えるものである。」 『American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine』2008年12月15日号のこの報告は、英国の縦断的一次予防データベースであるHealth Improvement Networkを基に、IPFが新規に診断された患者920例を特定した。 1つ目の分析では、この患者群と、その年齢、性別、居住地域にマッチさせた対象被験者3593例とで、IPF診断前の平均8年間における臨床事象、喫煙状況、心血管薬への曝露について比較した。 症例患者は対照被験者に比べて、ACS、DVT、狭心症の診断を受ける確率が1.5倍から2倍高かった。心房細動および脳卒中のリスクはいずれも有意差がなかった。
IPF患者とそれにマッチさせた対照者とを比較した、IPF診断前の心血管疾患診断のオッズ比(95%CI) エンドポイント | OR(95%CI) | ACS | 1.53 (1.15 - 2.03) | 深部静脈血栓症 | 1.98 (1.13 - 3.48) | 狭心症 | 1.84 (1.48 - 2.29) |
ワルファリン、アスピリン、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬のそれぞれの使用状況は、患者の方が対照者よりも有意に多かったが、β遮断薬とスタチン類の使用状況には差がなかった。 2つ目の分析では、患者群と対照群とを、初回診断時から前向きにそれぞれ平均2.7年間と3.9年間追跡した。 ACSとDVTの発生率は、診断前よりも診断後のほうが増加の程度が顕著になったが、狭心症ではそれはなかった。心房細動と脳卒中は、やはり有意な増加が見られなかった。 著者らによれば、喫煙状況とスタチン類・アスピリン・アミオダロン・β遮断薬・ワルファリン・ACE阻害薬の使用状況で補正しても、この結果は変わらなかった。
IPF患者とそれにマッチさせた対照者とを比較した、IPF診断後の心血管疾患診断の相対リスク(95%CI) エンドポイント | RR(95%CI) | ACS | 3.14 (2.02 - 4.87) | 深部静脈血栓症 | 3.39 (1.57 - 7.28) |
肺線維症はまさしくアミオダロンで起こりうる副作用のひとつであるので、その使用状況については特別に注意を払った。患者群のうちアミオダロンに曝露した者は34例で、割合にすると4%であった。それに対して対照群では2%であった。IPFの症例の中には実際にこの薬剤が原因で起きたものもあることが明らかになった。 アミオダロンに曝露した者をすべて除外した患者群と対照群とを追跡したポストホック分析を行うと、それでも患者のACSの相対リスクは3.29あった(95%CIは2.11 - 5.13)。 「医師がIPF患者をもっと視野を広くして観察し、患者の肺に注目するだけでなく、患者のその他の面の治療も試みるようになることを私は願っている」とHeffner博士は語った。 関連する解説記事[2]においてDr David A Zisman(カリフォルニア大学、ロサンゼルス)とDr Steven M Kawut(コロンビア大学、ニューヨーク州ニューヨーク)が、Hubbard博士らの分析はIPFと血管疾患との間に因果関係があることを「ほのめかしている」と述べている。そうした関係が別の研究で確認されたなら、「IPFの存在それ自体が、CAD(冠動脈疾患)にとって十分に強力なリスク因子となりえ、リスク因子改変の目標をもっと積極的に行う必要が出てくる」と両博士は書いている。 この論文が掲載された学術誌の支援団体である米国胸部外科学会の記者会見で、前会長のDr John E Heffner(オレゴン健康科学大学、ポートランド)が、IPF患者の治療にとってのこの今回の研究の意義を述べている。 「その他の慢性進行性呼吸器疾患と同じく、IPFの肺も別の全身性病態発生事象の指標になりうる」とHeffner博士は語った。「最初に肺で発現することが、後に他の器官系で起こるようになる。この考え方によって、研究の取り組み方が再編成されるだけでなく、早期IPFの診断を受けた患者への医療がもっと包括的になっていくと思われる。」
この研究の著者らの開示情報によれば、関連する金銭的利害関係はない。 Zisman博士は、Gilead Sciences社の諮問委員を務めることによる収入と、Intermune社とActelion Pharmaceuticals社から研究助成金を受けている。Kawut博士は、Actelion Pharmaceuticals社とGilead Sciences社から講演料・コンサルタント料と奨学金を受けており、Actelion Pharmaceuticals社、Gilead Sciences社、Intermune社の資金による研究に参加している。
出典
1. Hubbard RB, Smith C, Le Jeune I, et al. The association between idiopathic pulmonary fibrosis and vascular disease: a population-based study. Am J Respir Crit Care Med. 2008;178:1257-1261. 2. Zisman DA, Kawut SM. Idiopathic pulmonary fibrosis. A shot through the heart? Am J Respir Crit Care Med. 2008;178:1192-1193. | | | |
| | | Medscape Medical News 2008. (C) 2008 Medscape |
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2008/12/16 AAPが補完医療と代替医療の利用に対応 m3.comより転載
AAPが補完医療と代替医療の利用に対応
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 | 提供:Medscape
| 米国小児科学会は臨床報告で、用語の定義、リソースの総括、補完代替医療について患者と話し合う際に役立つコミュニケーション手法を扱った Laurie Barclay Medscape Medical News | |
【12月5日】
米国小児科学会(AAP)が、小児における補完代替医療(CAM)の利用に対応した臨床報告を『Pediatrics』12月号に発表した。 「米国立衛生研究所(NIH)の米国補完代替医療研究所(NCCAM)の定義によると……CAMとは、伝統的な西洋医学の一部とは現在見なされていないさまざまな医療・健康管理の体系・手技・製品の全体のことである」と補完代替医療作業班および補完全人的統合医療臨時作業班のKathi J. Kemper, MD, MPHらが記している。「補完医療は、伝統的医学に併用して用いられる。例えば、マッサージ、誘導イメージ療法、鍼などが、鎮痛薬に組み合わせて使用されていて、痛みの軽減に役立っている。代替医療は、伝統的西洋医学の代わりに用いられる。例えば、思春期小児では、抑うつを治療するのに抗うつ薬ではなくハーブを利用することがある。」 小児におけるCAMの利用が増えていることを受けて、この分野の実践に関する情報と支援を小児科医に提供する必要もあるとAAPは考えていた。2000年から2002年にかけて、AAPは補完代替医療作業班を立ち上げ、小児におけるCAMの使用に関する問題への対処と、医師、患者、家族の教育のためのリソースの開発にあたらせた。 今回のAAP臨床報告は、CAMサービス、現行の活用程度と経費、関連する法的・倫理的な問題について記載している。CAMは幅広く多種多様なものがあるので、報告では、個々の手法に関する深い議論は今回の報告の範疇を超えると結論づけられた。 今回の報告が目的とした内容は、以下の通りである:用語の定義、疫学的総論、よく利用されるCAM手法の一覧、法医学・倫理・研究上の意義の考察、CAM提供者への教育・訓練の記述、CAMに関するその他の教育リソースの提供、医師が患者とその家族との間でCAMについて話し合う際に助けとなるコミュニケーション方針の示唆。 疼痛治療における誘導イメージ療法やマッサージなどのように、現在、CAM手法の多くは正式に検証された上で標準的臨床の中に組み込まれている。CAMと本流医学との間の差は縮まってきており、全人的医療や統合医療という用語がCAMに替わって使われるようになってきている。 「全人的医療とは、健康の生物学的、心理学的、精神的、社会的、環境的側面を考慮に入れて患者を中心に据えたケアのことである」と作業班は記している。「統合医療とは、人間関係に基礎を置き、安全性と有効性に関して質の高い科学的エビデンスが存在する補完療法と本流医学とを組み合わせて、患者の家族や地域社会の中における患者の全人的な健康を促進するケアのことである。統合医療では、臨床家と患者との人間関係が重要であることも再確認しており、健康な生活および癒しに向かおうとする生得的な欲求を重要視し、人間を全人的にとらえ、健康と癒しという患者の目標を達成するために適切なあらゆる治療法を用いる。」 Kemper博士の全人的治療のモデルでは、治療の中に4つの主要構成要素を認めている。生化学的要素には、薬剤、食品サプリメント、ビタミン類、ミネラル類、薬草療法が含まれる。生活習慣と栄養への介入要素には運動や休養の推奨、加温・氷冷・音楽・振動・光といった環境療法、そして行動管理、瞑想、催眠、生体フィードバック、カウンセリングといった精神身体療法が含まれる。 生体力学的要素には、マッサージと整体、カイロプラクティックとオステオパシーによる調整、外科が含まれる。生体エネルギー療法要素としては、鍼、照射療法、磁気、レイキ、ヒーリングタッチ、気功、セラピューティックタッチ、祈り、ホメオパシーなどがある。 小児の治療にあたる医師は、患者およびその家族が考えているのが本流医学とCAMのどちらであっても、安全・有効で適切な医療サービスと治療法について患者と家族に助言、指導しなければならない。また、ほとんどの家族は医師へ特に知らせずにCAMサービスを利用しているので、医師は、家族が小児に施している治療のすべてについて特別に質問しなければならない。 CAM利用に関する有益な指導を提供し、そうした治療法を小児の治療計画の中に組み込むために、小児科医は担当する患者が選択肢として利用できる治療に関して常に最新情報を身に付けていなければならない。医師は、それぞれの患者が利用するCAMサービスひとつひとつについて、その安全性、妥当性、適切性について患者の家族に対応し、指導していかなければならない。 CAM手法の利用に関して家族に助言を与える場合の常識的アプローチとしては、安全性と有効性が証明された治療法は強く勧めるようにし、安全だが有効でない治療法は認容してもよいが、有効であっても安全性に問題がある治療法は慎重な監視下に置くか思いとどまらせるようにし、安全でも有効でもない治療法は必ず思いとどまらせなければならない。 CAM施術者の治療を受けている患者の場合には、小児科医は、全体の治療計画の中にCAM施術者を含める許可を患者と家族に求めるようにする。 有益なコミュニケーション方針としては、患者が利用しているそれぞれの療法について質問する、家族の考え方・価値観・文化的信条を認識して尊重する、患者の親をチームの一員として共に治療にあたる、家族と患者の言うことに積極的に耳を傾けるなどがある。 治療への患者の反応は、「まず何よりも害がないこと」を念頭に置きながら、症状解消の個々の目標といった測定可能な転帰を用いて監視しなければならない。 「補完療法の提案と助言を自分の診療の一部として始めている小児科の一般医と各専門医の数が増えつつある」と作業班は結論で述べている。「そのうえ、大学の小児統合医療プログラムの数や、協力的で包括的なケアを改善する情報の体系的共有、支援、流布を促進する新たな活動の数が増えつつある。」
すべてのAAP臨床報告は、期限内に再確認、改訂、撤廃がない限りは、自動的に出版から5年の期限付きである。共著者のSunita Vohra, MDは、アルバータ州ヘリテージ財団医学研究基金とカナダ衛生研究所から給与を受けている。
Pediatrics. 2008;122:1374-1386. | | | |
| | | Medscape Medical News 2008. (C) 2008 Medscape |
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2008/12/12 がん患者に漢方薬 しびれ、食欲不振など軽減 YOMIURI ONLINEより転載
がん患者に漢方薬
しびれ、食欲不振など軽減
(2008年12月12日 読売新聞)
がんに伴って起きる全身の倦怠感や食欲不振、不眠などの症状、抗がん剤や放射線治療の副作用など、がん患者の悩みは多い。こうした症状を漢方薬を用いて軽減しようという試みが注目を集めている。(館林牧子)
東京都江東区の癌研有明病院。消化器内科部長の星野惠津夫さんは、週2回、「漢方サポート外来」で診察をする。
星野さんは消化器がんの治療を専門にする傍ら、若いころから漢方医学を学んできた。「西洋医学はがんを攻撃するのは得意だが、がんに伴って起きる多様な症状は、それだけでは解決しないことが多い。そんな時こそ、漢方の出番」と話す。
疲れやだるさ、食欲不振、病気のストレスによる不眠などのよくある症状に加え、手術後の傷の痛みや抗がん剤による手足のしびれ、胃を切った後の食欲不振など個別の訴えもある。患者の状態と症状の診断から、保険のきく147種類ある漢方のエキス剤のうちから最適なものを選択。個人差があるので、効き具合を見ながら、組み合わせを調整する。
全身症状の改善には、「十全大補湯」「補中益気湯」「人参養栄湯」のいずれかを処方する。最もよく使うのは十全大補湯で、不眠や不安など精神症状が強ければ補中益気湯、また肺転移や肺炎などによるせきや息苦しさがあれば人参養栄湯を選ぶ。
食道がんが肺などに転移した東京都内の男性は、ひどい息苦しさを訴えて同外来を訪れた。ところが、漢方治療を始め2週間ほどで呼吸が楽になった。5か月後に亡くなったが、その間、家族と2度の海外旅行を楽しむことができた。
漢方でがんそのものが治るという証明はなく、様々な症状にどのようにして効果をもたらしているのか詳しい仕組みはわかっていないが、星野さんは「西洋医学による従来の治療に行き詰まっても、漢方という別の方法があることを、患者に提示できる意義も大きい」と話す。
抗がん剤の副作用で起きる手足のしびれには「牛車腎気丸」など、乳がんのホルモン治療や、子宮・卵巣がんの手術で卵巣を取った後に起きるほてりには「桂枝茯苓丸」や「加味逍遥散」など、のどや耳下腺がんなどの放射線治療の後遺症で、だえきが出ず、口が渇く症状には「麦門冬湯」などを使う。
また、免疫が低下して起きる帯状疱疹後の神経痛や、夜間の頻尿、腸閉塞や下痢、しゃっくり、冷えなども、漢方薬で改善が期待できる。
漢方薬を使う医療機関は、今年4月から「漢方内科」のように、内科や婦人科などの一般的な診療科名と組み合わせて表示することが可能になり、探しやすくなった。星野さんは「がん専門病院でなくても、同様の診療を受けられる施設もあるので相談してみて欲しい」と話す。
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2008/12/12 新たな研究が夜勤に光を当てる m3.comより転載
新たな研究が夜勤に光を当てる
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 | 提供:WebMD
| 光を浴びることとサングラスの使用が疲労した夜勤者の集中力維持を助けるかもしれない Bill Hendrick WebMD Medical News | |
| | 【12月5日】
世の夜勤者は意識を明晰にする。 夜勤時の集中力を高め、さらに勤務時間外によりよく眠るための一つの方策を、ある新しい研究が発表した。 ラッシュ大学医療センターの研究者らが夜間勤務に関する実験において、被験者を真夜中に5回、15分間ずつ明るい光にさらさせたところ、即座にではないものの、しばらく後の集中力が高まった。 しかし役立ったのは光だけではない、と研究者の1人であるCharmane Eastman, PhDは言う。 被験者、つまり光に暴露した人は帰宅時に色調の暗いサングラスをかけ、午前8時半に就寝した。 被験者群は1回目と2回目の夜勤後、暗い寝室で午前8時半から午後3時半まで睡眠をとった。3回目以降の夜勤後は午前8時半から午後1時半まで睡眠をとり、2日間の週末休暇には午前3時から正午まで睡眠をとった。 一方、同じ実験の対照群は光に当たらなかった。サングラスは与えられたが薄暗い程度で暗いサングラスではなかった。睡眠は無制限とし、好きなだけ外光に当たった。 合計24名の実験参加者は週休2日で午後11時から午前7時まで勤務についていた。 Eastman博士と同僚のポストドクター、Mark Smith研究員は、実験参加者の体内時計を正常に近づけるためこの研究を実施した。その結果、明るい光、暗いサングラス、強制的な睡眠時間が夜勤者の集中力を高め、不調感を和らげるのに効果的であることを見出した。 Eastman博士は、「仕事場や休憩室に明るい場所を設置する」ことによって実際の夜勤者の気分が良くなり、意識も明晰になる可能性があることが分かった、とWebMDに話す。 「サングラスも重要である」とEastman博士は言う。「サングラスは青色光の大半を遮る。この朝の青色光が体内時計を実際の時刻に合わせて調節する働きを持っている。屋外で青色光をあびると体は朝であると認識する。そのため夜勤者は勤務時間帯へ体内時計を適応させることができない。我々は体内時計に夜を昼間、昼間を夜だと思わせているのである」。 被験者は、休日には午前3時に寝るよう指示された。これは体内時計を段階的にリセットし、夜に睡眠をとる正常な感覚を取り戻すためである。 夜勤者は、たとえ窓越しに光が入る中でも十分に目を瞑ることができると考えていても、「真っ暗な」部屋で眠るべきである、とEastman博士はWebMDに話す。 この実験中、被験者群の部屋の窓は黒いプラスチック板で覆われた。 これらの措置により「体内時計のリセット」に成功したかどうかを確認するため、被験者の唾液中の化学物質を測定した。 「夜勤帯に働く人は、電話の線を抜き、家のベルを鳴らさないようドアに張り紙をし、仕事の終りにあまり多くのコーヒーを飲まないことだ」とEastman博士は言う。「アルコールは一般的に寝付きを良くするが、その効果は徐々に薄れてやがて目が覚める。早過ぎる目覚めは最大の問題である」。 ひとつ重要なのは、夜勤者 (Eastman博士とSmith研究員は、多くの人が「深夜勤」と考える午後11時から午前7時までを夜勤と定義している) は休みの日には遅い時間に起床し、正午前に起きない方がよいということだ、と博士は言う。 実験群の夜勤者は長時間のコンピュータ課題で成績を上げることができたが、対照群はできなかった、と科学者らは結んでいる。 『Sleep』に発表された同研究は、夜勤者に効果的であった光療法、サングラス、厳密な睡眠スケジュールが「概日周期の緩衝帯(compromise circadian phase position)」を作り出しており、その結果として、休みの日に十分な夜間睡眠をとりながらも夜勤の効率と集中力を向上させることができたのではないか、と述べる。 「この研究で得られた大きな成果は、夜勤時の集中力を高めて昼間の睡眠を長くするため、夜働いて昼間に寝るというスケジュールに体の生理反応を完全に適応させなくてもよい、ということである」とSmith研究員は言う。「その代わり、定期的に光と闇に暴露することで部分的な生理的適応を図れば、夜勤の効率を昼間のレベルに十分戻せることが分かった」。
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2008/12/12 2008年AES:専門家らは抗てんかん薬と自殺リスクに関するFDAの見解に反論 m3.comより転載
2008年AES:専門家らは抗てんかん薬と自殺リスクに関するFDAの見解に反論
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 | 提供:Medscape
| メタアナリシスの方法論に不備があり、今回の判断は患者と今後のAED臨床試験にとって不幸な結果を招くと指摘 Allison Gandey | |
【ワシントン州シアトル 12月8日】
抗てんかん薬(AED)は自殺リスクを高めることを示す米国食品医薬品局(FDA)の最近の見解は、てんかん患者および潜在的には今後のAED臨床試験にとって不幸な結果を招くおそれがある、とてんかんの専門家らは懸念している。専門家らのグループは12月5日夜に開催された2008年AES(第62回米国てんかん学会年次会議)の公開討議において異議を唱えた。 「データ分析から方法論上の問題が明らかであることを考えると、FDAが提起した懸念については非常に強い疑いのまなざしを向けなければならない」とラッシュ大学医療センター(イリノイ州シカゴ)に所属する本セッションの座長Andres Kanner, MDはMedscape Neurology & Neurosurgeryに話している。 FDAによる最近のメタアナリシスの結果では、AED使用患者は自殺する可能性が有意に高いことが示唆されている。この問題を調査するため、FDAは患者43,000名以上を対象とした199件のプラセボ対照臨床試験の結果を検討した。 この研究は11種類のAEDを対象とし、AED投与群はプラセボ群よりも自殺念慮や自殺行為が多かったことが明らかになった(0.43%対0.22%、患者1000名につき2:1、95% CI 0.7-4.2)。また、てんかんの治療を受けた患者は、一部の精神疾患の治療を受けた患者よりも、相対リスクが高いことも明らかになった(3.6対1.6)。 しかし、AESの公開討議に出席した専門家らは、これらの結果に反論している。コロンビア大学(ニューヨーク)のDale Hesdorffer, PhDとノーザンイリノイ大学(デカルブ)のAnne Berg, PhDは、データはFDAの結論を支持していないと主張している。 Hesdorffer博士とBerg博士はデータの演算処理を行った後、この研究結果には11種類の薬剤について一貫性がみられない、と公開討議で述べた。また、適応症別の検討でも一貫性がなく、てんかんおよび他の精神障害との間でも結果に大きな違いがある、と同博士らは述べている。さらに、地域別でも結果に一貫性がみられない。 「自殺リスクの上昇はすべての薬剤に認められたわけではなく、その理由については説明されていない」とBerg博士は述べている。「これは官僚的で非科学的な判断である」 「この問題は大きなダメージを伴う可能性がある」とカリフォルニア大学(ロサンゼルス)の小児・思春期精神科医である発表者Rochelle Caplan, MDは述べている。「もし患者の親が高い自殺リスクを心配したら、自分の子供にはAEDの投与を望まないだろう。実証データがないまま、FDAが今回の情報を発表したことは、非常に残念である」 臨床試験への悪影響
FDAの判断は今後の臨床試験にも悪影響を及ぼす可能性がある、とニューヨーク大学医療センターの発表者Jacqueline French, MDは述べている。 てんかんに特異的な抑うつ尺度は今のところなく、多くの患者は診断未確定の精神科併存疾患をもっている可能性が高い、とFrench博士は指摘している。これらの患者および自殺念慮がすでにみられる他の患者は、今後の臨床試験から除外される可能性がある、とFrench博士は推測している。 このような患者の除外がサンプルサイズに影響する可能性がある、とFrench博士は指摘している。「そしてこれらの患者を臨床試験から除外したとしても、我々は自殺シグナルがあるかどうかをどのように特定するのだろうか」。French博士は、臨床試験に抑うつまたは自殺尺度を追加する前に、これらの尺度が臨床試験に及ぼす影響を判断するためのパイロット試験を行うよう推奨している。 公開討議において専門家らがFDAの見解に懸念を表明する一方、医師は患者の精神面の評価になお配慮する必要がある、とKanner博士はMedscape Neurology & Neurosurgeryに強調している。 てんかん患者の自殺リスクは3倍
「我々は、医師が患者の自殺リスクに注意する必要がないと言っているわけではない」とKanner博士は述べている。「てんかん患者の自殺リスクは3倍高いことが研究で示されている。すべての医師は、てんかん患者の評価の一環として、気分障害と不安障害の有無を検討する必要がある。そして、もし医師がこうした精神障害の治療に不安を感じるのであれば、医師は患者を精神科専門医にまわすべきである」 抑うつおよび不安といった併存疾患が生活の質に及ぼす影響は、てんかんの影響よりも顕著である場合がある、とKanner博士は述べている。Kanner博士は、併存疾患の有無を判断するために下記の3つの方法を推奨している。 - Neurological Disorders Depression Inventory for Epilepsy(NDDI-E)
- 全般性不安障害尺度(GAD-7)
- Mini International Neuropsychiatric Instrument(MINI)の自殺に関するモジュール
Kanner博士によると、医師による患者の自殺リスク評価には、下記の4つの質問が役立つという。 - 自殺しようと考えたことはありますか。
- 考えたことがある場合、自殺を思いとどまらせたものは何ですか。
- 自殺を試みたことはありますか。
- あなたの家族の中で自殺を試みたことのある方はいますか。
ある種のAEDは避けるべき
AEDが自殺リスクを高めるかどうかについて専門家が検討しているところではあるが、一部のAEDは他剤に比べて問題が多いようである、とスタンフォード大学医学部(カリフォルニア)の精神科医John Barry, MDは述べている。 Kanner博士もBarry博士に同意し、精神科併存疾患のあるてんかん患者はバルビツール酸系薬を避けるべきであると述べている。lamotrigineやトピラマートといった薬剤には、このようなリスクを示唆するラベリングがすでに付けられている、とKanner博士は付け加えている。 「AEDが自殺リスクに影響するかどうかを判断するには、より周到に実施されたプロスペクティブ(前向き)研究が必要である」とKanner博士は結論付けている。
セッションの座長Kanner博士と発表者French博士は、AED製造業者と金銭的な関係があることを報告している。他のパネリストらは、関連する金銭的関係がないことを報告している。
AES 2008: American Epilepsy Society 62nd Annual Meeting. Presented December 5, 2008. | | | |
| | | Medscape Medical News 2008. (C) 2008 Medscape |
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2008/12/11 転移性結腸癌の進行後のベバシズマブ:有効か? m3.comより転載
転移性結腸癌の進行後のベバシズマブ:有効か?
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 | 提供:Medscape
| ベバシズマブで初回の進行後の全生存率が延長することが最新の観察的研究で示されたが、この研究には限界がある。 Nick Mulcahy Medscape Medical News | |
【12月8日】
血管内皮増殖因子阻害薬を使用していても進行がすでに始まっている転移性結腸直腸癌患者にベバシズマブを連続使用すると、全生存率の改善が可能であるという大規模観察研究の結果が、『Journal of Clinical Oncology』11月20日号に発表された。 この研究に関する2本の解説記事では、この新知見の臨床医にとっての意義について異なる意見が述べられている。 一方の解説記事は、今回の結果には「交絡因子によるバイアスが存在する可能性がとても強」く、この状況での連続ベバシズマブの意義を明らかにするにはランダム化試験をする以外にないと述べている。 もう一方の解説記事は、「ベバシズマブの連続使用でさらなる便益がある」と思われ、医師はこうした患者集団の治療に関するすべての既存の臨床データを、経費と毒性の問題を考えながら解釈することが勧められると述べている。 今回の研究は、さまざまな化学療法とベバシズマブを併用した後に進行した転移性結腸直腸癌患者1,445例を調査した。それによると、進行後に化学療法を変更したがベバシズマブは使用し続けた患者の全生存率は、31.8カ月であった。それに対して、化学療法を変更し、ベバシズマブを中断した進行患者の全生存率は、19.9カ月であった。多変量解析では、ベバシズマブに生存率の改善との「強い連関」が見られたと、メイヨー・クリニック(ミネソタ州ロチェスター)の腫瘍科教授であるAxel Grothey, MDを筆頭とする著者らは記している。しかし、全生存率に10カ月以上の差があるにも関わらず、結果は有意でなかった。 2本の解説記事はともに、今回の研究で次のような重要な疑問が浮上したと述べている。腫瘍専門医はベバシズマブを含む治療で進行が見られた転移性結腸直腸癌への第2選択治療には何を用いるべきか? そして、ベバシズマブ治療の最適期間はどれくらいか? テキサス大学MD・アンダーソン癌研究所(ヒューストン)のLee M. Ellis, MDとペンシルヴェニア大学(フィラデルフィア)のDaniel G. Haller, MDによる一方の解説記事によれば、今回の大規模研究は、米国内の248カ所の施設による治療登録に基づいており、ベバシズマブと組み合わせてさまざまな第1選択化学療法が行われたことから、「米国の腫瘍科の日常臨床に一条の光明を与えた」と述べている。 便益はバイアスによるものか?
ベバシズマブは、ランダム化試験のデータに基づき、結腸または直腸の転移性癌の第1選択または第2選択治療として、5-フルオロウラシル化学療法に併用する用途で米食品医薬品局(FDA)が2004年に承認した。 今回の分析は、FDA承認後に始まった試験によるものである。「ベバシズマブ処方:治療効果と安全性の調査(BRiTE)」というこの試験は治療登録であり、有害事象情報の収集を主要目的とし、ベバシズマブの有効性を無進行生存率および全生存率として記述することを第2目的にしている。 マクマスター大学腫瘍学科(オンタリオ州ハミルトン)のMark N. Levine, MDおよびJim A. Julian, BSc, MScによる解説記事は、BRiTEなどの登録制度の対象と、それが疾患介入法の比較に用いられる場合の弱点について述べている。 これら2名の編集委員は、BRiTE試験は「疾患が進行した時点での患者集団特性が不明である」という点で限界があるとしている。今回の分析では疾患進行の時点が分析開始点なので、「(ベバシズマブ継続使用者と非継続者の)全体的な疾患保有率がその時点で同じであったかどうかを知ることが重要である」と、編集委員らは記している。実際、BRiTEのような疾患登録では、データ収集がランダム化試験に比べて「はるかに受動的であることが多い」ために、この種の情報の欠落が典型にあると編集委員らは述べている。今回の研究には、疾患保有率の隠された差といった「交絡因子によるバイアスである可能性が強い」と彼らは結論で述べている。 肯定的な意見として、Levine博士とJulian氏は、ベバシズマブの使用期間が重要な問題であり、それに答えるにはランダム化対照試験しかないと考えている。幸いにも、ちょうどそれに該当する試験であるサウスウエスト腫瘍学グループの0600試験がすでに始まっている。この試験では、第1選択治療としてオキサリプラチン中心の化学療法にベバシズマブを併用して進行した患者を、イリノテカンを中心とした第2選択化学療法でベバシズマブを中止する群と継続する群にランダムに割付けることになっている。 BRiTE試験の問題点
Ellis博士とHaller博士によるもう1つの解説記事は、BRiTE試験をもっと厳密にとらえ、「観察研究には研究者バイアスの成分と選択が常に」存在するとしている。しかし彼らはともにBRiTE試験の結果を肯定的にとらえている。「GrotheyらのBRiTE試験の報告の中では、化学療法変数を変更する際に(例えば、オキサリプラチンやイリノテカン)ベバシズマブを継続すると(それもフルオロウラシル症例のほとんどで)、便益の上乗せがあるらしいことがもっとも興味深い」と両博士は記している。 両博士は、治療選択においては有害作用と経費の問題が重要であることも指摘している。Medscape Oncologyの報道にあるように、結腸直腸癌の平均治療費は過去5年間ほどで顕著に増大している。同様に、化学療法の新しい処方で生存率が改善されるとともに毒性も増えてきていることも、Medscape Oncologyは報道した。 Ellis博士とHaller博士は、地域住民に大きく基づいた条件のBRiTE試験で行われた治療にはいくつかの欠点があることも指摘している。治療経過の中で3種類の活性化学療法薬(フルオロウラシル、オキサリプラチン、イリノテカン)のすべてが投与された患者の全生存率はそうでない患者よりも高いことが証明されているにも関わらず、BRiTE試験の患者のうち全3種類の薬剤を使用した者は60%しかいなかった。 さらに、進行後はベバシズマブ投与を受けなかった患者のうち、上皮増殖因子受容体(EGFR)阻害薬の治療を受けた者は半数しかおらず、これもBRiTE試験に患者を送り込んだ医師の中に弱点がもうひとつあるらしいことを示している、と編集委員らは述べている。「全米総合癌情報ネットワークのガイドラインでは、ベバシズマブを含む第1選択治療法で進行した患者は、その後に続く治療において抗EGFR抗体を受けるべきだとされている。この種の治療法が禁忌であることが稀にあるが、患者の半数がこの治療に不適格であったとはとうてい考えられない」と両氏は記している。 さらにEllis博士とHaller博士は、転移性結腸直腸癌の全身治療の過去10年間における「根本的な変化」によって、医師にとってこれらの患者に対する「標準治療の決定がますます困難になってきた」と述べている。この分野における最近の開発の中で、KRAS変異がある腫瘍の患者は抗EGFRモノクローナル抗体療法で便益を受けにくいことが判っている。「第1選択のベバシズマブ治療を受けている患者の転帰がKRAS変異の有無で影響されるかどうかはまだ判っていないが、治療抵抗性の患者の転帰にKRASが影響している可能性はある」と彼らは記している。
Haller博士は、ベバシズマブの製造者であるGenentech社のコンサルタントを務めており、Ellis博士は同社から謝礼を受けている。Ellis博士とHaller博士は両氏とも、さまざまな企業のコンサルタントを務め、謝礼金や研究費を受け取っている。
J Clin Oncol. 2008;26:5313-5315; 5316-5319, and 5326-5334. Abstract, Abstract, Abstract | | | |
| | | Medscape Medical News 2008. (C) 2008 Medscape |
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2008/12/10 動脈血栓のCTスキャンは時期尚早 m3.comより転載
動脈血栓のCTスキャンは時期尚早
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 | 提供:WebMD
| 動脈血栓の発見においてCTスキャンはカテーテルによる血管造影の代替としては時期尚早であることが研究により示唆されている Daniel J. DeNoon WebMD Medical News | |
| | 【11月26日】
新しいCTスキャンは動脈血栓の検出にきわめて優れているものの、ルーチンに使用するには時期尚早であることが、新規研究により示唆されている。 動脈血栓の発見の標準法は血管造影図である。血管造影法では、細いカテーテルを鼠径部の動脈から挿入し、心臓近傍の動脈に進める必要がある。これには30-45分かかるうえに、回復にさらに1時間が必要である。また、まれではあるものの、心臓発作や脳卒中などの合併症も発生する。 CTスキャンはわずか数秒しかかからず、出血もしない。CTスキャンの欠点は患者が比較的高レベルの放射線に曝露されるということである。2007年の研究では、米国における全ての癌のうち最大2%がCTの放射線と関連するとされている。 心臓の画像を得る場合、多数の検出器を配列したCTスキャナーを用いれば短時間でより多くの詳細な画像を得ることができる。そして、この新しいCTスキャナーでは「64列」の技術が使用されており、従来の「16列」機よりはるかに優れた画像を得ることができる。 しかし、新しいCTスキャンはルーチンな使用に足るほど優れているか? この点を明らかにするため、ジョンズ・ホプキンス大学の研究者Julie M. Miller, MDおよびJoao A.C. Lima, MDをはじめとする7カ国9施設の研究者らは、動脈閉塞を有することが疑われる患者291例に64列型CTスキャンを実施した。CTスキャンを行った後、患者全例に血管造影を実施した。 その結果、患者の56%は血管造影像で確認された冠動脈疾患を実際に有していた。また、CTスキャンはきわめて有効であった。CTスキャンでは85%の確率で動脈閉塞が検出され、CTスキャンで閉塞しているとされた動脈の90%は実際に閉塞されていた。 一方で、CTスキャンは患者の13%を誤分類した。 「現時点では、この患者集団において、CTによる血管造影は従来の冠動脈血管造影の代替となることはできない」とMiller博士らは結論している。 しかし、CTスキャンは、患者が負荷試験などの他の間接的検査を受けられない場合に、動脈閉塞の可能性の有無を医師が判断する助けとなる「代替診断ツール」であることを同研究者らは示唆している。 カリフォルニア大学(サンフランシスコ)の女性心血管医療の責任者Rita F. Redberg, MDおよびJudith Walsh, MD, MPHによる論説では、そうではないことが示唆されている。 この研究は慎重に行われているものの、「これによって、同技術の適切な使用と有用性に関する知識が進歩したわけではない」とRedberg博士およびWalsh博士は記している。 CTスキャンは未だ従来の血管造影図の代替とはならないと著者らが結論しているように、Redberg博士およびWalsh博士は、この研究は「新しい手法の有用性の証明に失敗した多くの研究に追加されるものである」と述べている。 「こうしたエビデンスがなければ、心臓の高解像度CT血管造影画像は単なるもうひとつ美しい画像である」とRedberg博士およびWalsh博士は記している。心臓CTスキャンの予後的意味と下流への効果(downstream effects)に関する研究では、患者の医療におけるこの技術の役割をより良く定義することが必要であろう。
Miller博士の研究は、同研究に使用された64列型CT機器のひとつの製造元である東芝の資金提供を受けている。Miller博士、Lima博士をはじめとする著者らは、東芝による助成金援助を報告しており、Lima博士および他の著者らは東芝から講演料を受け取ったことを報告している。
Miller博士の研究およびRedberg博士とWalsh博士の論説は『New England Journal of Medicine』11月27日号に掲載されている。 ct-scans-for-clogged-arteries-not-yet | |
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2008/12/9 不妊症患者を未使用の胚が悩ませている m3.comより転載
不妊症患者を未使用の胚が悩ませている
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 | 提供:WebMD
| 多くのカップルは残りの凍結胚をどうすべきかについて確信がないことが調査で明らかに Salynn Boyles WebMD Medical News | |
| | 【12月4日】
不妊治療の結果、未使用の不必要な凍結胚が生じたカップルは、それらをどうすべきかについてしばしば葛藤を感じており、廃棄および提供という選択肢は受け入れられないことが多い。 不妊症患者の凍結保存胚に対する姿勢を検討した、これまでに実施された最大規模の調査によって、こうした知見が得られた。 米国ではそのような胚が約50万個保存されている。多くの患者は、胚がもはや必要なくなった時にそれらをどうするかについて中途半端な状態のままでいることが調査で明らかになった。 妊娠出産を完了したと述べた患者の5例のうち1例が、胚を「永久に」凍結する可能性が高いと示唆した一方で、36%の患者は胚を解凍して処分する可能性が高いと回答した。 他の不妊症のカップルが使用するために胚を提供する可能性がいくらかある、またはその可能性が非常に高いと回答した患者は、34%にすぎなかった 調査は『Fertility and Sterility』で4日にオンラインで発表された。 「この問題に関する哲学的議論において最も一般的な意見は、胚を気にかける患者はそれらを別のカップルに提供することを選択するだろうというものだが、患者は多くの場合、このように考えてはいない」と、デューク大学メディカルセンターの産婦人科医および生命倫理学者であるAnne Drapkin Lyerly, MDはWebMDに語っている。患者は胚がどうなるかについては非常に気にするかもしれないが、胚が成長して子供が誕生することを望んでいるわけではない」。 研究への提供が好まれた
不妊治療に直面したカップルにとって、凍結胚の処分の問題は懸念事項のリストの上位に来ることは決してないか、ずっと下の方にあるか、いずれかであろう。 しかし一旦治療が終了すると、患者は一般的に、使用する予定のない凍結胚をどうするかという決断を迫られる。 ある研究では、今後は妊娠の計画のない凍結胚を有する患者の70%が、年間保管料を5年以上払い続けていることが明らかになった。 新たに発表された調査は、全米の不妊症クリニックで治療を受けた1,000例以上の患者が対象となった。5例中4例の患者は調査に回答した時点で少なくとも1人は子供がおり、44%の患者には子供が2人以上いた。 調査では胚の処理方法に関する4つの選択肢を提示した:解凍して廃棄する;不妊症のカップルに提供する;無期限に凍結保存する;研究のために提供する。 それ以上子供を希望しなかった患者の3例中2例(66%)は、研究のために胚を提供する可能性がいくらかある、またはその可能性が非常に高いと回答した。それは不妊症のカップルに提供するだろうと回答した人々の約2倍も多かった。 研究のために提供することは、凍結胚の処理方法の選択肢として最も広く受け入れられていたが、多くの患者はこの選択肢が与えられていないか、またはそうすることを知らないと、Lyerly博士は指摘している。 「多くの施設では処理方法のすべての選択肢が利用可能なわけではない」と博士は述べている。「胚の研究が実施されていない場所でも、胚を別の施設に譲渡することができるが、このことも議論されていない可能性があった」。 「容易な決断ではない」
Lyerly博士は、調査の知見に触発されて、より多くの体外受精(IVF)実施医師が、決断が必要になる前に胚の処理方法の選択肢について患者と話し合うようになることを願っていると述べている。 「我々は、患者が事前に決めておくことを推奨しているのではない」と博士は述べている。「しかし、選択肢について話し合うこと、およびある時点でおそらく決断しなければならなくなるという事実について話し合うことは、確かに必要である」。 テネシー州ノックスビルのMarti Baileyも同じ意見である。 Baileyは、提供された胚を用いて8カ月前に双子を出産する前は、ノックスビルの国立胚提供センターの広報担当者であった。 Baileyは不妊症のカップルが使用するために胚を提供することを強く支持しているが、未使用の凍結胚を提供することについて患者が葛藤する気持ちは理解できると述べている。 Baileyの場合、提供者が公開されていたため、女児と男児の誕生に至った胚を提供したコネチカット州のカップルと連絡を取り合っている。 「これは容易な決断ではない」と彼女は述べている。「私はセンターで働いていた時、患者、さらには医師やカウンセラーですら、いろいろな選択肢について知っている人がいかに少ないかを直接見ていた。決断が必要になる前に、これらの専門家がこの問題について患者に話をすることが重要である」。
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2008/12/9 名医に聞く治療の最前線 高齢者の肺炎 毎日jpより転載
名医に聞く治療の最前線
高齢者の肺炎
年間8万人あまりが命を落とす肺炎。高齢者にとって、肺炎は命にかかわる怖い病気です。かぜやインフルエンザなど呼吸器の感染症に注意するとともに、高齢者の変化を見逃さずに早期に治療を開始すること、そして日頃から体力を付けておくことが肺炎の予防にも、また克服にもつながるといいます。
◇ 年間8万人が肺炎で死亡
冬になると、毎年インフルエンザの流行が心配されますが、高齢者にとっては肺炎も忘れてはならない怖い病気です。
肺炎による死亡者は、抗生物質の発見によって一時は減少しましたが、その後、高齢者の増加や抗がん剤など免疫が低下する薬を使う人が増えたことなどを背景に再び増加、今では、日本人の死因の第4位を占め、年間8万人以上が肺炎で命を落としています。しかも、その大半を占めるのが65歳以上の高齢者です。
杏林大学医学部付属病院感染症科の小林治さんによると「85歳以上になると、男性では死因の2位が肺炎、90歳以上になると死因のトップになる」といいます。高齢者にとっては、依然として肺炎はきわめて身近で、怖い病気なのです(図1)。
抗生物質ができているのになぜ? と思う人も多いと思います。しかし、「いくら抗生物質を使っても、患者さんの体力が低下していると菌を叩ききれないのです。病気の勢いがまさった時に命を奪われるのです」と小林さんは説明しています。つまり、抗生物質などの治療も、患者さん本人がもつ病気と戦う力を支援するもので、病原菌の力がそれを上回った時には、現代医学でも太刀打ちできないのです。
これは、死亡率を見ても明らかです。一口に肺炎といっても、一般の人が町中でかかる「市中肺炎」と病院などで治療中の人が感染する「院内肺炎」があります。院内肺炎の場合、患者さんはもともと腎臓や肝臓の働きが低下していたり、慢性の心疾患や糖尿病があるなど持病を持っています。こうした人が肺炎になると死亡率が非常に高いのです。
「特に、人工呼吸器を付けている人が肺炎になると、死亡率は50〜70%ぐらいになります」と小林さん。院内感染の防止が強く求められているのも、こうした現状があるからなのです。
一方、ふつうに日常生活を送っている人の肺炎、つまり市中肺炎では、高齢者の場合「発見の遅れ」が問題になるといいます。
◇ いつもと様子が違っていたら注意
肺炎といえば、咳、痰、高熱、呼吸困難といった症状を思い浮かべる人が多いと思います。しかし、高齢者はこうした典型的な症状が出ないことが多いのです。
肺炎は、一般には細菌が肺に侵入して発生する感染症として知られていますが、特に高齢者などでインフルエンザやかぜのあとに肺炎を起こすことが多いのも、1つには鼻やのどの防御機構が低下しているからです。鼻やのどは空気の通り道なので、いつも外界から病原菌が侵入する危険にさらされています。そこで、空気を加湿、加温し、異物を排除するシステムが装備されています。ところが、かぜやインフルエンザにかかると、炎症でこうしたシステムが破壊されて、他の菌やウイルスが簡単に肺に入るようになるのです。
体には、病原菌などの異物を排除する免疫というしくみも備わっています。侵入した病原菌がこうした免疫の力を上回った時に、はじめて「肺炎」が発病します。ひどいかぜやインフルエンザに感染した後は、体力も低下しているので一層肺炎を起こしやすくなるわけです。
炎症は、肺の中でも酸素と二酸化炭素の交換を行っている肺胞という部分に起こります。そのため、肺炎になると息苦しくなって、歩くのが辛い、息切れがするといった症状が起こるのです。咳や痰は、異物を排除しようとする体の反応です。
そこで、一般的には咳、痰、発熱などかぜと似た症状があって1週間以上続いた場合に、肺炎が疑われます。しかし、高齢者の場合、こうした典型的な症状が出ないことが少なくないのです。
◇ 症状に乏しい誤嚥性肺炎
肺炎全体では、一番多いのが肺炎球菌という細菌です。しかし、市中肺炎に限ると黄色ブドウ球菌やインフルエンザ杆菌(インフルエンザを起こすウイルスとは別)などの細菌、マイコプラズマやクラミジアなどの微生物も多くなっています(図2)。
このうち、小林さんによると「マイコプラズマは持病がなくて若い人の肺炎に多い」と言います。マイコプラズマの場合は、免疫が過剰反応して肺炎が起こるそうです。つまり、体の防衛軍が過剰攻撃に走り、戦いの場となった肺まで荒らされてしまうのです。そのため、免疫がしっかりと働く若い人に多いのです。マイコプラズマによる肺炎は、痰が出ないで空咳が多いのが特徴で、「あまり毒性は強くないので重症化することは少ない」そうです。
一方、高齢者の場合は細菌感染による肺炎が多く、「誤嚥性肺炎」が多いのが特徴です。細菌感染は、かぜやインフルエンザの後に多く、重症化しやすいことが知られています。
誤嚥性肺炎の方は、もともと口の中にいる細菌などが、誤嚥によって肺に入り、肺炎を起こします。本来、空気と飲食物は、のどの奥で振り分けられ、空気は気道に、飲食物は食道に送り込まれます。ところが、高齢になるとこの振り分けがうまくいかなくなり、飲食物や唾液が肺に流れ込むことがあります。年をとるとむせやすくなるのも、そのせいです。
黄色ブドウ球菌や肺炎球菌も、口の中にいる細菌です。こうした細菌が、飲食物と一緒に肺に入り、肺炎を起こすのです。
しかし、一般に誤嚥性肺炎は症状に乏しいのが特徴です。高熱もなければ、咳や痰も少ないことが多く、本人も周囲も肺炎とは気づかないうちに重症化させてしまうことが少なくありません。逆に、高齢者は意識がもうろうとしたり、脱水を起こしやすいのが特徴です。
したがって、「かぜのような症状がなくても、元気がない、食欲がない、ボーッとしているなど、いつもと様子が違ったら、注意しないといけないのです」と小林さん。脈や呼吸が早くなったり、心電図の異常も起こしやすいと言います。それだけ命にかかわる危険も大きいのです。
◇ 日頃から規則正しい生活で体力を
肺炎かどうかは、X線撮影検査でわかります。肺胞で炎症が起こると、水がたまりX線撮影写真に白い影としてうつるのです。
しかし、実際に「原因菌が分かる人は4割ぐらいです」と小林さん。痰や血液から原因となっている菌を探すのですが、見つからない人が半数以上だそうです。
そこで、病院ではまず重症度を見きわめて入院治療が必要かどうかを判断し、原因菌を探しながら、治療にかかります。痰の色や患者さんの年齢、持病などからおおよその見当をつけて治療を開始するのだそうです。「黄色ブドウ球菌の場合は痰が黄色、緑膿菌はからし色で独特の臭いがあり、肺炎桿菌は鉄サビ色になる」そうです。
細菌性肺炎が疑われる場合は、「まず、ペニシリン系かセフェム系」の抗生物質が使われるそうです。小林さんによると「耐性菌を作らないように、ペニシリン系やセフェム系などのうち、基本的な抗生物質から使っていくのが基本」だと言います。院内肺炎では、メチシリンという抗生物質が効かないメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が問題になりましたが、今は市中肺炎でも抗生物質が効かない菌が増えています。抗生物質の乱用でこうした耐性菌を作らないように、基礎的な薬から使っていくのです。これで、治療が大きくはずれることは、ほとんどないそうです。
「早期に発見できれば、飲み薬で1週間ぐらいで治る」そうです。しかし、高齢者の場合、持病があると重症化しやすいので、日頃の注意で肺炎を防ぐことも大切です。
図のように70歳以上の年齢や嚥下障害なども危険因子ですが、アルコールの飲み過ぎや誤嚥、低栄養(低アルブミン血症)も危険因子です(表)。「日頃から規則正しく食事をとり、適度な運動をして体力をつけておくこと、アルコールはほどほどに。誤嚥を防ぐために食事はちゃんと起きてゆっくり食べること、かぜやインフルエンザも肺炎の引き金になるので、予防接種を受けて、手洗いとうがい、人混みではマスクをするなどして注意することが大切です。簡単に言えば、規則正しい生活をし、楽しく生きることが大切なのです」と小林さんは話しています。
なお肺炎球菌に関しては、ワクチンが開発されています。小林さんによると「肺炎球菌は肺炎の原因が分かっている4割のうち3割の原因ですから、すべての肺炎を防げるわけではありませんが、効果は5年続くと言われている」そうです。ただし、ワクチンはアレルギーの危険があるので一生に1回だけ。自費(1万5千円〜2万円)になるそうです。
(取材・文 祢津加奈子)
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2008/12/8 大腸がんに粘膜下層剥離術 広い範囲を一括切除 YOMIURI ONLINEより転載
大腸がんに粘膜下層剥離術
広い範囲を一括切除
大腸がんは、一般に進行が遅く治りやすいが、自覚症状が出にくく、進行がんで見つかることが少なくない。2007年の死亡者数は約4万1000人で、特に女性ではがんの死亡原因で最も多い。
読売新聞は、日本消化器外科学会と日本消化器病学会の研修認定施設1064施設を対象に2007年の治療実績をアンケートし、574施設から回答を得た(回収率54%)。一覧には、手術と内視鏡治療の合計が140件以上の施設(該当なしの県は最多施設)を掲載した。
大腸がんの進行度は、腸壁への食い込みの深さで決まる。がんが粘膜を越えても、その下の粘膜下層への食い込みが1ミリ未満なら、転移の可能性はほとんどなく、肛門(こうもん)から入れた内視鏡で切除する。
回答病院の内視鏡治療数の総計は約2万3000件で、治療件数全体の約3割。内視鏡への積極的な取り組みで知られる昭和大横浜市北部病院をはじめ、施設によっては、内視鏡治療数が手術数を上回るところもある。早期がんかどうかを正確に見極める診断法の進歩によって、手術を避けられるケースも増えた。
内視鏡治療の対象は、一般的に大きさが2センチ以下の場合だが、より広い範囲のがんを一括切除でき胃がん治療で普及している「粘膜下層剥離(はくり)術(ESD)」の、大腸がんへの応用も試みられている。粘度の高い液体を注入してがんを長時間浮かび上がらせ、電気メスで周囲に切り込みを入れ、一度にそぎ取る。ただし胃に比べて壁の薄い大腸では技術的に難しいため、実施施設は大学病院など一部にとどまる。
手術は、がんのできた腸管の部分に加え、再発を防ぐため、周囲のリンパ節も広く切除するのが一般的だ。
腹部を20センチほど開く従来の開腹手術に代わり、おなかに開けた数か所の小さな穴からカメラや切除器具を入れて行う腹腔(ふくくう)鏡手術が増えている。回答施設の手術総数約5万5000件のうち、腹腔鏡手術は約1万3000件(手術の24%)にのぼり、昨年の調査(同18%)に比べ増えた。
手術の85%を腹腔鏡で行う大阪医大病院消化器外科准教授、奥田準二さんは「早期がんでは、開腹と腹腔鏡の手術成績は、ほぼ同等という結果が多く出ている。経験豊富な医師が行えば、進行がんの一部にも腹腔鏡手術で対応できる」と話す。
腹腔鏡手術は傷が小さく、手術後の回復が早いなどの利点がある。だが、血管が複雑に伸びる横行結腸や、狭い骨盤内で血管や神経に囲まれた直腸がんの手術を腹腔鏡で行うのは難しく、とりわけ高度な技術が必要とされる。経験豊富な施設を選びたい。(佐藤光展)
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2008/12/8 肺の瘢痕化は肺癌のリスクを上昇させる可能性 m3.comより転載